明るい歌

七星北斗

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3 私が私である理由、私が○○○を好きなわけ。

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 私が私である以上に私である。

 その事実が異常であり、とても残酷だ。

 芽々は屋上に寝転んで、目を閉じると、ある記憶が呼び覚まされた。

「どうしてお前はいつもそうなんだ」

「どうして?ナンの話?」

「どうしてもこうしてもあるか!」

「言葉をもっと論理的に話してくれないか?」

「なぜお前は…周りの人間と同じようにできないのだ」

「私に、機械になれとおっしゃるのですか父上?」

「そうではない、普通にしろと言っているんだ」

「普通ってナンですか?」

「…お前には、何を言っても意味がないのはよくわかった」

 尊厳な男性は、諦めたように深くため息をする。

「お前は人間ではない」

「私は人間ですよ」

 芽々と父の確執は、幼い頃のある出来事から始まった。

 運動会での出来事だが、吹奏楽部の演奏に合わせて、持参したギターを演奏した。

 その時の演奏を、ビデオカメラで撮られていたようで。その後、撮られた動画は、動画投稿サイトに無断でアップロードされた。

 その件で、どこから情報を得たのか?自宅にまで取材などの記者が現れた。

 その頃から、父は私を侮蔑した目で見るようになった。

 私の言葉に父は嘲笑すると、鋭い目付きで私を睨んだ。

「この出来損ないが、お前は良い学校、良い会社に入って、立派な人間にならないといけないんだ」

「父上は、社会の毒に侵されていますね」

 男は芽々の胸倉を掴んだ。

「毒に侵されているだと、笑わせるな。ならお前はどうして勉強を頑張らない、学生の本文は学業だろう?」

 父を睨み返した私は、掴まれた手を振りほどいた。

「学校の勉強とは、ただの暗記です。学校とは、記憶力の良し悪しを比べるだけの場所だと思います。記憶力の良し悪しでは、頭の良し悪しは測れません」

「お前は口を開けば屁理屈ばかり、少しは兄を見習え。お前の兄は学校では、神童と呼ばれているんだぞ」

『何でも比べたがるのは、人間の欠点です』

『凡人から見た天才とは、器用な人間であり、その器用な人間から見た天才とは、理解の範疇を越えた存在です』

『器用な人間が九十九パーセントの結果を生み出せるならば、天才とは、一パーセントの結果しか出せない場合もある』

『しかし、たまに百パーセント以上の結果を出せる人間のことです。その現象を挑戦的集中と呼びます』

「何が言いたいんだ?」

 父は私に問いかけた。

「兄は器用な人間ではありますが、天才ではありません」

 父は私の言葉を聞き終わる前に、顔を真っ赤にして、私を引っ叩いた。

 口の中から鉄の味がした。私は父を睨み付け、ギターを片手に家を出た。

 嫌なことがあると、私はいつも川原へ行く。

 息苦しい、息が詰まる。

 私はギターケースから、ギターを取り出した。

 ギターを最初は静かに、だんだんアップテンポに弾く。

 それから一時間くらい時間が経った。

 私は気分が落ち着き、スカッとした。だから私は、ギターが好きだ。

 地べたに座り込み、空を眺めて、ふと考える。

『私は異分子なのだろうかと?』

 こんな話を聞いたことがある。

 他人や家族に興味が持てない。

 興味がないから、話す人の顔を見て話さない。

 家族と数ヶ月会わないだけで、顔を忘れ、目の前にいるのに気づかずに素通りする。

 友人?と一度遊ぶと、めんどくさくなり、それ以降は疎遠になる。

 虐められるようになると、虐める人間にも興味が持てず、顔や名前もわからない。

 興味は常に自分に向いていた。

 私という人種は一人だけで、周りの喋る生物は別の生物だと認識するようになった。

 そんな自分を理解することができるのは、自分と同じ異分子しかいない。

 という話を耳にした。

 私は異分子だから孤独なのだろうか?そんな孤独を紛らすようにギターを弾く。
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