前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません

Karamimi

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第15話:王宮のお菓子も美味しいです

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「それじゃあ、俺の事…その…」

 なにやら急にモジモジとしだしたのだ。それでもダンスはしっかり踊っているが。

「どうかされましたか?もしかして、ご気分でも優れないのですか?」

「いや、そうではなくて、その…」

 ちょうど音楽が終わったのだ。

「アレック、ソフィーナ、お疲れ様。ソフィーナ、疲れただろう。少し休もう」

 私たちの元にやって来たのは、お兄様だ。確かに少し疲れた。

「アレック様、一緒にダンスを踊って下さり、ありがとうございました。とても楽しかったですわ。また踊ってくださいね」

「ああ、もちろんだよ。その…今度またどこかにお出掛けでも…」

「アレック、また今度、俺と一緒に出掛けような。それじゃあまた」

「おい、ソリティオ!君ってやつは…」

 何やらアレック様が叫んでいるが、お兄様は私の手を握るとスタスタと歩き出したのだ。

「全くどいつもこいつも、油断も隙もありゃしない。ソフィーナ、こっちにおいで。ジュースを持ってきたから、一緒に飲もう。いいかい?これからは俺から離れてはいけないよ。いいね、分かったね」

「ええ、分かりましたわ。これからはお食事タイムですね」

 運動の後は、腹ごしらえだ。沢山動いたから、沢山食べてもいいわよね。早速美味しそうなお菓子を頂こう。

 目の前には、宝石のような美しいお菓子たちが並んでいる。どれも美味しそうだ。どれから食べようか悩んでしまう。あぁ、あれも美味しそうだし、これも美味しそうだわ。でも、こんなにたくさん食べられないし。どうしよう…

「ソフィーナ嬢、このお菓子が一番お勧めだよ。僕が取ってあげるね」

「まあ、ご丁寧にありがとうございます…て、殿下!」

 いつの間にか私の隣に来ていたのは、なんとファラオ殿下だ。

「はい、どうぞ」

「ありがとうございます。なんて美味しそうなのかしら?」

 笑顔でお菓子の乗ったお皿を殿下が渡してくれたのだ。どれも美味しそうなものばかりで、つい頬が緩む。早速1口。

「なんて美味しいのかしら?ほっぺたが落ちそうだわ。こんなに美味しいお菓子が食べられるだなんて、本当に幸せね~」

 あまりの美味しさに、顔が増々緩む。

「そんなに美味しいのなら、このお菓子も…」

「ファラオ、気を使ってくれてありがとう。でも、俺たちの事はもういいから、ソラ嬢のところに行ってあげたらどうだい?」

「ソラ嬢と僕は、そんな関係では…」

「お兄様の言う通りですわ。私どもの事はお気遣いいただかなくて大丈夫なので、愛するソラ様の元に行って差し上げて下さい。きっと今頃、殿下がいなくて不安がっていらっしゃいますわ」

 愛する人が、他の女の菓子の世話を焼いている姿なんて、見たくないだろう。そう思い、殿下にそう伝えた。

「だから僕とソラ嬢は…」

「ほら、ファラオ、俺たちの事はいいから。ソラ嬢があそこで待っているよ。行ってあげなよ」

 それでも動こうとしないファラオ殿下の背中を、お兄様が押してあげた。私も笑顔で手を振る。私達の事は、気にしなくてもいいからね。そんな思いを込めて。

 ただ、それでもソラ様の元に行こうとしないのだ。もしかして、殿下はお菓子が食べたいのかしら?

「殿下、申し訳ございません。殿下はお菓子が食べたかったのですね。そうとも知らずに私ったら。私どもは退散しますので、どうかじっくりソラ様とお菓子を堪能してください。お兄様、邪魔者は退散しましょう」

「そうだね、それじゃあファラオ、お菓子を思う存分楽しんでね」

「ソリティオ!君ってやつは」

 なぜか笑っているお兄様に対し、殿下はお兄様を睨んでいる。何かいけない事を言ったかしら?訳が分からず、首をかしげる。

「さあ、ソフィーナ。ファラオのお菓子選びの邪魔をしては大変だ。俺たちはもう行こう。それじゃあね」

「ソリティオ!僕はお菓子を求めて来た訳ではなく…」

 後ろで殿下が何やら訴えていたが、途中で言うのをやめてしまったから、まあいいか。

 その後お兄様と一緒に、持ってきたお菓子を頂く。

「お兄様、このお菓子、とても美味しいですわ。はい、アーンしてください」

「本当だ。美味しいね。こっちも美味しいよ。はい、口をあけて」

 こんな風に兄妹で食べさせあいっこが出来るだなんて。お兄様との仲も完全に回復出来た証拠ね。それにしても、王宮のお菓子もとっても美味しいわ。
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