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第15話:俺は何をしているのだろう~ゼルス視点~
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「この程度でへばっていてどうする!その程度では、悪党どもにやられてしまうぞ。ほら、かかってこい」
今日も稽古場で檄を飛ばす。俺が任されているシャールン市の西地区は特に治安が悪く、悪党が多くいる地域だ。俺が隊長に就任して2年、少しずつだが治安は良くなっているが、それでも他の地域に比べればまだまだ。
隊員の中には、悪党にやられて怪我をするものも多い。その分給料も他の地域よりも極端に多いため、金の欲しい貧しい地域の隊員も多くいるのだ。
1人でも怪我人を出さない様にするためにも、稽古はかなり厳しめにしている。
「ゼルス、今日もかなり気合が入っているね。銀髪が逆立っていて、まるで狼みたい」
「キース、そんな冗談はいらん。それよりもあいつら、すぐにへばるな。このままだと、街に出すことが出来ない。特別な訓練を受けさせる必要がありそうだ」
にやりと笑った。
「まさかあの地獄の訓練を受けさせる気かい?相変わらず君は鬼だね。稽古もいいけれど、書類が随分溜まっているから、そっちも片づけてくれるかい?」
書類か…
「書類の整理は、副隊長のお前に任せているだろう。俺は書類整理は嫌いだ」
「またそんな我が儘を言って!隊長の君のサインが必要な書類も多いんだ。さあ、隊長室に戻るよ」
華奢な体をしているキース、見た目も女みたいだが、こいつは俺の次に強いのだ。しなやかな動きで、あっと言う間に悪党を倒してしまう。そんなキースとは、騎士団に入った時からの同期でもあり、一番信頼している仲間でもある。
「はい、この書類に目を通してね」
笑顔で山積みの書類をどんと置いたキース。なぜかニヤニヤしながら俺をまだみている。
「俺の顔に何か付いているか?」
「いや、なにも付いていないよ。それよりも昨日、ゼルスが人気のケーキ屋に並んでいたという目撃情報が入って来てね。隊員数人から、美味しいお菓子のお店をリサーチしていたという情報も入って来ている。甘いものや女性が出入りする場所を極端に嫌う君が、そんな場所に行くだなんて、おかしいよね。一体何があったのだい?」
こいつの情報の早さは、一体どうなっているのだ?わざわざ違う部隊の隊員に聞いたのに!
「違う部隊の隊員に聞いたうえ、管轄外の地域で買ったのに、何でこいつはそんな情報を知っているのだろう。そういった顔をしているね。たとえ他部隊であったとしても、君がその様な行動をとれば、そりゃ皆騒ぐでしょう。“鬼のゼルス隊長が!もしかして頭を打っておかしくなってしまったのか?”と、大騒ぎになっていたよ」
「お前たち、俺を何だと思っているんだ!」
「それくらい衝撃が大きい事件だったって事だよ。今ではシャールン市の管轄4部隊中の噂になっているよ。各隊長たちも、僕に色々と聞いてきたくらいだ。君に直接聞けばいいのにね」
そうか、だから昨日帰りに、他部隊の隊長が俺に何か言いたげにしていたのか。俺が煩わしそうにしたら、一目散に逃げて行ったが…
「それで、君の身に何があったのだい?もしかして好きな女性に興味が…て、それはないか。ゼルスが女性に興味を持つだなんて、この世界が滅亡しても絶対に起こりえない事だものね」
「お前、本当に俺の事を何だと思っているんだ!俺だって気になる女くらい…いいや、何でもない」
俺は何を言っているんだ!これじゃあまるで俺が、リリアの事を、す…好きみたいじゃないか。
「と…とにかく俺は女には興味がない。俺の顔を見て気持ち悪い声を出してすり寄って来るし、化粧臭いし。俺は汗臭い方がいいんだ」
「汗臭いねぇ…その割には、顔が赤いぞ。君、やっぱり好きな女性が出来たのではないのかい?そういえば昨日、仕事が終わったら一目散に帰って行ったよね。まさか家に女を」
「いい加減にしろ!この話しはもう終わりだ!お前は副隊長だろう。俺が書類仕事をしている間に、隊員たちを鍛え上げろ!」
無理やりキースを外に追い出す。
「押さないでくれ。分かったよ、それじゃあ、後でまた来るから。それまでに心の準備をしておいてくれよ」
「何の準備だ!意味の分からない事を言っていないで、さっさと仕事をしろ!」
「はいはい、それじゃあね」
俺に満面の笑みを向けるキース。こいつ、俺の事をバカにしてやがるな!くそ、やっぱり隊員に聞いたのが間違いだったか。あいつらがあんなにおしゃべりだったとは…
今日も稽古場で檄を飛ばす。俺が任されているシャールン市の西地区は特に治安が悪く、悪党が多くいる地域だ。俺が隊長に就任して2年、少しずつだが治安は良くなっているが、それでも他の地域に比べればまだまだ。
隊員の中には、悪党にやられて怪我をするものも多い。その分給料も他の地域よりも極端に多いため、金の欲しい貧しい地域の隊員も多くいるのだ。
1人でも怪我人を出さない様にするためにも、稽古はかなり厳しめにしている。
「ゼルス、今日もかなり気合が入っているね。銀髪が逆立っていて、まるで狼みたい」
「キース、そんな冗談はいらん。それよりもあいつら、すぐにへばるな。このままだと、街に出すことが出来ない。特別な訓練を受けさせる必要がありそうだ」
にやりと笑った。
「まさかあの地獄の訓練を受けさせる気かい?相変わらず君は鬼だね。稽古もいいけれど、書類が随分溜まっているから、そっちも片づけてくれるかい?」
書類か…
「書類の整理は、副隊長のお前に任せているだろう。俺は書類整理は嫌いだ」
「またそんな我が儘を言って!隊長の君のサインが必要な書類も多いんだ。さあ、隊長室に戻るよ」
華奢な体をしているキース、見た目も女みたいだが、こいつは俺の次に強いのだ。しなやかな動きで、あっと言う間に悪党を倒してしまう。そんなキースとは、騎士団に入った時からの同期でもあり、一番信頼している仲間でもある。
「はい、この書類に目を通してね」
笑顔で山積みの書類をどんと置いたキース。なぜかニヤニヤしながら俺をまだみている。
「俺の顔に何か付いているか?」
「いや、なにも付いていないよ。それよりも昨日、ゼルスが人気のケーキ屋に並んでいたという目撃情報が入って来てね。隊員数人から、美味しいお菓子のお店をリサーチしていたという情報も入って来ている。甘いものや女性が出入りする場所を極端に嫌う君が、そんな場所に行くだなんて、おかしいよね。一体何があったのだい?」
こいつの情報の早さは、一体どうなっているのだ?わざわざ違う部隊の隊員に聞いたのに!
「違う部隊の隊員に聞いたうえ、管轄外の地域で買ったのに、何でこいつはそんな情報を知っているのだろう。そういった顔をしているね。たとえ他部隊であったとしても、君がその様な行動をとれば、そりゃ皆騒ぐでしょう。“鬼のゼルス隊長が!もしかして頭を打っておかしくなってしまったのか?”と、大騒ぎになっていたよ」
「お前たち、俺を何だと思っているんだ!」
「それくらい衝撃が大きい事件だったって事だよ。今ではシャールン市の管轄4部隊中の噂になっているよ。各隊長たちも、僕に色々と聞いてきたくらいだ。君に直接聞けばいいのにね」
そうか、だから昨日帰りに、他部隊の隊長が俺に何か言いたげにしていたのか。俺が煩わしそうにしたら、一目散に逃げて行ったが…
「それで、君の身に何があったのだい?もしかして好きな女性に興味が…て、それはないか。ゼルスが女性に興味を持つだなんて、この世界が滅亡しても絶対に起こりえない事だものね」
「お前、本当に俺の事を何だと思っているんだ!俺だって気になる女くらい…いいや、何でもない」
俺は何を言っているんだ!これじゃあまるで俺が、リリアの事を、す…好きみたいじゃないか。
「と…とにかく俺は女には興味がない。俺の顔を見て気持ち悪い声を出してすり寄って来るし、化粧臭いし。俺は汗臭い方がいいんだ」
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「はいはい、それじゃあね」
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