俺を召喚したのは神じゃなくて魔王かよ!

オグリギャップ

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新たな仲間編

60 ミスリルを探せ!

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昨日から妖精のフェアリンと旅をしている。
朝目覚めて今日は何をしようかと考える。一番やりたい事は聖剣を作る事だが、材料は有っても仕上げが出来ないから保留している。
じゃあどうしようか・・・・人間の集落に行ってみるか?何か発見があるかも知れないし。

『フェアリン起きてるか?』

『起きてるよ。魔王様どうしたの?』

『今から人間街に行く。そのままそこ暫くに居てくれ。』

『えーーー!?まだここに居なきゃダメなの?』

『ま、まあ、そうだな。辛抱してくれよ。』

『むう・・・・・分かった。』

たった1日で妙に馴れ馴れしくなったな。確か、『魔王様は現世の神様』とか言って無かったか?
まあいいか。こっちも気を使わなくていいし。

俺は街道沿いに戻り、近くに見つけた集落に入って行った。
城門も無い小さな町だ。こんな所に何かがあるとも思えないが、なんとなく寄ってみた。
町は宿場町と言った感じだろうか。宿屋と食堂や酒場が目立つ。そんな所には用が無いので、他に何か無いか探してみる。するとこんな小さな町には似つかわしく無い大きな武器屋があった。何でまたこんな所に?と思いなからも、店に引き寄せられる様に入って行った。
店に入ると5人の客が武器を物色していた。意外に需要があるんだな、と感心しながらどんな物があるのか見て回る。ナイフ、槍、剣、弓、杖と何処へ行っても変わらないラインナップ。素材も殆ど鉄だろう。カウンターの横には樽があり、樽の中にはセール品が入っている。所謂中古品だ。樽は2つあり、少し値段が違う。一方のほうを見てみると、しっかりと研いであり、刃が薄くなっていたりするが、見事なもんだ。もう一方の樽には研いでない、買い取った時のまま入っていた。金の無い冒険者なんかが買っていくんだろう。
それより俺の目を引いたのは、壁に掛かっている1本の剣だ。白銀に輝くロングソード。鎖に繋がれ、触るな危険と書いてある。呪いの剣なのか?

「この剣は何で危険なんだ?」

髭面の店主に聞いてみた。

「ああ、これか。これは見ての通りミスリルで出来ている。バカが持ち出さない様に盗難防止の魔法を掛けてあるんだよ。」

成る程な。アダマンタイトの次に堅い金属のミスリル。堅いのにどんな金属とも融合するオールマイティな金属だ。ロングソードともなると、目が飛び出る程高いだろう。その盗難防止か。
ん?待てよ?どんな金属とも融合する金属?ミスリルがあるじゃない!すっかり頭から抜け落ちていた。

「店主!ミスリルはどんな金属とも融合するだろ?アダマンタイトとも融合するのか?」

「う~ん、多分するんじゃねーのか?俺はアダマンタイトなんて高価な金属を扱かった事がねーから、はっきりとは言えんが・・・・」

「そうか!店主!この店に他のミスリルはあるか?ミスリル鉱石でもいい。」

「店には無いな。この剣も没落した貴族が持ってたもんだ。金の工面に困って売りに出したんだよ。」

くそっ!ここには無いか。どこだっけ、どこかでミスリルが取れた記憶がある。うーー、思い出せん!

「店主、どこかでミスリルが取れる所を知らんか?」

「ミスリル?う~ん、俺は冒険者じゃないからなぁ。でもどこかのダンジョンで取れるとか聞いた事があるぞ。」

!?ダンジョン?そうだ!ヒロシとハルカと3人で行ったあのダンジョンだ!思い出したぞ!

「店主、有り難う!また来る!」

「えっ、ああ、また来てくれ。」

俺は店を出ると、すぐにダンジョンにテレポートで跳んだ。確かあのダンジョンの中に村があった筈だ。次の瞬間、見た事のある大きな壁がある小さな村にいた。そうそう、ここだ!

「おわっ!!人が急に現れたっ!?あれ?あんたは・・・・この前ここに来た人だろ?」

「ああ、その節は世話になった。助かったよ。」

「あんた・・・・良かったな、助かって。お仲間はダメだったのか?」

ああ、今日は1人だから2人は死んだと思ってるのか。

「いや、あの2人は別の冒険をしているよ。」

「そ、そうか!皆助かったのか!10階層のボスを倒したんだな!」

「そう言う事だ。」

「いやー、良かった良かった。あの後村の皆で心配してたんだ。帰って来ないから。」

んー、言っとくべきか?帰って来ないのは殺られたヤツばかりじゃない事を。いや、面倒だから止めて置こう。

「それより聞きたい事がある。このダンジョンでミスリル鉱石が取れる筈だ。何階層で取れるか知っているか?」

「ミスリル?ああ、たまーにそんな事を言う冒険者が来るな。でも済まんが、俺達は知らん。下の階層には興味が無い。ただ静かにここで暮らしたいだけたからな。」

そうだった。この村の先祖は戦争が嫌でここに逃げ込んだとか言っていたな。コイツらも同じ思想なのか。

「そうか。分かった。また帰りに寄るかも知れん。その時は宜しくな。」

「ああ、いつでも歓迎するよ。1人でいくのかい?無理して死ぬんじゃ無いよ。」

何とも優しい連中だ。争いを避けて生きてると、こうも地上の人間と違ってくるもんかね。
俺は礼を言って10階層へ向かった。










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