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第30話:グラディオンの想い
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騎士団に再入団して早半年が過ぎた。この半年、毎日が夢の様な日々を送っている。夜会も月に1回のペースで出ている。
またシャーロン様に絡まれたらどうしよう、そう思っていたが、今のところ私が出ている夜会にはグラディオンも出ている為、シャーロン様に絡まれることはない。
というよりも、シャーロン様が近づいてくると、すぐにグラディオンが追い払ってくれるのだ。
どうやらシャーロン様は、グラディオンが怖い様で、グラディオンを睨みつけながら去っていく。まあ、今のグラディオンには、逆立ちしても勝てないものね。
ちなみに…半年たった今でも、私もグラディオンには全く歯が立たない。一体どこまで強くなったのかしら?あの人。
ただでさえ強いのに、まだ皆よりも厳しい訓練を行っているのだから、本当に嫌になるわ。これじゃあ、いつまでたってもグラディオンに勝つどころか、追いつく事すら出来ないじゃない。
「ジャンヌ、今日は自主練習はどうするんだ?もしするなら、俺も付き合うぞ」
グラディオンが話しかけて来た。私は怪我の一件以降、あまり無理をしない様に、自主練習は出来る範囲で行っているのだ。
「今日は少しだけやってから帰ろうと思っているの。最近ちょっと無理をしすぎて、肩がちょっと痛くて」
「肩が痛いとはどういうことだ?どうして痛みがあるのに黙っていたんだ?今日はもう家に帰った方がいい」
相変わらず心配性なグラディオンね。
「大丈夫よ。昨日医者にも見てもらったから。特に問題ない様よ。だから…」
「いいや、今日はもう帰った方がいい。無理をして悪化したら大変だろう?肩の調子が良くなったら、またいつでも練習をすればいい。ほら、帰るぞ」
私の手を引き、グラディオンが歩き出した。相変わらず私の事を女として見ていない様で、平気で手を握ったり頭を撫でたりするのだ。
まあ、いいけれどね…
「ほら、馬車に着いたぞ。いいか、まっすぐ家に帰るんだぞ。心配だから、俺が家まで送ってやろうか?もう少し早かったら、ディーノたちと一緒に帰れたのにな」
朝はよくお父様とディーノと一緒に来ているが、帰りは別々の事が多いのだ。もうお父様とディーノは帰ってしまった様だ。
「私1人で大丈夫よ。それじゃあ、帰るわね。また明日」
馬車に乗り込み、見送ってくれるグラディオンに手を振った。笑顔でグラディオンが手を振り返してくれる。きっとこの後、グラディオンは1人自主練習をするのだろう。
あの人、どこまで強くなるつもりかしら?本当にどんどん引き離されていくじゃない。こうなったら、お父様を相手に家で自主練習をしようかしら?でも、あまり無理をすると、お母様が怒るのだ。
「ジャンヌは令嬢なのよ。無理をして痕が残る様な怪我をしたらどうするの?」
そう言うのだ。令嬢だろうが令息だろうが、痕が残る怪我をしたら大変な事だと思うのだが。お母様は、すぐにそうやって“あなたは令嬢だから”というのだ。
本当にお母様は…
そんな事を考えているうちに、屋敷に着いた。今日も疲れたわ。すぐに湯あみをして…て、大変、大切なトレーニング用品を忘れてきてしまったわ。あれがないと、夜のトレーニングが出来ない。
いつもは家用に置いてあるトレーニング用品を、今日はたまたま騎士団に持って行ってしまったのだ。急いで取りに行かないと!
部屋から出て玄関へと向かう。すると
「あら、ジャンヌ。まだ着替えていなかったの?もうすぐ晩御飯よ。早く着替えていらっしゃい」
「お母様、ちょっと今から騎士団に行って参りますわ。大切なトレーニング用品を忘れてきてしまって」
「トレーニング用品なら、沢山持っているじゃない。お父様やディーノから借りてもいいし。明日にしたら?」
「あれじゃないとダメなのです。すぐに戻ってきますから」
急いで馬車に乗り込み、騎士団を目指した。そして騎士団に着くと、すぐに稽古場へと向かう。
「あったわ。私ったらこんな大切な物を、騎士団に忘れてくるだなんて。やっぱり持ち歩くのは良くないわね」
トレーニング用品を回収すると、そのまま稽古場を後にしようとしたのだが。
「あら、灯りが付いているわ。もしかして、まだグラディオンが1人で稽古をしているのかしら?もう、いくら何でも頑張りすぎよ。私にはさっさと帰れと言ったくせに。一言文句を言ってやるわ」
灯りがともっている方へ向かって歩いていく、すると…
「グラディオン、いつまで気持ちを隠しておくつもだい?ジャンヌは今、フリーだ。いい加減、気持ちを伝えたらどうだ?お前、ジャンヌの事がずっと好きだったのだろう?」
この声は、副騎士隊長?
「確かに俺は、ジャンヌが好きだ。今も昔も、この気持ちが色あせる事はない。でも…ジャンヌは今騎士団に戻れて、物凄く幸せそうなんだよ。ジャンヌにとって、騎士団は大切な居場所だ。それにジャンヌは、俺の事を男として見ていない。そんな俺が気持ちを伝えたら、ジャンヌはどう思う?きっと混乱し、困惑するだろう」
「確かにそうかもしれないが、それじゃあいつまでたっても、ジャンヌと婚約は出来ないぞ。騎士団長だって、グラディオンにならジャンヌをやってもいいと言ってくれているのだろう?だったら…」
何を話しているの?お父様が私を、グラディオンにやってもいい?グラディオンは私の事が好き?
嘘…
またシャーロン様に絡まれたらどうしよう、そう思っていたが、今のところ私が出ている夜会にはグラディオンも出ている為、シャーロン様に絡まれることはない。
というよりも、シャーロン様が近づいてくると、すぐにグラディオンが追い払ってくれるのだ。
どうやらシャーロン様は、グラディオンが怖い様で、グラディオンを睨みつけながら去っていく。まあ、今のグラディオンには、逆立ちしても勝てないものね。
ちなみに…半年たった今でも、私もグラディオンには全く歯が立たない。一体どこまで強くなったのかしら?あの人。
ただでさえ強いのに、まだ皆よりも厳しい訓練を行っているのだから、本当に嫌になるわ。これじゃあ、いつまでたってもグラディオンに勝つどころか、追いつく事すら出来ないじゃない。
「ジャンヌ、今日は自主練習はどうするんだ?もしするなら、俺も付き合うぞ」
グラディオンが話しかけて来た。私は怪我の一件以降、あまり無理をしない様に、自主練習は出来る範囲で行っているのだ。
「今日は少しだけやってから帰ろうと思っているの。最近ちょっと無理をしすぎて、肩がちょっと痛くて」
「肩が痛いとはどういうことだ?どうして痛みがあるのに黙っていたんだ?今日はもう家に帰った方がいい」
相変わらず心配性なグラディオンね。
「大丈夫よ。昨日医者にも見てもらったから。特に問題ない様よ。だから…」
「いいや、今日はもう帰った方がいい。無理をして悪化したら大変だろう?肩の調子が良くなったら、またいつでも練習をすればいい。ほら、帰るぞ」
私の手を引き、グラディオンが歩き出した。相変わらず私の事を女として見ていない様で、平気で手を握ったり頭を撫でたりするのだ。
まあ、いいけれどね…
「ほら、馬車に着いたぞ。いいか、まっすぐ家に帰るんだぞ。心配だから、俺が家まで送ってやろうか?もう少し早かったら、ディーノたちと一緒に帰れたのにな」
朝はよくお父様とディーノと一緒に来ているが、帰りは別々の事が多いのだ。もうお父様とディーノは帰ってしまった様だ。
「私1人で大丈夫よ。それじゃあ、帰るわね。また明日」
馬車に乗り込み、見送ってくれるグラディオンに手を振った。笑顔でグラディオンが手を振り返してくれる。きっとこの後、グラディオンは1人自主練習をするのだろう。
あの人、どこまで強くなるつもりかしら?本当にどんどん引き離されていくじゃない。こうなったら、お父様を相手に家で自主練習をしようかしら?でも、あまり無理をすると、お母様が怒るのだ。
「ジャンヌは令嬢なのよ。無理をして痕が残る様な怪我をしたらどうするの?」
そう言うのだ。令嬢だろうが令息だろうが、痕が残る怪我をしたら大変な事だと思うのだが。お母様は、すぐにそうやって“あなたは令嬢だから”というのだ。
本当にお母様は…
そんな事を考えているうちに、屋敷に着いた。今日も疲れたわ。すぐに湯あみをして…て、大変、大切なトレーニング用品を忘れてきてしまったわ。あれがないと、夜のトレーニングが出来ない。
いつもは家用に置いてあるトレーニング用品を、今日はたまたま騎士団に持って行ってしまったのだ。急いで取りに行かないと!
部屋から出て玄関へと向かう。すると
「あら、ジャンヌ。まだ着替えていなかったの?もうすぐ晩御飯よ。早く着替えていらっしゃい」
「お母様、ちょっと今から騎士団に行って参りますわ。大切なトレーニング用品を忘れてきてしまって」
「トレーニング用品なら、沢山持っているじゃない。お父様やディーノから借りてもいいし。明日にしたら?」
「あれじゃないとダメなのです。すぐに戻ってきますから」
急いで馬車に乗り込み、騎士団を目指した。そして騎士団に着くと、すぐに稽古場へと向かう。
「あったわ。私ったらこんな大切な物を、騎士団に忘れてくるだなんて。やっぱり持ち歩くのは良くないわね」
トレーニング用品を回収すると、そのまま稽古場を後にしようとしたのだが。
「あら、灯りが付いているわ。もしかして、まだグラディオンが1人で稽古をしているのかしら?もう、いくら何でも頑張りすぎよ。私にはさっさと帰れと言ったくせに。一言文句を言ってやるわ」
灯りがともっている方へ向かって歩いていく、すると…
「グラディオン、いつまで気持ちを隠しておくつもだい?ジャンヌは今、フリーだ。いい加減、気持ちを伝えたらどうだ?お前、ジャンヌの事がずっと好きだったのだろう?」
この声は、副騎士隊長?
「確かに俺は、ジャンヌが好きだ。今も昔も、この気持ちが色あせる事はない。でも…ジャンヌは今騎士団に戻れて、物凄く幸せそうなんだよ。ジャンヌにとって、騎士団は大切な居場所だ。それにジャンヌは、俺の事を男として見ていない。そんな俺が気持ちを伝えたら、ジャンヌはどう思う?きっと混乱し、困惑するだろう」
「確かにそうかもしれないが、それじゃあいつまでたっても、ジャンヌと婚約は出来ないぞ。騎士団長だって、グラディオンにならジャンヌをやってもいいと言ってくれているのだろう?だったら…」
何を話しているの?お父様が私を、グラディオンにやってもいい?グラディオンは私の事が好き?
嘘…
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