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第1章 転生
2話 初野営
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結界石により外敵からの攻撃を受けるという不安が解消されたジンは焚き火の近くに座るとマジックバッグからパンを1本とうさぎの肉を1つ取り出した。
うさぎの肉は調理しやすいように解体された状態で入っていたので、それを手頃なサイズに切り分け、枝を挿した後に塩を振って焚き火で炙りはじめる。
コショウがあればもっと美味しくなるのだろうが無い物ねだりをしてもしょうがないと諦めた。
大事な肉なので無駄にならないように慎重に焼き、うまく焼き上がったのを確認するとどこからか「こんがり肉ができました」と声が聞こえた気がした。
やっと焼けた肉は噛み付くと鶏肉のような食感だが淡白で噛み応えがあって上品な味がした。
(ジビエ料理ってやつか)
挿した木の枝がハーブのような香りがしたのも味のアクセントになって良かったのだろう。
腹がふくれると一日の疲れがどっと出始め、睡魔が襲ってくる。
マジックバッグを枕にして寝転がったが、遠くから聞こえていた獣の声がだんだん近づいてくるのに気がつくと睡魔はどこかへ消えていった。
(あの鳴き声からすると狼なのか?昼間に見た牛は地球に比べてかなり大きかったから狼もでかいんじゃないか?)
結界石が起動しているとはいえその効果を確認したことがないので心のどこかに信じきれないものがあるのでジンは安心しきれないでいたのだ。
ジンは起き上がると刀を抜いて周囲を警戒しはじめる。
すでに結界石のことなど頭の片隅にも残っておらず、少しの気配さえ逃さない様に神経をとぎすます。
だんだん近づいてきていた遠吠えが聞こえなくなったところを見るとこちらに襲いかかる準備に入ったのだろう。
近づいてくる獣の気配を察知したのか周囲で鳴いていた小動物や虫が一斉に息を潜め聞こえてくるのは風による草木の擦れる音だけになる。
周囲の気配を探りながら観察していると少し離れた林の中に焚き火の光を反射している複数の獣の目を見つけた。
(ついに来たか、ただで食われてやるわけにはいかないぞ)
気合を入れ、獣達に向かって刀を身構える。
ガサガサと林の中から現れたのは思っていた通り狼の群れであった。
正面に現れた先頭の狼がリーダーなのであろう、その姿は他の狼より一回り以上大きく頭の位置は立ち上がったジンよりも上にある。
他の狼も地球のものよりはかなり大きく、普通の人がこの集団に襲われたら生き残るのはかなり難しいのは間違いないであろう。
ジンもタダでやられてやるわけにはいかないとばかりに剣を抜き、間合いに入ったら切り倒そうと姿勢を低くし八双に構えた。
暫くにらみ合いが続くが風が止まったと同時に先頭の狼が「ガゥ!」と唸ると他の狼がジンの周囲に広がり取り囲む様に一斉に襲いかかってきたのだ。
しかし、狼は一定の距離から近づくことはなかった。
ガツン、ドカッ、バキ!
ギャン!
全力疾走で襲いかかってきた先頭の狼は見えない壁に頭からぶつかると首の骨が折れたのかその場で動かなくなり、後続の狼の数匹も見えない壁に衝突しダメージを受けて動きを止めたのだ。
(あ、そういえば結界があったんだな)
グルルルル
周囲を取り囲んでいる狼は20頭ほどの群れであった。目の前の獲物を諦めることができないのか、唸りながらガリガリと結界を引っかく奴や地面の下から潜り込めないかと掘り返す奴がいる。
結界は結界石を中心に球形に展開しているため地面を掘っても無駄であるのだが獣にそんな事が分かるはずもない。
「本当に結界が張られてるんだな」
向こうからの攻撃は防げているがこちらからどうやって攻撃して良いやら思い付かない。
ただ時間だけが過ぎていくなか遠くの空が明滅し始めゴロゴロと雷鳴が聞こえ始めた。
(雷雲がこっちにくるのかな?)
ポツポツと音が聞こえ始めると周囲の草や土が濡れ始め、それに伴い雷鳴はどんどん近くなってくる。
時間と共に雨の激しさは増していき、結界の天井を見ると大きなビニール傘をさしているような感じで雨が流れている。外では狼達がずぶ濡れになりながらも獲物を仕留めようと決壊の中を睨んでいる。
その様子を濡れる事のない結界の中から焚き火で暖をとりながら見ていたが突然状況に変化があらわれた。
バリバリバリッ!ドッガァアアァアァーーーン!
突然大きな雷がすぐそばの木に落ち、立木を燃え上がらせたのだ。
結界の中にいたジンは感電する事はなかったが、落雷の物凄い音で耳鳴りがして何も聞こえなくなっていた。
キーーーーーーーン
「うぉっ!」
(ビックリした!あれ?こんなに近くに落ちたのに少しも感電しなかったな)
電気も通さない事に驚嘆しながら周囲を確認すると、結界の周りにいた狼が全て倒れているが見て取れた。
(今の雷撃で全部感電死したのか?息を吹き返すかもしれないからこのまま様子見だな)
狼はもう残っていない様に見えたが、安全を優先させて回収は明日の朝する事にした。
雨はどんどん大粒になり激しさを増していく。
ジンは結界の中で寝転がったまま結界を流れ落ちる雨を眺めていたが、疲れと結界による安堵感でいつのまにか眠りに落ちてしまっていた。
うさぎの肉は調理しやすいように解体された状態で入っていたので、それを手頃なサイズに切り分け、枝を挿した後に塩を振って焚き火で炙りはじめる。
コショウがあればもっと美味しくなるのだろうが無い物ねだりをしてもしょうがないと諦めた。
大事な肉なので無駄にならないように慎重に焼き、うまく焼き上がったのを確認するとどこからか「こんがり肉ができました」と声が聞こえた気がした。
やっと焼けた肉は噛み付くと鶏肉のような食感だが淡白で噛み応えがあって上品な味がした。
(ジビエ料理ってやつか)
挿した木の枝がハーブのような香りがしたのも味のアクセントになって良かったのだろう。
腹がふくれると一日の疲れがどっと出始め、睡魔が襲ってくる。
マジックバッグを枕にして寝転がったが、遠くから聞こえていた獣の声がだんだん近づいてくるのに気がつくと睡魔はどこかへ消えていった。
(あの鳴き声からすると狼なのか?昼間に見た牛は地球に比べてかなり大きかったから狼もでかいんじゃないか?)
結界石が起動しているとはいえその効果を確認したことがないので心のどこかに信じきれないものがあるのでジンは安心しきれないでいたのだ。
ジンは起き上がると刀を抜いて周囲を警戒しはじめる。
すでに結界石のことなど頭の片隅にも残っておらず、少しの気配さえ逃さない様に神経をとぎすます。
だんだん近づいてきていた遠吠えが聞こえなくなったところを見るとこちらに襲いかかる準備に入ったのだろう。
近づいてくる獣の気配を察知したのか周囲で鳴いていた小動物や虫が一斉に息を潜め聞こえてくるのは風による草木の擦れる音だけになる。
周囲の気配を探りながら観察していると少し離れた林の中に焚き火の光を反射している複数の獣の目を見つけた。
(ついに来たか、ただで食われてやるわけにはいかないぞ)
気合を入れ、獣達に向かって刀を身構える。
ガサガサと林の中から現れたのは思っていた通り狼の群れであった。
正面に現れた先頭の狼がリーダーなのであろう、その姿は他の狼より一回り以上大きく頭の位置は立ち上がったジンよりも上にある。
他の狼も地球のものよりはかなり大きく、普通の人がこの集団に襲われたら生き残るのはかなり難しいのは間違いないであろう。
ジンもタダでやられてやるわけにはいかないとばかりに剣を抜き、間合いに入ったら切り倒そうと姿勢を低くし八双に構えた。
暫くにらみ合いが続くが風が止まったと同時に先頭の狼が「ガゥ!」と唸ると他の狼がジンの周囲に広がり取り囲む様に一斉に襲いかかってきたのだ。
しかし、狼は一定の距離から近づくことはなかった。
ガツン、ドカッ、バキ!
ギャン!
全力疾走で襲いかかってきた先頭の狼は見えない壁に頭からぶつかると首の骨が折れたのかその場で動かなくなり、後続の狼の数匹も見えない壁に衝突しダメージを受けて動きを止めたのだ。
(あ、そういえば結界があったんだな)
グルルルル
周囲を取り囲んでいる狼は20頭ほどの群れであった。目の前の獲物を諦めることができないのか、唸りながらガリガリと結界を引っかく奴や地面の下から潜り込めないかと掘り返す奴がいる。
結界は結界石を中心に球形に展開しているため地面を掘っても無駄であるのだが獣にそんな事が分かるはずもない。
「本当に結界が張られてるんだな」
向こうからの攻撃は防げているがこちらからどうやって攻撃して良いやら思い付かない。
ただ時間だけが過ぎていくなか遠くの空が明滅し始めゴロゴロと雷鳴が聞こえ始めた。
(雷雲がこっちにくるのかな?)
ポツポツと音が聞こえ始めると周囲の草や土が濡れ始め、それに伴い雷鳴はどんどん近くなってくる。
時間と共に雨の激しさは増していき、結界の天井を見ると大きなビニール傘をさしているような感じで雨が流れている。外では狼達がずぶ濡れになりながらも獲物を仕留めようと決壊の中を睨んでいる。
その様子を濡れる事のない結界の中から焚き火で暖をとりながら見ていたが突然状況に変化があらわれた。
バリバリバリッ!ドッガァアアァアァーーーン!
突然大きな雷がすぐそばの木に落ち、立木を燃え上がらせたのだ。
結界の中にいたジンは感電する事はなかったが、落雷の物凄い音で耳鳴りがして何も聞こえなくなっていた。
キーーーーーーーン
「うぉっ!」
(ビックリした!あれ?こんなに近くに落ちたのに少しも感電しなかったな)
電気も通さない事に驚嘆しながら周囲を確認すると、結界の周りにいた狼が全て倒れているが見て取れた。
(今の雷撃で全部感電死したのか?息を吹き返すかもしれないからこのまま様子見だな)
狼はもう残っていない様に見えたが、安全を優先させて回収は明日の朝する事にした。
雨はどんどん大粒になり激しさを増していく。
ジンは結界の中で寝転がったまま結界を流れ落ちる雨を眺めていたが、疲れと結界による安堵感でいつのまにか眠りに落ちてしまっていた。
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