俺を召喚したのは神じゃなくて魔王かよ!

オグリギャップ

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ダンジョン攻略編

23 3人で街へ

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もうコッチの城に来てからどの位経つのか・・・・半年以上は経った様な気がするんだが・・・
もう平和過ぎて完全にボケている。

ひろしはあれから全然俺に勝てなくなり、今は他の魔法を練習している。勉強の甲斐があって、少しだが雷魔法が使える様になった。

(ひろしは意味がわからん。火魔法の上位版の雷魔法が使えるって・・・・火魔法は使えない癖に・・・・)

火魔法の原理を教えてみたが、空気中の酸素を理解出来ず、止めてしまった。しかし、静電気のパチパチから雷を連想したらしく、発動まで漕ぎ着けた。ただ、まだ威力が小さく、スタンガンクラスだけどね。

はるかはヒラヒラした服を着て優雅にお茶を飲んでいる。はるか曰く、これが『れでぃー』らしい。

まあ、こんな感じでマッタリとした時間を過ごしている。因みに森の近くの街はと言うと、教会の幹部達は早々に撤退し、街の住人は魔王の呪いを恐れ、呪いを受けた人間を片っ端から殺して燃やしていった。そうして事態は終息したとした様だ。

(やだねー、自分だけでも助かりたいと、女、子供まで殺して燃やすなんて。・・・・原因は俺だけど。)

街の経済はガタガタになり、かなりの人数が街を出て行ったらしい。少し前に様子を見に行ったらゴーストタウンまっしぐらだったよ。
もう少ししたら魔王城に戻ろうと思う。
何故すぐに戻らないのかと言うと、ゴーストタウン化した街に、ならず者達が押し寄せて来るかも知れないと思ったからだ。

《街にならず者が来る➡住人から搾取する➡搾取する物が無くなる➡森の資源を取りまくる》

の様にならないとも言えないからだ。ま、今は街が疲弊してるだけだから心配無いけどね。

そろそろアイツらを人間の街に連れて行っても問題ないかな。はるかはずっと行きたがってたし。少し旅行しようかな。

「はるか、調子はどうだ?」

「オホホホ、アラ、魔王さん、ごきげんよう。すこぶる健康ですわ。」

・・・・・・・・何だよその喋り方は・・・・・なんかの物語の貴族のマネか?

「そ、そうか。ところで・・・・街に遊びに行くか?」

「ッ!!行く!行く!行きたい!本当に?本当に?」

「ああ、此処も、もうそんなに監視する必要は無いからな。」

「やった!やった!ヤッター!ずっと待ってたんだよ!魔王がそう言ってくれの。」

「そうか、待たせたな。でもその服は目立ち過ぎるからダメだぞ。街の人と同じ様な服にしないと。」

「うん!分かった!」

「それとひろしも呼んで来い。」

「はーい!」

俺達は一旦魔王城に戻り、身仕度を始めた。

(さて、何処の街にするかな。大きな街が良いだろうな。はるかがあんなに楽しみにしてるんだし。)

俺達は旅人風の服に着替え、東の王国に向かって飛び立った。

(コイツらに取って初めての旅だ。2~3日かけてのんびり行こう。)

俺達は途中で夜営をしながら、のんびりと空の旅を楽しんだ。もうひろしもはるかも、キャッキャッとサルの様に騒がしい。でもそんな2人の顔を見ていると、とても幸せな気分になった。

大体予定通りの3日目の昼前に大きな街が見えて来た。

「2人共あの街にするぞ。いいか?」

「「うん!」」

俺達は城門から離れた川辺に降り立ち、先程の街へと歩いて行った。

「2人共いいか、街にいる時は俺を『マオさん』と呼ぶんだぞ。間違っても魔王なんて呼ぶなよ。街に居られなくなるからな。後、街に入ったら好きにしていいが、必ず2人で行動する事。いいな?」

「うん、分かった。マオさん♪」
「マオさん・・・変な感じだね。フフッ」

「あ、マオさん!城門の対応わたしがやってもいい?」

「おう、構わんぞ。練習したもんな。」

「うん!」

はるかに銀貨10枚程渡してやり取りを見守る事にした。城門の前には俺達の前に、6組の入場待ちがいたがスムーズに進み、5分程で俺達の番になった。

「次の者・・・身分証を提示しろ。」

「身分証は有りません。」

「この街には何しに来た?」

「買い付けです。」

「ん?馬車も荷車も見当たらんが・・・・本当に商人か?」

「いえ、商人では有りません。村に必要な物を代表して買い付けに来ました。」

「ああ、なるほどな・・・通行料は1人銀貨1枚だ。」

「はい。3人ですので3枚ですわね。」

「ん、通ってヨシ!」

何の問題も無く城門を通過出来た。

「はるかやるな!見直したぞ!」

そう言って頭を撫でてやる。

「エヘヘ、そうでしょ?練習したもん。でもドキドキしたぁ。」

城門を抜けるといきなり大通りになっていた。もうそこは何処を見ても人・人・人。それを見た2人は驚きと興奮で走り出しそうになっていた。俺は2人を引き止め、銀貨が50枚づつ入った袋を渡した。

「マオさんありがとう!」
「ありがとう、もう行ってもいい?」

「おう、行って来い。」

俺がそう言うとタタタッと駆け足で行ってしまった。2人が心配じゃないのかって?全然心配なんかしてない。探知魔法で監視してるからな。
俺ものんびりと街の見物をしようかな。ここはダットサン国のサニーとか言う街らしい。国名なんて100年もすれば結構かわるから覚えなくてもいい。それよりも、まずは食べ物だな。何が名物なんだろうな?
冒険者なら知ってるかな?あの鎧を着てるヤツに聞いてみるか。

「あー、済まない、教えて欲しいんだが、この街の名物ってなんだろうか?」

「な、なんだよいきなり・・・・あんたこの街初めてか?しょうがねーな、教えてやるよ。この街の名物ってたら、ケッコーバードの串焼きだな。屋台のヤツも旨いぞ。」

「ほう、そうなのか。あ、いや、有り難う。これは礼だ。」

銅貨2枚を握らせた。

「おっ、わりぃな、有りがたく頂くぜ。」

ケッコーバードか・・・・どんな鳥だ?まさかとは思うが・・・・

俺は市場に行き、串焼きの屋台を探した。てか、屋台の数が多すぎる!道の両端に隙間なくズラーと並んだ屋台から探せと?ムリだろ。もういいや。旨そうだと思ったモンを食べたらいいんだ。うん、そうしよう。色々な匂いに鼻腔をくすぐられながら市場の奥へと歩いていると、煙が一際モウモウと立ち込めてる屋台があった。またその匂いが堪らなくいい!屋台の前に行くとその訳が分かった。鳥の炭焼きだ。所謂、『焼鳥』だ。犯人は鳥の脂が炭で焼ける匂いだった。

「親父さん、この味付けはなんだ?」

「あ?塩に決まってるだろ。」

クッ・・・・塩のみか・・・・タレで食べて見たかった・・・・

「親父さん1本おくれ。」

「ハイよ。銅貨2枚だ。」

俺は銅貨2枚を渡し、早速焼鳥にかぶりつく。オオー!こ、これは!正しく焼鳥!鶏の味だ。脂も乗って旨いぞ!これは鳥ももだな。あっと言う間に焼鳥を食べきり、野菜を売っている場所を探しに走った。その中で果物を売っている店を探し回った。俺の探し物はレモンだ。鶏肉にはレモン!味を引き締めてくれる。果物を売ってる店はあったが、レモンは無かった。しかし、酸っぱい果物は見つけた。キンカンみたいな小さく緑色の果物だ。こいつは酒に入れて楽しむ物らしい。これならイケる!すだちの様なもんだ。10個程買い込み、再び焼き鳥屋の前へ。

「親父さん、また1本くれ。」

「ハイよ。毎度。」

「済まんがこれを半分に切ってくれないか?」

「構わんが・・・・そんなもんどうするね?」

「こうするのさ。」

焼きたての焼鳥にすだちみたいな果物の果汁を2滴垂らして頬張る。うわ~ウ、ウメー!最高だ。
怪訝な顔をしている親父さんに食いかけの焼鳥を食べさせた。

「ッ!これは・・・・サッパリして旨いな!」

「解ってくれるか!」

「おおよ!これなら何本も食べられるな。ケッコーバードの脂がサッパリする。」

「そう、そうなんだよ!いやー、分かって貰えて嬉しいよ。」

俺は親父さんにまた来ると言って屋台を後にした。
旨い物が食べられて最高だ。それに故郷の味を見つけたみたいな気持ちになって嬉しかった。










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