転生公爵令嬢は悲劇の運命しかない推しを守りたい!

Karamimi

文字の大きさ
21 / 63

第21話:孤独だった私に初めて温もりを与えてくれた人~ソフィー視点~

しおりを挟む
私、ソフィー・マルティーノはなぜか物心ついた頃から、両親に無視されていた。3つ下の妹は、何でも好きな物を買い与えられ、ちょっとした事でも褒められる。妹に向けられる愛情を、少しでも私に向けて欲しくて、勉強もマナーも必死に学んだ。

でも…どんなに頑張っても、私はいつもいないものとして扱われる。そんな私を、いつもバカにして来る妹。ある日、あまりにも私をバカにして来る妹に腹が立ち、言い返したことがあった。

すると妹は物凄い勢いで泣き叫び、両親に私からイジメを受けていて辛いと訴えたのだ。激怒した両親は、私を怒鳴りつけた。

「どこの馬の骨だか分からないお前をここまで育ててやったのに、まさか私たちの可愛い娘をイジメるなんて!どれだけ性格がひん曲がっているんだ!」

そう言うと、私の頬を打った。その時初めて、自分はこの家の子供ではない事を知った。それと同時に、なぜ両親が私を愛してくれないのかも理解した。その日から私は、屋根裏部屋で生活をする事になった。

朝早くから使用人と一緒になって家事をこなし、夜遅くまで働く。ただ私の場合、使用人の様にお給料をもらう事が出来ない。食事は何とかなるが、洋服などは買う事が出来ないのだ。

もちろん、義両親が私の為に服や日用品を買ってくれる訳もない…可哀そうに思った使用人が、お古の服や使わなくなった日用品を与えてくれた。それで何とかやり過ごす日々が続いたのだ。

そして月日は流れ、14歳を迎えた。周りの目を気にする義父によって、無事貴族学院に入学する事が出来た。ただ、制服は従兄妹のお古ではあるが、それでも学べる事は嬉しかった。

もしかしたら、貴族学院で私の事を認めてくれる人が現れるかもしれない。でも、現実は厳しかった。貴族学院と言うだけあり、生徒全員が貴族なのだ。男爵令嬢でもある私を相手にしてくれる人なんていない。

結局私は何処に行っても1人ぼっちなのだ。そう思っていたのだが…

「君、いつも1人なんだね。確か男爵令嬢のソフィー・マルティーノ嬢だよね」

そう声を掛けてくれたのは、なんとこの国の王太子でもあるマシュー殿下だ。一瞬にして体が強張る。

そんな私を見て、マシュー様は優しく話しかけてくれた。その次の日も、また次の日も、マシュー様は私の元に来て、一緒にお昼ご飯を食べる。嬉しそうに色々な話をしてくれるマシュー様。こんな風に誰かに笑顔を向けられるのは初めてだ。胸の奥がジーンと熱くなる。

私が家族から冷遇されていると知ると、私の為に洋服などを買い与えてくれたりもした。さらに、私を家まで送ってくれるマシュー様。私がこれ以上冷遇されない様に、わざわざ義両親に話をしてくれたりもした。

そのおかげで、義両親の私に対する扱いが劇的に変化した。

「まさかお前が王太子殿下に気に入られるなんてな!正妻は無理でも、側室くらいならなれるかもしれないぞ!そうなれば、我が家の地位もグンと上がる」

そう言って喜んでいた。もちろん、私は屋根裏部屋から以前使っていた部屋へと移り替わり、まさに順風満帆な生活を送っていた。

ただ、そんな私たちを面白く思わない人物もいた。それは、マシュー様の婚約者のミレニア様だ。ことある事に私に文句を言って来る。

でも彼女は、なぜか大勢の前で私を罵るのだ。どうしてこの人は、わざわざ人が居るところで、私に嫌がらせをするのかしら?人が見ていないところでイジメれば、もっと効率的に私を傷つけられるのに…

そもそも、婚約者のいるマシュー様と付き合うなんて、人として最低よね。ミレニア様の事を考えれば、きっと別れるべきだろう。でも…

初めて知った人の温もり…それに、義両親も私の事を見てくれるようになった。この幸せを、壊したくはない…

結局ズルズルとマシュー様との関係を続けて2年が経った。

その間、何度も公爵家から我が男爵家にクレームが入ったが

「こっちにはマシュー殿下が付いているんだ。気にすることはない!このままお前はマシュー殿下と仲良くしていればいいんだ」

そう義父が言う為、気にはなっていたがそのままの関係をズルズルと続けた。マシュー様とお付き合いをする様になってから、義両親が私に笑顔を向けてくれるようになった事が嬉しかった。

そんなある日、いつもの様にミレニア様に絡まれた。

「あなたいい加減にしなさいよ!マシュー様は私の婚約者なのよ!いい加減マシュー様から離れなさいよ!」

そう言って掴みかかって来たミレニア様。すぐ横は階段だ。このままだと転がり落ちてしまう。

「あんたなんか、さっさと階段から落ちてしまいなさい!」

そう言って私を階段から落とそうとするミレニア様。その時だった!

「ミレニア、止めろ!ソフィーから離れるんだ!」

いつもの様にマシュー様が私に駆け寄り、ミレニア様を私から離した。その瞬間、バランスを崩したミレニア様が、階段から転げ落ちてしまったのだ。

「おい、ミレニア!大丈夫か?」

急いでマシュー様が駆け寄るが、全く動かない。恐怖で体が震え、必死にマシュー様にしがみついた。その後は近くにいた生徒によって先生に連絡が入り、そのまま運ばれていった。

どうしよう…
ミレニア様にもしもの事があったら、私…
恐怖で体が震えた!私がいけなかったのだわ!いくらマシュー様がお優しい人だからって、婚約者のいる人を好きになるなんて。だから罰が当たったのね。

その日は恐怖で、眠れなかった。

翌日
ミレニア様が目を覚ましたとの連絡を受け安堵した。

「ソフィー、今回の件でミレニアが何を言って来るか分からないが、必ず君を守るから安心して欲しい」

そう言ってギューッと抱きしめてくれるマシュー様。やっぱりこの温もりを失いたくない。いけない事をしているのは分かっているけれど、初めて知った温もりを失ったら、今度こそ私は生きていけないわ!大丈夫よ、きっと大丈夫!マシュー様が何とかしてくれるわ。

そして、ソフィー様が目覚めた翌日
「ソフィー、朗報だ!ミレニア嬢とマシュー殿下の婚約が正式に解消されたんだ!さっき発表があった。これでお前が王妃になる可能性もグンと高くなったぞ!」

物凄い笑顔の義父。
私が王妃…
もし、王妃になればマシュー様とずっと一緒にいられる。でも、そんな淡い期待は脆くも崩れ落ちた。

なぜか婚約を解消してから、マシュー様はミレニア様が気になって仕方が無いようだ。私といても、いつも目でミレニア様を追っている。次第に私といる時間は極端に減っていき、他の令嬢と一緒にいる事も多くなった。

さらに男爵家には、王妃様から正式な抗議文が届いたのだ!かなり王妃様はお怒りの様で、これ以上マシュー様に近づくなら、不敬罪で男爵家を取り潰すとも言って来たのだ。王妃様の手紙では、私が色仕掛けでマシュー様をそそのかしたと書いてあった。私、そんなことしていないのに…

さすがにマズいと思った義両親。

「お前が調子に乗ってマシュー殿下に近づくからこんな事になるんだ!もし男爵家が取り潰しになったら、お前を一生恨むからな!」

義両親の怒りをかってしまった私は、また元の生活に逆戻りだ。特に義妹からの嫌がらせは酷く、今までマシュー様に買ってもらった洋服等も全て取り上げられてしまった。

そんなある日、マシュー様に呼び出された。もう私にはマシュー様しかいない!きっと今まで私の元に来てくれなかったのは、王妃様の目があったからだろう。この期に及んで、そんな馬鹿な事を考えていたのだ。

でも、マシュー様は
「ソフィー、もう君の側にはいられないよ!そもそも、俺たちは付き合っていた訳ではない。ただ、君が寂しそうにしていたから一緒にいただけだ。悪いがもう二度と話しかけないで欲しい。それじゃあ」

そう言って去っていくマシュー様。

私、何を期待していたのかしら?王太子のマシュー様が全てを捨てて、私を選んでくれる訳が無いのに…心のどこかで“ソフィー、2人でどこか遠くに行こう。誰も知らない場所で2人で暮らそう。君がいれば俺は何も要らない”そう言ってくれる事を期待していた。

でも、現実は…
瞳からとめどなく涙が溢れる。私はその場を動くことが出来ず、1人静かに泣いた。




~あとがき~
ソフィーはずっと孤独で、ずっと人の温もりに飢えていました。そんな中、初めて知った人の温もり。ソフィーは原作同様、心からマシューを愛していました。

そんなソフィーをあっさり裏切ったマシュー。ただマシューもミレニアが前世の記憶を取り戻さなければ、きっと原作通り、ソフィーを愛し続けたはずです!

もう1話、ソフィー視点です。
よろしくお願いしますm(__)m
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます

宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。 さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。 中世ヨーロッパ風異世界転生。

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームを元にした人気のライトノベルの世界でした。  しかも、定番の悪役令嬢。 いえ、別にざまあされるヒロインにはなりたくないですし、婚約者のいる相手にすり寄るビッチなヒロインにもなりたくないです。  ですから婚約者の王子様。 私はいつでも婚約破棄を受け入れますので、どうぞヒロインのところに行って下さい。

【完結】財務大臣が『経済の話だけ』と毎日訪ねてきます。婚約破棄後、前世の経営知識で辺境を改革したら、こんな溺愛が始まりました

チャビューヘ
恋愛
三度目の婚約破棄で、ようやく自由を手に入れた。 王太子から「冷酷で心がない」と糾弾され、大広間で婚約を破棄されたエリナ。しかし彼女は泣かない。なぜなら、これは三度目のループだから。前世は過労死した41歳の経営コンサル。一周目は泣き崩れ、二周目は慌てふためいた。でも三周目の今回は違う。「ありがとうございます、殿下。これで自由になれます」──優雅に微笑み、誰も予想しない行動に出る。 エリナが選んだのは、誰も欲しがらない辺境の荒れ地。人口わずか4500人、干ばつで荒廃した最悪の土地を、金貨100枚で買い取った。貴族たちは嘲笑う。「追放された令嬢が、荒れ地で野垂れ死にするだけだ」と。 だが、彼らは知らない。エリナが前世で培った、経営コンサルタントとしての圧倒的な知識を。三圃式農業、ブランド戦略、人材採用術、物流システム──現代日本の経営ノウハウを、中世ファンタジー世界で全力展開。わずか半年で領地は緑に変わり、住民たちは希望を取り戻す。一年後には人口は倍増、財政は奇跡の黒字化。「辺境の奇跡」として王国中で噂になり始めた。 そして現れたのが、王国一の冷徹さで知られる財務大臣、カイル・ヴェルナー。氷のような視線、容赦ない数字の追及。貴族たちが震え上がる彼が、なぜか月に一度の「定期視察」を提案してくる。そして月一が週一になり、やがて──「経済政策の話がしたいだけです」という言い訳とともに、毎日のように訪ねてくるようになった。 夜遅くまで経済理論を語り合い、気づけば星空の下で二人きり。「あなたは、何者なんだ」と問う彼の瞳には、もはや氷の冷たさはない。部下たちは囁く。「閣下、またフェルゼン領ですか」。本人は「重要案件だ」と言い張るが、その頬は微かに赤い。 一方、エリナを捨てた元婚約者の王太子リオンは、彼女の成功を知って後悔に苛まれる。「俺は…取り返しのつかないことを」。かつてエリナを馬鹿にした貴族たちも掌を返し、継母は「戻ってきて」と懇願する。だがエリナは冷静に微笑むだけ。「もう、過去のことです」。ざまあみろ、ではなく──もっと前を向いている。 知的で戦略的な領地経営。冷徹な財務大臣の不器用な溺愛。そして、自分を捨てた者たちへの圧倒的な「ざまぁ」。三周目だからこそ完璧に描ける、逆転と成功の物語。 経済政策で国を変え、本物の愛を見つける──これは、消去法で選ばれただけの婚約者が、自らの知恵と努力で勝ち取った、最高の人生逆転ストーリー。

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。 ※他サイト様にも掲載中です

【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした

果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。 そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、 あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。 じゃあ、気楽にいきますか。 *『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

処理中です...