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第76話:アロマおばあさんのお宅へ
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「ちょっと待って下さい、急に押しかけて来て、リリアを勝手に連れて行こうとするだなんて。リリアを勝手に連れ出しては困ります」
すかさずクロードが間に入って来たのだ。
「貴様、この方は…」
「あなたは確か、リリアちゃんの探していた男性のクロードさんね。あなたもぜひ我が家に遊びにいらして。あなた達、クロードさんを馬車にご案内して差し上げて」
「承知いたしました」
男性たちがクロードの両脇を抱え、そのままクロードを連れ出す。
「何だんだ、君たちは。離してくれ」
そう叫んでいたが、外に連れ出されてしまった。
「さあ、行きましょう。積もる話もあるでしょう」
「…はい。段差があるので気を付けて下さいね」
よくわからないが、せっかくアロマおばあさんが来てくださったのだ。無下に断る訳にはいかない。それに、アロマおばあさんに相談すれば、もしかしたら騎士団の基地まで送り届けてくれるかもしれない。これはある意味絶好のチャンスだ。
「相変わらずリリアちゃんは優しいのね。こんなにいい子なのに、あの子たちは…」
「アロマおばあさん?」
「何でもないのよ、さあ、行きましょう」
アロマおばあさんと一緒に、馬車に乗り込んだ。相変わらず優しい眼差しをむけてくれるおばあさんの顔を見たら、安心して涙が出そうになる。ダメよ、今泣いたらアロマおばあさんに心配されてしまうわ。
「リリアちゃん、急に押しかけてごめんなさいね。あなた、あの頃も痩せていたけれど、なんだか今はやつれているみたいね。何かあったの?」
「はい、実は…」
私は今までの事を、アロマおばあさんに正直に話した。なぜだろう、アロマおばあさんの顔を見たら、話しを聞いて欲しくてたまらなくなってしまったのだ。
「私は彼を愛しているのです。たとえ彼が別の女性を選んだとしても、それならそうと、彼の口から聞きたいのです。ですからどうかお願いします、私を騎士団の基地に連れて行ってください」
気が付くと涙が溢れていた。そんな私の背中を優しくさすってくれる、アロマおばあさん。温もりが背中から伝わり、さらに涙が溢れだす。
「可哀そうに、リリアちゃんは随分と辛い思いをしていたのね。もう大丈夫よ、私はリリアちゃんの味方だから。とにかく我が家で、ゆっくりお茶をしながら話しましょう」
「ありがとうございます。アロマおばあさんの顔を見たら、なんだか元気が出てきましたわ。あの時といい、今日といい、私に優しくしてくださり本当にありがとうございます。それなのに私ったら、約束を破って本当にごめんなさい」
「もう気にしなくていいのよ。だって今日、あなたに会えたのですもの」
そう言って笑ってくれたアロマおばあさん。その笑顔を見た瞬間、なぜかゼルス様と被ったのだ。私ったら重症ね、アロマおばあさんの顔を見て、ゼルス様を思い出すだなんて…
「リリアちゃん、どうしたの?」
「いえ、アロマおばあさんの笑顔を見たら、彼の顔が思い浮かんでしまって。彼もアロマおばあさんの様に、優しくてとても素敵な方なので」
「まあ、リリアちゃんの恋人と私が似ているだなんて、光栄だわ。さあ、長旅で疲れたでしょう。あれが我が家よ」
馬車で揺られる事1時間半、目の前にはものすごく大きな家が建っていた。なんとなくお金持ちのおばあさんだと思っていたが、想像以上だ。
馬車から降りると
「「「「おかえりなさいませ、奥様。いらっしゃいませ、リリア様」」」」
沢山の使用人が、迎えてくれたのだ。もしかして彼女は、ご貴族かなにかなのしら?きっとそうだわ。
「あの、アロマおばあさん…いいえ、奥様、私の様なものがお邪魔するのは…」
「やだ、リリアちゃん。奥様だなんて止めて。今まで通り、“アロマおばあさん”でいいのよ。さあ、お部屋でお茶にしましょう」
「ですが…」
戸惑う私の手を引き、アロマおばあさんが屋敷の中に入っていく。それにしても、立派な造りだ。まるでお城ね。
「さあ、ここに座って。ごめんね、今日はリリアちゃんとゆっくりお茶をしたかったのだけれど、そうもいかなくて。クロードさんも、もうすぐ来るはずよ。お菓子でも食べて、待っていてくれるかしら?」
そう言うと、杖を突きながら部屋から出て行ったアロマおばあさん。
こんな立派なお部屋に1人取り残されてしまった。どうしよう。
すかさずクロードが間に入って来たのだ。
「貴様、この方は…」
「あなたは確か、リリアちゃんの探していた男性のクロードさんね。あなたもぜひ我が家に遊びにいらして。あなた達、クロードさんを馬車にご案内して差し上げて」
「承知いたしました」
男性たちがクロードの両脇を抱え、そのままクロードを連れ出す。
「何だんだ、君たちは。離してくれ」
そう叫んでいたが、外に連れ出されてしまった。
「さあ、行きましょう。積もる話もあるでしょう」
「…はい。段差があるので気を付けて下さいね」
よくわからないが、せっかくアロマおばあさんが来てくださったのだ。無下に断る訳にはいかない。それに、アロマおばあさんに相談すれば、もしかしたら騎士団の基地まで送り届けてくれるかもしれない。これはある意味絶好のチャンスだ。
「相変わらずリリアちゃんは優しいのね。こんなにいい子なのに、あの子たちは…」
「アロマおばあさん?」
「何でもないのよ、さあ、行きましょう」
アロマおばあさんと一緒に、馬車に乗り込んだ。相変わらず優しい眼差しをむけてくれるおばあさんの顔を見たら、安心して涙が出そうになる。ダメよ、今泣いたらアロマおばあさんに心配されてしまうわ。
「リリアちゃん、急に押しかけてごめんなさいね。あなた、あの頃も痩せていたけれど、なんだか今はやつれているみたいね。何かあったの?」
「はい、実は…」
私は今までの事を、アロマおばあさんに正直に話した。なぜだろう、アロマおばあさんの顔を見たら、話しを聞いて欲しくてたまらなくなってしまったのだ。
「私は彼を愛しているのです。たとえ彼が別の女性を選んだとしても、それならそうと、彼の口から聞きたいのです。ですからどうかお願いします、私を騎士団の基地に連れて行ってください」
気が付くと涙が溢れていた。そんな私の背中を優しくさすってくれる、アロマおばあさん。温もりが背中から伝わり、さらに涙が溢れだす。
「可哀そうに、リリアちゃんは随分と辛い思いをしていたのね。もう大丈夫よ、私はリリアちゃんの味方だから。とにかく我が家で、ゆっくりお茶をしながら話しましょう」
「ありがとうございます。アロマおばあさんの顔を見たら、なんだか元気が出てきましたわ。あの時といい、今日といい、私に優しくしてくださり本当にありがとうございます。それなのに私ったら、約束を破って本当にごめんなさい」
「もう気にしなくていいのよ。だって今日、あなたに会えたのですもの」
そう言って笑ってくれたアロマおばあさん。その笑顔を見た瞬間、なぜかゼルス様と被ったのだ。私ったら重症ね、アロマおばあさんの顔を見て、ゼルス様を思い出すだなんて…
「リリアちゃん、どうしたの?」
「いえ、アロマおばあさんの笑顔を見たら、彼の顔が思い浮かんでしまって。彼もアロマおばあさんの様に、優しくてとても素敵な方なので」
「まあ、リリアちゃんの恋人と私が似ているだなんて、光栄だわ。さあ、長旅で疲れたでしょう。あれが我が家よ」
馬車で揺られる事1時間半、目の前にはものすごく大きな家が建っていた。なんとなくお金持ちのおばあさんだと思っていたが、想像以上だ。
馬車から降りると
「「「「おかえりなさいませ、奥様。いらっしゃいませ、リリア様」」」」
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「あの、アロマおばあさん…いいえ、奥様、私の様なものがお邪魔するのは…」
「やだ、リリアちゃん。奥様だなんて止めて。今まで通り、“アロマおばあさん”でいいのよ。さあ、お部屋でお茶にしましょう」
「ですが…」
戸惑う私の手を引き、アロマおばあさんが屋敷の中に入っていく。それにしても、立派な造りだ。まるでお城ね。
「さあ、ここに座って。ごめんね、今日はリリアちゃんとゆっくりお茶をしたかったのだけれど、そうもいかなくて。クロードさんも、もうすぐ来るはずよ。お菓子でも食べて、待っていてくれるかしら?」
そう言うと、杖を突きながら部屋から出て行ったアロマおばあさん。
こんな立派なお部屋に1人取り残されてしまった。どうしよう。
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