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第20話:ヒロインをイジメる人は懲らしめてやりましょう!【後編】
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あまりにも理不尽な令嬢たちに、ついに怒りが爆発した私は、令嬢たちに向かって叫んだ!
「止めなさい!!!!あなた達!!!!!」
がに股で令嬢たちの元へと向かう。体中から込み上げる怒りを必死に抑え、極力冷静に話しかける。
「あなた達、これはどういう事かしら?イジメは貴族学院では御法度のはずよ!」
散々ソフィー様をイジメていた私が言うのも何だが、貴族学院では身分の低いものをイジメてはいけないとなっている。最悪の場合、退学処分も有り得るのだ。
「私たちは別に、イジメなんてしておりませんわ。ねえ、ソフィー様」
俯いたまま何も言わないソフィー様。私を心配したクラウド様とクラスの令嬢、令息たちも集まって来た。さらに、誰かが先生を呼んだのか、数名の先生も来ていた。
「ほら、本人も何も言わないですわよ。いくらミレニア様でも、言いがかりはよしてくださいます?そもそもイジメをした場合、証拠を提示するのがルールですわよ。証拠はありますの?証拠は?」
勝ち誇った様な顔の令嬢。そんな顔が出来るのも今のうちよ!今から目に物を見せてやるわ!
「証拠ならございますわ。ソフィー様、失礼しますね」
ソフィー様の胸に付いているブローチを取り外した。
「このブローチは、グラディス先生からお借りした、小型の映像型撮影機ですわ。取り付けてから約6時間、映像を自動で保存できますの。この映像を確認すれば、あなた達がソフィー様にした仕打ちも、しっかりと映っているはずですわ。先生、この映像を早速グラディス先生に頼んで、分析して頂けるかしら?」
近くにいた先生に、ブローチを渡した。
「わかった、すぐにグラディス先生に頼んで来よう」
ブローチを持って、走ってグラディス先生の研究室に向かう先生を見送った。そして、イジメた張本人たちは、真っ青な顔をして座り込んでいる。きっとこの子達、退学になるわね。でも、自業自得よ!それに、いい見せしめにもなるわ。これで、ソフィー様をイジメようとする輩はいなくなるだろう。
でも、散々ソフィー様をイジメていた私が、まさか別のイジメっこを退治するなんてね…
「いやぁ、ミレニアは本当に素晴らしいよ!まさかイジメの証拠をしっかりつかむなんて、さすがだね。増々見直したよ!」
そう言って馴れ馴れしく近づいてきたのは、バカ王太子だ。こいつの呑気な顔を見ていたら、さすがの私も堪忍袋の緒が切れた!
「何が“見直したよ”ですか!そもそも、あなたがソフィー様にちょっかいをかけなければ、こんな事にはならなかったのでしょう!それも私たちの婚約を解消したら、さっさとソフィー様を捨てて!私はソフィー様を真剣に愛しているあなたを見たから、2人の幸せを願って身を引いたのよ!それなのにソフィー様を捨てるなんて、本当にただの浮気者だったのね!がっかりだわ!これほどまでにソフィー様を傷付けたくせに、少しは悪いと思ったらどうなのよ!バカマシュー!!!!」
怒りに身を任せ、大きな声で王太子に向かって叫んだ。辺りは静まり返る。
しまった、さすがにバカマシューは無かったわね。不敬罪で捕まるかしら?それに、身を引いたなんてカッコいい事を言ったけれど、実際はさっさと別れてクラウド様と仲良くなりたかったのよね…
さすがに気まずくなって、叫んだ後下を向いてしまった。
その時だった。
パチパチパチ
何処からともなく拍手が沸き起こったのだ。その拍手は、次第に大きくなっていく。
「いいぞ、ミレニア嬢。その通りだ」
「ミレニア嬢は間違っていないぞ」
そんな声まで聞こえた。その様子に、さすがの王太子も何か思う事があった様で…
「ソフィー、俺の軽率な行動のせいで、君を傷付けてすまなかった。謝っても許される事ではないかもしれないが、謝らせてほしい」
そう言って、ソフィー様に深々と頭を下げたのだ。
「マシュー様、頭をお上げください。私こそ身分をわきまえず、マシュー様の優しさに甘えたのです。ご迷惑をおかけして、申し訳ございませんでした」
なぜかソフィー様まで謝っている。さらに私の方を向き直したソフィー様。
「ミレニア様、2年もの間あなたを苦しめたのに、私を助けていただきありがとうございます。ミレニア様はまるで聖母マリア様の様なお方ですわ!ミレニア様、こんな私ですが、一生付いて行かせてください。そうだわ、学院を卒業したら、ミレニア様の専属メイドに立候補いたしますわ。そうすれば、ずっと一緒にいられますものね」
なぜか物凄く目を輝かせたソフィー様に、両手を握られた。専属メイドって、そもそもあなたは他国の王女なのよ。メイドなんて、やらせられる訳がない。
「ミレニア、俺の事を叱ってくれてありがとう。やっぱり俺の様な人間は、君の様なしっかりした女性が合う様だ。一度は婚約を解消してしまったが、もう一度婚約を結び直す事も検討して欲しい!」
ソフィー様から私の手を奪い取った王太子に、なぜか両手を握られた。何なのよ、一体!
「ちょっとマシュー様、ミレニア様は私の大切な人ですよ。気軽に触るのはお止めください!」
「何を言っているんだ、ソフィー。彼女は未来の俺の妃だぞ!手を握るくらい当然だ。とにかく、さっさと第二王子と別れるんだ、ミレニア」
この王太子、いい加減にして欲しいわ。誰が未来の妃よ!いい加減頭にきて、文句を言おうとした時だった。
「王太子殿下、悪いがミレニアは僕の恋人です。あまり気安く触れないで頂きたい。それに、僕達は愛し合っておりますので、あなたの妃になる事ははっきり言ってないですよ」
サッと王太子から私の手を奪い取ると、すかさず腕の中に閉じ込めたクラウド様。皆が見ている前で、クラウド様に抱きしめられているわ!なんて幸せなのかしら?うっとりとクラウド様を見つめる。
「今はまだお前の恋人かもしれないが、未来はどうなるか分からないよ!ね、ミレニア」
そう言うと、何を思ったのか私の手をスーッと取り、口付けをした王太子。こいつは一体何を考えているのよ。隣でクラウド様が、口付けをされた手を必死になってハンカチで拭いている。
でもクラウド様、あまり擦ると痛いので、お止めください。そう言いたいが、さすがに言える雰囲気ではない…
「そろそろお弁当を食べないと、午後の授業に間に合わなくなるよ。せっかくだから、皆で食べよう!」
なぜか涼しい顔をした王太子の提案で、皆で校舎裏でご飯を食べる事にした。
「ソフィー様、お弁当をあの令嬢たちにグチャグチャにされてしまったでしょう。はい、これ食べて!」
ソフィー様にお弁当を半分渡した。
「良いのですか!ミレニア様。嬉しいですわ」
そう言って、嬉しそうに食べるソフィー様。そんな私たちのやり取りを見ていた他の令嬢が
「私のお弁当を食べて」
「私のも」
次々とお弁当の援助がやって来た。結局令嬢たち皆で、それぞれのお弁当をシェアする事にした。
ふとクラウド様の方を見ると、少し不貞腐れている様に見えたが、気のせいかしら?それにしても、皆でシェアするお弁当は、また格別に美味しいわ。それに、ソフィー様も笑顔にする事が出来たし!
嬉しそうにお弁当を頬張るソフィーを見て、嬉しくてたまらないミレニアであった。
~あとがき~
~ソフィーの問題が解決した日の放課後~
「ミレニア、君は少し色々な事に首を突っ込みすぎる様だ。もう少し大人しく出来ないかい?」
「お言葉ですがクラウド様、クラスメートが困っているのを、放っておけませんでしょう?」
「そうかもしれないが、これ以上無駄にライバルが増えるのは嫌なんだ!君は僕の恋人だろう?」
ライバル?首を傾げるミレニアをギューッと抱きしめるクラウド。
「とにかく、これ以上僕を心配させるのは止めてくれ!」
「よくわかりませんが、私が愛しているのはクラウド様ただ1人ですわ。安心してください!」
「ミレニア!僕が愛しているのもミレニアただ1人だよ!」
「クラウド様」
「ミレニア」
どちらともなく顔が近づく。もう少しで唇が触れる、その時だった!
「ミレニア様、こちらにいらしたのですね!一緒に帰りましょう!」
嬉しそうにこっちにやって来るのは、ソフィーだ。なぜか王太子も一緒に…
面倒な奴らが来た!だからミレニアにはあまり首を突っ込んで欲しくないんだ!
新たなライバル?出現で珍しく焦りを見せるクライドであった。
次回ソフィー視点です。
よろしくお願いしますm(__)m
「止めなさい!!!!あなた達!!!!!」
がに股で令嬢たちの元へと向かう。体中から込み上げる怒りを必死に抑え、極力冷静に話しかける。
「あなた達、これはどういう事かしら?イジメは貴族学院では御法度のはずよ!」
散々ソフィー様をイジメていた私が言うのも何だが、貴族学院では身分の低いものをイジメてはいけないとなっている。最悪の場合、退学処分も有り得るのだ。
「私たちは別に、イジメなんてしておりませんわ。ねえ、ソフィー様」
俯いたまま何も言わないソフィー様。私を心配したクラウド様とクラスの令嬢、令息たちも集まって来た。さらに、誰かが先生を呼んだのか、数名の先生も来ていた。
「ほら、本人も何も言わないですわよ。いくらミレニア様でも、言いがかりはよしてくださいます?そもそもイジメをした場合、証拠を提示するのがルールですわよ。証拠はありますの?証拠は?」
勝ち誇った様な顔の令嬢。そんな顔が出来るのも今のうちよ!今から目に物を見せてやるわ!
「証拠ならございますわ。ソフィー様、失礼しますね」
ソフィー様の胸に付いているブローチを取り外した。
「このブローチは、グラディス先生からお借りした、小型の映像型撮影機ですわ。取り付けてから約6時間、映像を自動で保存できますの。この映像を確認すれば、あなた達がソフィー様にした仕打ちも、しっかりと映っているはずですわ。先生、この映像を早速グラディス先生に頼んで、分析して頂けるかしら?」
近くにいた先生に、ブローチを渡した。
「わかった、すぐにグラディス先生に頼んで来よう」
ブローチを持って、走ってグラディス先生の研究室に向かう先生を見送った。そして、イジメた張本人たちは、真っ青な顔をして座り込んでいる。きっとこの子達、退学になるわね。でも、自業自得よ!それに、いい見せしめにもなるわ。これで、ソフィー様をイジメようとする輩はいなくなるだろう。
でも、散々ソフィー様をイジメていた私が、まさか別のイジメっこを退治するなんてね…
「いやぁ、ミレニアは本当に素晴らしいよ!まさかイジメの証拠をしっかりつかむなんて、さすがだね。増々見直したよ!」
そう言って馴れ馴れしく近づいてきたのは、バカ王太子だ。こいつの呑気な顔を見ていたら、さすがの私も堪忍袋の緒が切れた!
「何が“見直したよ”ですか!そもそも、あなたがソフィー様にちょっかいをかけなければ、こんな事にはならなかったのでしょう!それも私たちの婚約を解消したら、さっさとソフィー様を捨てて!私はソフィー様を真剣に愛しているあなたを見たから、2人の幸せを願って身を引いたのよ!それなのにソフィー様を捨てるなんて、本当にただの浮気者だったのね!がっかりだわ!これほどまでにソフィー様を傷付けたくせに、少しは悪いと思ったらどうなのよ!バカマシュー!!!!」
怒りに身を任せ、大きな声で王太子に向かって叫んだ。辺りは静まり返る。
しまった、さすがにバカマシューは無かったわね。不敬罪で捕まるかしら?それに、身を引いたなんてカッコいい事を言ったけれど、実際はさっさと別れてクラウド様と仲良くなりたかったのよね…
さすがに気まずくなって、叫んだ後下を向いてしまった。
その時だった。
パチパチパチ
何処からともなく拍手が沸き起こったのだ。その拍手は、次第に大きくなっていく。
「いいぞ、ミレニア嬢。その通りだ」
「ミレニア嬢は間違っていないぞ」
そんな声まで聞こえた。その様子に、さすがの王太子も何か思う事があった様で…
「ソフィー、俺の軽率な行動のせいで、君を傷付けてすまなかった。謝っても許される事ではないかもしれないが、謝らせてほしい」
そう言って、ソフィー様に深々と頭を下げたのだ。
「マシュー様、頭をお上げください。私こそ身分をわきまえず、マシュー様の優しさに甘えたのです。ご迷惑をおかけして、申し訳ございませんでした」
なぜかソフィー様まで謝っている。さらに私の方を向き直したソフィー様。
「ミレニア様、2年もの間あなたを苦しめたのに、私を助けていただきありがとうございます。ミレニア様はまるで聖母マリア様の様なお方ですわ!ミレニア様、こんな私ですが、一生付いて行かせてください。そうだわ、学院を卒業したら、ミレニア様の専属メイドに立候補いたしますわ。そうすれば、ずっと一緒にいられますものね」
なぜか物凄く目を輝かせたソフィー様に、両手を握られた。専属メイドって、そもそもあなたは他国の王女なのよ。メイドなんて、やらせられる訳がない。
「ミレニア、俺の事を叱ってくれてありがとう。やっぱり俺の様な人間は、君の様なしっかりした女性が合う様だ。一度は婚約を解消してしまったが、もう一度婚約を結び直す事も検討して欲しい!」
ソフィー様から私の手を奪い取った王太子に、なぜか両手を握られた。何なのよ、一体!
「ちょっとマシュー様、ミレニア様は私の大切な人ですよ。気軽に触るのはお止めください!」
「何を言っているんだ、ソフィー。彼女は未来の俺の妃だぞ!手を握るくらい当然だ。とにかく、さっさと第二王子と別れるんだ、ミレニア」
この王太子、いい加減にして欲しいわ。誰が未来の妃よ!いい加減頭にきて、文句を言おうとした時だった。
「王太子殿下、悪いがミレニアは僕の恋人です。あまり気安く触れないで頂きたい。それに、僕達は愛し合っておりますので、あなたの妃になる事ははっきり言ってないですよ」
サッと王太子から私の手を奪い取ると、すかさず腕の中に閉じ込めたクラウド様。皆が見ている前で、クラウド様に抱きしめられているわ!なんて幸せなのかしら?うっとりとクラウド様を見つめる。
「今はまだお前の恋人かもしれないが、未来はどうなるか分からないよ!ね、ミレニア」
そう言うと、何を思ったのか私の手をスーッと取り、口付けをした王太子。こいつは一体何を考えているのよ。隣でクラウド様が、口付けをされた手を必死になってハンカチで拭いている。
でもクラウド様、あまり擦ると痛いので、お止めください。そう言いたいが、さすがに言える雰囲気ではない…
「そろそろお弁当を食べないと、午後の授業に間に合わなくなるよ。せっかくだから、皆で食べよう!」
なぜか涼しい顔をした王太子の提案で、皆で校舎裏でご飯を食べる事にした。
「ソフィー様、お弁当をあの令嬢たちにグチャグチャにされてしまったでしょう。はい、これ食べて!」
ソフィー様にお弁当を半分渡した。
「良いのですか!ミレニア様。嬉しいですわ」
そう言って、嬉しそうに食べるソフィー様。そんな私たちのやり取りを見ていた他の令嬢が
「私のお弁当を食べて」
「私のも」
次々とお弁当の援助がやって来た。結局令嬢たち皆で、それぞれのお弁当をシェアする事にした。
ふとクラウド様の方を見ると、少し不貞腐れている様に見えたが、気のせいかしら?それにしても、皆でシェアするお弁当は、また格別に美味しいわ。それに、ソフィー様も笑顔にする事が出来たし!
嬉しそうにお弁当を頬張るソフィーを見て、嬉しくてたまらないミレニアであった。
~あとがき~
~ソフィーの問題が解決した日の放課後~
「ミレニア、君は少し色々な事に首を突っ込みすぎる様だ。もう少し大人しく出来ないかい?」
「お言葉ですがクラウド様、クラスメートが困っているのを、放っておけませんでしょう?」
「そうかもしれないが、これ以上無駄にライバルが増えるのは嫌なんだ!君は僕の恋人だろう?」
ライバル?首を傾げるミレニアをギューッと抱きしめるクラウド。
「とにかく、これ以上僕を心配させるのは止めてくれ!」
「よくわかりませんが、私が愛しているのはクラウド様ただ1人ですわ。安心してください!」
「ミレニア!僕が愛しているのもミレニアただ1人だよ!」
「クラウド様」
「ミレニア」
どちらともなく顔が近づく。もう少しで唇が触れる、その時だった!
「ミレニア様、こちらにいらしたのですね!一緒に帰りましょう!」
嬉しそうにこっちにやって来るのは、ソフィーだ。なぜか王太子も一緒に…
面倒な奴らが来た!だからミレニアにはあまり首を突っ込んで欲しくないんだ!
新たなライバル?出現で珍しく焦りを見せるクライドであった。
次回ソフィー視点です。
よろしくお願いしますm(__)m
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