嫌われていると思って彼を避けていたら、おもいっきり愛されていました

Karamimi

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第19話:俺はやっぱりアメリナを諦めるだなんて出来ない…~ルドルフ視点~

あまりにも幸せそうに笑う2人の姿を見た瞬間、鈍器で殴られたような衝撃を受ける。あんなに嬉しそうに笑うアメリナを見たのは、いつぶりだろう。

昔は俺に見せてくれていたアメリナの弾けんばかりの笑顔。でも今は…

やっぱりアメリナは、グリーズ殿が好きなのだろう。そしてグリーズ殿も…

もう俺が入り込める隙は無いのか?俺はアメリナを諦めないといけないのか?嫌だ、俺はアメリナを諦める事なんて出来ない。誰よりも、アメリナを愛しているのだから…

でも…

頭では分かっている。もうアメリナは、俺の事を好きではないという事を。でも俺は、それでもやはり、諦める事が出来ないのだ。

「あのお2人、本当に仲睦まじいですわね。グリーズ様は、泣いているアメリナ様を慰めてから急接近されたとお伺いしておりますわ。ご自分が弱っている時に優しくされると、どうしてもその殿方になびきますわよね」

いつの間にか俺の傍に来ていたのは、クレア嬢だ。この女、本当にどこにでも現れる。

「たとえアメリナが他の令息を愛していたとしても…俺はアメリナ以外愛する事は出来ない。アメリナが他の男と結婚するなら、俺は一生独身を貫くまでだ…」

ポツリとそう呟いた。

俺は子供の頃からずっと、アメリナを愛し続けていた。今更他の令嬢を愛するだなんて出来ない。少なくともこの女だけは、絶対に好きにはなれない。

「そんな事をおっしゃっても、あなた様はダーウィズ侯爵家の嫡男なのですよ。一生独身だなんて、無理ですわ。ねえ、いい加減私を受け入れてはどうですか?私の方がアメリナ様よりも爵位も上ですし、あなた様の事を幸せに出来る自信がありますわ!」

「悪いが俺は、君の様な令嬢が苦手だと言っているだろう。とにかく俺に、構わないでくれ!」

本当に毎日俺に付きまとって。俺ははっきりと拒否しているだろう。それなのにどうして!

教室に戻る気にもなれず、そのまま校舎裏にやって来た。俺は一体、何をしているのだろう。大好きなアメリナに嫌われる様なことをして、その上苦手な女に好かれるだなんて…

気が付くと涙が溢れていた。

その時だった。

「ルドルフ様、一体どうされたのですか?」

この声は…

目の前には驚いた表情のアメリナの姿が。ただ、次の瞬間…

「申し訳ございません。失礼いたします」

そう言って立ち去ろうとしたのだ。そんな彼女の腕を掴んだ。

「待ってくれ、頼む、行かないでくれ」

俺の必死の訴えに、アメリナがびっくりしてこちらを振り向いた。するとポケットからハンカチを取り出して渡してきたのだ。

「あの…一体何があったか存じ上げませんが、これ、使ってください。使用したらそのまま捨ててもらって構いませんわ。それでは私はこれで」

ハンカチを俺に渡すと、アメリナはそのまま去って行った。ハンカチを見た瞬間、つい笑みがこぼれた。

「これは昔、俺の為に刺繍入りのハンカチをくれた時の、練習用に使ったハンカチだな」

まだアメリナと仲が良かったころ、龍の刺繍が入ったハンカチをもらった事があるのだ。ただ、かなり練習した様で、アメリナの部屋には大量の龍の練習用のハンカチを後日発見した。

“私、不器用だから沢山練習したのです。練習用をルドルフ様に見られるだなんて、恥ずかしいですわ”

そう言って頬を赤らめていたのを覚えている。

アメリナ…

やっぱり俺は、アメリナを諦める事なんて出来ない。俺はずっと、アメリナが好きだったのだから。

でも、急に素の自分に戻れと言われても、ずっとクールな男を演じてきたため、どう接していいのか分からない。

アメリナのハンカチを握りしめた。

悩んでいても仕方がない。アメリナの負担にならない程度に、これからは上手くアプローチをしていこう。それでもアメリナがグリーズ殿を心から愛しているというのなら、その時は…その時は…

ダメだ、考えただけで倒れそうだ。

俺はいつから、こんなダメな人間になってしまったのだろう。

これから俺は、どうやってアメリナの信頼を取り戻していけばいいのだ?そもそも、アメリナは俺を許してくれるのだろうか?考えれば考えるほど、どうすればいいのか分からなくなってくる。

結局この日は、アメリナにこれ以上話しかける事が出来なかった。


※次回からアメリナ視点に戻ります。
よろしくお願いします。

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