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第54話:クリス様に隠された真実
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「リリアナ、ごめんね。ここ2日、公爵家に顔を出せなくて」
「クリス様、来てくださったのですか?お忙しいのにわざわざ足を運んでくださり、ありがとうございます。それにしても、随分とやつれてしまわれましたね。どうか少しお休みください」
あの断罪劇から2日が過ぎた。お父様の話では、前代未聞の恐ろしい事件として、貴族たちを震撼させたこともあり、異例の速さで2人の処罰が決まったらしい。そしてその日のうちに、2人の刑は執行されたと聞いた。
“あの様な恐ろしい人間がいるとわかったら、誰も王太子殿下の婚約者になりたがらない。私だって、リリアナをこのまま殿下の婚約者になんてしておきたくないくらいだ。ただ、殿下はリリアナの恩人でもあるから、今回は婚約を解消する事はないが。それにしても殿下は、よくあの2人の悪事を見破ったものだな”
そうお父様が言っていた。確かにお父様の言う通り、クリス様はどうやって2人の悪事を見破ったのだろう。そもそも彼のキャラが変わりすぎている。カーラもキャラが変わりすぎているが、それは私が漫画とは違う動きをしたから。
カーラ本来の性格でもある“1人の人間の為に尽くす”ところは、変わっていない。他の登場人物も、漫画通り動いていた様だし。そんな中クリス様だけが、漫画とは全く違う行動をとった。
私の様に転生者なら理解できる。でも、クリス様は日本という国を知らなかったから、転生者ではないはずだ。
そう、私はあの断罪事件以降、ずっとクリス様の行動が不思議でたまらないのだ。彼は一体、何者なのだろう。
「リリアナ、難しい顔をしてどうしたのだい?公爵から聞いていると思うが、もう君を落としいれた2人は、この世にはいない。その家族も、昨日遠い国に国外追放になったから、二度とこの国に戻ってくることはない。あのメイドも、家族ともども国から追い出したし。もう君を脅かすものはいないよ」
「ええ、お父様から全て伺いました。あの…クリス様、お父様から聞きました。クリス様はずっと、2人にスパイを付け、見張らせていたそうですね。お忙しい中、自ら映像を分析していたと聞きました。貴族にスパイを付けるという事は、かなりリスキーです。あなた様は王太子殿下、もし万が一、スパイを付けたことが本人たちにバレたら、大問題になるでしょう。そんなリスクを冒してまで、なぜ彼らにスパイを?」
カーラが彼らにスパイを付けたのならわかる。あの子は私の為なら、命を差し出してもいいと考えている子だから。カーラの性格上、私の為なら何でもしてくれる、そんな子なのだ。
でも、クリス様は違う。彼は王太子なのだ。万が一バレた時、相当責められるだろう。下手をすると
“何も悪い事をしていない貴族にスパイを付けるだなんて。貴族のプライバシーを何だと思っているのか。そんな人間に、次期国王は務まらない”
そう言われても、おかしくはないのだ。貴族はプライバシーを、とても重視する生き物だから…
真っすぐクリス様を見つめた。
すると、はぁ~っとため息をついた後、クリス様が真っすぐ私を見つめたのだ。
「リリアナ…君は2度目の生を信じるかい?」
「2度目の生…ですか?」
私が読んでいた小説や漫画でも、ひょんなことから過去に戻り、2度目の人生を送るという話を目にしたことがある。もしかして、クリス様は2度目の人生を送っているというの?
「信じてもらえないかもしれないけれど、僕は今、2度目の人生を送っているのだよ」
切なそうに呟くクリス様。彼が二度目の人生を送っているですって。そんな事があり得るの?
でも…
私が転生したくらいだから、2度目の人生を送る人がいてもおかしくない。
「私はクリス様の言う事を信じますわ。あの…1度目の人生は、どんな感じだったのですか?」
「1度目の人生かい?いいよ、聞かせてあげる。でも、君にとって耳を塞ぎたくなるような話だよ…」
今にも泣きそうなクリス様。彼の負担を考えると、彼にとっては辛い人生だったのだろう。どうしよう、クリス様の負担を考えると、私の興味本位で聞いてはいけない気がする。
「お話ししたくないのなら、話さなくても…」
「いいや、君には知る権利がある。1度目の生はね…」
クリス様が話してくれた1度目の生は、まさに漫画の世界そのものだった。私はイザベルに陥れられ、やはり毒殺刑に処せられたらしい。そしてその後だが、両親はお兄様のいるイライザ王国に行ったらしい。そしてイザベルとマーデン様は、悪事が全てバレ、私と同じく毒殺刑に処されたらしい。
さらに悪事を暴けず私を死なせたことに責任を感じたクリス様は、王太子の座を弟のイカロス殿下に譲ったそうだ。そして最後は、自ら毒を飲んで命を落としたらしい。ただ、その後目覚めた時、10歳に戻っていたらしいのだ。
「僕はね、10歳に戻ったと知った時、本当に嬉しかった。今度こそ、僕の手でリリアナを幸せにしたいと。ただ、それと同時に、1度目の生でリリアナを守るどころか、責め立て彼女に絶望と苦痛を与えた僕が、君の傍にいていいのか…僕から離れた方が、リリアナは幸せなのではないか、そんな思いも芽生えたんだ」
「そんな…確かに1度目の生の時は、私?は苦しみ絶望の中命を落としたかもしれません。ですが今回の生では、私を守って下さったではありませんか!クリス様、どうかご自分を責めないで下さい。あなたは十分すぎるほど、苦しみましたわ。それに、私の為に毒まで飲んで…」
きっと漫画も、ラストはこんな話だったのだろう。絶望の中死んでいったのは、リリアナだけではない。きっと彼も、同じように絶望の中命を落としたのだろう。
※次回、最終話です。
よろしくお願いします。
「クリス様、来てくださったのですか?お忙しいのにわざわざ足を運んでくださり、ありがとうございます。それにしても、随分とやつれてしまわれましたね。どうか少しお休みください」
あの断罪劇から2日が過ぎた。お父様の話では、前代未聞の恐ろしい事件として、貴族たちを震撼させたこともあり、異例の速さで2人の処罰が決まったらしい。そしてその日のうちに、2人の刑は執行されたと聞いた。
“あの様な恐ろしい人間がいるとわかったら、誰も王太子殿下の婚約者になりたがらない。私だって、リリアナをこのまま殿下の婚約者になんてしておきたくないくらいだ。ただ、殿下はリリアナの恩人でもあるから、今回は婚約を解消する事はないが。それにしても殿下は、よくあの2人の悪事を見破ったものだな”
そうお父様が言っていた。確かにお父様の言う通り、クリス様はどうやって2人の悪事を見破ったのだろう。そもそも彼のキャラが変わりすぎている。カーラもキャラが変わりすぎているが、それは私が漫画とは違う動きをしたから。
カーラ本来の性格でもある“1人の人間の為に尽くす”ところは、変わっていない。他の登場人物も、漫画通り動いていた様だし。そんな中クリス様だけが、漫画とは全く違う行動をとった。
私の様に転生者なら理解できる。でも、クリス様は日本という国を知らなかったから、転生者ではないはずだ。
そう、私はあの断罪事件以降、ずっとクリス様の行動が不思議でたまらないのだ。彼は一体、何者なのだろう。
「リリアナ、難しい顔をしてどうしたのだい?公爵から聞いていると思うが、もう君を落としいれた2人は、この世にはいない。その家族も、昨日遠い国に国外追放になったから、二度とこの国に戻ってくることはない。あのメイドも、家族ともども国から追い出したし。もう君を脅かすものはいないよ」
「ええ、お父様から全て伺いました。あの…クリス様、お父様から聞きました。クリス様はずっと、2人にスパイを付け、見張らせていたそうですね。お忙しい中、自ら映像を分析していたと聞きました。貴族にスパイを付けるという事は、かなりリスキーです。あなた様は王太子殿下、もし万が一、スパイを付けたことが本人たちにバレたら、大問題になるでしょう。そんなリスクを冒してまで、なぜ彼らにスパイを?」
カーラが彼らにスパイを付けたのならわかる。あの子は私の為なら、命を差し出してもいいと考えている子だから。カーラの性格上、私の為なら何でもしてくれる、そんな子なのだ。
でも、クリス様は違う。彼は王太子なのだ。万が一バレた時、相当責められるだろう。下手をすると
“何も悪い事をしていない貴族にスパイを付けるだなんて。貴族のプライバシーを何だと思っているのか。そんな人間に、次期国王は務まらない”
そう言われても、おかしくはないのだ。貴族はプライバシーを、とても重視する生き物だから…
真っすぐクリス様を見つめた。
すると、はぁ~っとため息をついた後、クリス様が真っすぐ私を見つめたのだ。
「リリアナ…君は2度目の生を信じるかい?」
「2度目の生…ですか?」
私が読んでいた小説や漫画でも、ひょんなことから過去に戻り、2度目の人生を送るという話を目にしたことがある。もしかして、クリス様は2度目の人生を送っているというの?
「信じてもらえないかもしれないけれど、僕は今、2度目の人生を送っているのだよ」
切なそうに呟くクリス様。彼が二度目の人生を送っているですって。そんな事があり得るの?
でも…
私が転生したくらいだから、2度目の人生を送る人がいてもおかしくない。
「私はクリス様の言う事を信じますわ。あの…1度目の人生は、どんな感じだったのですか?」
「1度目の人生かい?いいよ、聞かせてあげる。でも、君にとって耳を塞ぎたくなるような話だよ…」
今にも泣きそうなクリス様。彼の負担を考えると、彼にとっては辛い人生だったのだろう。どうしよう、クリス様の負担を考えると、私の興味本位で聞いてはいけない気がする。
「お話ししたくないのなら、話さなくても…」
「いいや、君には知る権利がある。1度目の生はね…」
クリス様が話してくれた1度目の生は、まさに漫画の世界そのものだった。私はイザベルに陥れられ、やはり毒殺刑に処せられたらしい。そしてその後だが、両親はお兄様のいるイライザ王国に行ったらしい。そしてイザベルとマーデン様は、悪事が全てバレ、私と同じく毒殺刑に処されたらしい。
さらに悪事を暴けず私を死なせたことに責任を感じたクリス様は、王太子の座を弟のイカロス殿下に譲ったそうだ。そして最後は、自ら毒を飲んで命を落としたらしい。ただ、その後目覚めた時、10歳に戻っていたらしいのだ。
「僕はね、10歳に戻ったと知った時、本当に嬉しかった。今度こそ、僕の手でリリアナを幸せにしたいと。ただ、それと同時に、1度目の生でリリアナを守るどころか、責め立て彼女に絶望と苦痛を与えた僕が、君の傍にいていいのか…僕から離れた方が、リリアナは幸せなのではないか、そんな思いも芽生えたんだ」
「そんな…確かに1度目の生の時は、私?は苦しみ絶望の中命を落としたかもしれません。ですが今回の生では、私を守って下さったではありませんか!クリス様、どうかご自分を責めないで下さい。あなたは十分すぎるほど、苦しみましたわ。それに、私の為に毒まで飲んで…」
きっと漫画も、ラストはこんな話だったのだろう。絶望の中死んでいったのは、リリアナだけではない。きっと彼も、同じように絶望の中命を落としたのだろう。
※次回、最終話です。
よろしくお願いします。
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