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第28話:クラシエ様に嫌われている?
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いつもの様に馬車に乗り込み、学院を目指す。学院に着くと、なぜかライアンが待っていた。
「おはよう、ライアン。どうしたの?こんなところで」
「どうしたのもこうしたのもないだろう。昨日の今日でお前がまたお妃候補に名乗りを上げている令嬢たちに絡まれないか心配で、様子を見に来たんだ。それより、ネックレスは付けているんだろうな?」
「うるさいわね。ほら、付けているわよ」
首にかかっているネックレスをライアンに見せた。
「それなら良かった。絶対に外すなよ。お前はすぐにそこらへんに置いておくからな…」
「分かっているわよ。失礼ね。それよりも令嬢たちの事だけれど、今日にでも抗議文を送るとお父様が言っていたわ。もう私に何かしてくることはないと思うわ」
「それならいいけれど…とにかく、お前はなぜか王太子殿下に気に入られている様だ。いいな、あまりウロウロとするなよ。それに、昨日あれだけ目立っていたんだ。お前を手に入れるため、誘拐を企てる輩がまた現れるかもしれないからな」
私の耳元でギャーギャー騒ぐライアン。いつまでも子ども扱いして!でも、それだけ心配してくれているという事なのだろう。ライアンったら、いつも私の心配ばかりして…
「ありがとう、ライアン。でも、私は大丈夫よ。さあ、教室に行きましょう」
ライアンと一緒に教室を目指す。その時だった。なぜか鋭い視線を感じたのだ。ふと視線の方を見ると、そこには怖い顔をして私を睨みつけているクラシエ様の姿が…
嘘…あの可愛らしくて庇護欲をそそるクラシエ様が、あんな恐ろしい顔をしているなんて…
一瞬固まったが、クラシエ様はすぐに視線をそらしてどこかに行ってしまった。もしかして、気のせいだったのかしら?
一度目の生の時のクラシエ様は、いつも弱弱しくて、私たち令嬢に文句を言われても、ただひたすら耐えていたイメージがある。時には美しい瞳に涙をいっぱい溜めて…
その姿を見たヒューゴ様が、クラシエ様をいつも庇っていた。それがまた腹ただしくて、クラシエ様に酷い事をしていた。
本当に私って最低よね…
一度目の生の時の自分を思い出し、心底申し訳ない気持ちになった。
クラシエ様、大丈夫ですわ。最終的にヒューゴ様はあなたを選ぶのだから。今はなぜか私に執着している様だけれど、私がヒューゴ様と婚約を結ぶことは100%ないのだから。
教室に入ると、昨日私に暴言を吐いた令嬢たちが、相変わらずこちらを睨んでいた。
「お前たち、昨日マリアに散々酷い暴言を吐いたのに、まだ文句があるのか?」
睨んでいる令嬢に向かって、ライアンが文句を言っている。
「ライアン、止めて。私は…」
「ライアン、どういう事だ。マリア嬢が彼女たちに暴言を吐かれたって」
何を思ったのか、ヒューゴ様が話に入り込んできた。
「昨日マリアが殿下と踊った事で、彼女たちから酷い暴言を受けたのですよ」
「ちょっとライアン…」
「マリア嬢、それは本当かい?僕のせいで嫌な思いをさせてしまって申し訳なかった。君たち、マリア嬢に酷い事はしないで欲しいと言ったはずだ」
ヒューゴ様まで令嬢たちに向かって怒っている。
「あの、私は本当に大丈夫ですわ。それに暴言と言っても、そこまで酷くはないし。それに、もうその問題は解決しましたから」
「何が酷くないだよ!体を使って高貴な身分…ンググ…」
「本当に大したことないのですよ。ライアンったら、ちょっと頭に血が上っていて。ほら、ライアン、早く席に付きましょう」
ライアンの口を押えると、さっさと席に座らせた。
“ちょっと、これ以上大事にしないでって言ったでしょう。もう、ライアンったら”
ライアンに小声で話しかける。
“だってあいつら、全然反省していないじゃないか。お前の事睨みつけて。でも…お前がそう言うなら、分かったよ…”
まだ不満そうだが、なんとか納得してくれた様だ。とにかくこれ以上のもめ事は御免だ。それにさすがにもうヒューゴ様も、クラシエ様との仲を深め始めるだろうし。
どうせくっ付くのだから、早くくっ付いて欲しいわ…
そんな私の願いとは裏腹に、相変わらず絡んでくるヒューゴ様。
「マリア嬢、一緒に昼食を食べよう」
お昼休みもなぜかお妃候補に名乗りを上げている令嬢を振り切り、私の元にやって来たのだ。
「あの…王太子殿下、私はクラスの皆と一緒に食べますので、どうかあなた様は…」
「そういえば、マリア嬢は随分とクラスの皆と仲良くなったそうだね。僕も早く皆と仲良くなりたいと思っていたんだ。さあ、皆で食べようか」
私の言葉を遮り、隣に座った。まあ、皆で食べる分にはいいか…
ふと逆隣を見ると、ライアンが座っていた。よかった、ライアンが隣にいてくれるのなら心強いものね。
その後はヒューゴ様に質問攻めに合いながらも、ライアンがフォローしてくれたので何とか乗り切る事が出来た。本当にライアンには感謝しかない。
既にぐったりの私。やっと放課後になった。さっさと屋敷に帰ってゆっくり休もう。そう思っていた時だった。
「マリア様、少し宜しいでしょうか?」
「おはよう、ライアン。どうしたの?こんなところで」
「どうしたのもこうしたのもないだろう。昨日の今日でお前がまたお妃候補に名乗りを上げている令嬢たちに絡まれないか心配で、様子を見に来たんだ。それより、ネックレスは付けているんだろうな?」
「うるさいわね。ほら、付けているわよ」
首にかかっているネックレスをライアンに見せた。
「それなら良かった。絶対に外すなよ。お前はすぐにそこらへんに置いておくからな…」
「分かっているわよ。失礼ね。それよりも令嬢たちの事だけれど、今日にでも抗議文を送るとお父様が言っていたわ。もう私に何かしてくることはないと思うわ」
「それならいいけれど…とにかく、お前はなぜか王太子殿下に気に入られている様だ。いいな、あまりウロウロとするなよ。それに、昨日あれだけ目立っていたんだ。お前を手に入れるため、誘拐を企てる輩がまた現れるかもしれないからな」
私の耳元でギャーギャー騒ぐライアン。いつまでも子ども扱いして!でも、それだけ心配してくれているという事なのだろう。ライアンったら、いつも私の心配ばかりして…
「ありがとう、ライアン。でも、私は大丈夫よ。さあ、教室に行きましょう」
ライアンと一緒に教室を目指す。その時だった。なぜか鋭い視線を感じたのだ。ふと視線の方を見ると、そこには怖い顔をして私を睨みつけているクラシエ様の姿が…
嘘…あの可愛らしくて庇護欲をそそるクラシエ様が、あんな恐ろしい顔をしているなんて…
一瞬固まったが、クラシエ様はすぐに視線をそらしてどこかに行ってしまった。もしかして、気のせいだったのかしら?
一度目の生の時のクラシエ様は、いつも弱弱しくて、私たち令嬢に文句を言われても、ただひたすら耐えていたイメージがある。時には美しい瞳に涙をいっぱい溜めて…
その姿を見たヒューゴ様が、クラシエ様をいつも庇っていた。それがまた腹ただしくて、クラシエ様に酷い事をしていた。
本当に私って最低よね…
一度目の生の時の自分を思い出し、心底申し訳ない気持ちになった。
クラシエ様、大丈夫ですわ。最終的にヒューゴ様はあなたを選ぶのだから。今はなぜか私に執着している様だけれど、私がヒューゴ様と婚約を結ぶことは100%ないのだから。
教室に入ると、昨日私に暴言を吐いた令嬢たちが、相変わらずこちらを睨んでいた。
「お前たち、昨日マリアに散々酷い暴言を吐いたのに、まだ文句があるのか?」
睨んでいる令嬢に向かって、ライアンが文句を言っている。
「ライアン、止めて。私は…」
「ライアン、どういう事だ。マリア嬢が彼女たちに暴言を吐かれたって」
何を思ったのか、ヒューゴ様が話に入り込んできた。
「昨日マリアが殿下と踊った事で、彼女たちから酷い暴言を受けたのですよ」
「ちょっとライアン…」
「マリア嬢、それは本当かい?僕のせいで嫌な思いをさせてしまって申し訳なかった。君たち、マリア嬢に酷い事はしないで欲しいと言ったはずだ」
ヒューゴ様まで令嬢たちに向かって怒っている。
「あの、私は本当に大丈夫ですわ。それに暴言と言っても、そこまで酷くはないし。それに、もうその問題は解決しましたから」
「何が酷くないだよ!体を使って高貴な身分…ンググ…」
「本当に大したことないのですよ。ライアンったら、ちょっと頭に血が上っていて。ほら、ライアン、早く席に付きましょう」
ライアンの口を押えると、さっさと席に座らせた。
“ちょっと、これ以上大事にしないでって言ったでしょう。もう、ライアンったら”
ライアンに小声で話しかける。
“だってあいつら、全然反省していないじゃないか。お前の事睨みつけて。でも…お前がそう言うなら、分かったよ…”
まだ不満そうだが、なんとか納得してくれた様だ。とにかくこれ以上のもめ事は御免だ。それにさすがにもうヒューゴ様も、クラシエ様との仲を深め始めるだろうし。
どうせくっ付くのだから、早くくっ付いて欲しいわ…
そんな私の願いとは裏腹に、相変わらず絡んでくるヒューゴ様。
「マリア嬢、一緒に昼食を食べよう」
お昼休みもなぜかお妃候補に名乗りを上げている令嬢を振り切り、私の元にやって来たのだ。
「あの…王太子殿下、私はクラスの皆と一緒に食べますので、どうかあなた様は…」
「そういえば、マリア嬢は随分とクラスの皆と仲良くなったそうだね。僕も早く皆と仲良くなりたいと思っていたんだ。さあ、皆で食べようか」
私の言葉を遮り、隣に座った。まあ、皆で食べる分にはいいか…
ふと逆隣を見ると、ライアンが座っていた。よかった、ライアンが隣にいてくれるのなら心強いものね。
その後はヒューゴ様に質問攻めに合いながらも、ライアンがフォローしてくれたので何とか乗り切る事が出来た。本当にライアンには感謝しかない。
既にぐったりの私。やっと放課後になった。さっさと屋敷に帰ってゆっくり休もう。そう思っていた時だった。
「マリア様、少し宜しいでしょうか?」
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