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[21]はじめてのアンデスィデ
-212-:高砂・飛遊午と戦っていた時とは、明らかに意図が異なるぞ
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リョーマはダナを上昇させて、戦いの舞台を市街地から上空へと移した。
なおも追撃してくる木乃伊のアルルカン。
絶え間なく包帯(アクティブバンテージ)の全包囲攻撃を仕掛けてくる。
しかし。
リョーマは、この程度の騎体に高砂・飛遊午が手こずっていたのかと不思議に思えてならなかった。
確かに包帯による包囲攻撃は厄介ではある。射程距離も長い。
ところが、高射砲などに用いられる“対空用”砲弾とは異なり、至近弾であっても、決して炸裂する事は無い。あくまでも“刺突”しかダメージを与える手段を持ち得ていないのだ。
つまりは“直撃”のみを警戒すれば良い。
なので。
当たらなければ、どうって事は無い。
お返しにと、主翼のパイロンに下げている空対空ミサイル(AAM)を発射。着弾させるも、包帯で形勢した盾によってダメージを与えるには至っていない。
爆炎の中からアルルカンのテンガロンハットが姿を現し、黒煙を振り払うと、なおもダナ目がけて包帯たちを放ってくる。
とても厄介な事に、アルルカンは速力に長けた盤上戦騎だ。
ダナの騎体が同じ騎士クラスの騎体とはいえ、戦闘機形態でない限りはアルルカンとの距離を引き離す事ができない。
逆に言えば、状況に合わせて形態を変えられるが故に、他の形態(盤上戦騎形態、中間形態)での速力が低く設定されている。
徐々にではあるが、距離を詰められるこの状況に、リョーマは焦り始めていた。
「コイツ…どういうつもりだ?さっきから接近ばかり試みているけど、高砂・飛遊午と戦っていた時とは、明らかに意図が異なるぞ」
リョーマの呟きに、すかさずダナも「同感です」
ダナが続ける。
「記録によれば、前回のアルルカンの戦いぶりは、あくまでも包帯による攻撃がメインに行われていました。しかし、今回のアルルカンは、包帯の攻撃を“接近するため”の手段に用いています。敵のパイロットにどのような心境の変化があったのか存じませんが、このまま接近を許すのは得策ではないと判断します」
ダナの意見には賛成だ。何か、イヤな予感がする。
それに。
騎士の仕様を考えると、ダナが3段可変機能を有しているのに対して、アルルカンの包帯だけでは割り振りポイントに余剰が生じてしまう。
(ヤツは何にポイントを割り振っているのか…)
基本ステータスを上げているようにも見えない。事実、前回アルルカンは兵士のクィックフォワードと対戦していても、さほど圧倒はしていなかった。
技量の差と言ってしまうには、アンデスィデ終了後に真島・導火が見せた身体能力と矛盾が生じてしまう。
それに現在、派手に使っている包帯攻撃時に掛かるパイロットへのストレスは相当なものだ。
ココミの報告では、本体と包帯の操作を分けて行っているとの事だったが、そもそも、それは兵器としては欠陥だらけに思えてならない。
(コイツ…絶対に何か隠しているな)
リスクが山積みされた剣の檻だけがアルルカンの奥の手とは思えない。
残りのAAMを乱数計算させて発射。あらゆる方向からアルルカンを追尾させる。
「今度はこちらから全包囲攻撃で攻め立てる!」
ミサイルの追尾に気付いたアルルカンは一旦空中で静止。個々のミサイルが向かってくる方向に向けて包帯を凝縮、盾を展開した。
やはり防御に徹したか。
アルルカンは速力は長けているものの俊敏性に劣り、その機動力では到底ミサイルの追尾を振り切ることはできない。
ならば、ダメージを軽減する手段に出るしかない。
全弾命中!!空中に炎の玉が燃え盛る。しかし。
リョーマは背中の野太刀を抜刀!
爆炎に向かってダナを発進させた。
まさか、さっきまで距離を取っていた相手が、先手を打って接近戦を仕掛けてくるとは思わないだろう。
用心を欠くことなく、リョーマは相手のウラをかいて近接戦へと移行した。
ムクムクと炎の玉に歪みが生じ始めた。
一部分が大きく膨れ上がり、炎を引き離して黒煙さえも引き離して何かが現れる。
中から、アルルカンの脚が!回し蹴りが繰り出されたのだ。
だが、それはダナを狙ったものではなく。
爆炎を振り払うための、やや大振りの回し蹴り。
爆炎が晴れた。と、思いきや。
まだ晴れぬ黒煙を突き破って、アルルカンの正拳突きがダナを襲う。
ガンッ!!
超限定障壁をまとったダナの左拳とがぶつかり合った。
その威力はすさまじく。
ダナの騎体を後方へと突き飛ばしてしまった。
すぐさまダナの騎体姿勢を立て直して野太刀を構える。
「コイツ!サッカーの選手ではなかったのか!?」
それは、“鈴木・くれは”が言っていたダイナマイト導火ではなく、明らかに格闘家、それも経験豊富な空手家の放った正拳突きだった。
「バリアを展開させていなければ、確実に腕を破壊されていました」
ダナからの報告。
アルルカンが腕を交差させると、両手の拳を腹の高さにまで下して、再度正拳突きを連続で放って見せた。
これは…。
明らかに空手の形ではないか。
「押ォー忍ッ!!」
外部マイクが拾ったスピーカー音声は、女性の声!
真島・導火じゃない!?
アルルカンに抱いた違和感は、パイロットの心境の変化などではなかった。
アルルカンの、パイロットそのものが真島・導火から他の者へと入れ替わっていたのだった。
なおも追撃してくる木乃伊のアルルカン。
絶え間なく包帯(アクティブバンテージ)の全包囲攻撃を仕掛けてくる。
しかし。
リョーマは、この程度の騎体に高砂・飛遊午が手こずっていたのかと不思議に思えてならなかった。
確かに包帯による包囲攻撃は厄介ではある。射程距離も長い。
ところが、高射砲などに用いられる“対空用”砲弾とは異なり、至近弾であっても、決して炸裂する事は無い。あくまでも“刺突”しかダメージを与える手段を持ち得ていないのだ。
つまりは“直撃”のみを警戒すれば良い。
なので。
当たらなければ、どうって事は無い。
お返しにと、主翼のパイロンに下げている空対空ミサイル(AAM)を発射。着弾させるも、包帯で形勢した盾によってダメージを与えるには至っていない。
爆炎の中からアルルカンのテンガロンハットが姿を現し、黒煙を振り払うと、なおもダナ目がけて包帯たちを放ってくる。
とても厄介な事に、アルルカンは速力に長けた盤上戦騎だ。
ダナの騎体が同じ騎士クラスの騎体とはいえ、戦闘機形態でない限りはアルルカンとの距離を引き離す事ができない。
逆に言えば、状況に合わせて形態を変えられるが故に、他の形態(盤上戦騎形態、中間形態)での速力が低く設定されている。
徐々にではあるが、距離を詰められるこの状況に、リョーマは焦り始めていた。
「コイツ…どういうつもりだ?さっきから接近ばかり試みているけど、高砂・飛遊午と戦っていた時とは、明らかに意図が異なるぞ」
リョーマの呟きに、すかさずダナも「同感です」
ダナが続ける。
「記録によれば、前回のアルルカンの戦いぶりは、あくまでも包帯による攻撃がメインに行われていました。しかし、今回のアルルカンは、包帯の攻撃を“接近するため”の手段に用いています。敵のパイロットにどのような心境の変化があったのか存じませんが、このまま接近を許すのは得策ではないと判断します」
ダナの意見には賛成だ。何か、イヤな予感がする。
それに。
騎士の仕様を考えると、ダナが3段可変機能を有しているのに対して、アルルカンの包帯だけでは割り振りポイントに余剰が生じてしまう。
(ヤツは何にポイントを割り振っているのか…)
基本ステータスを上げているようにも見えない。事実、前回アルルカンは兵士のクィックフォワードと対戦していても、さほど圧倒はしていなかった。
技量の差と言ってしまうには、アンデスィデ終了後に真島・導火が見せた身体能力と矛盾が生じてしまう。
それに現在、派手に使っている包帯攻撃時に掛かるパイロットへのストレスは相当なものだ。
ココミの報告では、本体と包帯の操作を分けて行っているとの事だったが、そもそも、それは兵器としては欠陥だらけに思えてならない。
(コイツ…絶対に何か隠しているな)
リスクが山積みされた剣の檻だけがアルルカンの奥の手とは思えない。
残りのAAMを乱数計算させて発射。あらゆる方向からアルルカンを追尾させる。
「今度はこちらから全包囲攻撃で攻め立てる!」
ミサイルの追尾に気付いたアルルカンは一旦空中で静止。個々のミサイルが向かってくる方向に向けて包帯を凝縮、盾を展開した。
やはり防御に徹したか。
アルルカンは速力は長けているものの俊敏性に劣り、その機動力では到底ミサイルの追尾を振り切ることはできない。
ならば、ダメージを軽減する手段に出るしかない。
全弾命中!!空中に炎の玉が燃え盛る。しかし。
リョーマは背中の野太刀を抜刀!
爆炎に向かってダナを発進させた。
まさか、さっきまで距離を取っていた相手が、先手を打って接近戦を仕掛けてくるとは思わないだろう。
用心を欠くことなく、リョーマは相手のウラをかいて近接戦へと移行した。
ムクムクと炎の玉に歪みが生じ始めた。
一部分が大きく膨れ上がり、炎を引き離して黒煙さえも引き離して何かが現れる。
中から、アルルカンの脚が!回し蹴りが繰り出されたのだ。
だが、それはダナを狙ったものではなく。
爆炎を振り払うための、やや大振りの回し蹴り。
爆炎が晴れた。と、思いきや。
まだ晴れぬ黒煙を突き破って、アルルカンの正拳突きがダナを襲う。
ガンッ!!
超限定障壁をまとったダナの左拳とがぶつかり合った。
その威力はすさまじく。
ダナの騎体を後方へと突き飛ばしてしまった。
すぐさまダナの騎体姿勢を立て直して野太刀を構える。
「コイツ!サッカーの選手ではなかったのか!?」
それは、“鈴木・くれは”が言っていたダイナマイト導火ではなく、明らかに格闘家、それも経験豊富な空手家の放った正拳突きだった。
「バリアを展開させていなければ、確実に腕を破壊されていました」
ダナからの報告。
アルルカンが腕を交差させると、両手の拳を腹の高さにまで下して、再度正拳突きを連続で放って見せた。
これは…。
明らかに空手の形ではないか。
「押ォー忍ッ!!」
外部マイクが拾ったスピーカー音声は、女性の声!
真島・導火じゃない!?
アルルカンに抱いた違和感は、パイロットの心境の変化などではなかった。
アルルカンの、パイロットそのものが真島・導火から他の者へと入れ替わっていたのだった。
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