1 / 12
第1話:息苦しい世界です
しおりを挟む
「ラドル様、本当にあんな女とこのまま結婚をしてしまうのかしら?」
「そうよね、あの女には、ラドル様は勿体ないわ。お可哀そうに、さっきもあの女の傍に寄り添っていらしたわ。やはり親同士が決めた結婚なんて、悲劇でしかないわよね」
「でもまさか、あの女が我が儘で傲慢で、ラドル様を振り回していただなんて…大人しそうな顔をして、恐ろしい女ね」
「「「本当ね」」」
今日も令嬢たちが、私の悪口で話に花を咲かせている。私、アントアーネ・ディーストンは、貴族学院3年の15歳。半年後には貴族学院を卒業し、婚約者のラドル様と結婚する事が決まっている。
でも…
「私だって、ラドル様と結婚なんてしたくないわ…あんな恐ろしい男となんて…」
はぁっとため息をつき、その場に座り込んだ。私とラドル様が婚約を結んだのは、今から5年前、お互い10歳の時だった。元々ラドル様とは幼馴染だった。
お互い伯爵家の人間という事もあり、爵位的にも問題なかったことから、親同士が決めた婚約だった。正直私は、ラドル様と婚約できた時、天にも昇る様な気持ちだった。
私はずっと、優しくていつも私に寄り添っていてくれるラドル様が大好きだったのだ。大好きなラドル様と結婚できる、それが嬉しくてたまらなかった。
それからというもの、私はラドル様に好きになってもらうため、勉学もマナーのレッスンも、今まで以上に力を入れた。令嬢たちとも積極的に交流を持った。
私がラドル様と結婚した時、少しでも彼の力になれる様に。そんな思いで頑張って来たのだ。
そのお陰か、ラドル様との仲も良好、令嬢たちともよい関係を築け、毎日楽しい日々を送っていた。親友と思える令嬢も出来たのだ。
それは貴族学院に入ってからも、変わらなかった。ただ、元々美しく優秀だったラドル様は、令嬢たちから人気が高く、不安に思う事もあった。
それでも私に寄り添ってくれるラドル様が大好きで、もっと認められる様に頑張った。幸いクラスの令嬢たちとの仲も良好で、皆が私を支えてくれたのだ。
毎日が楽しくて幸せだった。この幸せがずっと続く、そう思っていた。
でも…
1年前、私が貴族学院2年生の時から、急に私に関する悪い噂が流れだしたのだ。
ラドル様という婚約者がいるのに、他の令息とも関係を持っている。
令嬢たちのよくない噂を流している。さらに酷い悪口を言っている。
ラドル様に酷い態度をとって、彼を傷つけ苦しめているなどなど
あげたらきりがないほど、酷い噂の数々。
最初は信じていなかった令嬢たちも、実際私が彼女たちの酷い噂を流していると耳にしてから、少しずつ離れていった。事実無根と何度訴えても、皆信じてくれず、離れていってしまったのだ。
辛くて悲しくて、胸が押しつぶされそうだった。誰も私の事なんて信じてくれない。それが辛くてたまらなかった。
そんな中でも、ラドル様は
“僕はアントアーネを信じるよ。だから泣かないで。僕はずっと傍にいるから”
そう言ってくれたのだ。その言葉通り、ラドル様はずっと私の傍に居続けてくれた。ラドル様だけは、ずっと私の傍にいてくれる。それが嬉しくてたまらなくて、増々私はラドル様を大切にするようになった。
でも、ラドル様が私の傍にいてくれればくれるほどに、悪い噂はどんどん増すばかり。私の評価は、地に落ちた。
それでも私には、ラドル様がいてくれる、そう思っていた。
そんな中半年前、私はある事実を知ってしまったのだ。
私の悪い噂を流していたのは、なんとラドル様だったのだ。ラドル様がどうやらお金で雇った貧乏な貴族たちを使い、私の悪い噂を流す様指示を出している姿を目撃してしまったのだ。
頭を鈍器で殴られたような衝撃は、今でも覚えている。あまりのショックに、私はその後、数日間原因不明の高熱に襲われるほどだった。
そうとは知らず、ラドル様は毎日お見舞いに来てくれたのだ。その笑顔も、私にかける優しい言葉も、全て嘘…
そう気が付いた瞬間、私の中で全てが崩れ落ちた。
あの日私の心は、完全に壊れてしまったのだった。
~あとがき~
新連載始めました。
よろしくお願いします。
「そうよね、あの女には、ラドル様は勿体ないわ。お可哀そうに、さっきもあの女の傍に寄り添っていらしたわ。やはり親同士が決めた結婚なんて、悲劇でしかないわよね」
「でもまさか、あの女が我が儘で傲慢で、ラドル様を振り回していただなんて…大人しそうな顔をして、恐ろしい女ね」
「「「本当ね」」」
今日も令嬢たちが、私の悪口で話に花を咲かせている。私、アントアーネ・ディーストンは、貴族学院3年の15歳。半年後には貴族学院を卒業し、婚約者のラドル様と結婚する事が決まっている。
でも…
「私だって、ラドル様と結婚なんてしたくないわ…あんな恐ろしい男となんて…」
はぁっとため息をつき、その場に座り込んだ。私とラドル様が婚約を結んだのは、今から5年前、お互い10歳の時だった。元々ラドル様とは幼馴染だった。
お互い伯爵家の人間という事もあり、爵位的にも問題なかったことから、親同士が決めた婚約だった。正直私は、ラドル様と婚約できた時、天にも昇る様な気持ちだった。
私はずっと、優しくていつも私に寄り添っていてくれるラドル様が大好きだったのだ。大好きなラドル様と結婚できる、それが嬉しくてたまらなかった。
それからというもの、私はラドル様に好きになってもらうため、勉学もマナーのレッスンも、今まで以上に力を入れた。令嬢たちとも積極的に交流を持った。
私がラドル様と結婚した時、少しでも彼の力になれる様に。そんな思いで頑張って来たのだ。
そのお陰か、ラドル様との仲も良好、令嬢たちともよい関係を築け、毎日楽しい日々を送っていた。親友と思える令嬢も出来たのだ。
それは貴族学院に入ってからも、変わらなかった。ただ、元々美しく優秀だったラドル様は、令嬢たちから人気が高く、不安に思う事もあった。
それでも私に寄り添ってくれるラドル様が大好きで、もっと認められる様に頑張った。幸いクラスの令嬢たちとの仲も良好で、皆が私を支えてくれたのだ。
毎日が楽しくて幸せだった。この幸せがずっと続く、そう思っていた。
でも…
1年前、私が貴族学院2年生の時から、急に私に関する悪い噂が流れだしたのだ。
ラドル様という婚約者がいるのに、他の令息とも関係を持っている。
令嬢たちのよくない噂を流している。さらに酷い悪口を言っている。
ラドル様に酷い態度をとって、彼を傷つけ苦しめているなどなど
あげたらきりがないほど、酷い噂の数々。
最初は信じていなかった令嬢たちも、実際私が彼女たちの酷い噂を流していると耳にしてから、少しずつ離れていった。事実無根と何度訴えても、皆信じてくれず、離れていってしまったのだ。
辛くて悲しくて、胸が押しつぶされそうだった。誰も私の事なんて信じてくれない。それが辛くてたまらなかった。
そんな中でも、ラドル様は
“僕はアントアーネを信じるよ。だから泣かないで。僕はずっと傍にいるから”
そう言ってくれたのだ。その言葉通り、ラドル様はずっと私の傍に居続けてくれた。ラドル様だけは、ずっと私の傍にいてくれる。それが嬉しくてたまらなくて、増々私はラドル様を大切にするようになった。
でも、ラドル様が私の傍にいてくれればくれるほどに、悪い噂はどんどん増すばかり。私の評価は、地に落ちた。
それでも私には、ラドル様がいてくれる、そう思っていた。
そんな中半年前、私はある事実を知ってしまったのだ。
私の悪い噂を流していたのは、なんとラドル様だったのだ。ラドル様がどうやらお金で雇った貧乏な貴族たちを使い、私の悪い噂を流す様指示を出している姿を目撃してしまったのだ。
頭を鈍器で殴られたような衝撃は、今でも覚えている。あまりのショックに、私はその後、数日間原因不明の高熱に襲われるほどだった。
そうとは知らず、ラドル様は毎日お見舞いに来てくれたのだ。その笑顔も、私にかける優しい言葉も、全て嘘…
そう気が付いた瞬間、私の中で全てが崩れ落ちた。
あの日私の心は、完全に壊れてしまったのだった。
~あとがき~
新連載始めました。
よろしくお願いします。
84
あなたにおすすめの小説
私は彼に選ばれなかった令嬢。なら、自分の思う通りに生きますわ
みゅー
恋愛
私の名前はアレクサンドラ・デュカス。
婚約者の座は得たのに、愛されたのは別の令嬢。社交界の噂に翻弄され、命の危険にさらされ絶望の淵で私は前世の記憶を思い出した。
これは、誰かに決められた物語。ならば私は、自分の手で運命を変える。
愛も権力も裏切りも、すべて巻き込み、私は私の道を生きてみせる。
毎日20時30分に投稿
婚約解消したら後悔しました
せいめ
恋愛
別に好きな人ができた私は、幼い頃からの婚約者と婚約解消した。
婚約解消したことで、ずっと後悔し続ける令息の話。
ご都合主義です。ゆるい設定です。
誤字脱字お許しください。
〈完結〉だってあなたは彼女が好きでしょう?
ごろごろみかん。
恋愛
「だってあなたは彼女が好きでしょう?」
その言葉に、私の婚約者は頷いて答えた。
「うん。僕は彼女を愛している。もちろん、きみのことも」
【完結】よりを戻したいですって? ごめんなさい、そんなつもりはありません
ノエル
恋愛
ある日、サイラス宛に同級生より手紙が届く。中には、婚約破棄の原因となった事件の驚くべき真相が書かれていた。
かつて侯爵令嬢アナスタシアは、誠実に婚約者サイラスを愛していた。だが、サイラスは男爵令嬢ユリアに心を移していた、
卒業パーティーの夜、ユリアに無実の罪を着せられてしまったアナスタシア。怒ったサイラスに婚約破棄されてしまう。
ユリアの主張を疑いもせず受け入れ、アナスタシアを糾弾したサイラス。
後で真実を知ったからと言って、今さら現れて「結婚しよう」と言われても、答えは一つ。
「 ごめんなさい、そんなつもりはありません」
アナスタシアは失った名誉も、未来も、自分の手で取り戻す。一方サイラスは……。
幼馴染と仲良くし過ぎている婚約者とは婚約破棄したい!
ルイス
恋愛
ダイダロス王国の侯爵令嬢であるエレナは、リグリット公爵令息と婚約をしていた。
同じ18歳ということで話も合い、仲睦まじいカップルだったが……。
そこに現れたリグリットの幼馴染の伯爵令嬢の存在。リグリットは幼馴染を優先し始める。
あまりにも度が過ぎるので、エレナは不満を口にするが……リグリットは今までの優しい彼からは豹変し、権力にものを言わせ、エレナを束縛し始めた。
「婚約破棄なんてしたら、どうなるか分かっているな?」
その時、エレナは分かってしまったのだ。リグリットは自分の侯爵令嬢の地位だけにしか興味がないことを……。
そんな彼女の前に現れたのは、幼馴染のヨハン王子殿下だった。エレナの状況を理解し、ヨハンは動いてくれることを約束してくれる。
正式な婚約破棄の申し出をするエレナに対し、激怒するリグリットだったが……。
天然と言えば何でも許されると思っていませんか
今川幸乃
恋愛
ソフィアの婚約者、アルバートはクラスの天然女子セラフィナのことばかり気にしている。
アルバートはいつも転んだセラフィナを助けたり宿題を忘れたら見せてあげたりとセラフィナのために行動していた。
ソフィアがそれとなくやめて欲しいと言っても、「困っているクラスメイトを助けるのは当然だ」と言って聞かず、挙句「そんなことを言うなんてがっかりだ」などと言い出す。
あまり言い過ぎると自分が悪女のようになってしまうと思ったソフィアはずっともやもやを抱えていたが、同じくクラスメイトのマクシミリアンという男子が相談に乗ってくれる。
そんな時、ソフィアはたまたまセラフィナの天然が擬態であることを発見してしまい、マクシミリアンとともにそれを指摘するが……
貴方が選んだのは全てを捧げて貴方を愛した私ではありませんでした
ましゅぺちーの
恋愛
王国の名門公爵家の出身であるエレンは幼い頃から婚約者候補である第一王子殿下に全てを捧げて生きてきた。
彼を数々の悪意から守り、彼の敵を排除した。それも全ては愛する彼のため。
しかし、王太子となった彼が最終的には選んだのはエレンではない平民の女だった。
悲しみに暮れたエレンだったが、家族や幼馴染の公爵令息に支えられて元気を取り戻していく。
その一方エレンを捨てた王太子は着々と破滅への道を進んでいた・・・
諦めた令嬢と悩んでばかりの元婚約者
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
愛しい恋人ができた僕は、婚約者アリシアに一方的な婚約破棄を申し出る。
どんな態度をとられても仕方がないと覚悟していた。
だが、アリシアの態度は僕の想像もしていなかったものだった。
短編。全6話。
※女性たちの心情描写はありません。
彼女たちはどう考えてこういう行動をしたんだろう?
と、考えていただくようなお話になっております。
※本作は、私の頭のストレッチ作品第一弾のため感想欄は開けておりません。
(投稿中は。最終話投稿後に開けることを考えております)
※1/14 完結しました。
感想欄を開けさせていただきます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、
いただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる