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第1章 転生
3話 移動開始
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この世界に来て2日目の朝を迎えた。
起き上がって周囲を見ると雨は上がり、濡れた草木の葉が青々と光って見えた。
燻っている焚き火の炭に集めておいた枯葉と小さな木を足して息を吹きかける。
枯れ葉に火がつき小さく燃え始めたのを確認すると、少し大きな木を足して火を大きくしていく。
火が安定したのを確認すると朝飯にしようと思い、昨夜出しっぱなしにしておいた不思議なパン屋の袋に手を伸ばす。
(1個残しておいたよな)
最後のパンを食べてしまおうと袋を持ち上げると袋の重さに違和感を感じる。
(ん、なんか重い?)
中を覗いてみる見るとパンが3本に増えていた。
「パンが増えている?!」
不思議なパン屋という名前のパン屋の袋だと思っていたが、実は不思議なパン屋の袋だったのだ。
次に水を飲もうと水筒を持ち上げると、寝る前は半分くらいまで減っていた水も満タンになっていた。
パンも水もいつの間に増えたのか分からないが、自動で補給されたようだ。
ジンはマジックバッグの中身を確認した時に、(パンと水とウサギの肉、それに塩と水だけしか入ってないじゃん!
もう少し沢山頼めば良かった)と後悔したのだが、実は永久に補給される素晴らしいアイテムをもらっていたのだ。
(無くならないパンと水を与えてくれたのか、これで最悪の場合でも餓死の心配が無くなったな)
そう思うと急にお腹が減ってきたので朝食にパンと昨日食べた肉の残り肉を食べる。
同じ味ばかりで飽きてしまいそうだが飢え死にするよりは良いだろうと残った肉はパンに挟んで昼の弁当にすることにした。
朝食が済んだので立ち上がるとマジックバッグの中に入っている刀を取り出して腰に装備すると結界石を回収しに昨夜設置した場所にいった。
うっすら結界石を持ち上げても障壁が消えないので気になった事が口に出る。
「これって結界も動いたりするんじゃないか?」
実験とばかりに手に持ったまま歩いてみると結界の障壁の範囲が小さくなると同時に明るくなり同じ様に移動した。
(結界の範囲が小さくなって障壁の光が増すのか、障壁の強度に変化があるかもしれないから起動させたまま動くのはテストしてからだな。でも結界が消えないと目立ってしょうがない、どうさったら消えるんだろう?)
もしかしてと思い(結界よ消えろ)と念じてみると、見えていた結界の薄い光の膜が消え周囲の風を感じるようになった。
(なるほど、なんとなくそんな感じがしたから念じてみたけど、解除は簡単にできるんだな)
周りを見ると昨夜の雷で死んでしまった狼の屍があった。
きっと何かに役立つだろうと拾って数えながらマジックバッグの中に放り込むと全部で25頭もいた。
「さて、出発だ。どっちに行こうかな?」
人のいる町に行きたいのだがどっちに行けば良いのか全くわからないので、とりあえず近くに落ちていた枝を空中に放り投げる。
落ちた枝の細い方が朝日を背にする方向を向いたので自分の運が良いことを信じて歩くことにした。
しばらく歩いてから気がついたのだが、整地されていない草原を進んでいるのだがすごくスムーズに体が動く。
(肉体が若返っているからなのか? 若いっていいな、こんなに体が軽かったんだ。全く疲れを感じないから少し走ってみよう)
最初は軽く駆け足で走っていたが、体が軽快に動くことが嬉しくなり本気で走ってみたくなった。
(本気で走ったらどれくらいのスピードが出せるのだろう)
そんな事を考えていると足元から驚いたウサギが林から飛び出して全速力で逃げ始めたので追いかけると、あっという間に追い付き追い越す事ができた。
(野ウサギのスピードは時速60キロ以上あったはずだな、体が軽いのは若さだけじゃなさそうだな)
それに追いつくという事は時速60キロ以上のスピードで走っていたのだ。
ジンは若返っただけでなく、信じられないほどの身体能力を得ていた。
しばらく走っていると前方に川と森が見え始めたのでスピードを緩めて土手まではゆっくりと歩いていく。
自然にできた堤防の上から見る川幅は約100m、乾季なのか水量はそれほど無く、さらさらと流れているので水深もそれほどなさそうである。
ジンは堤防に座るとマジックバッグの中から作っておいたラビットサンドを取り出し、対岸を眺めながら食べ始めた。
ゆっくり味わう様に食べていると対岸から100m程先に左から右へ移動する数台の馬車の姿を見つける。
2頭立ての馬車とその周りには馬に乗った護衛らしき8人の兵士と4人の騎士、1頭立ての幌馬車が2台、徒歩で移動する者が6人と4人の2グループ、これらが通っているのは数百メートル先なのだが、ジンにはなぜか人の表情までもがはっきり見えていた。
視力でいえば8.0といったところであろう。
日本で行っている視力圏座では5m離れたところから見て、直径7.5mm、太さ1.5mm、環の円の一部が1.5mm幅で切れている方向を正確にわかる能力を視力1.0としている。
視力8.0となると40メートル先から1.5ミリの隙間を認識できるというとてつもない視力なのだ。
最初に通っていた2頭立ての馬車は装飾と金色の紋章らしき物が付いている事や周囲を兵士に守られていた事から領主か貴族なのであろう。
御者の横には白い模様の入ったローブを着た者が座っており、周りにいた騎士の服装は糸銀糸が袖口や襟に施されているのが確認できた。
徒歩で移動していたグループは土埃にまみれたような少し汚れた服装をしていて武器を持っていたので冒険者だろう。
少し大きな幌馬車は人の移動か商人の荷物運搬で、1頭立ての馬車は御者台に一人座っており、後ろの荷台には野菜らしき荷物と子供が一緒に乗っていたからきっと農民なのだろう。
しばらく観察していたが通る人もいなくなり、陽が暮れ始めたので2度目の野営準備を始める。
夜の静寂の中を満天の星の海に浮かぶように三日月が煌めいていた、空気が澄んでいるのか手に取れると錯覚してしまうほど星が近く見えるが知っている星座がどこにもないことから異世界だということを実感する。
結界石を起動させると障壁の明るさで星が見えにくくなったので試しに障壁光らない様に念じながら再起動すると星を観察できる程度まで暗くなった。
(なるほど、こんなこともできるんだ)
ジンはバッグを枕にし横になるり星の瞬きと時々流れる星を眺めていると睡魔に襲われ、いつの間にか眠りについてしまった。
起き上がって周囲を見ると雨は上がり、濡れた草木の葉が青々と光って見えた。
燻っている焚き火の炭に集めておいた枯葉と小さな木を足して息を吹きかける。
枯れ葉に火がつき小さく燃え始めたのを確認すると、少し大きな木を足して火を大きくしていく。
火が安定したのを確認すると朝飯にしようと思い、昨夜出しっぱなしにしておいた不思議なパン屋の袋に手を伸ばす。
(1個残しておいたよな)
最後のパンを食べてしまおうと袋を持ち上げると袋の重さに違和感を感じる。
(ん、なんか重い?)
中を覗いてみる見るとパンが3本に増えていた。
「パンが増えている?!」
不思議なパン屋という名前のパン屋の袋だと思っていたが、実は不思議なパン屋の袋だったのだ。
次に水を飲もうと水筒を持ち上げると、寝る前は半分くらいまで減っていた水も満タンになっていた。
パンも水もいつの間に増えたのか分からないが、自動で補給されたようだ。
ジンはマジックバッグの中身を確認した時に、(パンと水とウサギの肉、それに塩と水だけしか入ってないじゃん!
もう少し沢山頼めば良かった)と後悔したのだが、実は永久に補給される素晴らしいアイテムをもらっていたのだ。
(無くならないパンと水を与えてくれたのか、これで最悪の場合でも餓死の心配が無くなったな)
そう思うと急にお腹が減ってきたので朝食にパンと昨日食べた肉の残り肉を食べる。
同じ味ばかりで飽きてしまいそうだが飢え死にするよりは良いだろうと残った肉はパンに挟んで昼の弁当にすることにした。
朝食が済んだので立ち上がるとマジックバッグの中に入っている刀を取り出して腰に装備すると結界石を回収しに昨夜設置した場所にいった。
うっすら結界石を持ち上げても障壁が消えないので気になった事が口に出る。
「これって結界も動いたりするんじゃないか?」
実験とばかりに手に持ったまま歩いてみると結界の障壁の範囲が小さくなると同時に明るくなり同じ様に移動した。
(結界の範囲が小さくなって障壁の光が増すのか、障壁の強度に変化があるかもしれないから起動させたまま動くのはテストしてからだな。でも結界が消えないと目立ってしょうがない、どうさったら消えるんだろう?)
もしかしてと思い(結界よ消えろ)と念じてみると、見えていた結界の薄い光の膜が消え周囲の風を感じるようになった。
(なるほど、なんとなくそんな感じがしたから念じてみたけど、解除は簡単にできるんだな)
周りを見ると昨夜の雷で死んでしまった狼の屍があった。
きっと何かに役立つだろうと拾って数えながらマジックバッグの中に放り込むと全部で25頭もいた。
「さて、出発だ。どっちに行こうかな?」
人のいる町に行きたいのだがどっちに行けば良いのか全くわからないので、とりあえず近くに落ちていた枝を空中に放り投げる。
落ちた枝の細い方が朝日を背にする方向を向いたので自分の運が良いことを信じて歩くことにした。
しばらく歩いてから気がついたのだが、整地されていない草原を進んでいるのだがすごくスムーズに体が動く。
(肉体が若返っているからなのか? 若いっていいな、こんなに体が軽かったんだ。全く疲れを感じないから少し走ってみよう)
最初は軽く駆け足で走っていたが、体が軽快に動くことが嬉しくなり本気で走ってみたくなった。
(本気で走ったらどれくらいのスピードが出せるのだろう)
そんな事を考えていると足元から驚いたウサギが林から飛び出して全速力で逃げ始めたので追いかけると、あっという間に追い付き追い越す事ができた。
(野ウサギのスピードは時速60キロ以上あったはずだな、体が軽いのは若さだけじゃなさそうだな)
それに追いつくという事は時速60キロ以上のスピードで走っていたのだ。
ジンは若返っただけでなく、信じられないほどの身体能力を得ていた。
しばらく走っていると前方に川と森が見え始めたのでスピードを緩めて土手まではゆっくりと歩いていく。
自然にできた堤防の上から見る川幅は約100m、乾季なのか水量はそれほど無く、さらさらと流れているので水深もそれほどなさそうである。
ジンは堤防に座るとマジックバッグの中から作っておいたラビットサンドを取り出し、対岸を眺めながら食べ始めた。
ゆっくり味わう様に食べていると対岸から100m程先に左から右へ移動する数台の馬車の姿を見つける。
2頭立ての馬車とその周りには馬に乗った護衛らしき8人の兵士と4人の騎士、1頭立ての幌馬車が2台、徒歩で移動する者が6人と4人の2グループ、これらが通っているのは数百メートル先なのだが、ジンにはなぜか人の表情までもがはっきり見えていた。
視力でいえば8.0といったところであろう。
日本で行っている視力圏座では5m離れたところから見て、直径7.5mm、太さ1.5mm、環の円の一部が1.5mm幅で切れている方向を正確にわかる能力を視力1.0としている。
視力8.0となると40メートル先から1.5ミリの隙間を認識できるというとてつもない視力なのだ。
最初に通っていた2頭立ての馬車は装飾と金色の紋章らしき物が付いている事や周囲を兵士に守られていた事から領主か貴族なのであろう。
御者の横には白い模様の入ったローブを着た者が座っており、周りにいた騎士の服装は糸銀糸が袖口や襟に施されているのが確認できた。
徒歩で移動していたグループは土埃にまみれたような少し汚れた服装をしていて武器を持っていたので冒険者だろう。
少し大きな幌馬車は人の移動か商人の荷物運搬で、1頭立ての馬車は御者台に一人座っており、後ろの荷台には野菜らしき荷物と子供が一緒に乗っていたからきっと農民なのだろう。
しばらく観察していたが通る人もいなくなり、陽が暮れ始めたので2度目の野営準備を始める。
夜の静寂の中を満天の星の海に浮かぶように三日月が煌めいていた、空気が澄んでいるのか手に取れると錯覚してしまうほど星が近く見えるが知っている星座がどこにもないことから異世界だということを実感する。
結界石を起動させると障壁の明るさで星が見えにくくなったので試しに障壁光らない様に念じながら再起動すると星を観察できる程度まで暗くなった。
(なるほど、こんなこともできるんだ)
ジンはバッグを枕にし横になるり星の瞬きと時々流れる星を眺めていると睡魔に襲われ、いつの間にか眠りについてしまった。
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