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第65話:衝撃的な事実
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「どちら様ですか?」
恐る恐る女性に話しかけた。
「あなたがリリアさん?なるほどね、確かに可愛い顔をしているわね」
頭から足の先までゆっくりと見渡す女性。どうやら私の事を知っている様だ。でも私は、彼女の事は知らない。もしかして、どこかで会った事があるのかしら?
「そんなに驚いた顔をしないで。初めまして、私はクレシレス王国の貴族、レティ・ウレィシアよ。ゼルスのご両親と我が家は、貿易相手なの」
「クレシレス王国と言えば、かなりの大国ですよね。そこのご貴族様でいらっしゃる方が、どうしてこちらへ?」
確か今、ゼルス様のご両親の貿易相手だと聞いたけれど…
「あなた、何も聞かされていないのね。ゼルスの両親は今、クレシレス王国で商売をするため、我が家の協力を受けようと必死なの。それで自分の息子でもあるゼルスと私を結婚させようとしているのよ。親が決めた相手と結婚するのは、珍しい事ではないしね。私もゼルスを一目見て、すっかり気に入っちゃったの」
ゼルス様とこの人が結婚?一目見て気に入った?そんな…
「まどろっこしい話はあまり好きじゃないから、単刀直入に言うわね。私とゼルスは、近々結婚する事が決まったの。悪いけれど、この家から出て行ってもらえるかしら?」
「そんな…急にその様な事を言われても。それに、ゼルス様から話を聞かないと…」
「大丈夫よ、住む所なら準備をしているから。ゼルスが来る前に、早くこの子を連れて行って。それからこれは、回収させてもらうわね」
「きゃぁ」
ゼルス様から貰ったブローチを、女性に引きちぎられたのだ。
「それはゼルス様から頂いた、大切な…」
そう言いけた時だった。女性の後ろから続々と男が入って来る。
「この子をあの男の元に連れて行って頂戴。リリアさん、大丈夫よ。あなたを誰よりも大切に思っている人のところに、連れて行ってあげるから」
「何をおっしゃっているのですか?私を誰よりも大切に思っているのは、ゼルス様ただ1人です。ですから、どうか、きゃぁ」
無理やり男たちに担がれ、そのまま馬車に乗せられた。
「いや、放して!私をどこに連れていくの?」
「落ち着いて下さい。あなたの大切な人ももとに、お届けするだけです。それにあなたとゼルス様では、身分が違いすぎる。あの方はかつての貴族、元クレーゼル侯爵家の嫡男なのです」
「クレーゼル侯爵家?そんな…それじゃあゼルス様は、元々ご貴族だった身分の方なの?」
我が国では20年前に貴族や王族制度が廃止され、民主国家が建国された。ただ、身分制度は廃止されたとはいえ、やはり元王族や貴族と元々平民の私達では、住む世界が違う。
それは致し方ない事なのだ。特に元貴族だった人たちは、身分を失った今も政治の世界を牛耳っている。使用人たちを雇い、平民たちとは一線を引いて生活をしているのだ。
「やっとご自分の立場を理解された様ですね。あなたがどれほどゼルス様を思っても、決して結ばれないのです。なぜなら、身分が違うから」
気が付くと涙が溢れていた。ゼルス様はご両親とあまり仲が良くないと言っていた。もしかしたらゼルス様は、元貴族という身分が嫌だったのかもしれない。でも、それでも彼は元貴族なのだ。
それも元侯爵家だなんて…私とは住む世界が、違いすぎるわ…
「何も知らされていなかったのですね。お可哀そうに…ゼルス様も残酷な方だ。ですが、今の段階で気が付けて良かったですね。これからはゼルス様の事は忘れて、身の丈に合った生活をなさってください。さあ、着きましたよ」
着いた?私は一体どこに連れてこられたの?
窓の外には、小さなお家が。この家は?
「この家は、お嬢様があなたの為に準備された家です。それからあなたがゼルス様のお家に置いてきた荷物も、もうすぐ届く予定ですので、ご安心を。さあ、どうぞこちらです」
男性に促され、馬車から降りた。
「あの、ここはシャールン市ですか?私、あまりシャールン市には詳しくなくて」
「ええ、ここはシャールン市の外れです。華やかさはないですが、静かな場所なので、田舎育ちのあなたには住みやすいかと。彼も待っていますし」
彼?一体誰の事を言っているの?
「あの、彼とは?」
「リリア、よかった!無事だったのだね。本当によかった」
この声は!
恐る恐る女性に話しかけた。
「あなたがリリアさん?なるほどね、確かに可愛い顔をしているわね」
頭から足の先までゆっくりと見渡す女性。どうやら私の事を知っている様だ。でも私は、彼女の事は知らない。もしかして、どこかで会った事があるのかしら?
「そんなに驚いた顔をしないで。初めまして、私はクレシレス王国の貴族、レティ・ウレィシアよ。ゼルスのご両親と我が家は、貿易相手なの」
「クレシレス王国と言えば、かなりの大国ですよね。そこのご貴族様でいらっしゃる方が、どうしてこちらへ?」
確か今、ゼルス様のご両親の貿易相手だと聞いたけれど…
「あなた、何も聞かされていないのね。ゼルスの両親は今、クレシレス王国で商売をするため、我が家の協力を受けようと必死なの。それで自分の息子でもあるゼルスと私を結婚させようとしているのよ。親が決めた相手と結婚するのは、珍しい事ではないしね。私もゼルスを一目見て、すっかり気に入っちゃったの」
ゼルス様とこの人が結婚?一目見て気に入った?そんな…
「まどろっこしい話はあまり好きじゃないから、単刀直入に言うわね。私とゼルスは、近々結婚する事が決まったの。悪いけれど、この家から出て行ってもらえるかしら?」
「そんな…急にその様な事を言われても。それに、ゼルス様から話を聞かないと…」
「大丈夫よ、住む所なら準備をしているから。ゼルスが来る前に、早くこの子を連れて行って。それからこれは、回収させてもらうわね」
「きゃぁ」
ゼルス様から貰ったブローチを、女性に引きちぎられたのだ。
「それはゼルス様から頂いた、大切な…」
そう言いけた時だった。女性の後ろから続々と男が入って来る。
「この子をあの男の元に連れて行って頂戴。リリアさん、大丈夫よ。あなたを誰よりも大切に思っている人のところに、連れて行ってあげるから」
「何をおっしゃっているのですか?私を誰よりも大切に思っているのは、ゼルス様ただ1人です。ですから、どうか、きゃぁ」
無理やり男たちに担がれ、そのまま馬車に乗せられた。
「いや、放して!私をどこに連れていくの?」
「落ち着いて下さい。あなたの大切な人ももとに、お届けするだけです。それにあなたとゼルス様では、身分が違いすぎる。あの方はかつての貴族、元クレーゼル侯爵家の嫡男なのです」
「クレーゼル侯爵家?そんな…それじゃあゼルス様は、元々ご貴族だった身分の方なの?」
我が国では20年前に貴族や王族制度が廃止され、民主国家が建国された。ただ、身分制度は廃止されたとはいえ、やはり元王族や貴族と元々平民の私達では、住む世界が違う。
それは致し方ない事なのだ。特に元貴族だった人たちは、身分を失った今も政治の世界を牛耳っている。使用人たちを雇い、平民たちとは一線を引いて生活をしているのだ。
「やっとご自分の立場を理解された様ですね。あなたがどれほどゼルス様を思っても、決して結ばれないのです。なぜなら、身分が違うから」
気が付くと涙が溢れていた。ゼルス様はご両親とあまり仲が良くないと言っていた。もしかしたらゼルス様は、元貴族という身分が嫌だったのかもしれない。でも、それでも彼は元貴族なのだ。
それも元侯爵家だなんて…私とは住む世界が、違いすぎるわ…
「何も知らされていなかったのですね。お可哀そうに…ゼルス様も残酷な方だ。ですが、今の段階で気が付けて良かったですね。これからはゼルス様の事は忘れて、身の丈に合った生活をなさってください。さあ、着きましたよ」
着いた?私は一体どこに連れてこられたの?
窓の外には、小さなお家が。この家は?
「この家は、お嬢様があなたの為に準備された家です。それからあなたがゼルス様のお家に置いてきた荷物も、もうすぐ届く予定ですので、ご安心を。さあ、どうぞこちらです」
男性に促され、馬車から降りた。
「あの、ここはシャールン市ですか?私、あまりシャールン市には詳しくなくて」
「ええ、ここはシャールン市の外れです。華やかさはないですが、静かな場所なので、田舎育ちのあなたには住みやすいかと。彼も待っていますし」
彼?一体誰の事を言っているの?
「あの、彼とは?」
「リリア、よかった!無事だったのだね。本当によかった」
この声は!
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