転生者ジンの異世界冒険譚(旧作品名:七天冒険譚 異世界冒険者 ジン!)

夏夢唯

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第1章 転生

20話 雑貨屋

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すみません、20話は再編集で短い話になってしまいました

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「チチチッ」「チュンチュン」部屋の外から鳥の鳴き声が聞こえてくる。

 ベッドから這い出して窓を開けると部屋に光が入り、街路樹の周りでは鳥が数羽飛んでいるのが見える。
昨日の夜から部屋を変えてもらったので朝日が入る部屋になったのだ。

「この部屋ガラス窓にできないかな~。ガラス窓にしたいな~」

 そのうち板ガラスを手にいれて窓を閉めていても朝日の入る部屋にしてやろうと企むのである。
この世界ではまだ板ガラスの製造方法は確立されていないので、城や教会などの窓ガラスはフラスコを作りその底を切り取った円盤状のガラスを何枚も貼り付けたものを使っていた。
この世界の一般市民や商店などではガラスを使った窓は高嶺の花で、中流階級の人々は扉や板窓に穴を開けた場所に薄く伸ばした羊皮紙を貼る事でわずかな採光をしているのである。

「さて行きますか」

部屋に鍵をかけて食堂へ降りるとパンとスープで軽い朝食を済まし、朝の片付けで忙しそうにしているメルさんに部屋の鍵を渡して宿を出る。
街中を歩きはじめるとまず最初に雑貨屋を探した。と言うのもアイテムボックスの中にある物を小分けして売るための麻袋を手に入れるためだ。
広場とは反対の方向へ100メートルほど進んだところで店先に薪や紐などが並んでいる店を見つけた。
ここなら探しているものがありそうだなと店の中へ入ってみる。

カランコロンカラン

「いらっしゃい、欲しいものは何ですかな?」

ドアについたカウベルの音で店の奥から小柄な優しそうなおじさんが出てきた。

「麻の袋が欲しいんですが、大きさはこれくらいのやつとこれくらいのやつ。ありますか?」

と欲しいサイズを手で表現して教える。

「麻袋がいいのかい?」

「そうですね、丈夫で安いものを探してるので」

「そうかい、麻袋はここだよ。大きさは色々あるから欲しいのを持っておいで。置いてある商品でわからないものがあったら聞いておくれ」

店主らしきおじさんは俺を麻袋の棚のあるところに案内してくれた。

小さい袋と1キロ程度の胡椒が入るくらいの袋をそれぞれ20袋ずつカゴに入れ、他に何かいいものがないか探していると丈夫そうなロープが目に入ったので手に取ってみるとスパイダーロープ(太さ10ミリ長さ30メートル)と書かれていた。

「このロープは何で出来ているんですか?」

「それはダンジョンスパイダーの糸を紡いで作ったロープだね、軽くてすごく丈夫なので色々な用途に使えるけど火には弱いのでそれだけ気をつければお買い得だよ」

「へ~、ダンジョンスパイダーですか。
ちょうど欲しかったサイズなので5本ください、それとこれも一緒にお願いします。
それから、冒険者としてやっていくのに野営することが多くなると思うんで野営の道具類も欲しいのですが有りますか?」

「野営の道具かい、なりたての冒険者がよく買っていくのは鍋と食器のセットとかブランケットとかかな。少し予算が必要になるけど魔道具屋にいけば色々な機能がついた便利な物があるから行ってみるといいよ」

「そうですか、じゃあここの後いってみます。とりあえず鍋と食器のセットを、それとブランケットも一緒にください」

カゴの中に入れた麻袋とロープと一緒に購入してお金を払い、どうやって持って帰るんだろうと不思議そうな顔をする店主を横目に買った物をマジックバッグに収納していく。

「マジックバッグかい、それがあるのなら袋は必要ないね」と納得したようでウンウンとうなずいていた。

「またきます」

「余計なことかもしれないけど冒険者になるんだったら無理をしないようにね。登録して早くランクを上げようと無理をした子が森から帰ってこないなんて話はよく聞くから」

「ありがとうございます。気をつけます」

お辞儀をしながら店の外に出ると(魔道具か何だかワクワクする響きだな)などと思いながら魔道具屋を探して歩き始めるのであった。
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