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[1]高砂・飛遊午
-16-:ノブナガもいるんだぁ
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突如通信が途絶えた、その理由とは?
ライクがアークマスターの権限を行使して通信を遮断したのだ。
と、白側の全員が、(ノブナガもいるんだぁ)思いがけない敵の情報GETに思わずニンマリ。
知名度からして敵のボス!最強の女王かはたまた大駒の城砦のマスターと思われる。
「彼には後で指でもツメてもらいましょうか?」
口の軽い部下の処遇について執事がお伺いを立てているようだが、穏やかでない言葉が丸聞えになっているのは勘弁して欲しい。
想像しただけでも背筋が凍りつく。
クレハは腕時計に目をやり時間を確認した。
-PM3:35-
内容の濃い15分が過ぎていた。
「うーん」部活への遅れもあり、この状況、ただ唸るしかない。
キャサリンが両大腿部側面にあるポケットから握力計のようなものを取り出した。
先は三角柱を横に寝かせたような形状をしている。
メリケンサックの大型版のようで、三角形の打撃点はさぞ絶大な破壊力を誇るだろう。
「槍を捨てたか。助かったぜ。ああいう長モノは苦手なんだ」
苦手相手にあれほど善戦していたヒューゴに、ルーティは「な、何やて?」感嘆するばかり。
キャサリンが大きく後退して距離を開いた。
メリケンサックを両手に身振り手振りで何かを伝えようとしているが、通信がシャットアウトされた現在、何を言っているのやら。
逃げ口上を立てていない事だけは確か。
「あんなに距離を開けて・・。助走でも付けて殴りかかってくるつもりか?」
見たての通り、キャサリンがこちらに向かってダッシュ!まだまだ遠い距離から大きく右腕を振り被って―。
「うわぁ・・テレフォンパンチやないけ。アレ」
耳より後ろから拳を打ち出す、まるで電話をかけているような容姿から呼ばれるバレバレの攻撃…だと思ったのに。
打ち出した拳が、肘から炎と煙を勢いよく噴射して腕から撃ち出されたではないか!
肘から先が火を吹いて飛んでくる。
多少フラついた後、3枚の逆V字翼が展開して飛行は安定。真っ直ぐこちらに向かってくる。もはやアレは格闘武器ではない。
明らかに射撃武器だ!
攻撃魔法“ロケットナックル”を発動させた。
咄嗟に両のツメを前で交差させて防御態勢。重ね合わせた鍔部分でキャサリンの放ったロケットナックルを受ける。が、一瞬にして両ツメとも粉砕された!
体を仰け反らせて避けようとしたものの、『ガンッ!!』強烈な衝撃と共に胸を掠めて後ろへと飛び去っていった。
上体を起こす。『!!』今度は左拳が飛んできた!
首を傾けて直撃を回避。
兜から下りている髪を巻き上げて飛び去ってゆく。
「危ねぇー!ルーティ、大丈夫か?」
衝撃により一瞬宙を舞ったルーティに声を掛けた。
重力加速を10分の1に抑えている盤上戦騎でなければ失神しているところだ。
「ウチはどうもないで」
体勢を戻しながら答えてくれた事に取り敢えずは安堵。が、しかし!
何て事だろう・・ルーティのアホ毛が揺らめいている!?
(どこからか空気が漏れているな・・)
これは黙っておこう。表示されているダメージは微々たるものだし、例え気付かれたところでコイツを言い包めるのは容易い。
放たれた腕がキャサリンへと戻って再びドッキング。手首と肩を回して接続を確認している模様。
こちらも両腰からキバ(脇差し)を抜刀。切っ先をキャサリンへ向け―??何コレ!?
「中華包丁?いや、違う!刀が折り畳まれている」
「長いままだとサブアームに触れて邪魔になるだけですからね。思いっきりブンッと振って下さい」
ココミに言われた通りに両のキバを振り下ろすと、折り畳まれていた刀が展開された。(これは二度と鞘に収まらないな。しかしコイツにはマトモな刀は無いのか?)
継ぎ目も回転軸も、すっかり消え失せている。どこからどう見ても普通の脇差し。
「ヒューゴ。先ほどから君は“踏み込んだ”攻撃をしていないが、相手を傷つける事を恐れているのか?」ベルタが問い掛けてきた。
「いや、物理的に無理があります。足場もなく宙に浮いている状態で力一杯に斬り付けたら、当たった瞬間に弾き返されてしまいますよ。当たる瞬間に推進力を上げればいけるかもしれませんが。地上に降りたらとも考えたのですが、騎体の形状がどう見ても“接地圧”が集中し過ぎているから脚が地面に突き刺さるか自重でペシャンコになるか、いずれにしても止めたほうが賢明かと」
「なるほど。君が恐れをなしていない事に安心した。ならば、君の不安はすでに解消されている」
ここまでビックリの連続だったから、今更もう何も驚かない。けど、「解消?」
「噴射口から吹き出ている光の粒の上にキバを置いてみるがいい」
言われるままキバを緑色に光る粒の上に置いてみる…ッ!?浮いている!
「これは浮遊素と呼ばれる魔導粒子で、盤上戦騎は高熱エネルギーを噴射して飛行しているのではなく、この粒子を噴出させて騎体を移動させているだけなのだ。粒子の勢いが増せば速度も上がるし、粒子を大量に散布させれば“足場”を作ることも可能だ」
「そっか。では、この粒子で足場を作ってから打ち込めば地上で剣を振るうように剣撃を行うことができるんですね」
「その通り。接地圧の方も心配ない。理屈は知らないが、すでに実証済みだ」
これまでの戦いで証明されている訳だ。ならば安心。
だが、まずはあの厄介なロケットパンチを何とかしないと。
両のキバを前へと突き出して切っ先だけを交差させる。先ほどとは異なる構えを見せた。
その姿にヒデヨシはさらなる闘志を燃やした。
ライクがアークマスターの権限を行使して通信を遮断したのだ。
と、白側の全員が、(ノブナガもいるんだぁ)思いがけない敵の情報GETに思わずニンマリ。
知名度からして敵のボス!最強の女王かはたまた大駒の城砦のマスターと思われる。
「彼には後で指でもツメてもらいましょうか?」
口の軽い部下の処遇について執事がお伺いを立てているようだが、穏やかでない言葉が丸聞えになっているのは勘弁して欲しい。
想像しただけでも背筋が凍りつく。
クレハは腕時計に目をやり時間を確認した。
-PM3:35-
内容の濃い15分が過ぎていた。
「うーん」部活への遅れもあり、この状況、ただ唸るしかない。
キャサリンが両大腿部側面にあるポケットから握力計のようなものを取り出した。
先は三角柱を横に寝かせたような形状をしている。
メリケンサックの大型版のようで、三角形の打撃点はさぞ絶大な破壊力を誇るだろう。
「槍を捨てたか。助かったぜ。ああいう長モノは苦手なんだ」
苦手相手にあれほど善戦していたヒューゴに、ルーティは「な、何やて?」感嘆するばかり。
キャサリンが大きく後退して距離を開いた。
メリケンサックを両手に身振り手振りで何かを伝えようとしているが、通信がシャットアウトされた現在、何を言っているのやら。
逃げ口上を立てていない事だけは確か。
「あんなに距離を開けて・・。助走でも付けて殴りかかってくるつもりか?」
見たての通り、キャサリンがこちらに向かってダッシュ!まだまだ遠い距離から大きく右腕を振り被って―。
「うわぁ・・テレフォンパンチやないけ。アレ」
耳より後ろから拳を打ち出す、まるで電話をかけているような容姿から呼ばれるバレバレの攻撃…だと思ったのに。
打ち出した拳が、肘から炎と煙を勢いよく噴射して腕から撃ち出されたではないか!
肘から先が火を吹いて飛んでくる。
多少フラついた後、3枚の逆V字翼が展開して飛行は安定。真っ直ぐこちらに向かってくる。もはやアレは格闘武器ではない。
明らかに射撃武器だ!
攻撃魔法“ロケットナックル”を発動させた。
咄嗟に両のツメを前で交差させて防御態勢。重ね合わせた鍔部分でキャサリンの放ったロケットナックルを受ける。が、一瞬にして両ツメとも粉砕された!
体を仰け反らせて避けようとしたものの、『ガンッ!!』強烈な衝撃と共に胸を掠めて後ろへと飛び去っていった。
上体を起こす。『!!』今度は左拳が飛んできた!
首を傾けて直撃を回避。
兜から下りている髪を巻き上げて飛び去ってゆく。
「危ねぇー!ルーティ、大丈夫か?」
衝撃により一瞬宙を舞ったルーティに声を掛けた。
重力加速を10分の1に抑えている盤上戦騎でなければ失神しているところだ。
「ウチはどうもないで」
体勢を戻しながら答えてくれた事に取り敢えずは安堵。が、しかし!
何て事だろう・・ルーティのアホ毛が揺らめいている!?
(どこからか空気が漏れているな・・)
これは黙っておこう。表示されているダメージは微々たるものだし、例え気付かれたところでコイツを言い包めるのは容易い。
放たれた腕がキャサリンへと戻って再びドッキング。手首と肩を回して接続を確認している模様。
こちらも両腰からキバ(脇差し)を抜刀。切っ先をキャサリンへ向け―??何コレ!?
「中華包丁?いや、違う!刀が折り畳まれている」
「長いままだとサブアームに触れて邪魔になるだけですからね。思いっきりブンッと振って下さい」
ココミに言われた通りに両のキバを振り下ろすと、折り畳まれていた刀が展開された。(これは二度と鞘に収まらないな。しかしコイツにはマトモな刀は無いのか?)
継ぎ目も回転軸も、すっかり消え失せている。どこからどう見ても普通の脇差し。
「ヒューゴ。先ほどから君は“踏み込んだ”攻撃をしていないが、相手を傷つける事を恐れているのか?」ベルタが問い掛けてきた。
「いや、物理的に無理があります。足場もなく宙に浮いている状態で力一杯に斬り付けたら、当たった瞬間に弾き返されてしまいますよ。当たる瞬間に推進力を上げればいけるかもしれませんが。地上に降りたらとも考えたのですが、騎体の形状がどう見ても“接地圧”が集中し過ぎているから脚が地面に突き刺さるか自重でペシャンコになるか、いずれにしても止めたほうが賢明かと」
「なるほど。君が恐れをなしていない事に安心した。ならば、君の不安はすでに解消されている」
ここまでビックリの連続だったから、今更もう何も驚かない。けど、「解消?」
「噴射口から吹き出ている光の粒の上にキバを置いてみるがいい」
言われるままキバを緑色に光る粒の上に置いてみる…ッ!?浮いている!
「これは浮遊素と呼ばれる魔導粒子で、盤上戦騎は高熱エネルギーを噴射して飛行しているのではなく、この粒子を噴出させて騎体を移動させているだけなのだ。粒子の勢いが増せば速度も上がるし、粒子を大量に散布させれば“足場”を作ることも可能だ」
「そっか。では、この粒子で足場を作ってから打ち込めば地上で剣を振るうように剣撃を行うことができるんですね」
「その通り。接地圧の方も心配ない。理屈は知らないが、すでに実証済みだ」
これまでの戦いで証明されている訳だ。ならば安心。
だが、まずはあの厄介なロケットパンチを何とかしないと。
両のキバを前へと突き出して切っ先だけを交差させる。先ほどとは異なる構えを見せた。
その姿にヒデヨシはさらなる闘志を燃やした。
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