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第80話:両親の過去
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「あの…母が行方不明になったとは、どういうことですか?」
恐る恐る聞いてみた。困った顔をする伯父さん。すると
「私が話すわ。あなたの母親でもあるレアはね、あなたのお父さんを好きになってしまったの。当時この国は、身分制度を廃止したい革命軍と、身分制度を残したい国王派が激しく対立していてね。とても混乱していたのよ。
その為、沢山の人々が我がクレシレス王国に避難兼働きに来ていたの。あなたのお父さんも、クレシレス王国で仕事をしながら趣味の絵を売って、生計を立てていたの。貴族でもあるレアと、避難民でもあったあなたのお父さんがどうやって出会ったのかは、私にはわからない。
ただ、私の知らない間で2人は恋に落ち、順調に愛を育んでいったの。そしてある日、レアがあなたのお父さんを我が家に連れて来て、結婚したいと言い出したわ。もちろん私も息子も大反対。他国の避難民でもある平民と、侯爵令嬢が結婚なんてさせられる訳がない。
そう伝え、無理やり別れさせたわ。レアは憎らし目に私を睨んでいたけれど、レアの幸せの為と思い、心を鬼にした。レアが勝手に彼に会いに行かない様に、監視を強め、部屋に閉じ込めたの。
すぐによさそうな令息を見繕って、別の貴族の元に嫁がせようとした。でも、それが全ての間違いだったのよ。
どうやら2人は密かに連絡を取り合い、そしてある日、忽然と姿を消したの。国を挙げて大側索を行ったわ。でも、結局レアは見つからなかった。まさか混乱が続く、彼の母国に帰っていただなんて…
それでも2人には、選択肢がなかったのよね。私は大切な娘に酷い事をした、最低な母親なの。リリアちゃん、あなたが酷い目に遭っていたのも、不自由な生活を強いられていたのも、元をただせば私のせいなの。本当にごめんなさい」
「私からも謝らせて頂戴。レアは…あなたのお母さんと私は、親友だったの。気が強くてプライドばかり高い私に対し、レアは誰にでも優しくて、正義感が強くて、本当に素敵な女性だった。
私が密かに思いを寄せていた今の夫と結婚できたのも、レアがお膳立てしてくれたお陰。レアはいつも私の事を考え、行動してくれた。レアには返しても返しきれない程の恩があるのに。
それなのに私は…
レアが彼の事を心から愛している事を、知っていたはずなのに
“他国の平民と結婚しても、幸せになれない。それも避難民なのでしょう?貴族は貴族と結婚するのが、一番の幸せなのよ”
そんな酷い言葉を投げかけてしまった。あの時のレアの悲しそうな顔が、脳裏に焼き付いて未だに離れないわ。あの後すぐに、彼と一緒に行方をくらましてしまったの。もしあの時、私がもっとレアに寄り添ってあげていたら…そう思うと、レアに申し訳なくて。
その上、娘がレアの大切な忘れ形見でもあるリリアちゃんに、こんな酷い事をしていただなんて。レアに申し訳なさすぎて…」
おばあさんもレティさんのお母さんも、声を上げて泣いていた。彼女たちにとって私のお母さんは、とても大切な人だったのだろう。こんな大切な人たちを悲しませてまで、お父さんと結婚がしたかったのね。
でも、お母さんらしいわ。お母さんは、こうと決めたら絶対に譲らない性格だったものね。私もそんな頑固なところは、お母さんに似たのかしら?
「2人とも、両親について話してくださり、ありがとうございます。確かに我が家は、あまり裕福ではありませんでした。でも父も母も、毎日とても幸せそうでしたわ。母は父が描く絵が大好きで。いつも嬉しそうに、父が絵を描く姿を見つめておりました。
母はいつも
“リリアがいてお父さんがいて、貧しいながらも食べていけるこの生活が、幸せでたまらないの。ただ、たまに思うのよ。私だけこんなに幸せでいいのかって…”
そう言うと、少し寂しそうに空を見ていました。当時の私には、母の言っている意味がさっぱり分かりませんでした。でも、今の話を聞いて分かったのです。母はきっと、祖国に残してきた大切な人たちに、申し訳ないと思って生きてきたのだと。だからどうか、ご自分を責めないで下さい。母は母なりに、幸せに生きていたので」
正直お母さんがどんな気持ちだったのかはわからない。でも、少なくともおばあさんやレティさんのお母さんを、恨んではいなかったと思う。むしろ申し訳ないと思っていたのではないかと。
恐る恐る聞いてみた。困った顔をする伯父さん。すると
「私が話すわ。あなたの母親でもあるレアはね、あなたのお父さんを好きになってしまったの。当時この国は、身分制度を廃止したい革命軍と、身分制度を残したい国王派が激しく対立していてね。とても混乱していたのよ。
その為、沢山の人々が我がクレシレス王国に避難兼働きに来ていたの。あなたのお父さんも、クレシレス王国で仕事をしながら趣味の絵を売って、生計を立てていたの。貴族でもあるレアと、避難民でもあったあなたのお父さんがどうやって出会ったのかは、私にはわからない。
ただ、私の知らない間で2人は恋に落ち、順調に愛を育んでいったの。そしてある日、レアがあなたのお父さんを我が家に連れて来て、結婚したいと言い出したわ。もちろん私も息子も大反対。他国の避難民でもある平民と、侯爵令嬢が結婚なんてさせられる訳がない。
そう伝え、無理やり別れさせたわ。レアは憎らし目に私を睨んでいたけれど、レアの幸せの為と思い、心を鬼にした。レアが勝手に彼に会いに行かない様に、監視を強め、部屋に閉じ込めたの。
すぐによさそうな令息を見繕って、別の貴族の元に嫁がせようとした。でも、それが全ての間違いだったのよ。
どうやら2人は密かに連絡を取り合い、そしてある日、忽然と姿を消したの。国を挙げて大側索を行ったわ。でも、結局レアは見つからなかった。まさか混乱が続く、彼の母国に帰っていただなんて…
それでも2人には、選択肢がなかったのよね。私は大切な娘に酷い事をした、最低な母親なの。リリアちゃん、あなたが酷い目に遭っていたのも、不自由な生活を強いられていたのも、元をただせば私のせいなの。本当にごめんなさい」
「私からも謝らせて頂戴。レアは…あなたのお母さんと私は、親友だったの。気が強くてプライドばかり高い私に対し、レアは誰にでも優しくて、正義感が強くて、本当に素敵な女性だった。
私が密かに思いを寄せていた今の夫と結婚できたのも、レアがお膳立てしてくれたお陰。レアはいつも私の事を考え、行動してくれた。レアには返しても返しきれない程の恩があるのに。
それなのに私は…
レアが彼の事を心から愛している事を、知っていたはずなのに
“他国の平民と結婚しても、幸せになれない。それも避難民なのでしょう?貴族は貴族と結婚するのが、一番の幸せなのよ”
そんな酷い言葉を投げかけてしまった。あの時のレアの悲しそうな顔が、脳裏に焼き付いて未だに離れないわ。あの後すぐに、彼と一緒に行方をくらましてしまったの。もしあの時、私がもっとレアに寄り添ってあげていたら…そう思うと、レアに申し訳なくて。
その上、娘がレアの大切な忘れ形見でもあるリリアちゃんに、こんな酷い事をしていただなんて。レアに申し訳なさすぎて…」
おばあさんもレティさんのお母さんも、声を上げて泣いていた。彼女たちにとって私のお母さんは、とても大切な人だったのだろう。こんな大切な人たちを悲しませてまで、お父さんと結婚がしたかったのね。
でも、お母さんらしいわ。お母さんは、こうと決めたら絶対に譲らない性格だったものね。私もそんな頑固なところは、お母さんに似たのかしら?
「2人とも、両親について話してくださり、ありがとうございます。確かに我が家は、あまり裕福ではありませんでした。でも父も母も、毎日とても幸せそうでしたわ。母は父が描く絵が大好きで。いつも嬉しそうに、父が絵を描く姿を見つめておりました。
母はいつも
“リリアがいてお父さんがいて、貧しいながらも食べていけるこの生活が、幸せでたまらないの。ただ、たまに思うのよ。私だけこんなに幸せでいいのかって…”
そう言うと、少し寂しそうに空を見ていました。当時の私には、母の言っている意味がさっぱり分かりませんでした。でも、今の話を聞いて分かったのです。母はきっと、祖国に残してきた大切な人たちに、申し訳ないと思って生きてきたのだと。だからどうか、ご自分を責めないで下さい。母は母なりに、幸せに生きていたので」
正直お母さんがどんな気持ちだったのかはわからない。でも、少なくともおばあさんやレティさんのお母さんを、恨んではいなかったと思う。むしろ申し訳ないと思っていたのではないかと。
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