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第4話:まさか助けた令嬢がこいつだったとは…
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「大丈夫ですか?お可哀そうに、外道の令息共に虐められたのですね。お怪我はございませんか?」
俯き座り込んでいる令嬢に声を掛けた。
「私の様な人間をお助けいただき、ありがとうございます…」
えっ…この女は…
ゆっくり顔を上げた令嬢の顔を見た瞬間、凍り付く。
この女は、間違いない。カーラだわ!カーラ・ミュースト。侯爵令嬢なのだが、少しふくよかで肌荒れが酷く、人づきあいが苦手な彼女は、幼い頃から1歳上の兄から陰湿ないじめを受けていた。
性格も暗く見た目も残念な彼女は、仲の良い友人もおらず、ずっと孤独だったのだ。そんな中、イザベルと出会う。イザベルはたまたまカーラが兄とその友人から虐められているのを目撃。助けたことから、カーラと仲良くなる。
今までずっと孤独だったカーラは、すっかりイザベルの虜に。イザベルの為なら手段を択ばない恐ろしい女なのだ。実際にリリアナに無実の罪を着せるための証拠づくりに翻弄したのも、この女だ。
この女の用意した証拠が決定的なものとなり、リリアナはイザベル毒殺の罪で、処刑されてしまうのだ。
私は前世で、この女が大嫌いだった。イザベルの為なら、人の命すら奪っても構わないというこの女が!この女のせいで、リリアナは無念の死を遂げたのだ。
まさかこの女を、私が助けてしまうだなんて!
「あの…申し訳ございません。私なんかを助けてしまった事、後悔していらっしゃいますよね…お助けいただき、本当にありがとうございました。それでは、私はこれで…」
「お待ちください」
フラフラと立ち上がると、そのままカーラが立ち去ろうとしたのだ。でも、ドレスは汚れ、髪は乱れているし、顔から血が滲んでいる。きっと酷い暴力を受けたのだろう。あまりにも酷い状況に、つい体が動いてしまった。さらに
「私は、あなた様をお助けしたことを後悔などしておりません。ドレスも汚れておりますし、髪も乱れておりますわ。それにお顔からも血が。すぐに手当てを行わないと。さすがにこのままお茶会には戻れませんよね。どうぞこちらへ」
私は何をやっているのだろう…
この女は、リリアナを死に追いやったにっくき女なのよ。私はイザベルの次にこの女が大嫌いなのだ。それなのに、どうして私はこの女の手を引いているのだろう。
ただ…この女の悲しそうな顔を見たら、どうしても放っておけないのだ。きっと漫画の世界のリリアナだって、同じことをしただろう。そう、私はリリアナなのだ。彼女の性格を、私はしっかり受け継いでいる。
人気の少ない場所を選びながら、我が家の馬車まで戻ってきた。
「お嬢様、一体どうされたのですか?お隣にいらっしゃるのは、ミュースト侯爵家のカーラ様」
「悪いのだけれど、彼女の手当てをしてあげてくれるかしら?」
カーラの姿に口を開け、驚いているメイドに指示を出す。まさか侯爵令嬢の彼女が、こんなボロボロの姿で現れるだなんて…それは驚くわよね。
本来なら着替えを行い、髪を整えるべきなのだが、さすがに馬車の中では無理なので、手当だけする事にしたのだ。
「私の為に、ありがとうございます。リリアナ様の事はお噂で聞いておりましたが、お噂通りお優しい方なのですね。私の様な人間にも、優しくしてくださり、本当になんとお礼を言ったらよいのか…」
少し悲しそうにカーラがほほ笑んだのだ。この子、なんて顔をするのかしら?わずか10歳の少女が、こんな顔をするだなんて…
カーラの瞳からは、悲しみと絶望がにじみ出ていたのだ。
よく考えてみれば、カーラは優秀な兄からずっと酷い虐めを受けて来た。言葉だけではなく、身体的暴力も…彼女の兄は非常に優秀でずる賢い性格をしていた為、口下手なカーラではなく、兄の言う事を信じてしまう両親。
このままカーラを1人で帰らせたら、きっとあのずる賢い兄に、酷い目に合わされるかもしれない。
「それでは私は、失礼いたします」
ペコリと私に頭を下げて、馬車から降りて行こうとするカーラの腕を掴んだ。
「お待ちください、カーラ様。もしこのままお屋敷に戻ったら、あなた様のお兄様に難癖をつけられてしまうかもしれません。お節介かと思いますが、私がお送りいたしますわ」
だから、私は一体何を言っているの?この女が兄に傷つけられても、私には関係…関係ない…関係ない訳がない!目の前で傷つている令嬢がいるのだ。このまま放っておくなんて出来ない。
たとえ憎い相手でもだ!
俯き座り込んでいる令嬢に声を掛けた。
「私の様な人間をお助けいただき、ありがとうございます…」
えっ…この女は…
ゆっくり顔を上げた令嬢の顔を見た瞬間、凍り付く。
この女は、間違いない。カーラだわ!カーラ・ミュースト。侯爵令嬢なのだが、少しふくよかで肌荒れが酷く、人づきあいが苦手な彼女は、幼い頃から1歳上の兄から陰湿ないじめを受けていた。
性格も暗く見た目も残念な彼女は、仲の良い友人もおらず、ずっと孤独だったのだ。そんな中、イザベルと出会う。イザベルはたまたまカーラが兄とその友人から虐められているのを目撃。助けたことから、カーラと仲良くなる。
今までずっと孤独だったカーラは、すっかりイザベルの虜に。イザベルの為なら手段を択ばない恐ろしい女なのだ。実際にリリアナに無実の罪を着せるための証拠づくりに翻弄したのも、この女だ。
この女の用意した証拠が決定的なものとなり、リリアナはイザベル毒殺の罪で、処刑されてしまうのだ。
私は前世で、この女が大嫌いだった。イザベルの為なら、人の命すら奪っても構わないというこの女が!この女のせいで、リリアナは無念の死を遂げたのだ。
まさかこの女を、私が助けてしまうだなんて!
「あの…申し訳ございません。私なんかを助けてしまった事、後悔していらっしゃいますよね…お助けいただき、本当にありがとうございました。それでは、私はこれで…」
「お待ちください」
フラフラと立ち上がると、そのままカーラが立ち去ろうとしたのだ。でも、ドレスは汚れ、髪は乱れているし、顔から血が滲んでいる。きっと酷い暴力を受けたのだろう。あまりにも酷い状況に、つい体が動いてしまった。さらに
「私は、あなた様をお助けしたことを後悔などしておりません。ドレスも汚れておりますし、髪も乱れておりますわ。それにお顔からも血が。すぐに手当てを行わないと。さすがにこのままお茶会には戻れませんよね。どうぞこちらへ」
私は何をやっているのだろう…
この女は、リリアナを死に追いやったにっくき女なのよ。私はイザベルの次にこの女が大嫌いなのだ。それなのに、どうして私はこの女の手を引いているのだろう。
ただ…この女の悲しそうな顔を見たら、どうしても放っておけないのだ。きっと漫画の世界のリリアナだって、同じことをしただろう。そう、私はリリアナなのだ。彼女の性格を、私はしっかり受け継いでいる。
人気の少ない場所を選びながら、我が家の馬車まで戻ってきた。
「お嬢様、一体どうされたのですか?お隣にいらっしゃるのは、ミュースト侯爵家のカーラ様」
「悪いのだけれど、彼女の手当てをしてあげてくれるかしら?」
カーラの姿に口を開け、驚いているメイドに指示を出す。まさか侯爵令嬢の彼女が、こんなボロボロの姿で現れるだなんて…それは驚くわよね。
本来なら着替えを行い、髪を整えるべきなのだが、さすがに馬車の中では無理なので、手当だけする事にしたのだ。
「私の為に、ありがとうございます。リリアナ様の事はお噂で聞いておりましたが、お噂通りお優しい方なのですね。私の様な人間にも、優しくしてくださり、本当になんとお礼を言ったらよいのか…」
少し悲しそうにカーラがほほ笑んだのだ。この子、なんて顔をするのかしら?わずか10歳の少女が、こんな顔をするだなんて…
カーラの瞳からは、悲しみと絶望がにじみ出ていたのだ。
よく考えてみれば、カーラは優秀な兄からずっと酷い虐めを受けて来た。言葉だけではなく、身体的暴力も…彼女の兄は非常に優秀でずる賢い性格をしていた為、口下手なカーラではなく、兄の言う事を信じてしまう両親。
このままカーラを1人で帰らせたら、きっとあのずる賢い兄に、酷い目に合わされるかもしれない。
「それでは私は、失礼いたします」
ペコリと私に頭を下げて、馬車から降りて行こうとするカーラの腕を掴んだ。
「お待ちください、カーラ様。もしこのままお屋敷に戻ったら、あなた様のお兄様に難癖をつけられてしまうかもしれません。お節介かと思いますが、私がお送りいたしますわ」
だから、私は一体何を言っているの?この女が兄に傷つけられても、私には関係…関係ない…関係ない訳がない!目の前で傷つている令嬢がいるのだ。このまま放っておくなんて出来ない。
たとえ憎い相手でもだ!
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