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第90話:私を拾ってくれた騎士様と幸せになります
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「リリア、とても綺麗よ。それにしても、なんて触り心地の良い生地なのかしら?さすがクレシレス王国の、優秀な針師が縫っただけの事はあるわね」
「確かにとても素敵なドレスね。リースおばあさんに、お礼を言っておかないと」
真っ白なウエディングドレスを手に取りながら、ルルがうっとりと見つめている。
今日は私とゼルス様の結婚式だ。この日の為に、リースおばあさんが私の為に、ウエディングドレスを準備してくれたのだ。そしてティアラは伯父さんが、ネックレスはレティさんのお母さんが、ブーケはアロマおばあさんがそれぞれ準備してくれた。
こんな風に皆が私の事を大切に思ってくれているのが、嬉しくてたまらない。もちろん、ルルも私の結婚式の準備を手伝ってくれた。
あの事件から、早半年。この半年で、色々な事が起きた。
まずレティさんだが、あの後裁判にかけられたが、私が自らドアを開けていた事と、特に怪我などがなかったことから、罰金刑だけで済んだようだ。ただ、地下牢での生活が相当堪えたのと、彼女の母親が徹底的に再教育を行っているお陰か、人が変わったようにおとなしくなったらしい。
そして私の叔父さんと叔母さん、従姉弟たちだが、村人たちの証言などにより、長年私を虐待していたことが判明。とはいえ、村人たちの証言だけで、決定的な証拠がなかったため、罰金刑に処された。
ただし、叔父さんたちに高額な罰金を払える訳がなく、強制労働施設に送られたらしい。それもこの国で一番厳しい施設にだ。ゼルス様の話だと、かなり高額な罰金が課せられている為、一生出てこられないと言っていた。
少し可哀そうな気がするが、私がされていたことを考えると自業自得なのだろう。そう思っている。
ちなみにクロードだが、あの後は真面目に元の職場で働いているらしい。ただ、まだ私に未練がある様で、お酒を飲みながら私への想いを語っていた姿が、騎士団員によって目撃されているらしい。
とはいえ、特に私にアクションを起こしてくるわけではないため、そっとしている。
「リリア、色々とあったけれど、やっとゼルス隊長と結ばれるのね。必ず幸せになるのよ」
「ええ、もちろんよ。ルルの様な素敵な新妻になれるように頑張るわ」
「まあ、リリアったら。さあ、そろそろ時間ね。きっとゼルス隊長が、首を長くしてあなたの事を待っているわよ。行きましょう」
ルルに手を引かれて、部屋の外に出た。すると
「リリア、やっと出てきてくれたのだね。なんて綺麗なんだ…あぁ、こんな綺麗なリリアを人前に出すだなんて…このまま家に帰ろう」
「もう、ゼルス様ったら!私たちの為に、沢山の人たちがお祝いに駆けつけて下さっているのですよ。主役の私たちがいなくてどうするのですか。さあ、行きましょう」
「しかし…」
不満そうなゼルス様の手を引き歩き出す。この半年、すっかり過保護に磨きがかかったゼルス様。買い物も1人で行かせてくれなくなったし、常に監視用の映像機で私の様子を見ている。
少しでも私がおかしな行動をすると、すぐに通信機で連絡が入り、怒られるのだ。それなのに仕事はしっかりこなしているだなんて、本当にすごい。
でもそんなゼルス様の事が、私も大好きなのだ。
「リリア、本当にいくのかい?今ならまだ引き返せるよ」
「ゼルス様ったら!今更引き返せませんわ。それに今日は、ゼルス様と私がいかに愛し合ているかを皆様に知って頂くいい機会なのですよ」
「確かにリリアの言う通りだ。よし、俺たちの幸せっぷりを皆に見せつけてやろう」
よかった、これで結婚式が進められるわね。
ドアが開くとともに、2人でゆっくりとバージンロードを進んでいく。
周りを見渡すとそこにはたくさんの人が、私たちの為に集まってくれていたのだ。
ルルや私に贈り物をしてくれた人たちはもちろん、マルモル村の人たち、騎士団員の方たち、各隊長たち。こんなにたくさんの人たちが、集まってくれるだなんて…
“リリア、あんなところから君の幼馴染がこっそりのぞいているよ。もしかしてリリアを奪いに来たのか?そもそもこんなにも美しいリリアを、こんなに大勢に見せるだなんて!”
まだブツブツと文句を言っているゼルス様。そんな彼を見たら、つい笑みがこぼれる。
“こんなにたくさんの人たちが、私たちの為に集まって下さったのですよ。幸せな事じゃないですか。改めてゼルス様、私と結婚して下さりありがとうございます“
“それは俺のセリフだ。リリア、俺と結婚してくれてありがとう。もう二度と離さないから!”
そう言うと、何を思ったのかゼルス様がブーケ越しに私の唇に口づけをしたのだ。これには来賓の方たちもびっくりだ。
もう、ゼルス様ったら。
でも、それだけ私を愛してくれているという事なのだろう。そう私は思っている。
私はゼルス様に、こんな風に愛されながら生きていくのだろう。
これからもずっと…
おしまい
~あとがき~
これにて完結です。
この後、リリアの母の祖国、クレシレス王国に行った時の話などを番外編として書きたいと思っております。
もう少しお付き合いいただけると嬉しいです。
お読みいただき、ありがとうございました。
「確かにとても素敵なドレスね。リースおばあさんに、お礼を言っておかないと」
真っ白なウエディングドレスを手に取りながら、ルルがうっとりと見つめている。
今日は私とゼルス様の結婚式だ。この日の為に、リースおばあさんが私の為に、ウエディングドレスを準備してくれたのだ。そしてティアラは伯父さんが、ネックレスはレティさんのお母さんが、ブーケはアロマおばあさんがそれぞれ準備してくれた。
こんな風に皆が私の事を大切に思ってくれているのが、嬉しくてたまらない。もちろん、ルルも私の結婚式の準備を手伝ってくれた。
あの事件から、早半年。この半年で、色々な事が起きた。
まずレティさんだが、あの後裁判にかけられたが、私が自らドアを開けていた事と、特に怪我などがなかったことから、罰金刑だけで済んだようだ。ただ、地下牢での生活が相当堪えたのと、彼女の母親が徹底的に再教育を行っているお陰か、人が変わったようにおとなしくなったらしい。
そして私の叔父さんと叔母さん、従姉弟たちだが、村人たちの証言などにより、長年私を虐待していたことが判明。とはいえ、村人たちの証言だけで、決定的な証拠がなかったため、罰金刑に処された。
ただし、叔父さんたちに高額な罰金を払える訳がなく、強制労働施設に送られたらしい。それもこの国で一番厳しい施設にだ。ゼルス様の話だと、かなり高額な罰金が課せられている為、一生出てこられないと言っていた。
少し可哀そうな気がするが、私がされていたことを考えると自業自得なのだろう。そう思っている。
ちなみにクロードだが、あの後は真面目に元の職場で働いているらしい。ただ、まだ私に未練がある様で、お酒を飲みながら私への想いを語っていた姿が、騎士団員によって目撃されているらしい。
とはいえ、特に私にアクションを起こしてくるわけではないため、そっとしている。
「リリア、色々とあったけれど、やっとゼルス隊長と結ばれるのね。必ず幸せになるのよ」
「ええ、もちろんよ。ルルの様な素敵な新妻になれるように頑張るわ」
「まあ、リリアったら。さあ、そろそろ時間ね。きっとゼルス隊長が、首を長くしてあなたの事を待っているわよ。行きましょう」
ルルに手を引かれて、部屋の外に出た。すると
「リリア、やっと出てきてくれたのだね。なんて綺麗なんだ…あぁ、こんな綺麗なリリアを人前に出すだなんて…このまま家に帰ろう」
「もう、ゼルス様ったら!私たちの為に、沢山の人たちがお祝いに駆けつけて下さっているのですよ。主役の私たちがいなくてどうするのですか。さあ、行きましょう」
「しかし…」
不満そうなゼルス様の手を引き歩き出す。この半年、すっかり過保護に磨きがかかったゼルス様。買い物も1人で行かせてくれなくなったし、常に監視用の映像機で私の様子を見ている。
少しでも私がおかしな行動をすると、すぐに通信機で連絡が入り、怒られるのだ。それなのに仕事はしっかりこなしているだなんて、本当にすごい。
でもそんなゼルス様の事が、私も大好きなのだ。
「リリア、本当にいくのかい?今ならまだ引き返せるよ」
「ゼルス様ったら!今更引き返せませんわ。それに今日は、ゼルス様と私がいかに愛し合ているかを皆様に知って頂くいい機会なのですよ」
「確かにリリアの言う通りだ。よし、俺たちの幸せっぷりを皆に見せつけてやろう」
よかった、これで結婚式が進められるわね。
ドアが開くとともに、2人でゆっくりとバージンロードを進んでいく。
周りを見渡すとそこにはたくさんの人が、私たちの為に集まってくれていたのだ。
ルルや私に贈り物をしてくれた人たちはもちろん、マルモル村の人たち、騎士団員の方たち、各隊長たち。こんなにたくさんの人たちが、集まってくれるだなんて…
“リリア、あんなところから君の幼馴染がこっそりのぞいているよ。もしかしてリリアを奪いに来たのか?そもそもこんなにも美しいリリアを、こんなに大勢に見せるだなんて!”
まだブツブツと文句を言っているゼルス様。そんな彼を見たら、つい笑みがこぼれる。
“こんなにたくさんの人たちが、私たちの為に集まって下さったのですよ。幸せな事じゃないですか。改めてゼルス様、私と結婚して下さりありがとうございます“
“それは俺のセリフだ。リリア、俺と結婚してくれてありがとう。もう二度と離さないから!”
そう言うと、何を思ったのかゼルス様がブーケ越しに私の唇に口づけをしたのだ。これには来賓の方たちもびっくりだ。
もう、ゼルス様ったら。
でも、それだけ私を愛してくれているという事なのだろう。そう私は思っている。
私はゼルス様に、こんな風に愛されながら生きていくのだろう。
これからもずっと…
おしまい
~あとがき~
これにて完結です。
この後、リリアの母の祖国、クレシレス王国に行った時の話などを番外編として書きたいと思っております。
もう少しお付き合いいただけると嬉しいです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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