43 / 44
Scene 43
しおりを挟む
教師として初の生徒指導を成し遂げたような達成感をもって、西川の就職面接が終了した。塚本社長と五兵衛さんは仕事の話をすると言うので、今宵の宴の準備をするために帰宅する理事長の車に便乗していった。俺達は西川と大泉を連れてJET BLACKとともにトールパインへ向かう。雪江も来ているはずだ。
「富士男よぉ、おまえのレスポール、本物か」
コトブキが西川に尋ねた。
「ハイっす、実の父親に貰いました」
「すげえオヤジだな」
「実は名前も憶えでねっすけど」
「話にゃ聞いてたけどよ、ほんと訛ってんな」
リョータローが茶化した。
「すいません」
「謝るなよ」
キタが笑う。
「誰だっけ、山形弁のアメリカ人いたよな」
ミギもゲラゲラ笑っている。
「彼女、ハルヒだっけ?一緒に来るよね、富士男と」
ミギが笑うのをやめて大泉に話しかける。
「はい。親が反対したら家出します」
大泉は訛りを消して話す。
「まぁまぁ、ちゃんと話し合わないとダメだよ。理事長にも協力してもらいなさい」
俺は教師の口調で大泉をたしなめた。
「アイ、ほんと先生みたいな」
リョータローがまた茶々を入れる。
「俺、なんか頭クラクラするっす。JET BLACKのメンバーど一緒に歩いっだなんて夢だがど」
「おまえは俺が仕込んでやる。心配すんな、夢ならよかったってくらい丁寧に指導してやるからな」
コトブキが例の凶悪な顔で西川を見る。さしもの喧嘩屋もたじたじである。
「ミギ、さっきの話はマジか?夏休みのバイト」
俺はJETのアイに戻ってミギに尋ねる。
「おぉ、富士男、大丈夫だろ?宿題手伝ってやっから来い」
ミギが西川に話しかける。さっき会ったばかりだというのに、メンバーの誰もが何年も付き合っている後輩に話しかけるような気さくさだ。
「じいちゃんさ頼みます。ダメだとは言わねど思います」
「おう、あとで携帯の番号とメアド交換しような」
西川が軽くふらついた。大泉が慌てて手を取る。
「ミギさんと携帯の番号どメアド交換なて…嬉しくて気絶すっとごだっけ…」
「バッカだなおめぇ」
ミギは西川の肩に手を回してぐっと抱き寄せ、また大笑いする。俺は少し西川のことが心配になったが、大泉がいるから大丈夫だろう。ミギは彼女がいる男には手を出さないはずだ。
「おお、かっこいい店じゃないの」
トールパインの前で、ミギが口笛を鳴らす。
「メシは本当にうまい。でも、夕飯に響くから食うなよ。お母さんとおばさんとお婆ちゃんがいろいろ作って待ってるからな」
「了解」
店に入ると、雪江が待っている。
「あーくん、こっちー」
店内で一番大きいボックス席に座ると、櫻乃がオーダーを取りにやって来た。
「うわなにすげえ美人」
リョータローが即反応する。
「やんだーほんてのごどゆうなちゃー」
俺と雪江、西川と大泉がどっと笑う。櫻乃はこういうギャグセンスに富む。何を言ったかまったく理解できないJET BLACKのメンバーは目を丸くしている。
「うっわ~やべぇ何言ってるか全くわかんねぇ」
ミギが正直な感想を述べた。
「あーくん、この人達が、あのDVDさ出っだ人達だよね?」
櫻乃がすこし苦労して標準語っぽく言った。
「お姉さん見てくれたのあれ、俺出てたでしょ?ドラム叩いてたの俺オレオレ」
やっと言葉がわかったリョータローが嬉しそうに話す。
「ボーカルの人金髪になたなが~」
櫻乃はミギをカッコイイと言っていた。
「右田でーす。アイとは一生の友達と誓い合った仲でーす」
雪江が軽く眉をぴくつかせる。
「んだがしたー。私もユキど親友なのよー」
「美人同士仲良しなのねー」
「リョータローうるさい」
キタがぼそっと言う。
「あーベースの人だねー。物静かな人だと思ったげっとほんてだねー」
だいたい意味が伝わったらしく、キタが真っ赤になった。
「俺はあんまし出てないけど、DVD」
人相の悪いコトブキが挨拶する。店長と軍兵衛さん、コトブキの三人が並んで歩いたら、大概のものは避けていくだろう。
「んだっけねー。うちの店長みでな人だと思ったのよー」
また俺と雪江、西川と大泉だけが笑った。
「いらっしゃいませーJET BLACKの皆さん」
店長がやって来た。店長を見て櫻乃の言葉の意味を悟り、今度はコトブキ以外のメンバーが笑った。櫻乃はオーダーを受けて去った。
「あのよ、写真撮らせてもらっていいかな」
店長が表情を変えずに依頼した。ミギがどうぞどうぞと笑ってポーズを取る。
「お店に貼るのはいいけど、ネットに上げるのだけはかんべんしてね」
こういうことをさらっと言えるようになっている。ミギたちはプロなのだ。
「あくまで個人的な記念としてです。そういうことはしねえっす」
店長はあくまで表情を変えないが、目が明らかに喜んでいる。
「ねえ店長、うちのコトブキと並んでよ」
ミギが自分の携帯を取り出し、人相の悪い二人の写真を撮り、また笑った。
「富士男、ほかの奴らはまだか?」
店長が西川に尋ねた。
「他の?」
「JET BLACKの人が来るんだったら、おまえだのバンドの音聞いてもらったらいいべつったのよ」
「あすこにドラムセットとかアンプとか置いてあんのはそれかー」
ミギが明るく言う。
「STAY GOLDっていうんだ、バンド名」
「かっけーじゃん」
リョータローが西川と大泉に笑いかける。そしてドラムセットの方へ行き、当然のように座った。散発的にソロをやる。リョータローのドラミングが以前にもまして重厚な音を出すようになっている。
「うまくなったろ、リョータロー」
キタが静かな声で俺に言う。
「あぁ、さすがプロだ」
「もう、音楽しかすること無いからな、俺達」
コトブキも静かに言う。
「バイトしなくても何とか食えるくらいの給料は貰ってるからな」
ミギが笑った。
「給料制なのか、BBは」
「今の俺らじゃ、契約制だと飢え死にだ。社長は、ステージの動員力やアルバムの売れ行き次第で契約制に切り替えるってさ。自分がやってきてるから、駆け出しの苦労を知ってる」
塚本社長も元はバンドマンだ。解散して所属事務所を辞めてからBBミュージックを興したが、若手を育てようという気概を持っている。
「ハルヒ、おまえのベースもっかい見せてみ」
大きなキタが小さな大泉に話しかける。大泉ははぁいと明るく答えて、例の黄緑色のベースを取り出した。キタは優しく笑いながらそれを手に取る。
「おまえの身長でレギュラースケールはキツイだろう、次はショートにしたほうがいい。いっそスタインバーガーみたいなボディの小さいのにしたらいいよ」
「石川先生とまったく同じこといいますね」
大泉の言葉にミギが笑い、俺の肩に手を回す。
「教師になっても、ミュージシャンの心を忘れてませんなぁ、アイ先生」
キタは大泉のベースを抱えてリョータローの方へ行き、アンプにシールドを繋ぐ。そして軽いセッションを始めた。俺はもう我慢ができなくなり、インテリアとして置いてあるギブソン・レスポールを店長から借りる。弦はもう張替え済みだ。
「ほほ、懐かしい絵だ」
ミギがリズムに体を揺する。
「やっぱりプロなんだね」
雪江がそんなミギを眺め、コトブキに話しかけた。
「ミギが俺たちをプロにしてくれたんだ。アイは最後まで迷って、あんたを取った」
「あたりまえよ。私、本当に欲しいものは絶対に手に入れるの。途中、あきらめそうになったけどね。あの人、JETが好きすぎてヤバイかもって思ったこともある」
「こわいこわい」
コトブキが強面を緩めて笑う。
「もしJETを取るって言ったら、首に縄かけてでも山形へ連れてきたろうな」
「そんなことしたら、俺、雪江ちゃんでもぶん殴ってた」
いつの間にかミギが雪江の隣に忍び寄っていた。顔は笑っているが目が笑っていない。
「んじゃ私は右田さんを刺す」
雪江も顔だけ笑った。
「なんの会話だよ」
コトブキが苦笑した。
「雪江ちゃんには負けたわな」
ミギが今度こそ笑って雪江を見た。雪江も微笑み返す。
「雪江様の気持ちわかりますー。私も富士男をいじめるヤツみんな殴ってたものー」
「ほいずは幼稚園の時だべ」
「恐ろしいカップルだな」
ミギがまた笑った。
そのタイミングで入口のドアが開き、秋葉と沖津がやって来た。私服姿であるためまったく高校生には見えず、小学生の子供がいる夫婦と言ってもおかしくない雰囲気だ。
「賢さん、姐御、よくござったなっす」
西川が二人に駆け寄る。
「アイ、あの方たちは、おまえの先輩教師とかか」
ミギが小声で俺に聞く。
「いや、アレは高校三年生だ」
「ウソだろおい、彼女の方とか、どう見ても奥さんって感じだぞ」
コトブキも小声でツッコミを入れる。
「高校三年ですけどなにか」
耳の良い沖津が大声で言った。みなが爆笑する。
「はじめまして、軽音楽部の部長を務めさせていただいてる、沖津です。このたびは西川くんの就職面接、ありがとうございました」
沖津があらためてミギに挨拶する。部長の沖津に合わせ、部員たちも頭を下げた。
「ほらー。高校生の対応じゃないってそれー」
ミギが俺に抱きついて笑う。どうでもいいがさっきからミギは俺に密着しっぱなしだ。
「右田さん、そろそろ失礼だって」
雪江がやんわりとたしなめた。俺に密着しすぎだということも含んでいるのだろう。
「ごめんごめん。俺たち、アイ先生とバンドやってた、JET BLACK。クリスマスにはデビューアルバム出るから、買ってね」
ミギがペコリと頭を下げる。メンバーもそれにならった。
「富士男とハルヒは、春からうちの事務所でもらうことになったから、よろしくね」
ミギがそう言って、沖津にウィンクする。
「え。春陽まで?」
「ウチの社長がいっぺんで気に入ったよ。さぁもっかい聞かせろよ富士男」
ミギが愉快そうに笑う。
JET BLACKは席に戻り、STAY GOLDが位置についた。俺もサポートメンバーとして加わる。
「オリジナルはないんで、コピーやります」
西川が照れくさそうに言う。いつものナンバーだ。
軽快なドラミングで沖津が走る。リョータローが口笛を鳴らす。
「クールだね、奥様」
秋葉のキーボードも少し弾んでいる。西川のことが嬉しいのだろう。
「でかい体でけっこう弾くな」
でかい体のキタがつぶやく。大泉のハイトーンが響き渡る。
「ほーお」
腕組みをしたコトブキの指が律動する。
「社長の判断に狂いはないなー。声もいいじゃん」
ミギは真剣な表情だ。
「右田さん、あとでメモリ渡すから」
雪江は最初からカメラを構えていた。動画を記録している。
「さすが雪江ちゃん!惚れるわ~」
ミギに限って、それだけはない。
曲が終わり、JET BLACKのメンバーと店長、櫻乃が拍手をする。メンバーはそれぞれのパートの元へ行き、指導を始める。リョータローは逆に沖津にレギュラーグリップの振り方を学んでいた。
「キタ、この秋葉な、おまえと同じ元球児だよ」
JET BLACKにはキーボードがいないので、誰とも話をしていなかった秋葉を捕まえた。
「うん?ポジションは」
「ピッチャーでした」
「俺と同じだな」
秋葉は俺に敬語を使わないくせに、初対面のキタには敬語だ。
「元ってことは野球やめたの」
「はい、肩がダメになったっす」
「投げっぱなしでアイシングとかしなかっただろう」
「ハイっす、ムチャクチャ投げ込みました」
「だからだよ、酷使すればいいってもんじゃない。残念だったな、途中で諦めるの辛かったろ」
キタが優しく秋葉の右肩を撫でた。
「…はい」
驚いたことに、秋葉が嗚咽し始めた。
「野球やっだくてやっだくて、仕方なかったっす!悔すくて、仕方ねっけっす」
「泣けよ、力いっぱい。スッキリすんぞ。俺も高三の県予選、ベストフォーで終わって、泣いたわ。あんなに汗かいてたのに涙が止まらねえ。あと二回勝てば甲子園だったのに、ってな。でも泣くだけ泣いたら全部すっきりした」
「野球部で、グランドで泣きたかったっす」
「いいじゃねえか、美人の大人っぽい彼女がいて、軽音部でもよ」
珍しくキタが長くしゃべった上、軽口まで飛ばした。美人の彼女がクスッと笑う。
「先生の友達って、おっかない人かと思ったけど違うのね」
「おっかなぐねーよ俺ら」
沖津の言葉に、リョータローが聞きかじりの訛りで茶々を入れる。
「気の合うヤツってのは、そうザラにいないぞ、大事にしなよ」
コトブキが西川に言う体で、STAY GOLDたちに告げた。
「おう、じゃあ俺らもお返しに一曲やるかい」
ミギが元気よく言った。STAY GOLDたちの楽器を借り、それぞれのパートに散る。ミギはキーボードについた。ミギはピアノから音楽の道に入ったのだ。
「アイの作った曲ー俺達の秘蔵ねー。ファーストアルバムにゃ入れるけど、武道館まではステージで演らないって決めてる」
「DRUNK ANGELがっす?DVDで最後イントロだけ流れた」
フリークの西川が即反応した。
「そ。これはアイが雪江ちゃんをモデルに書いたんだってー」
ミギがDRUNK ANGELのフレーズを散発的に弾きながら言う。雪江と櫻乃がキャ~と叫んだ。
「ワントゥートゥィーフォー」
気取った発音でリョータローがスティックを鳴らす。あっさりレギュラーグリップをマスターし、スティックを回しながらだ。JET BLACKの表情がプロのミュージシャンのそれに変わった。
なにもかもうまくいかない
世の中すべてにツバを吐きたいとき
いつもお前が現れる
ブルースにやられた夜
ギターに背中を突き刺され
お前の歌が流れてくる
安酒と辛い煙草の煙のなか
お前が微笑む、酔いどれの天使
グラスに満たした酒を体にふりまき
あやしく微笑む、DRUNK ANGEL
お前の歌で満たされる心
薄暗い地下道でうずくまってたって
いつもお前の姿が観えてくる
ブルースはもうたくさんだけど
世界中がいっぺんに叫んだって
俺にはお前の声がわかるんだ
酒を満たした荒海に泥の船を出し
お前をさがす、酔いどれた天使
飲み干したボトルを優しく抱いて
また歌いだす、 DRUNK ANGEL
夜の帷を引き裂いて
月を砕き、星を押しのけ
やって来る、今夜もまた
ハレルヤ、ロックンロールの神に
歌いつづけ、踊りつづけ、飲みつづける
荒野に降り立つ、酔いどれた天使
その羽はまるで真っ赤なワインのように染まる
俺のすべて、DRUNK ANGEL
ミギのヴォーカルとキーボード、コトブキのギターで、DRUNK ANGELが新しい曲のように洗練された。俺は思わず声を上げた。
「すげえ、こんなにいい曲だったか俺の書いた曲?」
俺は駆け寄って全員とハイタッチをする。
「かっこしぇーちゃー、ユキば歌った曲なんだがしたー」
櫻乃がなかば唖然として拍手する。雪江はキモノ・マーケットの最終ライブを思い出したのか、涙を流していた。
「プロってすげえな」
店長が感動していた。
「店長は料理のプロじゃないっすか」
ミギが屈託なく笑った。
「私らの楽器でこんな音出るんだ…」
クールな沖津が頬を上気させていた。
「富士男、やっぱいいギターだわこれ」
コトブキがレスポールを優しく掴んで西川に渡した。
「俺も、こういうふうになっだいっす」
西川の目が決意に燃えていた。
「早いとここうなってもらわにゃ困るんだわ」
リョータローが沖津にスティックを渡して言う。
「珍しくまともなこと言うなリョータロー」
キタが大泉にベースを渡す。寡黙なこの大男が黄緑色のベースを弾く姿はかなり面白かったのだが。
「君さ、進路どうなってるの」
ミギが秋葉に問いかける。
「まだ決めてないっすけど、たぶん家の手伝いします」
「そっかー。みんなまとめてうちに来てほしいなと思ったけど」
ミギが秋葉の背中を叩きながら言った。
「私は進学を決めてます」
「あら残念。じゃ富士男とハルヒだけでもいいか~」
沖津の返答にミギがまた笑い、西川と大泉の肩を抱き寄せた。
「なあみんなさぁ、このSTAY GOLD、JET BLACKの弟バンドってことでいいかな」
ミギがメンバーに問いかけた。
「賛成」
「異議なし」
「オッケー」
メンバーが即答した。
「妹じゃないんだ…」
大泉が少し落胆する。
「そこなのか?」
リョータローがツッコミを入れ、みなが笑った。
その後、キタの強い希望で一行は学院のグランドへ寄り、キタと秋葉の全力キャッチボールを見物したのだった。ふたりとも現役ではないとはいえ、素人目には恐ろしいほどの豪速球を投げていた。
「富士男よぉ、おまえのレスポール、本物か」
コトブキが西川に尋ねた。
「ハイっす、実の父親に貰いました」
「すげえオヤジだな」
「実は名前も憶えでねっすけど」
「話にゃ聞いてたけどよ、ほんと訛ってんな」
リョータローが茶化した。
「すいません」
「謝るなよ」
キタが笑う。
「誰だっけ、山形弁のアメリカ人いたよな」
ミギもゲラゲラ笑っている。
「彼女、ハルヒだっけ?一緒に来るよね、富士男と」
ミギが笑うのをやめて大泉に話しかける。
「はい。親が反対したら家出します」
大泉は訛りを消して話す。
「まぁまぁ、ちゃんと話し合わないとダメだよ。理事長にも協力してもらいなさい」
俺は教師の口調で大泉をたしなめた。
「アイ、ほんと先生みたいな」
リョータローがまた茶々を入れる。
「俺、なんか頭クラクラするっす。JET BLACKのメンバーど一緒に歩いっだなんて夢だがど」
「おまえは俺が仕込んでやる。心配すんな、夢ならよかったってくらい丁寧に指導してやるからな」
コトブキが例の凶悪な顔で西川を見る。さしもの喧嘩屋もたじたじである。
「ミギ、さっきの話はマジか?夏休みのバイト」
俺はJETのアイに戻ってミギに尋ねる。
「おぉ、富士男、大丈夫だろ?宿題手伝ってやっから来い」
ミギが西川に話しかける。さっき会ったばかりだというのに、メンバーの誰もが何年も付き合っている後輩に話しかけるような気さくさだ。
「じいちゃんさ頼みます。ダメだとは言わねど思います」
「おう、あとで携帯の番号とメアド交換しような」
西川が軽くふらついた。大泉が慌てて手を取る。
「ミギさんと携帯の番号どメアド交換なて…嬉しくて気絶すっとごだっけ…」
「バッカだなおめぇ」
ミギは西川の肩に手を回してぐっと抱き寄せ、また大笑いする。俺は少し西川のことが心配になったが、大泉がいるから大丈夫だろう。ミギは彼女がいる男には手を出さないはずだ。
「おお、かっこいい店じゃないの」
トールパインの前で、ミギが口笛を鳴らす。
「メシは本当にうまい。でも、夕飯に響くから食うなよ。お母さんとおばさんとお婆ちゃんがいろいろ作って待ってるからな」
「了解」
店に入ると、雪江が待っている。
「あーくん、こっちー」
店内で一番大きいボックス席に座ると、櫻乃がオーダーを取りにやって来た。
「うわなにすげえ美人」
リョータローが即反応する。
「やんだーほんてのごどゆうなちゃー」
俺と雪江、西川と大泉がどっと笑う。櫻乃はこういうギャグセンスに富む。何を言ったかまったく理解できないJET BLACKのメンバーは目を丸くしている。
「うっわ~やべぇ何言ってるか全くわかんねぇ」
ミギが正直な感想を述べた。
「あーくん、この人達が、あのDVDさ出っだ人達だよね?」
櫻乃がすこし苦労して標準語っぽく言った。
「お姉さん見てくれたのあれ、俺出てたでしょ?ドラム叩いてたの俺オレオレ」
やっと言葉がわかったリョータローが嬉しそうに話す。
「ボーカルの人金髪になたなが~」
櫻乃はミギをカッコイイと言っていた。
「右田でーす。アイとは一生の友達と誓い合った仲でーす」
雪江が軽く眉をぴくつかせる。
「んだがしたー。私もユキど親友なのよー」
「美人同士仲良しなのねー」
「リョータローうるさい」
キタがぼそっと言う。
「あーベースの人だねー。物静かな人だと思ったげっとほんてだねー」
だいたい意味が伝わったらしく、キタが真っ赤になった。
「俺はあんまし出てないけど、DVD」
人相の悪いコトブキが挨拶する。店長と軍兵衛さん、コトブキの三人が並んで歩いたら、大概のものは避けていくだろう。
「んだっけねー。うちの店長みでな人だと思ったのよー」
また俺と雪江、西川と大泉だけが笑った。
「いらっしゃいませーJET BLACKの皆さん」
店長がやって来た。店長を見て櫻乃の言葉の意味を悟り、今度はコトブキ以外のメンバーが笑った。櫻乃はオーダーを受けて去った。
「あのよ、写真撮らせてもらっていいかな」
店長が表情を変えずに依頼した。ミギがどうぞどうぞと笑ってポーズを取る。
「お店に貼るのはいいけど、ネットに上げるのだけはかんべんしてね」
こういうことをさらっと言えるようになっている。ミギたちはプロなのだ。
「あくまで個人的な記念としてです。そういうことはしねえっす」
店長はあくまで表情を変えないが、目が明らかに喜んでいる。
「ねえ店長、うちのコトブキと並んでよ」
ミギが自分の携帯を取り出し、人相の悪い二人の写真を撮り、また笑った。
「富士男、ほかの奴らはまだか?」
店長が西川に尋ねた。
「他の?」
「JET BLACKの人が来るんだったら、おまえだのバンドの音聞いてもらったらいいべつったのよ」
「あすこにドラムセットとかアンプとか置いてあんのはそれかー」
ミギが明るく言う。
「STAY GOLDっていうんだ、バンド名」
「かっけーじゃん」
リョータローが西川と大泉に笑いかける。そしてドラムセットの方へ行き、当然のように座った。散発的にソロをやる。リョータローのドラミングが以前にもまして重厚な音を出すようになっている。
「うまくなったろ、リョータロー」
キタが静かな声で俺に言う。
「あぁ、さすがプロだ」
「もう、音楽しかすること無いからな、俺達」
コトブキも静かに言う。
「バイトしなくても何とか食えるくらいの給料は貰ってるからな」
ミギが笑った。
「給料制なのか、BBは」
「今の俺らじゃ、契約制だと飢え死にだ。社長は、ステージの動員力やアルバムの売れ行き次第で契約制に切り替えるってさ。自分がやってきてるから、駆け出しの苦労を知ってる」
塚本社長も元はバンドマンだ。解散して所属事務所を辞めてからBBミュージックを興したが、若手を育てようという気概を持っている。
「ハルヒ、おまえのベースもっかい見せてみ」
大きなキタが小さな大泉に話しかける。大泉ははぁいと明るく答えて、例の黄緑色のベースを取り出した。キタは優しく笑いながらそれを手に取る。
「おまえの身長でレギュラースケールはキツイだろう、次はショートにしたほうがいい。いっそスタインバーガーみたいなボディの小さいのにしたらいいよ」
「石川先生とまったく同じこといいますね」
大泉の言葉にミギが笑い、俺の肩に手を回す。
「教師になっても、ミュージシャンの心を忘れてませんなぁ、アイ先生」
キタは大泉のベースを抱えてリョータローの方へ行き、アンプにシールドを繋ぐ。そして軽いセッションを始めた。俺はもう我慢ができなくなり、インテリアとして置いてあるギブソン・レスポールを店長から借りる。弦はもう張替え済みだ。
「ほほ、懐かしい絵だ」
ミギがリズムに体を揺する。
「やっぱりプロなんだね」
雪江がそんなミギを眺め、コトブキに話しかけた。
「ミギが俺たちをプロにしてくれたんだ。アイは最後まで迷って、あんたを取った」
「あたりまえよ。私、本当に欲しいものは絶対に手に入れるの。途中、あきらめそうになったけどね。あの人、JETが好きすぎてヤバイかもって思ったこともある」
「こわいこわい」
コトブキが強面を緩めて笑う。
「もしJETを取るって言ったら、首に縄かけてでも山形へ連れてきたろうな」
「そんなことしたら、俺、雪江ちゃんでもぶん殴ってた」
いつの間にかミギが雪江の隣に忍び寄っていた。顔は笑っているが目が笑っていない。
「んじゃ私は右田さんを刺す」
雪江も顔だけ笑った。
「なんの会話だよ」
コトブキが苦笑した。
「雪江ちゃんには負けたわな」
ミギが今度こそ笑って雪江を見た。雪江も微笑み返す。
「雪江様の気持ちわかりますー。私も富士男をいじめるヤツみんな殴ってたものー」
「ほいずは幼稚園の時だべ」
「恐ろしいカップルだな」
ミギがまた笑った。
そのタイミングで入口のドアが開き、秋葉と沖津がやって来た。私服姿であるためまったく高校生には見えず、小学生の子供がいる夫婦と言ってもおかしくない雰囲気だ。
「賢さん、姐御、よくござったなっす」
西川が二人に駆け寄る。
「アイ、あの方たちは、おまえの先輩教師とかか」
ミギが小声で俺に聞く。
「いや、アレは高校三年生だ」
「ウソだろおい、彼女の方とか、どう見ても奥さんって感じだぞ」
コトブキも小声でツッコミを入れる。
「高校三年ですけどなにか」
耳の良い沖津が大声で言った。みなが爆笑する。
「はじめまして、軽音楽部の部長を務めさせていただいてる、沖津です。このたびは西川くんの就職面接、ありがとうございました」
沖津があらためてミギに挨拶する。部長の沖津に合わせ、部員たちも頭を下げた。
「ほらー。高校生の対応じゃないってそれー」
ミギが俺に抱きついて笑う。どうでもいいがさっきからミギは俺に密着しっぱなしだ。
「右田さん、そろそろ失礼だって」
雪江がやんわりとたしなめた。俺に密着しすぎだということも含んでいるのだろう。
「ごめんごめん。俺たち、アイ先生とバンドやってた、JET BLACK。クリスマスにはデビューアルバム出るから、買ってね」
ミギがペコリと頭を下げる。メンバーもそれにならった。
「富士男とハルヒは、春からうちの事務所でもらうことになったから、よろしくね」
ミギがそう言って、沖津にウィンクする。
「え。春陽まで?」
「ウチの社長がいっぺんで気に入ったよ。さぁもっかい聞かせろよ富士男」
ミギが愉快そうに笑う。
JET BLACKは席に戻り、STAY GOLDが位置についた。俺もサポートメンバーとして加わる。
「オリジナルはないんで、コピーやります」
西川が照れくさそうに言う。いつものナンバーだ。
軽快なドラミングで沖津が走る。リョータローが口笛を鳴らす。
「クールだね、奥様」
秋葉のキーボードも少し弾んでいる。西川のことが嬉しいのだろう。
「でかい体でけっこう弾くな」
でかい体のキタがつぶやく。大泉のハイトーンが響き渡る。
「ほーお」
腕組みをしたコトブキの指が律動する。
「社長の判断に狂いはないなー。声もいいじゃん」
ミギは真剣な表情だ。
「右田さん、あとでメモリ渡すから」
雪江は最初からカメラを構えていた。動画を記録している。
「さすが雪江ちゃん!惚れるわ~」
ミギに限って、それだけはない。
曲が終わり、JET BLACKのメンバーと店長、櫻乃が拍手をする。メンバーはそれぞれのパートの元へ行き、指導を始める。リョータローは逆に沖津にレギュラーグリップの振り方を学んでいた。
「キタ、この秋葉な、おまえと同じ元球児だよ」
JET BLACKにはキーボードがいないので、誰とも話をしていなかった秋葉を捕まえた。
「うん?ポジションは」
「ピッチャーでした」
「俺と同じだな」
秋葉は俺に敬語を使わないくせに、初対面のキタには敬語だ。
「元ってことは野球やめたの」
「はい、肩がダメになったっす」
「投げっぱなしでアイシングとかしなかっただろう」
「ハイっす、ムチャクチャ投げ込みました」
「だからだよ、酷使すればいいってもんじゃない。残念だったな、途中で諦めるの辛かったろ」
キタが優しく秋葉の右肩を撫でた。
「…はい」
驚いたことに、秋葉が嗚咽し始めた。
「野球やっだくてやっだくて、仕方なかったっす!悔すくて、仕方ねっけっす」
「泣けよ、力いっぱい。スッキリすんぞ。俺も高三の県予選、ベストフォーで終わって、泣いたわ。あんなに汗かいてたのに涙が止まらねえ。あと二回勝てば甲子園だったのに、ってな。でも泣くだけ泣いたら全部すっきりした」
「野球部で、グランドで泣きたかったっす」
「いいじゃねえか、美人の大人っぽい彼女がいて、軽音部でもよ」
珍しくキタが長くしゃべった上、軽口まで飛ばした。美人の彼女がクスッと笑う。
「先生の友達って、おっかない人かと思ったけど違うのね」
「おっかなぐねーよ俺ら」
沖津の言葉に、リョータローが聞きかじりの訛りで茶々を入れる。
「気の合うヤツってのは、そうザラにいないぞ、大事にしなよ」
コトブキが西川に言う体で、STAY GOLDたちに告げた。
「おう、じゃあ俺らもお返しに一曲やるかい」
ミギが元気よく言った。STAY GOLDたちの楽器を借り、それぞれのパートに散る。ミギはキーボードについた。ミギはピアノから音楽の道に入ったのだ。
「アイの作った曲ー俺達の秘蔵ねー。ファーストアルバムにゃ入れるけど、武道館まではステージで演らないって決めてる」
「DRUNK ANGELがっす?DVDで最後イントロだけ流れた」
フリークの西川が即反応した。
「そ。これはアイが雪江ちゃんをモデルに書いたんだってー」
ミギがDRUNK ANGELのフレーズを散発的に弾きながら言う。雪江と櫻乃がキャ~と叫んだ。
「ワントゥートゥィーフォー」
気取った発音でリョータローがスティックを鳴らす。あっさりレギュラーグリップをマスターし、スティックを回しながらだ。JET BLACKの表情がプロのミュージシャンのそれに変わった。
なにもかもうまくいかない
世の中すべてにツバを吐きたいとき
いつもお前が現れる
ブルースにやられた夜
ギターに背中を突き刺され
お前の歌が流れてくる
安酒と辛い煙草の煙のなか
お前が微笑む、酔いどれの天使
グラスに満たした酒を体にふりまき
あやしく微笑む、DRUNK ANGEL
お前の歌で満たされる心
薄暗い地下道でうずくまってたって
いつもお前の姿が観えてくる
ブルースはもうたくさんだけど
世界中がいっぺんに叫んだって
俺にはお前の声がわかるんだ
酒を満たした荒海に泥の船を出し
お前をさがす、酔いどれた天使
飲み干したボトルを優しく抱いて
また歌いだす、 DRUNK ANGEL
夜の帷を引き裂いて
月を砕き、星を押しのけ
やって来る、今夜もまた
ハレルヤ、ロックンロールの神に
歌いつづけ、踊りつづけ、飲みつづける
荒野に降り立つ、酔いどれた天使
その羽はまるで真っ赤なワインのように染まる
俺のすべて、DRUNK ANGEL
ミギのヴォーカルとキーボード、コトブキのギターで、DRUNK ANGELが新しい曲のように洗練された。俺は思わず声を上げた。
「すげえ、こんなにいい曲だったか俺の書いた曲?」
俺は駆け寄って全員とハイタッチをする。
「かっこしぇーちゃー、ユキば歌った曲なんだがしたー」
櫻乃がなかば唖然として拍手する。雪江はキモノ・マーケットの最終ライブを思い出したのか、涙を流していた。
「プロってすげえな」
店長が感動していた。
「店長は料理のプロじゃないっすか」
ミギが屈託なく笑った。
「私らの楽器でこんな音出るんだ…」
クールな沖津が頬を上気させていた。
「富士男、やっぱいいギターだわこれ」
コトブキがレスポールを優しく掴んで西川に渡した。
「俺も、こういうふうになっだいっす」
西川の目が決意に燃えていた。
「早いとここうなってもらわにゃ困るんだわ」
リョータローが沖津にスティックを渡して言う。
「珍しくまともなこと言うなリョータロー」
キタが大泉にベースを渡す。寡黙なこの大男が黄緑色のベースを弾く姿はかなり面白かったのだが。
「君さ、進路どうなってるの」
ミギが秋葉に問いかける。
「まだ決めてないっすけど、たぶん家の手伝いします」
「そっかー。みんなまとめてうちに来てほしいなと思ったけど」
ミギが秋葉の背中を叩きながら言った。
「私は進学を決めてます」
「あら残念。じゃ富士男とハルヒだけでもいいか~」
沖津の返答にミギがまた笑い、西川と大泉の肩を抱き寄せた。
「なあみんなさぁ、このSTAY GOLD、JET BLACKの弟バンドってことでいいかな」
ミギがメンバーに問いかけた。
「賛成」
「異議なし」
「オッケー」
メンバーが即答した。
「妹じゃないんだ…」
大泉が少し落胆する。
「そこなのか?」
リョータローがツッコミを入れ、みなが笑った。
その後、キタの強い希望で一行は学院のグランドへ寄り、キタと秋葉の全力キャッチボールを見物したのだった。ふたりとも現役ではないとはいえ、素人目には恐ろしいほどの豪速球を投げていた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる