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Scene 44
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高校生たちと別れた俺達は石川宗家へ帰宅した。
「広いにもほどがあんだろこの敷地」
門をくぐって歩きながら、リョータローがあらためてみなの気持ちを代弁した。
「俺んちの住所の何丁目、くらいのエリア全部って感じだなこりゃ」
ミギの自宅は数えきれないほど訪れたが、たしかにそのとおりだ。
「建売住宅が何軒建つかなここ」
コトブキは建築関係のバイトをしていたそうだ。
「俺の田舎にも旧家はあるけどここまでじゃないな」
長野県出身であるキタが周囲を見回す。
「雪江ちゃんのお母さん、理事長って呼んでたなお前」
「お母さんは学校と家でまったく変わるから」
「そういうお前もな」
「切り替えが大事なんだよ」
「お父さんって政治家っていってたけど、とっつきやすい人だな」
「逢った最初の頃はめちゃくちゃ機嫌悪かったけどな」
「一人娘を金髪のバンドマンにさんざんヤられた日にゃ、そら怒るわな」
「さんざんって、何百回とかしてねぇよ」
こんなバカ話をしながら歩いていると、練習の後みんなで街をを歩いているような気持ちになった。
「ちょっと、私いるの忘れてない?」
雪江が真っ赤になってミギに食って掛かる。
「あーごめん。でも雪江ちゃん、ここで育ったんだな」
ミギが雪江を見る。
「そ。私が守りたいものは、このおうちと、あーくん」
雪江は照れもせず言う。
「これだけあからさまにのろけられると、むしろすがすがしい」
コトブキが笑う。
「俺はJETだな。守るってか育てるってか」
ミギが言った。
「ついてきますよ、リーダー」
リョータローがミギに向かって敬礼し、メンバーがそれにならった。
「ただいま帰りました」
居間へ行くと、塚本社長と五兵衛さん、軍兵衛さんが父と酒を酌み交わし始めており、祖母は傍らでニコニコしている。
「おう帰ったが、座れ座れ」
ごきげんの父が皆を招く。ミギが一礼して席につくとメンバーが座る。俺と雪江も席ついた。大人数であるので、普段見かけない座卓が追加されている。これも年代物の重厚なものだ。孫兵衛さんが出してきたものか。部屋がでかいので、座卓を追加したくらいでは狭く感じない。
「先生、あらためましてうちの者を紹介します」
塚本社長がビールのグラスを置いて父に語りかけた。
「あー塚本さん、うづはよ、先生がほかに2人いっから、俺ば先生て呼ばねでけろ」
「たしかにそうだ、ではお父さんでいいですか。石川さんもたくさんいるわけだし」
「んだんだ、ほんでいい。塚本さんば社長てよばっとすっと、おらえの軍兵衛も社長だすよ、ややこすいがら塚本さんて呼んだんだす」
父は方言全開だが、塚本社長は大体の意味を理解しているようだ。
「では、お父さんに近い方から、右田義春、遠藤寿、山崎良太郎、大北一樹、です。ウチ一押しの新人バンドです」
「よろしくおねがいしまーす」
メンバーが一斉に頭を下げ、雪江が拍手した。おそらくほうぼうでこうして挨拶をして回っているのだろう。
「おかえんなさい、飲んでね~」
母がグラスを持って居間へやって来た。ビールのケースを孫兵衛さんとマサシさんが持って続いてやってきて、祖母の方に座ってお相伴に預かる。
「右田さんはお酒ダメなんですってね、烏龍茶とか持ってこようか?」
「え、なんで知ってるんスカ」
「雪江に聞いたわ」
「いや、でもまったくダメってわけじゃないし、なんか飲みたいっす、アイと久しぶりに会えたし」
「あら、頼もしいわね」
「…ってか、学校と違いすぎません?理事長」
「家ではお母さん。公私の区別をきっちりつけるのが石川家の流儀なのよ」
「では、JET BLACKの人気と株式会社BBミュージックのますますのご繁栄を祈念いたしまして、乾杯!」
父が政治家らしい音頭の取り方で乾杯を宣言した。
皆がビールを一気に飲み干し、拍手が沸き起こる。
「いっぱいあっさげ、いっぱい食ってけろな、田舎料理ばんだげっと」
野菜の煮付けを盛った器を抱えて、翔子さんも加わる。
「ほんて、しぇーおどごばんだー」
ミギが雪江に通訳を目で頼む。
「本当にカッコイイ男の子ばっかりだわー」
リョータローがイェーイと叫ぶ。
「やんだー、ちゃんと標準語で話しないとねぇ」
翔子さんは言語モードを切り替えた。
「皆さん、あーくんのお友達なわけね」
「そうね、あーくんと出会ったきっかけの人たちよ」
翔子さんと雪江がごくごくビールを飲みながら話す。
「俺だけがお友達じゃなかったの。アイがやめてから友達になったけど」
コトブキが笑う。凶悪な人相は酒でほぐれつつある。
「髪が金だの銀だのは仕事柄ですもんね。うちは土建屋だけど、時々真っ茶色とか金髪とかの子が面接に来るけど、お断りしてる」
「やべえ俺事務所クビになったら仕事できね」
ミギが長い金髪を後ろで束ねて言った。
「右田さん、昔のあーくんみたいな髪型」
「髪型だけでもアイの痕跡を残したいんだ、JETに」
「フフ、あなたらしいね」
雪江とミギは、どうも不思議な連帯感で結ばれているようだ。
「右田くんは、ご両親は何しったのや」
父がミギに尋ねる。ミギはだいぶ山形弁に慣れたようである。
「会社員ですよ。母は専業主婦。ウチも石川家ほどじゃないですけど、ずっと東京でして、代々桶屋だったそうです。父親が普通に会社勤めしたんで、絶えましたけど。親父が継いでても俺の代で終わってましたね」
「あー、ミギんちに行くとおじいちゃんがいっつも桶作ってたのは、趣味でやってんじゃなかったんだ」
「話したことなかったか。じいちゃんはまだやってるよ、一応。古い馴染みの人が注文してきたり、芝居の小道具とかで需要はあるんだって。納品は何年待ちになるかわからないってよ」
「んだなー、寒河江にも桶屋は昔何軒かいたけんど、今は全部やめたもな」
父が興味深げに頷いた。
「リョータローさん、私を打ち上げに誘ったあの娘は、今どうしてるの?」
雪江がリョータローに話しかける。
「え?何の話?」
「私がはじめて打ち上げ行って、みんなとあったとき。あの娘、リョータローさんのファンだったよ」
「え。マジ誰だかわかんね。誰だ」
「相変わらず最低だなおまえの女癖」
キタが牛乳のようにビールを飲みながら、リョータローを小突いた。
「うづはほだなごどしたら、家さ入れでもらわんねぐなる」
軍兵衛さんがゲラゲラ笑った。
「社長、墓穴ほってる」
マサシさんが茶化した。
「うちの人ね、前にちょっとオイタしてくれてねぇ。三週間ほど家から追い出しましたの。会社でも一切口を利かず」
翔子さんは軍兵衛さんに一瞥をくれて言った。
「社長、うちに泊まりに来たし」
「うちにも来たわねぇ、軍兵衛さん」
「あーくんには、ウワキシタラコロス、って言ってあるから大丈夫」
俺は以前着信したウワキシタラコロスのメールを開いて、みんなに見せてやった。また爆笑がおこる。
「塚本さん、音楽事務所って結局どういうごどすんなや」
軍兵衛さんが慌てて話題を変える。
「そうですね、音楽事務所って、けっこう経営者によって違いますけど、基本は抱えてるアーティストが売れて、コンサートやCDやグッズなんかが売れて、利益出すんですよ」
「ほうほう」
軍兵衛さんも一企業の経営者である。
「事務所によっては、アーティストから金を取るとこもありますね、所属料として」
五兵衛さんが補足する。
「私は、企画型だと思ってます。いろんな企画を出してアーティストごと売り込む。野外フェスとか。こいつらから上前はねるのは、売れてからだと。それまでは投資」
「昔は売れっ子がひとりいれば自社ビルが建つって言われましたけどね、今はCDも売れないし」
「社長はネット配信を早くからやってたもんね」
ミギも大人の会話に加わった。
「一枚のCDを高い値段で売るんじゃなくて、薄く広く集金できないかなってね」
「なるほどなぁ、薄く広くか」
父が感心した。
「キタさん、日本酒と焼酎とウィスキーとあるけど、何がいい?」
「ウィスキー…かな。しばらく飲んでない」
「給料は出してるだろ」
「キタは飯食いすぎなんだよ」
コトブキが笑った。彼も酒は結構イケる口らしい。
「ご飯も食べたかったら言って」
雪江がそう言ってキタに笑いかけた。
「婆ちゃんと姉さんの料理は美味いよな」
五兵衛さんがニコニコして言う。姉さんとは言うが、五兵衛さんのほうが年上だ。
「五兵衛さん、私も作ったんだけど」
翔子さんも酒豪らしく、ビールを水のように飲む。
「塚本さん、軍兵衛さん夫婦はね、ともに元陸上自衛隊」
「自分もっス」
マサシさんが飯をモリモリ食いながら付け加えた。
「かえってくっとき、途中飲み屋あったじゃん、二次会行こう二次会」
珍しく酒を飲んだミギが顔を赤らめてそう言った。もっともミギは酒を一切飲まずに最後まで付き合って騒ぐのだが。
「さんせー」
コトブキがさっそく立ち上がる。
「あんまり遅くなんないでね」
母が声をかける。
「ほどほどにな」
塚本社長も一言添える。大人チームはなにやらまじめに話をしていた。
「了解っすー」
馬鹿キャラが定着しているリョータローが塚本社長と母に敬礼する。
「雪江ちゃんも早く」
キタが雪江に声をかける。雪江は後片付けに行こうとしていた。
「雪江ちゃん、かまねさげ一緒に行って来いっちゃ、いいべ、お姉さん」
翔子さんが微笑んで言い、母に了承を求める。
「行ってらっしゃい雪江、久しぶりに会ったんだしね」
「ありがと、お母さん、おばちゃん」
雪江はにっこり笑って立ち上がる。
「広いにもほどがあんだろこの敷地」
門をくぐって歩きながら、リョータローがあらためてみなの気持ちを代弁した。
「俺んちの住所の何丁目、くらいのエリア全部って感じだなこりゃ」
ミギの自宅は数えきれないほど訪れたが、たしかにそのとおりだ。
「建売住宅が何軒建つかなここ」
コトブキは建築関係のバイトをしていたそうだ。
「俺の田舎にも旧家はあるけどここまでじゃないな」
長野県出身であるキタが周囲を見回す。
「雪江ちゃんのお母さん、理事長って呼んでたなお前」
「お母さんは学校と家でまったく変わるから」
「そういうお前もな」
「切り替えが大事なんだよ」
「お父さんって政治家っていってたけど、とっつきやすい人だな」
「逢った最初の頃はめちゃくちゃ機嫌悪かったけどな」
「一人娘を金髪のバンドマンにさんざんヤられた日にゃ、そら怒るわな」
「さんざんって、何百回とかしてねぇよ」
こんなバカ話をしながら歩いていると、練習の後みんなで街をを歩いているような気持ちになった。
「ちょっと、私いるの忘れてない?」
雪江が真っ赤になってミギに食って掛かる。
「あーごめん。でも雪江ちゃん、ここで育ったんだな」
ミギが雪江を見る。
「そ。私が守りたいものは、このおうちと、あーくん」
雪江は照れもせず言う。
「これだけあからさまにのろけられると、むしろすがすがしい」
コトブキが笑う。
「俺はJETだな。守るってか育てるってか」
ミギが言った。
「ついてきますよ、リーダー」
リョータローがミギに向かって敬礼し、メンバーがそれにならった。
「ただいま帰りました」
居間へ行くと、塚本社長と五兵衛さん、軍兵衛さんが父と酒を酌み交わし始めており、祖母は傍らでニコニコしている。
「おう帰ったが、座れ座れ」
ごきげんの父が皆を招く。ミギが一礼して席につくとメンバーが座る。俺と雪江も席ついた。大人数であるので、普段見かけない座卓が追加されている。これも年代物の重厚なものだ。孫兵衛さんが出してきたものか。部屋がでかいので、座卓を追加したくらいでは狭く感じない。
「先生、あらためましてうちの者を紹介します」
塚本社長がビールのグラスを置いて父に語りかけた。
「あー塚本さん、うづはよ、先生がほかに2人いっから、俺ば先生て呼ばねでけろ」
「たしかにそうだ、ではお父さんでいいですか。石川さんもたくさんいるわけだし」
「んだんだ、ほんでいい。塚本さんば社長てよばっとすっと、おらえの軍兵衛も社長だすよ、ややこすいがら塚本さんて呼んだんだす」
父は方言全開だが、塚本社長は大体の意味を理解しているようだ。
「では、お父さんに近い方から、右田義春、遠藤寿、山崎良太郎、大北一樹、です。ウチ一押しの新人バンドです」
「よろしくおねがいしまーす」
メンバーが一斉に頭を下げ、雪江が拍手した。おそらくほうぼうでこうして挨拶をして回っているのだろう。
「おかえんなさい、飲んでね~」
母がグラスを持って居間へやって来た。ビールのケースを孫兵衛さんとマサシさんが持って続いてやってきて、祖母の方に座ってお相伴に預かる。
「右田さんはお酒ダメなんですってね、烏龍茶とか持ってこようか?」
「え、なんで知ってるんスカ」
「雪江に聞いたわ」
「いや、でもまったくダメってわけじゃないし、なんか飲みたいっす、アイと久しぶりに会えたし」
「あら、頼もしいわね」
「…ってか、学校と違いすぎません?理事長」
「家ではお母さん。公私の区別をきっちりつけるのが石川家の流儀なのよ」
「では、JET BLACKの人気と株式会社BBミュージックのますますのご繁栄を祈念いたしまして、乾杯!」
父が政治家らしい音頭の取り方で乾杯を宣言した。
皆がビールを一気に飲み干し、拍手が沸き起こる。
「いっぱいあっさげ、いっぱい食ってけろな、田舎料理ばんだげっと」
野菜の煮付けを盛った器を抱えて、翔子さんも加わる。
「ほんて、しぇーおどごばんだー」
ミギが雪江に通訳を目で頼む。
「本当にカッコイイ男の子ばっかりだわー」
リョータローがイェーイと叫ぶ。
「やんだー、ちゃんと標準語で話しないとねぇ」
翔子さんは言語モードを切り替えた。
「皆さん、あーくんのお友達なわけね」
「そうね、あーくんと出会ったきっかけの人たちよ」
翔子さんと雪江がごくごくビールを飲みながら話す。
「俺だけがお友達じゃなかったの。アイがやめてから友達になったけど」
コトブキが笑う。凶悪な人相は酒でほぐれつつある。
「髪が金だの銀だのは仕事柄ですもんね。うちは土建屋だけど、時々真っ茶色とか金髪とかの子が面接に来るけど、お断りしてる」
「やべえ俺事務所クビになったら仕事できね」
ミギが長い金髪を後ろで束ねて言った。
「右田さん、昔のあーくんみたいな髪型」
「髪型だけでもアイの痕跡を残したいんだ、JETに」
「フフ、あなたらしいね」
雪江とミギは、どうも不思議な連帯感で結ばれているようだ。
「右田くんは、ご両親は何しったのや」
父がミギに尋ねる。ミギはだいぶ山形弁に慣れたようである。
「会社員ですよ。母は専業主婦。ウチも石川家ほどじゃないですけど、ずっと東京でして、代々桶屋だったそうです。父親が普通に会社勤めしたんで、絶えましたけど。親父が継いでても俺の代で終わってましたね」
「あー、ミギんちに行くとおじいちゃんがいっつも桶作ってたのは、趣味でやってんじゃなかったんだ」
「話したことなかったか。じいちゃんはまだやってるよ、一応。古い馴染みの人が注文してきたり、芝居の小道具とかで需要はあるんだって。納品は何年待ちになるかわからないってよ」
「んだなー、寒河江にも桶屋は昔何軒かいたけんど、今は全部やめたもな」
父が興味深げに頷いた。
「リョータローさん、私を打ち上げに誘ったあの娘は、今どうしてるの?」
雪江がリョータローに話しかける。
「え?何の話?」
「私がはじめて打ち上げ行って、みんなとあったとき。あの娘、リョータローさんのファンだったよ」
「え。マジ誰だかわかんね。誰だ」
「相変わらず最低だなおまえの女癖」
キタが牛乳のようにビールを飲みながら、リョータローを小突いた。
「うづはほだなごどしたら、家さ入れでもらわんねぐなる」
軍兵衛さんがゲラゲラ笑った。
「社長、墓穴ほってる」
マサシさんが茶化した。
「うちの人ね、前にちょっとオイタしてくれてねぇ。三週間ほど家から追い出しましたの。会社でも一切口を利かず」
翔子さんは軍兵衛さんに一瞥をくれて言った。
「社長、うちに泊まりに来たし」
「うちにも来たわねぇ、軍兵衛さん」
「あーくんには、ウワキシタラコロス、って言ってあるから大丈夫」
俺は以前着信したウワキシタラコロスのメールを開いて、みんなに見せてやった。また爆笑がおこる。
「塚本さん、音楽事務所って結局どういうごどすんなや」
軍兵衛さんが慌てて話題を変える。
「そうですね、音楽事務所って、けっこう経営者によって違いますけど、基本は抱えてるアーティストが売れて、コンサートやCDやグッズなんかが売れて、利益出すんですよ」
「ほうほう」
軍兵衛さんも一企業の経営者である。
「事務所によっては、アーティストから金を取るとこもありますね、所属料として」
五兵衛さんが補足する。
「私は、企画型だと思ってます。いろんな企画を出してアーティストごと売り込む。野外フェスとか。こいつらから上前はねるのは、売れてからだと。それまでは投資」
「昔は売れっ子がひとりいれば自社ビルが建つって言われましたけどね、今はCDも売れないし」
「社長はネット配信を早くからやってたもんね」
ミギも大人の会話に加わった。
「一枚のCDを高い値段で売るんじゃなくて、薄く広く集金できないかなってね」
「なるほどなぁ、薄く広くか」
父が感心した。
「キタさん、日本酒と焼酎とウィスキーとあるけど、何がいい?」
「ウィスキー…かな。しばらく飲んでない」
「給料は出してるだろ」
「キタは飯食いすぎなんだよ」
コトブキが笑った。彼も酒は結構イケる口らしい。
「ご飯も食べたかったら言って」
雪江がそう言ってキタに笑いかけた。
「婆ちゃんと姉さんの料理は美味いよな」
五兵衛さんがニコニコして言う。姉さんとは言うが、五兵衛さんのほうが年上だ。
「五兵衛さん、私も作ったんだけど」
翔子さんも酒豪らしく、ビールを水のように飲む。
「塚本さん、軍兵衛さん夫婦はね、ともに元陸上自衛隊」
「自分もっス」
マサシさんが飯をモリモリ食いながら付け加えた。
「かえってくっとき、途中飲み屋あったじゃん、二次会行こう二次会」
珍しく酒を飲んだミギが顔を赤らめてそう言った。もっともミギは酒を一切飲まずに最後まで付き合って騒ぐのだが。
「さんせー」
コトブキがさっそく立ち上がる。
「あんまり遅くなんないでね」
母が声をかける。
「ほどほどにな」
塚本社長も一言添える。大人チームはなにやらまじめに話をしていた。
「了解っすー」
馬鹿キャラが定着しているリョータローが塚本社長と母に敬礼する。
「雪江ちゃんも早く」
キタが雪江に声をかける。雪江は後片付けに行こうとしていた。
「雪江ちゃん、かまねさげ一緒に行って来いっちゃ、いいべ、お姉さん」
翔子さんが微笑んで言い、母に了承を求める。
「行ってらっしゃい雪江、久しぶりに会ったんだしね」
「ありがと、お母さん、おばちゃん」
雪江はにっこり笑って立ち上がる。
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