彼の幸せを願っていたら、いつの間にか私も幸せになりました

Karamimi

文字の大きさ
85 / 87

第85話:国に帰ります

しおりを挟む
翌朝、アデル様の家の馬車に荷物を詰め込んだ。

「それじゃあおばあ様、お兄様、アリサお義姉様、お世話になりました。また再来月来ますから」

「ローズ、くれぐれもアデル様のご両親によろしく伝えておくれ。アデル様、どうかローズの事、よろしくお願いいたします」

深々と頭を下げるおばあ様。

「大丈夫ですよ、おばあ様。僕が責任をもって、ローズを幸せにしますから。それでは、また再来月」

「ローズちゃん、アデル様と幸せにね。アデル様、ローズちゃんの事、よろしくお願いします。ほら、ローランドも!」

「アデル殿、ローズの事、お願いします…」

アリサお義姉様に促され、しぶしぶアデル様にお願いしているお兄様。なんだかんだ言って、お兄様はアリサお義姉様に弱い様だ。

「アリサお義姉様こそ、どうかお兄様をよろしくお願いしますね」

「ええ、任せえておいて」

胸を叩い手得意そうな顔を知るアリサお義姉様。その姿を見て、なんだか笑いがこみ上げてきた。

「ローズ、そろそろ行こうか」

アデル様に促され、馬車に乗り込んだ。やっぱり別れは辛いもの。ゆっくりは走り出す馬車から身を乗り出し、3人に手を振る。そんな私を見て、3人も手を振り返してくれた。

「さあ、ローズ、そろそろ座ろうか。あまり身を乗り出していると危ないよ」

アデル様に腰を引っ張られ、そのまま座らされた。

「ローズ、またすぐに会えるから。そんな悲しそうな顔をしないで」

「ええ、分かっていますわ。そうそう、アデル様。私はアデル様のお家でお世話になるのですよね」

「ああ、そうだよ。君の家の使用人たちも、何人かは家で雇う事になったよ。希望を募ったら、結構来てくれると言ってくれてね。料理長や専属メイドたちも、君の帰りを待っているよ」

「まあ、それは本当ですか?それは嬉しいですわ。でも、そんなことをして、アデル様のご両親は大丈夫ですの?私、受け入れられるかしら?」

「問題ないよ。特に母上は、君とお茶をするのを楽しみにしているらしい。ただ…結構強引な母上だから、無理をして付き合う必要は無いからね。基本的に、勝手に離れには来ない様に、きつく言ってあるから大丈夫だと思うけれど…」

そう言って苦笑いをしている。

アデル様のご両親は、お優しい方だという事は私も知っている。きっと大丈夫だろう。

行きと同じように、休憩を挟みつつ進んでいく。ただ、行きと違う点は、大好きなアデル様が傍にいるという事だ。アデル様が傍にいるだけで、時間があっという間に過ぎていくのだ。結局3日とも、退屈することなくあっという間に母国に戻ってきた。

そして、アデル様の屋敷が見えてきた。なんだか緊張してきたわ。

屋敷に着くと、アデル様のご両親とグラス様、ティーナ様とディーオン様、ご両親、さらに我が家にいた使用人たちも待っていてくれた。

「別に出迎えはいらないと言っておいたのに…」

なぜかアデル様が不満そうな顔をしている。

「さあ、ローズ、さっさとあいつらをあしらって、離れに行こう。今日はもう疲れているだろう。それじゃあ、行こうか」

せっかく私の為に集まって下さっているのに、あしらうだなんて。そう思いつつ、馬車から降りると。

「ローズ様、おかえりなさい。寂しかったですわ!」

ティーナ様が飛びついて来た。相変わらず可愛らしいティーナ様。それに、いい香りもする。

「ティーナ様、お出迎えありがとうございます。私もティーナ様に会いたかったですわ」

ギューッとティーナ様を抱きしめようとしたのだが、後ろからアデル様に腕を引っ張られ、引き離されてしまった。

「ティーナ、ローズに抱き着くのは止めてくれ。そもそもローズは疲れているんだよ」

「あら、少しくらい…」

「アデルの言う通りだ。いくら友人が帰ってきたからって、抱き着くのは良くないよ」

後ろからティーナ様を抱きしめながら、グラス様が呟いた。相変わらずグラス様の嫉妬深さは健在のようだ。

「グラスだけでなく、アデルまで嫉妬深いとは。これはローズ嬢も大変だね」

ハハハハハと笑っているのは、ティーナ様のお兄様、ディーオン様だ。なぜかディーオン様から私を隠すようなそぶりを見せているアデル様。一体どうしたのかしら?

「ローズちゃん、ようこそ我が家へ。あなたが来るのを、心待ちにしていたのよ。さあ、疲れたでしょう。入って。今日はちょっとした宴を準備してあるの。あなたが我が家に来てくれたお祝いよ」

アデル様のお母様が、にっこり笑ってそう言ってくれた。

「今日からお世話になります。不束者ですが、どうぞよろしくお願いします」

アデル様のご両親に向かって、深々と頭を下げた。

「ローズ嬢、もう私たちは君の事を娘だと思っている。遠慮はいらないよ。ほら、中に入ろう」

アデル様のご両親は、本当に優しくていい人だ。この人たちと、いずれ家族に…
そう思ったら、温かい気持ちで包まれたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく

たまこ
恋愛
 10年の間、王子妃教育を受けてきた公爵令嬢シャーロットは、政治的な背景から王子妃候補をクビになってしまう。  多額の慰謝料を貰ったものの、婚約者を見つけることは絶望的な状況であり、シャーロットは結婚は諦めて公爵家の仕事に打ち込む。  もう会えないであろう初恋の相手のことだけを想って、生涯を終えるのだと覚悟していたのだが…。

【完結】記憶にありませんが、責任は取りましょう

楽歩
恋愛
階段から落ちて三日後、アイラは目を覚ました。そして、自分の人生から十年分の記憶が消えていることを知らされる。 目の前で知らない男が号泣し、知らない子どもが「お母様!」としがみついてくる。 「状況を確認いたします。あなたは伯爵、こちらは私たちの息子。なお、私たちはまだ正式な夫婦ではない、という理解でよろしいですね?」 さらに残されていたのは鍵付き箱いっぱいの十年分の日記帳。中身は、乙女ゲームに転生したと信じ、攻略対象を順位付けして暴走していた“過去のアイラ”の黒歴史だった。 アイラは一冊の日記を最後の一行まで読み終えると、無言で日記を暖炉へ投げ入れる。 「これは、焼却処分が妥当ですわね」 だいぶ騒がしい人生の再スタートが今、始まる。

【完結】愛しき冷血宰相へ別れの挨拶を

川上桃園
恋愛
「どうかもう私のことはお忘れください。閣下の幸せを、遠くから見守っております」  とある国で、宰相閣下が結婚するという新聞記事が出た。  これを見た地方官吏のコーデリアは突如、王都へ旅立った。亡き兄の友人であり、年上の想い人でもある「彼」に別れを告げるために。  だが目当ての宰相邸では使用人に追い返されて途方に暮れる。そこに出くわしたのは、彼と結婚するという噂の美しき令嬢の姿だった――。 新聞と涙 それでも恋をする  あなたの照らす道は祝福《コーデリア》 君のため道に灯りを点けておく 話したいことがある 会いたい《クローヴィス》  これは、冷血宰相と呼ばれた彼の結婚を巡る、恋のから騒ぎ。最後はハッピーエンドで終わるめでたしめでたしのお話です。 第22回書き出し祭り参加作品 2025.1.26 女性向けホトラン1位ありがとうございます 2025.2.14 後日談を投稿しました

【完結】彼を幸せにする十の方法

玉響なつめ
恋愛
貴族令嬢のフィリアには婚約者がいる。 フィリアが望んで結ばれた婚約、その相手であるキリアンはいつだって冷静だ。 婚約者としての義務は果たしてくれるし常に彼女を尊重してくれる。 しかし、フィリアが望まなければキリアンは動かない。 婚約したのだからいつかは心を開いてくれて、距離も縮まる――そう信じていたフィリアの心は、とある夜会での事件でぽっきり折れてしまった。 婚約を解消することは難しいが、少なくともこれ以上迷惑をかけずに夫婦としてどうあるべきか……フィリアは悩みながらも、キリアンが一番幸せになれる方法を探すために行動を起こすのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも掲載しています。

【完結】そんなに好きならもっと早く言って下さい! 今更、遅いです! と口にした後、婚約者から逃げてみまして

Rohdea
恋愛
──婚約者の王太子殿下に暴言?を吐いた後、彼から逃げ出す事にしたのですが。 公爵令嬢のリスティは、幼い頃からこの国の王子、ルフェルウス殿下の婚約者となるに違いない。 周囲にそう期待されて育って来た。 だけど、当のリスティは王族に関するとある不満からそんなのは嫌だ! と常々思っていた。 そんなある日、 殿下の婚約者候補となる令嬢達を集めたお茶会で初めてルフェルウス殿下と出会うリスティ。 決して良い出会いでは無かったのに、リスティはそのまま婚約者に選ばれてしまう── 婚約後、殿下から向けられる態度や行動の意味が分からず困惑する日々を送っていたリスティは、どうにか殿下と婚約破棄は出来ないかと模索するも、気づけば婚約して1年が経っていた。 しかし、ちょうどその頃に入学した学園で、ピンク色の髪の毛が特徴の男爵令嬢が現れた事で、 リスティの気持ちも運命も大きく変わる事に…… ※先日、完結した、 『そんなに嫌いなら婚約破棄して下さい! と口にした後、婚約者が記憶喪失になりまして』 に出て来た王太子殿下と、その婚約者のお話です。

王太子妃専属侍女の結婚事情

蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。 未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。 相手は王太子の側近セドリック。 ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。 そんな二人の行く末は......。 ☆恋愛色は薄めです。 ☆完結、予約投稿済み。 新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。 ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。 そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。 よろしくお願いいたします。

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」 お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。 綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。 今はもう、私に微笑みかける事はありません。 貴方の笑顔は別の方のもの。 私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。 私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。 ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか? ―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。 ※ゆるゆる設定です。 ※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」 ※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド

後妻の条件を出したら……

しゃーりん
恋愛
妻と離婚した伯爵令息アークライトは、友人に聞かれて自分が後妻に望む条件をいくつか挙げた。 格上の貴族から厄介な女性を押しつけられることを危惧し、友人の勧めで伯爵令嬢マデリーンと結婚することになった。 だがこのマデリーン、アークライトの出した条件にそれほどズレてはいないが、貴族令嬢としての教育を受けていないという驚きの事実が発覚したのだ。 しかし、明るく真面目なマデリーンをアークライトはすぐに好きになるというお話です。

処理中です...