76 / 103
第76話:アロマおばあさんのお宅へ
しおりを挟む
「ちょっと待って下さい、急に押しかけて来て、リリアを勝手に連れて行こうとするだなんて。リリアを勝手に連れ出しては困ります」
すかさずクロードが間に入って来たのだ。
「貴様、この方は…」
「あなたは確か、リリアちゃんの探していた男性のクロードさんね。あなたもぜひ我が家に遊びにいらして。あなた達、クロードさんを馬車にご案内して差し上げて」
「承知いたしました」
男性たちがクロードの両脇を抱え、そのままクロードを連れ出す。
「何だんだ、君たちは。離してくれ」
そう叫んでいたが、外に連れ出されてしまった。
「さあ、行きましょう。積もる話もあるでしょう」
「…はい。段差があるので気を付けて下さいね」
よくわからないが、せっかくアロマおばあさんが来てくださったのだ。無下に断る訳にはいかない。それに、アロマおばあさんに相談すれば、もしかしたら騎士団の基地まで送り届けてくれるかもしれない。これはある意味絶好のチャンスだ。
「相変わらずリリアちゃんは優しいのね。こんなにいい子なのに、あの子たちは…」
「アロマおばあさん?」
「何でもないのよ、さあ、行きましょう」
アロマおばあさんと一緒に、馬車に乗り込んだ。相変わらず優しい眼差しをむけてくれるおばあさんの顔を見たら、安心して涙が出そうになる。ダメよ、今泣いたらアロマおばあさんに心配されてしまうわ。
「リリアちゃん、急に押しかけてごめんなさいね。あなた、あの頃も痩せていたけれど、なんだか今はやつれているみたいね。何かあったの?」
「はい、実は…」
私は今までの事を、アロマおばあさんに正直に話した。なぜだろう、アロマおばあさんの顔を見たら、話しを聞いて欲しくてたまらなくなってしまったのだ。
「私は彼を愛しているのです。たとえ彼が別の女性を選んだとしても、それならそうと、彼の口から聞きたいのです。ですからどうかお願いします、私を騎士団の基地に連れて行ってください」
気が付くと涙が溢れていた。そんな私の背中を優しくさすってくれる、アロマおばあさん。温もりが背中から伝わり、さらに涙が溢れだす。
「可哀そうに、リリアちゃんは随分と辛い思いをしていたのね。もう大丈夫よ、私はリリアちゃんの味方だから。とにかく我が家で、ゆっくりお茶をしながら話しましょう」
「ありがとうございます。アロマおばあさんの顔を見たら、なんだか元気が出てきましたわ。あの時といい、今日といい、私に優しくしてくださり本当にありがとうございます。それなのに私ったら、約束を破って本当にごめんなさい」
「もう気にしなくていいのよ。だって今日、あなたに会えたのですもの」
そう言って笑ってくれたアロマおばあさん。その笑顔を見た瞬間、なぜかゼルス様と被ったのだ。私ったら重症ね、アロマおばあさんの顔を見て、ゼルス様を思い出すだなんて…
「リリアちゃん、どうしたの?」
「いえ、アロマおばあさんの笑顔を見たら、彼の顔が思い浮かんでしまって。彼もアロマおばあさんの様に、優しくてとても素敵な方なので」
「まあ、リリアちゃんの恋人と私が似ているだなんて、光栄だわ。さあ、長旅で疲れたでしょう。あれが我が家よ」
馬車で揺られる事1時間半、目の前にはものすごく大きな家が建っていた。なんとなくお金持ちのおばあさんだと思っていたが、想像以上だ。
馬車から降りると
「「「「おかえりなさいませ、奥様。いらっしゃいませ、リリア様」」」」
沢山の使用人が、迎えてくれたのだ。もしかして彼女は、ご貴族かなにかなのしら?きっとそうだわ。
「あの、アロマおばあさん…いいえ、奥様、私の様なものがお邪魔するのは…」
「やだ、リリアちゃん。奥様だなんて止めて。今まで通り、“アロマおばあさん”でいいのよ。さあ、お部屋でお茶にしましょう」
「ですが…」
戸惑う私の手を引き、アロマおばあさんが屋敷の中に入っていく。それにしても、立派な造りだ。まるでお城ね。
「さあ、ここに座って。ごめんね、今日はリリアちゃんとゆっくりお茶をしたかったのだけれど、そうもいかなくて。クロードさんも、もうすぐ来るはずよ。お菓子でも食べて、待っていてくれるかしら?」
そう言うと、杖を突きながら部屋から出て行ったアロマおばあさん。
こんな立派なお部屋に1人取り残されてしまった。どうしよう。
すかさずクロードが間に入って来たのだ。
「貴様、この方は…」
「あなたは確か、リリアちゃんの探していた男性のクロードさんね。あなたもぜひ我が家に遊びにいらして。あなた達、クロードさんを馬車にご案内して差し上げて」
「承知いたしました」
男性たちがクロードの両脇を抱え、そのままクロードを連れ出す。
「何だんだ、君たちは。離してくれ」
そう叫んでいたが、外に連れ出されてしまった。
「さあ、行きましょう。積もる話もあるでしょう」
「…はい。段差があるので気を付けて下さいね」
よくわからないが、せっかくアロマおばあさんが来てくださったのだ。無下に断る訳にはいかない。それに、アロマおばあさんに相談すれば、もしかしたら騎士団の基地まで送り届けてくれるかもしれない。これはある意味絶好のチャンスだ。
「相変わらずリリアちゃんは優しいのね。こんなにいい子なのに、あの子たちは…」
「アロマおばあさん?」
「何でもないのよ、さあ、行きましょう」
アロマおばあさんと一緒に、馬車に乗り込んだ。相変わらず優しい眼差しをむけてくれるおばあさんの顔を見たら、安心して涙が出そうになる。ダメよ、今泣いたらアロマおばあさんに心配されてしまうわ。
「リリアちゃん、急に押しかけてごめんなさいね。あなた、あの頃も痩せていたけれど、なんだか今はやつれているみたいね。何かあったの?」
「はい、実は…」
私は今までの事を、アロマおばあさんに正直に話した。なぜだろう、アロマおばあさんの顔を見たら、話しを聞いて欲しくてたまらなくなってしまったのだ。
「私は彼を愛しているのです。たとえ彼が別の女性を選んだとしても、それならそうと、彼の口から聞きたいのです。ですからどうかお願いします、私を騎士団の基地に連れて行ってください」
気が付くと涙が溢れていた。そんな私の背中を優しくさすってくれる、アロマおばあさん。温もりが背中から伝わり、さらに涙が溢れだす。
「可哀そうに、リリアちゃんは随分と辛い思いをしていたのね。もう大丈夫よ、私はリリアちゃんの味方だから。とにかく我が家で、ゆっくりお茶をしながら話しましょう」
「ありがとうございます。アロマおばあさんの顔を見たら、なんだか元気が出てきましたわ。あの時といい、今日といい、私に優しくしてくださり本当にありがとうございます。それなのに私ったら、約束を破って本当にごめんなさい」
「もう気にしなくていいのよ。だって今日、あなたに会えたのですもの」
そう言って笑ってくれたアロマおばあさん。その笑顔を見た瞬間、なぜかゼルス様と被ったのだ。私ったら重症ね、アロマおばあさんの顔を見て、ゼルス様を思い出すだなんて…
「リリアちゃん、どうしたの?」
「いえ、アロマおばあさんの笑顔を見たら、彼の顔が思い浮かんでしまって。彼もアロマおばあさんの様に、優しくてとても素敵な方なので」
「まあ、リリアちゃんの恋人と私が似ているだなんて、光栄だわ。さあ、長旅で疲れたでしょう。あれが我が家よ」
馬車で揺られる事1時間半、目の前にはものすごく大きな家が建っていた。なんとなくお金持ちのおばあさんだと思っていたが、想像以上だ。
馬車から降りると
「「「「おかえりなさいませ、奥様。いらっしゃいませ、リリア様」」」」
沢山の使用人が、迎えてくれたのだ。もしかして彼女は、ご貴族かなにかなのしら?きっとそうだわ。
「あの、アロマおばあさん…いいえ、奥様、私の様なものがお邪魔するのは…」
「やだ、リリアちゃん。奥様だなんて止めて。今まで通り、“アロマおばあさん”でいいのよ。さあ、お部屋でお茶にしましょう」
「ですが…」
戸惑う私の手を引き、アロマおばあさんが屋敷の中に入っていく。それにしても、立派な造りだ。まるでお城ね。
「さあ、ここに座って。ごめんね、今日はリリアちゃんとゆっくりお茶をしたかったのだけれど、そうもいかなくて。クロードさんも、もうすぐ来るはずよ。お菓子でも食べて、待っていてくれるかしら?」
そう言うと、杖を突きながら部屋から出て行ったアロマおばあさん。
こんな立派なお部屋に1人取り残されてしまった。どうしよう。
824
あなたにおすすめの小説
婚約者は冷酷宰相様。地味令嬢の私が政略結婚で嫁いだら、なぜか激甘溺愛が待っていました
春夜夢
恋愛
私はずっと「誰にも注目されない地味令嬢」だった。
名門とはいえ没落しかけの伯爵家の次女。
姉は美貌と才覚に恵まれ、私はただの飾り物のような存在。
――そんな私に突然、王宮から「婚約命令」が下った。
相手は、王の右腕にして恐れられる冷酷宰相・ルシアス=ディエンツ公爵。
40を目前にしながら独身を貫き、感情を一切表に出さない男。
(……なぜ私が?)
けれど、その婚約は国を揺るがす「ある計画」の始まりだった。
英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない
百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。
幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。
※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。
【完結】戸籍ごと売られた無能令嬢ですが、子供になった冷徹魔導師の契約妻になりました
水都 ミナト
恋愛
最高峰の魔法の研究施設である魔塔。
そこでは、生活に不可欠な魔導具の生産や開発を行われている。
最愛の父と母を失い、継母に生家を乗っ取られ居場所を失ったシルファは、ついには戸籍ごと魔塔に売り飛ばされてしまった。
そんなシルファが配属されたのは、魔導具の『メンテナンス部』であった。
上層階ほど尊ばれ、難解な技術を必要とする部署が配置される魔塔において、メンテナンス部は最底辺の地下に位置している。
貴族の生まれながらも、魔法を発動することができないシルファは、唯一の取り柄である周囲の魔力を吸収して体内で中和する力を活かし、日々魔導具のメンテナンスに従事していた。
実家の後ろ盾を無くし、一人で粛々と生きていくと誓っていたシルファであったが、
上司に愛人になれと言い寄られて困り果てていたところ、突然魔塔の最高責任者ルーカスに呼びつけられる。
そこで知ったルーカスの秘密。
彼はとある事件で自分自身を守るために退行魔法で少年の姿になっていたのだ。
元の姿に戻るためには、シルファの力が必要だという。
戸惑うシルファに提案されたのは、互いの利のために結ぶ契約結婚であった。
シルファはルーカスに協力するため、そして自らの利のためにその提案に頷いた。
所詮はお飾りの妻。役目を果たすまでの仮の妻。
そう覚悟を決めようとしていたシルファに、ルーカスは「俺は、この先誰でもない、君だけを大切にすると誓う」と言う。
心が追いつかないまま始まったルーカスとの生活は温かく幸せに満ちていて、シルファは少しずつ失ったものを取り戻していく。
けれど、継母や上司の男の手が忍び寄り、シルファがようやく見つけた居場所が脅かされることになる。
シルファは自分の居場所を守り抜き、ルーカスの退行魔法を解除することができるのか――
※他サイトでも公開しています
追放された地味なメイドは和菓子職人の記憶に目覚める 〜王子たちの胃袋を『あんこ』で掴んだら、王宮で極甘に溺愛されています〜
あとりえむ
恋愛
「起きなさい、この穀潰し!」
冷たい紅茶を浴びせられ、無実の罪で男爵家を追放された地味なメイド、ミア。
泥濘の中で力尽きようとしたその時、彼女の脳裏に鮮やかな記憶が蘇る。
それは、炊きたての小豆の香りと、丁寧にあんこを練り上げる職人としての誇り……
行き倒れたミアを救ったのは、冷徹と恐れられる第一王子ミハエルだった。
バターと生クリームの重いお菓子に胃を痛めていた王族たちの前に、ミアは前世の知恵を絞った未知のスイーツ『おはぎ』を差し出す。
「なんだ、この食感は……深く、そして優しい。ミア、お前は私の最高のパートナーだ」
小豆の魔法に魅了されたミハエルだけでなく、武闘派の第二王子やわがままな王女まで、気づけばミアを取り合う溺愛合戦が勃発!
一方で、有能なミアを失い、裏金のカラクリを解ける者がいなくなった男爵家は、自業自得の崩壊へと突き進んでいく。
泣いて謝っても、もう遅い。
彼らを待っていたのは、処刑よりも皮肉な「全土小豆畑の刑」だった……
これは、一粒の小豆から始まる、甘くて爽快な逆転シンデレラストーリー。
あなたの心も、あんこのように「まあるく」癒やしてみせます。
【完結】騎士団長の旦那様は小さくて年下な私がお好みではないようです
大森 樹
恋愛
貧乏令嬢のヴィヴィアンヌと公爵家の嫡男で騎士団長のランドルフは、お互いの親の思惑によって結婚が決まった。
「俺は子どもみたいな女は好きではない」
ヴィヴィアンヌは十八歳で、ランドルフは三十歳。
ヴィヴィアンヌは背が低く、ランドルフは背が高い。
ヴィヴィアンヌは貧乏で、ランドルフは金持ち。
何もかもが違う二人。彼の好みの女性とは真逆のヴィヴィアンヌだったが、お金の恩があるためなんとか彼の妻になろうと奮闘する。そんな中ランドルフはぶっきらぼうで冷たいが、とろこどころに優しさを見せてきて……!?
貧乏令嬢×不器用な騎士の年の差ラブストーリーです。必ずハッピーエンドにします。
【完結】契約の花嫁だったはずなのに、無口な旦那様が逃がしてくれません
Rohdea
恋愛
──愛されない契約の花嫁だったはずなのに、何かがおかしい。
家の借金返済を肩代わりして貰った代わりに
“お飾りの妻が必要だ”
という謎の要求を受ける事になったロンディネ子爵家の姉妹。
ワガママな妹、シルヴィが泣いて嫌がった為、必然的に自分が嫁ぐ事に決まってしまった姉のミルフィ。
そんなミルフィの嫁ぎ先は、
社交界でも声を聞いた人が殆どいないと言うくらい無口と噂されるロイター侯爵家の嫡男、アドルフォ様。
……お飾りの妻という存在らしいので、愛される事は無い。
更には、用済みになったらポイ捨てされてしまうに違いない!
そんな覚悟で嫁いだのに、
旦那様となったアドルフォ様は確かに無口だったけど───……
一方、ミルフィのものを何でも欲しがる妹のシルヴィは……
狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します
ちより
恋愛
侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。
愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。
頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。
公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。(貴族→庶民)それにより、内容も少し変更しておりますのであわせてお楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる