13 / 124
第13話:どうやら懐かれてしまった様です
しおりを挟む
「ルージュ、おはよう。僕、今日から家庭教師が付く事になったんだ。だから…その…一緒に勉強したいのだけれど、いいかな?」
グレイソン様がお屋敷に来て早1ヶ月。なぜか私によく話しかける様になったグレイソン様。今日も朝食中にそんな事を言いだしたのだ。ちなみにすぐ隣で彼は食事をしている。
「あら?いいじゃない。ルージュもグレイソンと一緒にお勉強をしたら、きっとはかどるわよ」
お母様ったらまた勝手な事を。
「義母上もそうおっしゃってくれているし。それとも、僕と一緒じゃ嫌かい?」
グレイソン様が、悲しそうに私を見つめる。だから、そんな顔をしないでよ。ちなみに中庭に連れ出して以降、両親にも少しずつ心を開き始めたグレイソン様。お母様も最近では、彼を呼び捨てにしている。
“自分の息子に”様”なんておかしいものね“なんて言っていた。まあ、どうでもいいが。
「分かりましたわ。では、一緒にお勉強をしましょう」
「よかった。義父上、勉強後は稽古場で武術の方も進めたいのですが」
「その件なのだが、グレイソンはまだ完全に怪我が完治していない。怪我が治ってから武術を習ったらいいよ。今は体を休める事も大切だよ」
「でも…いいえ、何でもありません」
どうやらまだ、言い返す事までは出来ない様だ。悲しそうに俯くグレイソン様を見たお父様が
「グレイソンがそこまでやりたいのなら、軽い運動から始めよう。すぐに教師を手配しておこう。でも、無理はしないでくれよ」
「いいのですか?ありがとうございます」
口答えはしないが、悲しそうな顔という最大の武器を使うグレイソン様に、お父様もタジタジだ。ただ本人は、無意識でやっているのだろう。私もお母様もあの顔には弱いし、グレイソン様はある意味我が家で一番強いのかもしれない。
食事が終わると、早速お勉強開始だ。この人、3年もの間勉強を受ける機会を奪われていたのよね。私がしっかりフォローしてあげないと。
そう思っていたのだが…
「グレイソン様は素晴らしいですわ。こんなにも優秀か方は初めてです」
「いえ、先生の教え方が上手いのですよ」
「なんて謙虚なのでしょう。グレイソン様、次はこの問題を解いてみましょう」
なぜかとても優秀だったグレイソン様。この人、本当に3年のブランクがあるの?ある意味私より優秀な様な…それに先生の扱いもうまいし…
「ルージュ、どうしたのだい?この問題が分からないのかい?この問題はね、こうやって解くといいのだよ」
「まあ、本当ですわ。こうやって解くのですね。ありがとうございます」
…て、だからどうして私が教えられているのよ。そもそもあなた、1度目の生の時は、私に一切絡んでこなかったじゃない。いつも俯いていたし。
でも…嬉しそうに勉強をしているグレイソン様を見ていると、なんだか私も嬉しい。私は1度目の生の時、ひとつ屋根の下で生活していたのに、彼の事を何も知らなかったし知ろうともしなかった。
彼の抱えている闇も知らず。1度目の生の時、1人でいるグレイソン様によく話しかけていたヴァイオレット。きっと優しくされて嬉しかったのだろう。彼はこの家に馴染めていなかったから…
もしかするとあの女と出会う前に、彼の心を満たすことが出来れば、あの女に騙される事もないのかもしれない。そう考えると、私がグレイソン様と距離を置くのは逆効果なのでは?最近そう思いだしたのだ。
それになぜか私に懐いている様だし…
こうなったら私がグレイソン様と仲良くなって、あの女がグレイソン様に近づいてこない様に直接見張ろう。それが一番いい様な気がしたのだ。
「ルージュ、また難しい顔をしてどうしたのだい?」
「いいえ、何でもありませんわ。それにしてもグレイソン様は本当に優秀なのですね。もしかして、ずっとお勉強をしていたのですか?」
「叔父上の家にいた頃は、勉強なんてできなかったよ。ただ僕は、勉強が好きでね。両親がいた時に、たくさん勉強をしていたから、その時の記憶が残っているのだよ」
なんと!7歳までにかなりの情報を頭に入れていたという事か。
「それはすごいですわ。私もお勉強は嫌いではないのですが…まだまだですわね」
「ルージュ様も非常に優秀ですわ。ただ、グレイソン様が凄すぎるのです。今日はもうここまでにしておきましょうか」
あら?もう勉強の時間は終わったのね。
「ルージュ、午後は稽古場で稽古をする事になっているが、それまではゆっくりできるし、一緒に中庭に行こう」
私の手を握ると、グレイソン様が歩き出した。中庭に一緒に行って以来、天気がいい日は毎日中庭に行っているのだ。どうやらグレイソン様はお花が大好きな様で、私よりお花に詳しい事が分かった。
本当にこの人、変わったわね。
いや、もしかしら、この姿が本来の彼の姿なのかもしれない。
過去に戻った当初は、心のどこかでグレイソン様を恨んでいたこともあった。距離を置こうとして、四苦八苦したこともあったけれど、もう開き直る事にして、近くで彼を見守って行こうと思っている。
それに、彼の笑顔を守ってあげたい。そんな風に思っている。
どうやら私は、完全に彼に丸め込まれてしまった様だ。でも、まあいいか。
グレイソン様がお屋敷に来て早1ヶ月。なぜか私によく話しかける様になったグレイソン様。今日も朝食中にそんな事を言いだしたのだ。ちなみにすぐ隣で彼は食事をしている。
「あら?いいじゃない。ルージュもグレイソンと一緒にお勉強をしたら、きっとはかどるわよ」
お母様ったらまた勝手な事を。
「義母上もそうおっしゃってくれているし。それとも、僕と一緒じゃ嫌かい?」
グレイソン様が、悲しそうに私を見つめる。だから、そんな顔をしないでよ。ちなみに中庭に連れ出して以降、両親にも少しずつ心を開き始めたグレイソン様。お母様も最近では、彼を呼び捨てにしている。
“自分の息子に”様”なんておかしいものね“なんて言っていた。まあ、どうでもいいが。
「分かりましたわ。では、一緒にお勉強をしましょう」
「よかった。義父上、勉強後は稽古場で武術の方も進めたいのですが」
「その件なのだが、グレイソンはまだ完全に怪我が完治していない。怪我が治ってから武術を習ったらいいよ。今は体を休める事も大切だよ」
「でも…いいえ、何でもありません」
どうやらまだ、言い返す事までは出来ない様だ。悲しそうに俯くグレイソン様を見たお父様が
「グレイソンがそこまでやりたいのなら、軽い運動から始めよう。すぐに教師を手配しておこう。でも、無理はしないでくれよ」
「いいのですか?ありがとうございます」
口答えはしないが、悲しそうな顔という最大の武器を使うグレイソン様に、お父様もタジタジだ。ただ本人は、無意識でやっているのだろう。私もお母様もあの顔には弱いし、グレイソン様はある意味我が家で一番強いのかもしれない。
食事が終わると、早速お勉強開始だ。この人、3年もの間勉強を受ける機会を奪われていたのよね。私がしっかりフォローしてあげないと。
そう思っていたのだが…
「グレイソン様は素晴らしいですわ。こんなにも優秀か方は初めてです」
「いえ、先生の教え方が上手いのですよ」
「なんて謙虚なのでしょう。グレイソン様、次はこの問題を解いてみましょう」
なぜかとても優秀だったグレイソン様。この人、本当に3年のブランクがあるの?ある意味私より優秀な様な…それに先生の扱いもうまいし…
「ルージュ、どうしたのだい?この問題が分からないのかい?この問題はね、こうやって解くといいのだよ」
「まあ、本当ですわ。こうやって解くのですね。ありがとうございます」
…て、だからどうして私が教えられているのよ。そもそもあなた、1度目の生の時は、私に一切絡んでこなかったじゃない。いつも俯いていたし。
でも…嬉しそうに勉強をしているグレイソン様を見ていると、なんだか私も嬉しい。私は1度目の生の時、ひとつ屋根の下で生活していたのに、彼の事を何も知らなかったし知ろうともしなかった。
彼の抱えている闇も知らず。1度目の生の時、1人でいるグレイソン様によく話しかけていたヴァイオレット。きっと優しくされて嬉しかったのだろう。彼はこの家に馴染めていなかったから…
もしかするとあの女と出会う前に、彼の心を満たすことが出来れば、あの女に騙される事もないのかもしれない。そう考えると、私がグレイソン様と距離を置くのは逆効果なのでは?最近そう思いだしたのだ。
それになぜか私に懐いている様だし…
こうなったら私がグレイソン様と仲良くなって、あの女がグレイソン様に近づいてこない様に直接見張ろう。それが一番いい様な気がしたのだ。
「ルージュ、また難しい顔をしてどうしたのだい?」
「いいえ、何でもありませんわ。それにしてもグレイソン様は本当に優秀なのですね。もしかして、ずっとお勉強をしていたのですか?」
「叔父上の家にいた頃は、勉強なんてできなかったよ。ただ僕は、勉強が好きでね。両親がいた時に、たくさん勉強をしていたから、その時の記憶が残っているのだよ」
なんと!7歳までにかなりの情報を頭に入れていたという事か。
「それはすごいですわ。私もお勉強は嫌いではないのですが…まだまだですわね」
「ルージュ様も非常に優秀ですわ。ただ、グレイソン様が凄すぎるのです。今日はもうここまでにしておきましょうか」
あら?もう勉強の時間は終わったのね。
「ルージュ、午後は稽古場で稽古をする事になっているが、それまではゆっくりできるし、一緒に中庭に行こう」
私の手を握ると、グレイソン様が歩き出した。中庭に一緒に行って以来、天気がいい日は毎日中庭に行っているのだ。どうやらグレイソン様はお花が大好きな様で、私よりお花に詳しい事が分かった。
本当にこの人、変わったわね。
いや、もしかしら、この姿が本来の彼の姿なのかもしれない。
過去に戻った当初は、心のどこかでグレイソン様を恨んでいたこともあった。距離を置こうとして、四苦八苦したこともあったけれど、もう開き直る事にして、近くで彼を見守って行こうと思っている。
それに、彼の笑顔を守ってあげたい。そんな風に思っている。
どうやら私は、完全に彼に丸め込まれてしまった様だ。でも、まあいいか。
739
あなたにおすすめの小説
【完結】もう誰にも恋なんてしないと誓った
Mimi
恋愛
声を出すこともなく、ふたりを見つめていた。
わたしにとって、恋人と親友だったふたりだ。
今日まで身近だったふたりは。
今日から一番遠いふたりになった。
*****
伯爵家の後継者シンシアは、友人アイリスから交際相手としてお薦めだと、幼馴染みの侯爵令息キャメロンを紹介された。
徐々に親しくなっていくシンシアとキャメロンに婚約の話がまとまり掛ける。
シンシアの誕生日の婚約披露パーティーが近付いた夏休み前のある日、シンシアは急ぐキャメロンを見掛けて彼の後を追い、そして見てしまった。
お互いにただの幼馴染みだと口にしていた恋人と親友の口づけを……
* 無自覚の上から目線
* 幼馴染みという特別感
* 失くしてからの後悔
幼馴染みカップルの当て馬にされてしまった伯爵令嬢、してしまった親友視点のお話です。
中盤は略奪した親友側の視点が続きますが、当て馬令嬢がヒロインです。
本編完結後に、力量不足故の幕間を書き加えており、最終話と重複しています。
ご了承下さいませ。
他サイトにも公開中です
初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
三年の想いは小瓶の中に
月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
幼なじみと再会したあなたは、私を忘れてしまった。
クロユキ
恋愛
街の学校に通うルナは同じ同級生のルシアンと交際をしていた。同じクラスでもあり席も隣だったのもあってルシアンから交際を申し込まれた。
そんなある日クラスに転校生が入って来た。
幼い頃一緒に遊んだルシアンを知っている女子だった…その日からルナとルシアンの距離が離れ始めた。
誤字脱字がありますが、読んでもらえたら嬉しいです。
更新不定期です。
よろしくお願いします。
元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち
せいめ
恋愛
侯爵令嬢のアンネマリーは流行り病で生死を彷徨った際に、前世の記憶を思い出す。前世では地球の日本という国で、婚活に勤しむアラサー女子の杏奈であった自分を。
病から回復し、今まで家や家族の為に我慢し、貴族令嬢らしく過ごしてきたことがバカらしくなる。
また、自分を蔑ろにする婚約者の存在を疑問に感じる。
「あんな奴と結婚なんて無理だわー。」
無事に婚約を解消し、自分らしく生きていこうとしたところであったが、不慮の事故で亡くなってしまう。
そして、死んだはずのアンネマリーは、また違う人物にまた生まれ変わる。アンネマリーの記憶は殆ど無く、杏奈の記憶が強く残った状態で。
生まれ変わったのは、アンネマリーが亡くなってすぐ、アンネマリーの従姉妹のマリーベルとしてだった。
マリーベルはアンネマリーの記憶がほぼ無いので気付かないが、見た目だけでなく言動や所作がアンネマリーにとても似ていることで、かつての家族や親族、友人が興味を持つようになる。
「従姉妹だし、多少は似ていたっておかしくないじゃない。」
三度目の人生はどうなる⁈
まずはアンネマリー編から。
誤字脱字、お許しください。
素人のご都合主義の小説です。申し訳ありません。
【完結】嫌われ令嬢、部屋着姿を見せてから、王子に溺愛されてます。
airria
恋愛
グロース王国王太子妃、リリアナ。勝ち気そうなライラックの瞳、濡羽色の豪奢な巻き髪、スレンダーな姿形、知性溢れる社交術。見た目も中身も次期王妃として完璧な令嬢であるが、夫である王太子のセイラムからは忌み嫌われていた。
どうやら、セイラムの美しい乳兄妹、フリージアへのリリアナの態度が気に食わないらしい。
2ヶ月前に婚姻を結びはしたが、初夜もなく冷え切った夫婦関係。結婚も仕事の一環としか思えないリリアナは、セイラムと心が通じ合わなくても仕方ないし、必要ないと思い、王妃の仕事に邁進していた。
ある日、リリアナからのいじめを訴えるフリージアに泣きつかれたセイラムは、リリアナの自室を電撃訪問。
あまりの剣幕に仕方なく、部屋着のままで対応すると、なんだかセイラムの様子がおかしくて…
あの、私、自分の時間は大好きな部屋着姿でだらけて過ごしたいのですが、なぜそんな時に限って頻繁に私の部屋にいらっしゃるの?
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる