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第7話:クロードに会えたのですが…
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おばあさんと別れた後、教えてもらった通り馬車に乗り込む。こんなに大きな馬車、生まれて初めて見た。私以外にもたくさんの人が馬車に乗っている。
周りは立派な建物ばかり、その上人で溢れかえっているのだ。張り切って馬車に乗ったものの、既に緊張で心臓が口から飛び出そうだ。この街には悪い人も多いと言っていた事を、ふと思い出した。
荷物をとられたら大変だ。
ギュッと荷物を抱きしめた。
その後何度か馬車を乗り換えながら、どんどん進んでいく。一体どれくらい馬車に乗っていればいいのかしら?
何だか急に不安になって来た。そんな私の不安を他所に、馬車はさらに進んでいく。
「お嬢さん、ここが終点ですよ」
どうやら終点に着いた様だ。急いでお金を払い、馬車から降りた。既に辺りは薄暗くなっている。早くクロードの元に向かわないと。
でも、どこに行けばいいのかしら?
周りにはたくさんの家が立ち並んでいる。この家のどこかに、クロードの家があるのかしら?
一軒一軒訪ねていく訳にもいかない。誰かに聞いてみよう。幸いな事に、人はたくさんいるし。
あの優しそうな女性に聞いてみよう。
「あの、すみません。ここに行きたいのですが…」
恐る恐る女性に声をかけた。
「ここかい?ここなら、家のアパートと一緒だから、連れて行ってあげるよ」
アパートとは一体何だろう?とはいえ、女性が連れて行ってくれるらしい。親切な方でよかった。
親切な女性に案内され、ついていく。すると、木造の大きな建屋が見えた。たくさん扉が付いている。これがアパートと言うやつなのかしら?
「ここがこのアパートだよ。ここの住所だと、2階の右から3つめだね」
「ご親切にありがとうございました」
「いいんだよ。それじゃあね」
女性が笑顔で去っていく。彼女はどうやら1階の住民だった様だ。
2階の右から3つ目と言っていたわね。よし!
ゆっくり階段を上がり、扉の前にやって来た。ここにクロードがいるかもしれない。そう思うと、心臓がバクバクとする。
ずっと会いたかったクロード。3年も会っていないのだ。もし私の事を忘れていたら、どうしよう。ついそんな事を考えてしまう。
弱気になったらダメよ。せっかくここまで来たのだから。それに私には、もう帰る場所がない。
大丈夫、きっと大丈夫。
そう自分に何度も言い聞かせた。
そして意を決して、ゆっくりと扉をノックする。心臓の音がバクバクとうるさい。もうすぐ本当にクロードに会えるかもしれない。
この3年、どれほど彼に会える日を、待ち焦がれていたか!
「はい、どちらさま?」
ゆっくりと扉が開いた先にいたのは…
「リリア?」
「クロード?本当にあなたなのね。会いたかったわ」
扉から出てきたのは、間違いなくクロードだ。3年ぶりに会ったクロードは、あの頃よりも背と髪が伸びていた。なんだか心なしか、体もがっちりしている気がする。
クロードに再会できた嬉しさから、涙が溢れだす。
「リリア、どうしてここに?とにかく一度こっちに…」
「クロード、お客さん?」
えっ?この人は一体…
中から綺麗な茶色の髪をした女性が、下着姿で出てきたのだ。そしてクロードに抱き着いた。
「あら?可愛らしいお嬢さんね。クロードのお友達?」
ギュッと抱き着き、私を見つめる女性。
「あの…あなたは?」
「私はクロードの恋人よ。ここで一緒に暮らしているの。それであなたは一体誰?」
真っすぐ私を見つめる女性。この人がクロードの恋人?そんな…
「違うんだ、リリア。彼女は…」
「急に押しかけてごめんなさい。私はクロードと同じ村出身の、リリアと申します。クロードがシャールン市に出てきているのを思い出して、ちょっと様子を見に来ただけですので。それでは私は失礼いたします」
ペコリと頭を下げ、急いでその場を後にする。
「待ってくれ、リリア!」
後ろでクロードの声が聞こえるが、振り向く事なんて出来ない。まさかクロードに恋人がいただなんて。これで分かった、なぜクロードが私を迎えに来てくれなかったのか。
あんなに美しい恋人がいたのだ、私の事なんて忘れて、楽しんでいたのだろう。そうとも知らずに、バカみたいにクロードを待ち続けていただなんて。
でも…
私にクロードを責める権利なんてない。クロードはたった1人で、この街に来たのだから。きっと私が想像もできない程辛い事も沢山あっただろう。遠くにいる幼馴染よりも、近くで支えてくれる綺麗な女性に気持ちがなびくのも無理はない。
だから私が、とやかく言える訳がないのだ。
それでも私は、クロードを信じて待っていた。クロードだけを頼りに、シャールン市に来たのだ。それなのに…
私はこれから一体、どうすればいいのだろう。
周りは立派な建物ばかり、その上人で溢れかえっているのだ。張り切って馬車に乗ったものの、既に緊張で心臓が口から飛び出そうだ。この街には悪い人も多いと言っていた事を、ふと思い出した。
荷物をとられたら大変だ。
ギュッと荷物を抱きしめた。
その後何度か馬車を乗り換えながら、どんどん進んでいく。一体どれくらい馬車に乗っていればいいのかしら?
何だか急に不安になって来た。そんな私の不安を他所に、馬車はさらに進んでいく。
「お嬢さん、ここが終点ですよ」
どうやら終点に着いた様だ。急いでお金を払い、馬車から降りた。既に辺りは薄暗くなっている。早くクロードの元に向かわないと。
でも、どこに行けばいいのかしら?
周りにはたくさんの家が立ち並んでいる。この家のどこかに、クロードの家があるのかしら?
一軒一軒訪ねていく訳にもいかない。誰かに聞いてみよう。幸いな事に、人はたくさんいるし。
あの優しそうな女性に聞いてみよう。
「あの、すみません。ここに行きたいのですが…」
恐る恐る女性に声をかけた。
「ここかい?ここなら、家のアパートと一緒だから、連れて行ってあげるよ」
アパートとは一体何だろう?とはいえ、女性が連れて行ってくれるらしい。親切な方でよかった。
親切な女性に案内され、ついていく。すると、木造の大きな建屋が見えた。たくさん扉が付いている。これがアパートと言うやつなのかしら?
「ここがこのアパートだよ。ここの住所だと、2階の右から3つめだね」
「ご親切にありがとうございました」
「いいんだよ。それじゃあね」
女性が笑顔で去っていく。彼女はどうやら1階の住民だった様だ。
2階の右から3つ目と言っていたわね。よし!
ゆっくり階段を上がり、扉の前にやって来た。ここにクロードがいるかもしれない。そう思うと、心臓がバクバクとする。
ずっと会いたかったクロード。3年も会っていないのだ。もし私の事を忘れていたら、どうしよう。ついそんな事を考えてしまう。
弱気になったらダメよ。せっかくここまで来たのだから。それに私には、もう帰る場所がない。
大丈夫、きっと大丈夫。
そう自分に何度も言い聞かせた。
そして意を決して、ゆっくりと扉をノックする。心臓の音がバクバクとうるさい。もうすぐ本当にクロードに会えるかもしれない。
この3年、どれほど彼に会える日を、待ち焦がれていたか!
「はい、どちらさま?」
ゆっくりと扉が開いた先にいたのは…
「リリア?」
「クロード?本当にあなたなのね。会いたかったわ」
扉から出てきたのは、間違いなくクロードだ。3年ぶりに会ったクロードは、あの頃よりも背と髪が伸びていた。なんだか心なしか、体もがっちりしている気がする。
クロードに再会できた嬉しさから、涙が溢れだす。
「リリア、どうしてここに?とにかく一度こっちに…」
「クロード、お客さん?」
えっ?この人は一体…
中から綺麗な茶色の髪をした女性が、下着姿で出てきたのだ。そしてクロードに抱き着いた。
「あら?可愛らしいお嬢さんね。クロードのお友達?」
ギュッと抱き着き、私を見つめる女性。
「あの…あなたは?」
「私はクロードの恋人よ。ここで一緒に暮らしているの。それであなたは一体誰?」
真っすぐ私を見つめる女性。この人がクロードの恋人?そんな…
「違うんだ、リリア。彼女は…」
「急に押しかけてごめんなさい。私はクロードと同じ村出身の、リリアと申します。クロードがシャールン市に出てきているのを思い出して、ちょっと様子を見に来ただけですので。それでは私は失礼いたします」
ペコリと頭を下げ、急いでその場を後にする。
「待ってくれ、リリア!」
後ろでクロードの声が聞こえるが、振り向く事なんて出来ない。まさかクロードに恋人がいただなんて。これで分かった、なぜクロードが私を迎えに来てくれなかったのか。
あんなに美しい恋人がいたのだ、私の事なんて忘れて、楽しんでいたのだろう。そうとも知らずに、バカみたいにクロードを待ち続けていただなんて。
でも…
私にクロードを責める権利なんてない。クロードはたった1人で、この街に来たのだから。きっと私が想像もできない程辛い事も沢山あっただろう。遠くにいる幼馴染よりも、近くで支えてくれる綺麗な女性に気持ちがなびくのも無理はない。
だから私が、とやかく言える訳がないのだ。
それでも私は、クロードを信じて待っていた。クロードだけを頼りに、シャールン市に来たのだ。それなのに…
私はこれから一体、どうすればいいのだろう。
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