42 / 87
第42話:アデル様の様子がおかしいです
しおりを挟む
「マイケル様の教え方、本当に上手だったわね」
「本当ね。話も上手だし。明日もマイケル様が教えてくれるって言っていたし、この分だと私たち、今度のテストはグンと点が伸びそうよ」
マイケル様が自分の教室に戻った後、興奮気味に話すカルミアとファリサ。確かにマイケル様に勉強を教えてもらったら、一気に成績が上がりそうね。
「でも、マイケル様に勉強を教えてもらってばかりだと申し訳ないから、明日はお菓子でも準備してくるわ。マイケル様、甘いものが大好きなのよ」
「へ~、そうなんだね。ローズ、随分とマイケル様の事、詳しいじゃない」
なぜかファリサがニヤニヤしながら、こっちを見てくる。
「ちょっと、ファリサ!何よ、その顔は。お見舞いに来てくれたときに聞いただけよ。そもそも、私とマイケル様はそんな関係ではないのだからね!ただの友人よ」
「ただの友人ねぇ」
ファリサったら人をからかって!一言文句を言ってやろうと思ったのだが、先生が来てしまったため慌てて自分の席に付いた。ファリサめ、覚えていなさいよ!
午後の授業が終わると、すぐにファリサの元に向かい、文句を言おうとしたのだが…
「ローズ様、ティーナ様がいらしておりますわよ」
「えっ、ティーナ様が?」
教室の出入り口を見ると、ティーナ様が不安そうな顔で立っていた。
急いでティーナ様の方へと向かった。すると、後ろにはグラス様もいた。そうよね、ティーナ様が1人で来るわけがないわよね…
「ティーナ様、一体どうされたのですか?」
「マイケル様から聞きましたわ。お昼に勉強をするから、しばらくは一緒に食事が出来ないと。もしかして、事故の件で私の事を嫌いになったのかと思いまして…私、心配で」
ウルウルした瞳で、私を見つめるティーナ様。
「ごめんなさい、私、そんなつもりで言ったわけではないのです。本当に勉強が遅れていて、それで。そうですわ、よろしければ今から一緒にお茶でもいかがですか?」
ティーナ様とグラス様しかいない様だし、問題ないだろう。それに私も、ティーナ様とお茶がしたいし。
「いいのですか?ぜひお願いします。それでは早速テラスに参りましょう」
「それではカバンを取って参りますので」
カバンを持って急いでティーナ様の元に戻ると、嬉しそうに私の手を引っ張ってくれた。やっぱり彼女、とっても可愛いわ。
テラスに着くと、向かい合わせに座った。ティーナ様の隣にはグラス様が座る。
「それよりローズ嬢、どうしてマイケルなんかに伝言を頼んだんだ!」
すかさず私に文句を言うグラス様。
「朝たまたまお会いしまして。伝えておいてくれるとおっしゃられたので、お願いしたまでです。本当は直接ティーナ様にお伝えに行こうと思っていたのですが、2年生教室に足を運ぶのはさすがに勇気がいりましたので」
「だからと言って、あいつに頼まなくてもいいだろう。僕は朝から不愉快だったんだ」
グラス様が不愉快だったなんて、はっきり言って知ったこっちゃない。本当にこの人、文句しか言わないのだから…
「もう、グラス!ローズ様、ごめんなさい、グラスが。さあ、せっかくなのでお茶にしましょう。今日のお昼にと思って持ってきたお菓子があるので。どうぞ」
ティーナ様がクッキーを出してくれた。
「このクッキー、紅茶の香りがしますわ。とても美味しそう、早速頂きますわね」
クッキーを口に入れようとした時だった。
「ローズ、ここにいたんだね。教室に行ったら、ローズは兄上たちと一緒に出て行ったって聞いたから」
声の方を振り向くと、そこにはアデル様が!
私ったらアデル様には近づかないように気を使っていたはずなのに…早速出会ってしまったわ!
急いでこの場を去った方がいいわよね。でも、今からお茶を頂くところだし、クッキーも美味しそうだし…
どうしていいか分からず、アタフタしている私を他所に、隣に座るアデル様。
「あの…私ちょっと用事が…」
「ローズ、どうして今日は、お昼来なかったんだい?心配で教室に見に行ったら、マイケルと一緒に勉強をしていたし」
え?心配?
「あの…私、2週間ほど学院を休んでおりましたので、お昼休みに友人に勉強を教えてもらう事になって。それでお昼はご一緒できませんでしたの。マイケル様は、わざわざ教えに来てくださったので。それにしても、マイケル様は本当に教えるのがお上手で、クラスメートや友人たちも、絶賛しておりましたわ」
今日の事をアデル様に説明した。昨日とは打って変わって穏やかな表情をしているアデル様。相変わらずやつれてはいるが、目の下のクマは少し薄くなっていた。
もしかして、吹っ切れたのかしら?そう思ったのだが…
「へぇ~、ローズは随分とマイケルと仲良くなったんだね。勉強なら、別にマイケルに聞かなくても僕も教えてあげられるよ。そもそも、君の怪我は僕が庇えなかったから負ってしまったんだ。僕の責任なのだから、僕が遅れた分の勉強を教えるよ」
「え…アデル様が…あの、そこまでしていただかなくても大丈夫ですわ。それに元々友人に教えてもらう予定になっておりましたし。ただ、マイケル様とのお勉強を、友人はもちろんクラスメートたちも大変気に入った様ですので。ですから、明日からも皆でお勉強をしようと思っております」
とにかく、アデル様の手を煩わせる訳にはいかない。そう思ったのだが…
「ローズはそんなにマイケルに教えて欲しいんだ…わかったよ、それなら僕も、明日からお昼は君のクラスで一緒に勉強するよ」
なぜそうなるの?そもそも昨日まで、あれほどまでに辛そうだったのに…アデル様の身に、一体何があったの?
「本当ね。話も上手だし。明日もマイケル様が教えてくれるって言っていたし、この分だと私たち、今度のテストはグンと点が伸びそうよ」
マイケル様が自分の教室に戻った後、興奮気味に話すカルミアとファリサ。確かにマイケル様に勉強を教えてもらったら、一気に成績が上がりそうね。
「でも、マイケル様に勉強を教えてもらってばかりだと申し訳ないから、明日はお菓子でも準備してくるわ。マイケル様、甘いものが大好きなのよ」
「へ~、そうなんだね。ローズ、随分とマイケル様の事、詳しいじゃない」
なぜかファリサがニヤニヤしながら、こっちを見てくる。
「ちょっと、ファリサ!何よ、その顔は。お見舞いに来てくれたときに聞いただけよ。そもそも、私とマイケル様はそんな関係ではないのだからね!ただの友人よ」
「ただの友人ねぇ」
ファリサったら人をからかって!一言文句を言ってやろうと思ったのだが、先生が来てしまったため慌てて自分の席に付いた。ファリサめ、覚えていなさいよ!
午後の授業が終わると、すぐにファリサの元に向かい、文句を言おうとしたのだが…
「ローズ様、ティーナ様がいらしておりますわよ」
「えっ、ティーナ様が?」
教室の出入り口を見ると、ティーナ様が不安そうな顔で立っていた。
急いでティーナ様の方へと向かった。すると、後ろにはグラス様もいた。そうよね、ティーナ様が1人で来るわけがないわよね…
「ティーナ様、一体どうされたのですか?」
「マイケル様から聞きましたわ。お昼に勉強をするから、しばらくは一緒に食事が出来ないと。もしかして、事故の件で私の事を嫌いになったのかと思いまして…私、心配で」
ウルウルした瞳で、私を見つめるティーナ様。
「ごめんなさい、私、そんなつもりで言ったわけではないのです。本当に勉強が遅れていて、それで。そうですわ、よろしければ今から一緒にお茶でもいかがですか?」
ティーナ様とグラス様しかいない様だし、問題ないだろう。それに私も、ティーナ様とお茶がしたいし。
「いいのですか?ぜひお願いします。それでは早速テラスに参りましょう」
「それではカバンを取って参りますので」
カバンを持って急いでティーナ様の元に戻ると、嬉しそうに私の手を引っ張ってくれた。やっぱり彼女、とっても可愛いわ。
テラスに着くと、向かい合わせに座った。ティーナ様の隣にはグラス様が座る。
「それよりローズ嬢、どうしてマイケルなんかに伝言を頼んだんだ!」
すかさず私に文句を言うグラス様。
「朝たまたまお会いしまして。伝えておいてくれるとおっしゃられたので、お願いしたまでです。本当は直接ティーナ様にお伝えに行こうと思っていたのですが、2年生教室に足を運ぶのはさすがに勇気がいりましたので」
「だからと言って、あいつに頼まなくてもいいだろう。僕は朝から不愉快だったんだ」
グラス様が不愉快だったなんて、はっきり言って知ったこっちゃない。本当にこの人、文句しか言わないのだから…
「もう、グラス!ローズ様、ごめんなさい、グラスが。さあ、せっかくなのでお茶にしましょう。今日のお昼にと思って持ってきたお菓子があるので。どうぞ」
ティーナ様がクッキーを出してくれた。
「このクッキー、紅茶の香りがしますわ。とても美味しそう、早速頂きますわね」
クッキーを口に入れようとした時だった。
「ローズ、ここにいたんだね。教室に行ったら、ローズは兄上たちと一緒に出て行ったって聞いたから」
声の方を振り向くと、そこにはアデル様が!
私ったらアデル様には近づかないように気を使っていたはずなのに…早速出会ってしまったわ!
急いでこの場を去った方がいいわよね。でも、今からお茶を頂くところだし、クッキーも美味しそうだし…
どうしていいか分からず、アタフタしている私を他所に、隣に座るアデル様。
「あの…私ちょっと用事が…」
「ローズ、どうして今日は、お昼来なかったんだい?心配で教室に見に行ったら、マイケルと一緒に勉強をしていたし」
え?心配?
「あの…私、2週間ほど学院を休んでおりましたので、お昼休みに友人に勉強を教えてもらう事になって。それでお昼はご一緒できませんでしたの。マイケル様は、わざわざ教えに来てくださったので。それにしても、マイケル様は本当に教えるのがお上手で、クラスメートや友人たちも、絶賛しておりましたわ」
今日の事をアデル様に説明した。昨日とは打って変わって穏やかな表情をしているアデル様。相変わらずやつれてはいるが、目の下のクマは少し薄くなっていた。
もしかして、吹っ切れたのかしら?そう思ったのだが…
「へぇ~、ローズは随分とマイケルと仲良くなったんだね。勉強なら、別にマイケルに聞かなくても僕も教えてあげられるよ。そもそも、君の怪我は僕が庇えなかったから負ってしまったんだ。僕の責任なのだから、僕が遅れた分の勉強を教えるよ」
「え…アデル様が…あの、そこまでしていただかなくても大丈夫ですわ。それに元々友人に教えてもらう予定になっておりましたし。ただ、マイケル様とのお勉強を、友人はもちろんクラスメートたちも大変気に入った様ですので。ですから、明日からも皆でお勉強をしようと思っております」
とにかく、アデル様の手を煩わせる訳にはいかない。そう思ったのだが…
「ローズはそんなにマイケルに教えて欲しいんだ…わかったよ、それなら僕も、明日からお昼は君のクラスで一緒に勉強するよ」
なぜそうなるの?そもそも昨日まで、あれほどまでに辛そうだったのに…アデル様の身に、一体何があったの?
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,388
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる