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第78話:やっと会えました
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「リリア様、そろそろ移動しましょう」
モニターを持ってきてくれた使用人が、私の元にやって来たのだ。
「もしかして、今から皆様の元に乗り込むのですか?さすがにそれは…」
「大丈夫ですよ。奥様はリリア様の味方です。それにゼルスお坊ちゃまも、傍にいらっしゃいます。それとも、あんな恐ろしい顔のゼルスお坊ちゃまを見たら、逃げ出したくなりましたか?それなら私共が、手配いたします」
「逃げ出したいだなんて、そんな事はありませんわ。確かに恐ろしいお顔でしたが、それだけ私の事を心配してくれていたのでしょう。分かりました、私、行きます」
雲の上の存在の方たちの元に、1人乗り込むのはかなり勇気がいる。でも、逃げている訳にはいかないのだ。大丈夫よ、アロマおばあさんもゼルス様もいらっしゃるのだから。
すっと立ち上がり、使用人に連れられて部屋から出た。どうやらモニターの映像は、私がいた部屋の隣の部屋の様子だった様だ。
「リリア様、本当によろしいですか?もし嫌なら、無理にお部屋に入らなくてもいいのですよ」
「お気遣いありがとうございます。ですが、大丈夫ですわ」
深呼吸をして、気持ちを落ち着かせる。私が落ち着いたタイミングで、使用人の方がノックをして、ゆっくりとドアを開けたのだ。
一斉に皆が私の方を見つめる。その瞬間。
「リリア!」
「ゼルス様!」
ゼルス様が私の方に走って来て、そのまま抱きしめて下さったのだ。
「よかった、無事だったのだな!すまない、俺のせいで。本当にすまない!」
「ゼルス様…」
金色の美しい瞳から、ポロポロと涙が溢れ出ている。あのゼルス様が、私の為に泣いて下さるだなんて。
「私があの日、ドアを開けてしまったのがいけなかったのです。人が来ても、ドアを開けてはいけないと言われていたのに。約束を破って、本当にごめんなさい」
あの日私がドアをあけずに、ゼルス様の帰りを待っていたら、こんな事にはならなかったかもしれない。すっかりやつれてしまったゼルス様、私のせいだわ。
私の瞳からも、涙が溢れだす。
「珍しい、あのゼルスが涙を流すだなんて。よほどリリアちゃんの事を、愛しているのね」
「アロマおばあさん、助けて下さって、ありがとうございます。私はいつも、助けてもらいっぱなしですね」
優しい微笑を浮かべていたアロマおばあさんに、改めてお礼を言った。それにしても、どうして私の居場所を知っていたのかしら?
「婆さんがリリアを助けてくれたのだな?でも、どうしてリリアの居場所を?」
「私はね、リリアちゃんに初めて会ったあの日から、ずっとリリアちゃんを見守って来たの。リリアちゃん、とってもいい子でしょう?それなのに、今まで酷い目に遭って来たから。これ以上リリアちゃんが傷つく姿を、見たくなくてね。今回もすぐに助け出せたのだけれど、色々と事情があってね」
「そうだったのですね。あの日からずっと、私を見守って下さっていてありがとうございます。それなのに私ったら、アロマおばあさんとの約束を破ってしまって…」
「もうそんな事は、気にしなくてもいいのよ。それよりも、これほどまでに2人は愛し合っているのですもの。もちろん、結婚を認めてあげるのよね」
満面の笑みで、近くにいた男性に話しかけた。どうやらゼルス様のお父様の様だ。
「母上は何を言っているのですか。いくら2人が愛し合っていたとしても、貴族でない女性を我が家の嫁として認める訳にはいきません」
「相変わらず頭が固いのね。あなた達も、政略結婚だったわね。私は好きな人と結婚しなさいと言ったのに…私の言う事を聞かずに、自ら政略結婚を選んだ結果、あなたはどうなったの?夫婦仲は最悪で、今日もキャサリンさんは姿を現していないじゃない。
夫婦仲が悪い環境で、ゼルスがどれほど辛い思いをしたか。あなたはどれほどゼルスを傷つけたら気が済むの」
ハァっとため息をついたアロマおばあさん。
「あの…私は確かに小さな村の出身です。ですが、誰よりもゼルス様を愛しております。どうか…どうか結婚を認めていただけないでしょうか?お願いします」
アロマおばあさんが私たちの為にゼルス様のお父様にここまで言ってくれたのだ。私も黙ってなんていられない。
必死に男性に頭を下げた。
モニターを持ってきてくれた使用人が、私の元にやって来たのだ。
「もしかして、今から皆様の元に乗り込むのですか?さすがにそれは…」
「大丈夫ですよ。奥様はリリア様の味方です。それにゼルスお坊ちゃまも、傍にいらっしゃいます。それとも、あんな恐ろしい顔のゼルスお坊ちゃまを見たら、逃げ出したくなりましたか?それなら私共が、手配いたします」
「逃げ出したいだなんて、そんな事はありませんわ。確かに恐ろしいお顔でしたが、それだけ私の事を心配してくれていたのでしょう。分かりました、私、行きます」
雲の上の存在の方たちの元に、1人乗り込むのはかなり勇気がいる。でも、逃げている訳にはいかないのだ。大丈夫よ、アロマおばあさんもゼルス様もいらっしゃるのだから。
すっと立ち上がり、使用人に連れられて部屋から出た。どうやらモニターの映像は、私がいた部屋の隣の部屋の様子だった様だ。
「リリア様、本当によろしいですか?もし嫌なら、無理にお部屋に入らなくてもいいのですよ」
「お気遣いありがとうございます。ですが、大丈夫ですわ」
深呼吸をして、気持ちを落ち着かせる。私が落ち着いたタイミングで、使用人の方がノックをして、ゆっくりとドアを開けたのだ。
一斉に皆が私の方を見つめる。その瞬間。
「リリア!」
「ゼルス様!」
ゼルス様が私の方に走って来て、そのまま抱きしめて下さったのだ。
「よかった、無事だったのだな!すまない、俺のせいで。本当にすまない!」
「ゼルス様…」
金色の美しい瞳から、ポロポロと涙が溢れ出ている。あのゼルス様が、私の為に泣いて下さるだなんて。
「私があの日、ドアを開けてしまったのがいけなかったのです。人が来ても、ドアを開けてはいけないと言われていたのに。約束を破って、本当にごめんなさい」
あの日私がドアをあけずに、ゼルス様の帰りを待っていたら、こんな事にはならなかったかもしれない。すっかりやつれてしまったゼルス様、私のせいだわ。
私の瞳からも、涙が溢れだす。
「珍しい、あのゼルスが涙を流すだなんて。よほどリリアちゃんの事を、愛しているのね」
「アロマおばあさん、助けて下さって、ありがとうございます。私はいつも、助けてもらいっぱなしですね」
優しい微笑を浮かべていたアロマおばあさんに、改めてお礼を言った。それにしても、どうして私の居場所を知っていたのかしら?
「婆さんがリリアを助けてくれたのだな?でも、どうしてリリアの居場所を?」
「私はね、リリアちゃんに初めて会ったあの日から、ずっとリリアちゃんを見守って来たの。リリアちゃん、とってもいい子でしょう?それなのに、今まで酷い目に遭って来たから。これ以上リリアちゃんが傷つく姿を、見たくなくてね。今回もすぐに助け出せたのだけれど、色々と事情があってね」
「そうだったのですね。あの日からずっと、私を見守って下さっていてありがとうございます。それなのに私ったら、アロマおばあさんとの約束を破ってしまって…」
「もうそんな事は、気にしなくてもいいのよ。それよりも、これほどまでに2人は愛し合っているのですもの。もちろん、結婚を認めてあげるのよね」
満面の笑みで、近くにいた男性に話しかけた。どうやらゼルス様のお父様の様だ。
「母上は何を言っているのですか。いくら2人が愛し合っていたとしても、貴族でない女性を我が家の嫁として認める訳にはいきません」
「相変わらず頭が固いのね。あなた達も、政略結婚だったわね。私は好きな人と結婚しなさいと言ったのに…私の言う事を聞かずに、自ら政略結婚を選んだ結果、あなたはどうなったの?夫婦仲は最悪で、今日もキャサリンさんは姿を現していないじゃない。
夫婦仲が悪い環境で、ゼルスがどれほど辛い思いをしたか。あなたはどれほどゼルスを傷つけたら気が済むの」
ハァっとため息をついたアロマおばあさん。
「あの…私は確かに小さな村の出身です。ですが、誰よりもゼルス様を愛しております。どうか…どうか結婚を認めていただけないでしょうか?お願いします」
アロマおばあさんが私たちの為にゼルス様のお父様にここまで言ってくれたのだ。私も黙ってなんていられない。
必死に男性に頭を下げた。
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