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第83話:これで一件落着です
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「ばあさん、なんであんな男をわざわざ連れて来たんだ。それにしても、完全に俺に怯えていたな。俺はこれでも、この街を守る隊長だぞ。どうして市民でもある、あの男の命を奪うと思ったんだ?まあ、感情論で言えば、八つ裂きにしたいところだがな」
隣で恐ろしい事を言っているゼルス様。もしかしたらクロードは、ゼルス様の殺気を感じて、必死に命乞い…ではなくて、謝ったのかもしれない。
「クロードさんにも、リリアちゃんがどういう子なのか、知ってもらいたかったのよ。さすがにこれで諦めるでしょう。これで本当に一件落着ね。それじゃあ、リリアちゃんが家族に会えた記念と、ゼルスとリリアちゃんが無事再会できたお祝いの宴をしましょう。既に準備をしているのよ。早速食堂に移動しましょう」
アロマおばあさんが、嬉しそうに私を誘導してくれる。
「ばあさん、悪いが俺たちは今日は帰るよ。リリアも疲れているだろうし。何よりも今は2人でいたいから。改めてまた挨拶に来るよ。さあ、リリア、帰ろう」
そう言うと、ゼルス様が私を抱きかかえたのだ。
「ゼルス様、私は自分で歩けますわ」
「すまない、今はこうさせてくれ。抱きしめていないと、リリアがまたどこかに行ってしまいそうで不安なんだ」
ふとゼルス様の顔を見ると、目にはクマが出来、顔もやつれ切っていた。きっとこの1週間、寝る間も惜しんで私を探してくれていたのだろう。
そんな彼の事を思うと、これ以上何も言わない。アロマおばあさんも
「ゼルスは本当にリリアちゃんの事を愛しているのね。仕方ないわね、それじゃあ後日、改めて食事会を開くから、その時はきちんと出席をするのよ」
そう言って笑っていた。やっぱりアロマおばあさんは、とても優しい。きっとゼルス様の優しい性格は、アロマおばあさんに似たのだろう。
そのまま馬車に乗り込む。膝の上に私を座らせ、後ろからギュッと抱きしめられた。
「リリアが戻って来てくれて、本当によかった。君は一体、どこにいたのだい?」
「私ですか?よくわからないのですが、港街の様な所にいました。馬車で1時間半くらいの場所だと思います。ずっと部屋に閉じ込められていたので、あまり街の雰囲気は分からないのですが…」
「そうか…君も辛い思いをしていたのだね。リリア、その…幼馴染を追いかえしてしまったが、もしかして幼馴染の事を、その…」
もしかして私が、クロードの事を好きだと勘違いしているのかしら?
「クロードの事は、何とも思っておりませんわ。彼はもう、ただの幼馴染です。私が愛しているのは、ゼルス様ただ1人ですわ。ごめんなさい、なんとか騎士団の基地を探し出して助けを求めようとしたのですが、見つけられなくて。そうしている間にクロードに見つかってしまって。
それで部屋に閉じ込められたのです。なんとか出ようとしたのですが、上手く逃げ出せなくて。そんな時、アロマおばあさんが助けて下さったのです。実はアロマおばあさんとは、シャールン市に来る時に夜行汽車で一緒だったのです。そこで仲良くなって」
「そうだったのだね。ばあさんは俺に似て、人間に興味がなくてね。リリアはあの偏屈婆さんの心まで掴んでしまったのだね」
偏屈婆さんだなんて。アロマおばあさんは、とても素敵な人なのに。
「それでもあのばあさんのお陰で、リリアが戻って来たのだから感謝しないといけないのだが。ばあさんに先にリリアを見つけられた事が悔しくて」
私の頬に自分の頬を摺り寄せてくるゼルス様。今日はいつも以上にベッタリだ。
「リリア、家に帰ったら今度こそずっと一緒にいよう。今日こそは、リリアを抱きたいし…」
ゼルス様ったら、いくら何でもストレートすぎやしませんか。さすがに言葉に出されると、恥ずかしいわ。
でも…
「分かりましたわ。でも、お腹が空いているでしょう。家に帰ったら、何か美味しいものを作りますね。あっ、お家が見えてきましたわ」
1週間ぶりの我が家が見えてきた。やっと家に帰ってこられたのね。
嬉しくて涙がこみあげてきた。
隣で恐ろしい事を言っているゼルス様。もしかしたらクロードは、ゼルス様の殺気を感じて、必死に命乞い…ではなくて、謝ったのかもしれない。
「クロードさんにも、リリアちゃんがどういう子なのか、知ってもらいたかったのよ。さすがにこれで諦めるでしょう。これで本当に一件落着ね。それじゃあ、リリアちゃんが家族に会えた記念と、ゼルスとリリアちゃんが無事再会できたお祝いの宴をしましょう。既に準備をしているのよ。早速食堂に移動しましょう」
アロマおばあさんが、嬉しそうに私を誘導してくれる。
「ばあさん、悪いが俺たちは今日は帰るよ。リリアも疲れているだろうし。何よりも今は2人でいたいから。改めてまた挨拶に来るよ。さあ、リリア、帰ろう」
そう言うと、ゼルス様が私を抱きかかえたのだ。
「ゼルス様、私は自分で歩けますわ」
「すまない、今はこうさせてくれ。抱きしめていないと、リリアがまたどこかに行ってしまいそうで不安なんだ」
ふとゼルス様の顔を見ると、目にはクマが出来、顔もやつれ切っていた。きっとこの1週間、寝る間も惜しんで私を探してくれていたのだろう。
そんな彼の事を思うと、これ以上何も言わない。アロマおばあさんも
「ゼルスは本当にリリアちゃんの事を愛しているのね。仕方ないわね、それじゃあ後日、改めて食事会を開くから、その時はきちんと出席をするのよ」
そう言って笑っていた。やっぱりアロマおばあさんは、とても優しい。きっとゼルス様の優しい性格は、アロマおばあさんに似たのだろう。
そのまま馬車に乗り込む。膝の上に私を座らせ、後ろからギュッと抱きしめられた。
「リリアが戻って来てくれて、本当によかった。君は一体、どこにいたのだい?」
「私ですか?よくわからないのですが、港街の様な所にいました。馬車で1時間半くらいの場所だと思います。ずっと部屋に閉じ込められていたので、あまり街の雰囲気は分からないのですが…」
「そうか…君も辛い思いをしていたのだね。リリア、その…幼馴染を追いかえしてしまったが、もしかして幼馴染の事を、その…」
もしかして私が、クロードの事を好きだと勘違いしているのかしら?
「クロードの事は、何とも思っておりませんわ。彼はもう、ただの幼馴染です。私が愛しているのは、ゼルス様ただ1人ですわ。ごめんなさい、なんとか騎士団の基地を探し出して助けを求めようとしたのですが、見つけられなくて。そうしている間にクロードに見つかってしまって。
それで部屋に閉じ込められたのです。なんとか出ようとしたのですが、上手く逃げ出せなくて。そんな時、アロマおばあさんが助けて下さったのです。実はアロマおばあさんとは、シャールン市に来る時に夜行汽車で一緒だったのです。そこで仲良くなって」
「そうだったのだね。ばあさんは俺に似て、人間に興味がなくてね。リリアはあの偏屈婆さんの心まで掴んでしまったのだね」
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ゼルス様ったら、いくら何でもストレートすぎやしませんか。さすがに言葉に出されると、恥ずかしいわ。
でも…
「分かりましたわ。でも、お腹が空いているでしょう。家に帰ったら、何か美味しいものを作りますね。あっ、お家が見えてきましたわ」
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嬉しくて涙がこみあげてきた。
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