曖-昧-多-色

muscat my cut

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ないないないん -曖昧な存在-

-11-

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要のお母さんが意外と鋭い人だと分かったので、要に聞きたかったことを試しに聞いてみることにした。

「要はファザコンですか?」

「本人は隠してるんだか、無意識なんだか分からないけれどおそらくそうだと思うわ。」

私の読みが当たった。やっぱりか。要なんかは意外と家族を大切にしてるキャラ(どんなキャラだよ)がいかにも似合いそうだ。

「要はあなたや、あなたの夫と一緒に寝ることはありましたか?」

「帰ってきている時は3人で川の字で寝ているわ。何故だか分からないけれど、要がどうしてもって言うからねえ…。」

寂しがり屋なのか。可愛い。

なんていうか、まだ心が幼い気がする。未だに親に対して甘えている。多分、要は親と居る時間が短くて、欠落している部分があると思う。

…将来の夢も、子供っぽいのかな。プリキュアになりたいとか、短冊に書いてるのかな。(保育園の頃の私である。)凄く気になって聞いてみた。が、それは的外れだったようだ。

「あの子は私達の浅手法律事務所を継ぐのが夢なのよ。」

「…。」

押し付けがましさ満載な物言いだった。これは別の夢がありそうだ。この人も知ってはいそうだけれど…それこそ、後で本人に聞くべきことだな。

「…ありがとうございました。私はこれで帰りますね。久しぶりの親子の再開を邪魔したくもないので。」

それに、これ以上浅手家のことを知ってしまうと、私が嫉妬で埋め尽くされそうだったからだ。むしろそっちが本当の気持ちかな。

まあ、何も言わずに帰るのもあれなので、とりあえずノートの切れ端に「今日は帰ります。また明日、同じ時間に行くね。今度は寝坊しないでね。後、部屋は涼しくね!九より」と書いて、置いておいた。

「お邪魔しました。」

と言って外に出ると、誰かと衝突してしまった。ていうか、勢いよく走ってきた要だったのだが。これは優理と出会ったばかりの頃を思い出すなあ。まあ、私の待ち伏せ方法はかなりツンデレでしたけど。いや、ツンしかなかったかな。

「痛いわっ!」

「はあ…はあ…あーごめんごめん。でも、お邪魔しましたは要らないって。」

「あーでも、要のお母さんが帰ってきてるからさ…」

「なぬ!?じゃあ、ばいばい九!お母さんー!!」

…走っていった。マイペース過ぎると思う。

にしても、要のお母さんに優先順位で負けたことが悔しい。まあ、当たり前なのだけれどね。私は友達。要のお母さんは家族。その差は本来あるべきものなのだ。

ただ、私には無いだけで。私には家族かと呼びたい人が居ないだけで。それだけで。それだけなのに。なんだか、悲しくて悲しくて仕方が無かった。

そんな気分でとぼとぼ歩き、時に立ち止まりながら、大幅な遠回りをして、回り道をして、家に帰ったのであった。
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