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【星ワタリ篇】~第1章~(題1部)
夢七夜
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――気が付くと何時の間にか部屋の中は、真っ赤な霧に包まれていた……。
「キヒヒィ……」
紅装束の仮面の男が不気味に笑う。
「なっ……誰なのですか!?貴方はっ! 勝手に人の家に上がり込んで~~っ。
ちゃんと玄関のベル鳴らしたのデスかっ!?」
ナイトが杖を振り回してプンプンッと激怒する、隣りでメアリがズリッと肩を落とした。
ああ……ナイト、お前本当はすっごい馬鹿なのか?
あきらかに今はそういう問題じゃないだろ……w;。
「……勝手にって、イヤだなァ。
ボクはキミたちに呼び出されて此処に来たんだヨ?」
「呼び出されたって、何が――」
ナイトが自分の足元を見る。
そこにはあの棺型の鞄が開かれて、無数のサイコロが散らばって置かれていた。
「キミはその【パラ・ダイス】を投げてゲームを始めてしまった……。
そしてその案内役としてボクが呼び出された……」
「げぇっ! なんだコレぇ!?」
メアリが鞄を覗き込む。
双六のボードの上にナイトそっくりの指人形の玩具がのっていた。
…………。
ナイトは散りばめられた幾千もの賽の中から、ひとつだけ黒い六角形の紅数字のダイスを手に取った。
「楽園――」
誰にも聞き取れないくらいの擦れた声で、ナイトは呟いた……。
「ねェ……キミの名前をおしえてヨ……」
尋ねる仮面の男に、一瞬だけ間を置いてからナイトは瞳を鋭くして口を開いた。
「人に物を尋ねる時は、まず自分が名乗ってから尋ねるというのが礼儀、
というものではないのデスか?」
「キヒヒ……そっか、そうだったよねェ……」
男はまるでそう言われることを解っていたかのように、笑う。
「ボクは死神、ファントム……」
「死神!? オイ、まさかこの鞄の呪いか!?
俺たちの魂を奪いに来たとかじゃ――」
「キミの名前はァ……?」
死神・ファントムはメアリを無視してナイトに詰め寄る。
ナイトの背丈に合わせるように腰をまげて、仮面が頬に触れそうなほどに異常に顔を近づけてくる。
首を傾げて、不気味な狂気さを感じる。
それでもナイトは微塵も驚くような素振りを見せず、
「ワタクシは、ナイト」
胸に手を添え、前を見据えて名前をかかげ、
「リ・ナイト・リトルロードネヴァーと申します……。
ボンジュール、死神さん」
ほんの少しだけ強い眼差しで、微笑みを浮かべながら丁寧に挨拶をして見せた。
「……ナイト?」
死神がピクリッと反応する。
一瞬、空間にビシッとヒビが入ったかのような錯覚を感じる。
「そう……やっぱりキミ……、ナイトなんだネ……」
まるで全てを知っているかのように、分かっているかのように、見つけたかのように。
言われるとナイトはにっこりと微笑んでから、再び死神を睨んだ。
そして今度はこちらから問い掛けた。
「貴方の望みは、なんですか?」
「……望みィ?……キヒヒ……目的ならひとつだけ、あるヨォ……。 そのコ……」
言いながら部屋の隅でおびえていたミュウに目線を向ける。
「ボクの目的はそのコの魂を奪うこと……ダヨ?」
――!?
「っ貴様!?」
「……そうですか」
叫ぶメアリの声をナイトが遮った。
!?
「ついに見つかってしまったのですね……死神さんのおでましデスか……」
呟くように続ける。
「だが……」
まるで待ち構えていたかのように、その時がきたかのように、
「お前ごときがこのワタクシに、かなうと思うな」
ナイトは挑戦的で重圧感のある、恐ろしい笑みを浮かべた。
「キヒヒ……怖い怖い……」
死神もその宣戦布告を受け取るかのように答えた。
メアリは訳が解らず、ただ呆然とその場に立ち尽くしていた――。
「キヒヒィ……」
紅装束の仮面の男が不気味に笑う。
「なっ……誰なのですか!?貴方はっ! 勝手に人の家に上がり込んで~~っ。
ちゃんと玄関のベル鳴らしたのデスかっ!?」
ナイトが杖を振り回してプンプンッと激怒する、隣りでメアリがズリッと肩を落とした。
ああ……ナイト、お前本当はすっごい馬鹿なのか?
あきらかに今はそういう問題じゃないだろ……w;。
「……勝手にって、イヤだなァ。
ボクはキミたちに呼び出されて此処に来たんだヨ?」
「呼び出されたって、何が――」
ナイトが自分の足元を見る。
そこにはあの棺型の鞄が開かれて、無数のサイコロが散らばって置かれていた。
「キミはその【パラ・ダイス】を投げてゲームを始めてしまった……。
そしてその案内役としてボクが呼び出された……」
「げぇっ! なんだコレぇ!?」
メアリが鞄を覗き込む。
双六のボードの上にナイトそっくりの指人形の玩具がのっていた。
…………。
ナイトは散りばめられた幾千もの賽の中から、ひとつだけ黒い六角形の紅数字のダイスを手に取った。
「楽園――」
誰にも聞き取れないくらいの擦れた声で、ナイトは呟いた……。
「ねェ……キミの名前をおしえてヨ……」
尋ねる仮面の男に、一瞬だけ間を置いてからナイトは瞳を鋭くして口を開いた。
「人に物を尋ねる時は、まず自分が名乗ってから尋ねるというのが礼儀、
というものではないのデスか?」
「キヒヒ……そっか、そうだったよねェ……」
男はまるでそう言われることを解っていたかのように、笑う。
「ボクは死神、ファントム……」
「死神!? オイ、まさかこの鞄の呪いか!?
俺たちの魂を奪いに来たとかじゃ――」
「キミの名前はァ……?」
死神・ファントムはメアリを無視してナイトに詰め寄る。
ナイトの背丈に合わせるように腰をまげて、仮面が頬に触れそうなほどに異常に顔を近づけてくる。
首を傾げて、不気味な狂気さを感じる。
それでもナイトは微塵も驚くような素振りを見せず、
「ワタクシは、ナイト」
胸に手を添え、前を見据えて名前をかかげ、
「リ・ナイト・リトルロードネヴァーと申します……。
ボンジュール、死神さん」
ほんの少しだけ強い眼差しで、微笑みを浮かべながら丁寧に挨拶をして見せた。
「……ナイト?」
死神がピクリッと反応する。
一瞬、空間にビシッとヒビが入ったかのような錯覚を感じる。
「そう……やっぱりキミ……、ナイトなんだネ……」
まるで全てを知っているかのように、分かっているかのように、見つけたかのように。
言われるとナイトはにっこりと微笑んでから、再び死神を睨んだ。
そして今度はこちらから問い掛けた。
「貴方の望みは、なんですか?」
「……望みィ?……キヒヒ……目的ならひとつだけ、あるヨォ……。 そのコ……」
言いながら部屋の隅でおびえていたミュウに目線を向ける。
「ボクの目的はそのコの魂を奪うこと……ダヨ?」
――!?
「っ貴様!?」
「……そうですか」
叫ぶメアリの声をナイトが遮った。
!?
「ついに見つかってしまったのですね……死神さんのおでましデスか……」
呟くように続ける。
「だが……」
まるで待ち構えていたかのように、その時がきたかのように、
「お前ごときがこのワタクシに、かなうと思うな」
ナイトは挑戦的で重圧感のある、恐ろしい笑みを浮かべた。
「キヒヒ……怖い怖い……」
死神もその宣戦布告を受け取るかのように答えた。
メアリは訳が解らず、ただ呆然とその場に立ち尽くしていた――。
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