俺を召喚したのは神じゃなくて魔王かよ!

オグリギャップ

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戦争介入編

42 戦地への移動

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この街に来てから5日目に遂に動きがあった。宿屋の主人から午前中は外に出ないで欲しいと、役人から通達があったとの事だ。
午前中に兵士の移動を開始するからだろう。やっとだ。長く感じたな。
俺は泊まっている宿の2階の窓から兵士達が来るのを待った。

「魔王?何してるの?」

「さっき飯を食べてる時、宿屋のオヤジが午前中は外に出るなと言ってたろ?あれは兵士達が移動するから出るなって事だ。だから何人位兵士が居るのか確認しようと思ってな。」

「へぇー、そうなんだ!僕も見たいな。」

「ここに居ればもうすぐ見れるさ。」

ヒロシと2人で1時間程窓から外を見ていた時、やっと兵士達が現れた。馬に乗った偉そうな貴族っぽいヤツを先頭に、ぞろぞろと兵士が4列従隊で歩いていく。所々に兵隊の中に馬に乗った兵士がいる。多分小隊長じゃないかな。その行列の人数を数えながら見ていた。20分程で俺達の宿の前を通り過ぎた。
人数にして約2000人位か。やけに少ないな。王都に兵を残さなくてはならないのは分かるが、それにしても少ない。何かあるのか?取り合えず街の外に出てみるか。

「ヒロシ、ハルカ、出発の準備をしろ。俺達も行くぞ!」

「「はーい!」」

ヒロシもハルカもノリノリだ。この時をずっと待ってたんだもんな。準備が出来た2人を俺が抱えて窓から飛んだ。

城門の外に出た時は驚いた。そこには物凄い人数の兵士が待ち構えていた。恐らく1万は居るんじゃないか?しかし戦う様子はない。と言う事は他の街から来た味方だろう。成る程、そういう事だったのか。これならあの街の私兵なんか、あっと言う間に片付くだろうな。兵士の中には服装、装備がバラバラのヤツら居る。そいつらが冒険者なんだろう。全体の4分の1が冒険者みたいだ。面白いからコイツらに紛れて一緒に行ってみようか。

「ハルカ、ヒロシ、下に居る冒険者と一緒に行こうと思うんだけどどうだ?」

「私は構わないわよ。」

「楽しそうだね!ちょっと話もしてみたいし、賛成だよ。」

「よし、じゃ、行くぞ。」

ハルカとヒロシはいつもの戦闘服、俺はどうしようか迷ったが、俺もいつもの厨二病全開の魔王の服に、頭にターバンを巻いていく事した。俺は耳がエルフの様に長く尖っている。それを隠す為だ。姿を変える時にエルフってカッコいいなと思って、自分の耳も変化させたんだ。でもこういう時はいちいち隠さなきゃならないから面倒臭い。

俺達は冒険者達の最後尾にしれっと並んで紛れ込んだ。

「ッ!?うおっ!お、お前らいつの間に?」

「ああ、スマン。ちょっと離れた所にいたんだよ。」

「そ、そうか・・・・イヤー、ビックリしたわー。俺達のパーティーが最後尾だと思っていたからなぁ。」

「脅かしてしまった様だな。しかし暫くは戦友だ。宜しく頼む。」

「ああ、そうだな!こちらこそ宜しくな!」

問題無く隊に紛れ込めた。後は問題を起こさずに戦場まで行くだけだ。冒険者の男と話終わった時、この軍隊の指揮官の挨拶が終わったみたいだ。『ウオー!』と凄い叫び声が其処ら中から上がる。暫くして約12000の軍隊が動き出した。

「ねえ魔王、人間と話して来てもいい?」

「コ、コラ!人前ではマオさんと呼べと言ったろ!」

「あっ!そうだったわね!ご免なさい。で、いい?」

「・・・・・構わんが・・・・疑われる事は言うなよ?」

「分かってるわよ。じゃ、いってくね!」

「僕も!」

もう2人は完全に旅行気分だ。すぐに戦いと言う訳じゃないからいいんだけど・・・・・なんかボロを出さないか心配だ。俺の心配をよそに、歩きながら冒険者達と楽しそうに話し込んでいる。ハルカは可愛いから男の冒険者に囲まれてチヤホヤされている。ヒロシは見た目は中年のオッサンなのに、喋り方が子供っぽいのがウケたのか、女の冒険者に囲まれて楽しそうだ。俺は・・・・冒険者を警戒してる為1人だ。ぜ、全然羨ましく無いんだからね!

それにしても・・・・・・冒険者の格好は様々だな。フルプレートが居たり、セパレートが居たり、更には胸あてだけの者が居たりと色々だ。武器も定番の弓、ショートソード、槍、杖は勿論の事、バスターソードや、特大の斧なんかを持ってるヤツもいた。あんな物長時間振れると思えん。魔法で軽くしてるのか?そうで無ければ10回も振れば息が上がるだろう。戦場では意味の無い物だ。動きに無駄が出て、狙われやすくなるし、仲間に迷惑が掛かる。ただ目立ちたいだけのバカなのか?

そんな事を考えながら歩いていった。夕方になり、山の麓辺りに着いた。今日はここで夜営をするようだ。

「マオさん、ご飯は何?」

「私は前に食べた辛くてスパイシーな肉がいいな!」

ああ、クミンと唐辛子と塩コショウで味付けしたやつか。あれならそんなに面倒じゃないから作ってもいいな。

「分かった。お前達も手伝え。ヒロシは薪を拾って来てくれ。ハルカは竈を作ってくれ。」

「「はーい!」」

今日は何の肉にしようかな。いつもはボアを使ってるけど、たまには違う肉が食べたいな。ワニは元の世界で食べた事があるし、今日はトカゲにしようかな。ちょっと堅そうだけど。いつ倒したのか分からないトカゲを数匹出して、血抜きをする。俺のアイテムボックスは時間が止まってるから問題ない。取れたてホヤホヤと変わらない。血抜きが終わったら、皮を剥いで内蔵を取り出す。コイツは毒を持ってないだろうな?まあ、でも良く火を通せば大丈夫だろ。骨から肉を外してしっかりと味付けしていく。ヒロシとハルカが準備が出来たと知らせに来た。

「お前達は丸焼きと鉄板焼、どっちがいい?」

「丸焼き!」
「鉄板焼!」

おっ?別れたね。どうするんだ?

「鉄板焼でいいよ。食べたら同じだもんね。」

おっ!ヒロシが大人な事を言ってる。そんなヒロシ達のリクエストに答えて、土魔法で鉄板を作って竈の上に乗せた。鉄板と言うより石の板だな。そこに肉を置いて焼き始めた。俺達は集団の隅っこで食事を作っていた筈なのに、なぜか人だかりが出来ていた。カレーのかぐわしい香りが漂っていたからだろう。

「お前達のその肉は何だ?凄く旨そうな匂いがするな。」

「俺達は堅パンと干し肉だけなのに・・・・・」

そんな外野の声をよそに、焼けた肉を3人でかぶりついた。

「ッ!うんまーーー!!!」
「凄くおいしいね!」

周りからゴクッと生唾を飲み込む音が聞こえる。
しかし流石に肉をよこせとは言わない。皆手持ちの食料はギリギリしか持ってきて無いと思ってるからだ。冒険者に見守られながら食事を終えて、次は寝床の準備だ。俺達は勝手に付いてきてるだけなので、見張りの順番は回って来ない。城に帰って休んでもいいんだが、2人が楽しんでるからここで休んでいこう。土魔法で山小屋程度の小さな小屋を作ってベッドも作り、獣の毛皮を敷いて休む事にした。
明日はどんな事があるだろう?楽しみだ。







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