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7話/12話

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 咄嗟に避けようとするも、すでに満身創痍だった私たちは不意を突かれて逃げることも叶わない。

「ただで消えてはやらんぞ! 見ろ! 儂の残り全ての力を使って、貴様らに呪いを掛けてやった!」
「っうぐぅ!? 余計な真似を……」
「ローランド!? 貴方、体が……!」

 私たちの体を覆っていた闇が払われたあと。
 精悍せいかんな容貌をしていた勇者の体に、目に見えて異変が起きていた。

「な、なんだこの体は……まるで女じゃないか!」

 震えるローランドの声は、男の低いものから乙女の鈴振るようなものに変わっていた。それに変わったのは声だけじゃない。美しい白銀の短髪は腰の先まで伸び、筋肉質だった体躯はふっくらとした体つきになっている。

 顔は元から整っていたこともあり、今では可愛さすら感じさせる少女の顔となっていた。

 いや、ただの少女ってレベルじゃないわね。
 これはまごうことなき美少女だわ。


「グハハハハ!! これで貴様らの跡継ぎは生まれぬぞ! ざまぁみろ!」

 突然の女体化に驚愕する勇者をよそに、魔王は満足そうな笑い声を上げながら消滅した。まったく、最後の瞬間まで悪者っぽいムーブを忘れない奴だったわね。

「聖女レイチェル。キミは……」
「私は特に変化は起きていませんが……」

 勇者が美少女に変わったのなら、自分は男にでも変えられたかと思ったけれど。自分の体を見渡してみても、特に異常は見られなかった。

 だけど魔王のあの調子では、私だけ失敗したと判断するのはあまりにも短慮だろう。なにせ『もう子孫は生まれない』とまで断言していたのだし。

 そこで私たちは城(廃墟)の外で待機している仲間たちの元に戻り、1日だけ様子を見ることにした。その結果、魔王の掛けた呪いについて、ある程度のことが判明した。

「つまり僕は朝(6-18時)になると女の子になる呪いで」
「私は夜(18-6時)になるとオジサンになる呪いのようですね」

 それぞれ内容は異なるものの、どうやら私たちは時間帯で性別が変わる呪いを魔王から受けてしまったようだった。

 日中は私も勇者も女。夜は二人とも男。要するに私と勇者は、常に同じ性別になってしまうらしい。


「むしろ僕にとっては都合が良かったよ。これで正々堂々と最愛の人と結ばれることができる」

 ――なんですって!?
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