彼の幸せを願っていたら、いつの間にか私も幸せになりました

Karamimi

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第84話:アデル様と街に出掛けます

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その日の夜。
「それじゃあローズ、また明日ね」

「はい…また明日」

今日はずっとアデル様と一緒にいたため、なんだか別れが辛い。て、私は何を考えているのかしら?それじゃあまるで、私がアデル様と一緒に寝たいみたいじゃない。恥ずかしい。

急いで自分の部屋に戻り、ベッドに潜り込んだ。明日はアデル様と一緒に、街に出られる。それが嬉しくてたまらない。

早く明日にならないかな…
そう願いながら、眠りについた。


翌日。
5人で仲良く朝食を食べた後、早速アデル様と一緒に街に出る。

「アデル様、見て下さい。この国は、色々な国の人が住んでいる為、色々な文化に触れられるのですよ」

アリサお義姉様に教えてもらった情報を、アデル様に披露する。

「そうらしいね、この国は閉鎖的な我が国と違い、本当に自由な国と聞いている。もちろん、いい意味でね。知っているかい?ローズ、この国は優秀な人材をスカウトして、経済を急成長させた国でもあるんだ。どこの国の出身とか気にすることなく、人々が伸び伸びと生活している。義兄上がこの国に憧れるのも、納得だよ」

「アデル様ったら、随分とグラシュ国に詳しいのですわね」

せっかく私が説明しようと思ったのに…

「ローズがグラシュ国に向かってから、色々と調べたんだ。そうする事で、少しでもローズを感じたいと思ってね。僕、相当寂しかったんだよ。わかっているのかい?もう二度と、僕その傍から離れる事は許さないからね」

にっこり笑っているが、瞳からは怒りを感じる。

「ごめんなさい、私ももう二度とアデル様から離れるのは御免ですわ。こんなに寂しく辛いだなんて、思いませんでしたもの」

アデル様にギュッとしがみつく。もう私にとって、アデル様はいなくてはいけない、大切な存在なのだ。

「ローズがそう言ってくれると嬉しいよ。さあ、今日は目いっぱい楽しもう」

そう言うと、アデル様が私の手を引き、馬車から降りた。

「いいかい、ローズ。ここは人も多い、はぐれては大変だ。いいね、僕から離れてはいけないよ。まあ、僕もこの国にいるから、居場所を特定できる機械は作動すると思うけれど」

え…居場所を特定できる機械?

「あの、アデル様。居場所を特定できる機械とは…」

「あっ、このお店、真珠が売っているよ。それに、サンゴもある。せっかくだから見ていこう」

結局うやむやにされてしまい、それ以上は聞く事が出来なかった。

「アデル様、こっちにも可愛らしいアクセサリーがありますわ。あっ、あのお店も」

つい楽しくなって、次から次へとお店を移動させた。それにしても、今日はすごい人ね。て、アデル様!

「アデル様、どこですか?」

周りを見渡したが、アデル様の姿はない。もしかして、迷子?そう思った時だった。

「ローズ!だから勝手にウロウロとしてはダメだと言っただろう」

ふいに腕を掴まれたと思ったら、アデル様の声が。どうやらアデル様が、私を見つけてくれた様だ。

「君は本当に少し目を離すと、どこかに行ってしまうのだから。でも、この機械が作動してよかったよ。ただ…半径10キロ圏内までしか作動しないからな。十分気を付かないと…」

何やら機械を握りながら、ブツブツ言っている。一体何の事だろう。

「さあ、そろそろ食事にしようか。前にローズが話してくれた、リンゴの専門店に行きたいのだけれど」

「それじゃあ、あのお店に行きましょう。見た目も本当に可愛いのですよ。ティーナ様も連れてきてあげたら、きっと…ンン」

「ティーナの話はここでは止めようか。ほら、行くよ」

なぜか口を手で塞がれてしまった。なぜティーナ様の話をしてはダメなのかしら?そう思いつつ、2人でお店に向かった。

「本当に可愛らしいお店だね。それに、全てリンゴを使っているのか。うん、悪くないね」

どうやらアデル様のお口にも合ったようだ。食後も2人で色々なお店を見て回った。

まさかアデル様と一緒に、こんな風にグラシュ国を見て回れるなんて…

「アデル様、改めてグラシュ国に迎えに来てくださり、ありがとうございました。私、今とても幸せですわ」

「僕の方こそ、あの時助けを求めてくれてありがとう。あの時のローズの言葉があったから、今僕はローズといられるんだ。さあ、そろそろ帰ろうか。今日は僕たちのお別れ会をやってくれると言っていたし」

「そうですわね、あまり遅くなると、またお兄様がギャーギャーうるさいし。帰りましょう」

2人で手を繋いで馬車に乗り込んだ。初めてアリサお義姉様と街に来た時は、楽しい反面、なんだか寂しくてどうしようもない気持ちになった。でも今は、大好きなアデル様が傍にいる。それだけで、こんなにも気持ちが変わるものなのね。

「ローズ、見てごらん。綺麗な夕日だね。奥の方に見えるのは、海かな?」

「本当に綺麗な夕日」

馬車の中から、美しい夕日を2人で見つめ続けたのであった。
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