ケダモノ王子との婚約を強制された令嬢の身代わりにされましたが、彼に溺愛されて私は幸せです。

ぽんぽこ@3/28新作発売!!

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プロポーズのあとに

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「み、ミーア?」
「――はい。シルヴィニアス様」

 案内された部屋に入ったシルヴィニアスを出迎えたのは、純白のドレスを身に纏ったミーアだった。

 彼女を彩るのはドレスだけではない。

 銀で緻密な細工がされたティアラに、ルビーのような赤い宝石の嵌まった指輪。

 しかしどんな高級なアクセサリーも、彼女の美しさには敵わない。


「綺麗だ……」
「……ありがとうございます、シルヴィニアス様」

 鏡の前に立ち、少し恥ずかし気に己の婚約者を見上げている。

 その嫁入り姿は、彼が必死で考えてきたプランを全て吹き飛ばすほどに美しかった。

 あまりの感動で言葉もロクに出ないのか、シルヴィニアスはその場で立ち尽している。


 そんな飾らない反応が嬉しかったのだろう。普段はあまり表情の変わらないミーアも、彼のストレートな褒め言葉に頬をピンク色に染め、ニヨニヨと口元を緩ませている。


 そんな二人の姿を、侯爵家の使用人たちは微笑ましそうに見守っていた。その中に、人一倍感慨深そうな表情を浮かべている人物がひとり。


「本当に綺麗だぞ、ミーア。昔の頃の母さんを見ているようだ」
「もう、お父様まで……」

 キャッツレイ侯爵は手放しで娘を誉めそやす。その彼の瞳は少し潤んでいた。


 彼の妻である侯爵夫人はミーアを産んですぐに亡くなっている。

 侯爵が母の分も愛情を注いだだけあって、娘を嫁に出すのは複雑な気分なのかもしれない。


 そんな父娘のやり取りを眺めているうちに、シルヴィニアスも冷静を取り戻した。当初の計画を思い出し、実行に移す。


「……ミーア」
「はい」

 ミーアの面前に向かい、その場で片膝を突いた。

 そして彼女の手を優しく取ると、瞳を真っ直ぐに見つめながら語りかける。


「我が愛しのミーアよ。これからはこの国の王妃として……いや、僕の愛する妻として共に生きて欲しい。一緒に城へ来てくれるかい?」
「……はい」

 照れ臭そうに、コクンと頷くミーア。

 シルヴィニアスはニッコリと微笑んで、その手にキスを落とす。

 そして立ち上がると、「ありがとう」と言ってミーアを優しく抱き寄せた。


「それではキャッツレイ侯爵。本当にこの娘を、我がきさきとして良いのだな?」
「はい、殿下……自慢の娘です。どうか良くしてやってください」

 複雑な想いを心の中でとどめながら、父として娘を笑顔で送り出す。

 これでようやく肩の荷が下りた、彼はそう思ったのだろう。だが――


「侯爵。その言葉に嘘は無いな?」
「……え?」

 ――キャッツレイ侯爵は目の前の人物が誰なのかを忘れ、油断していた。
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