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第八章 真なる聖剣
802 お部屋探索
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部屋に案内されて安心したのか、聖女とモンクとメルリルがまた寝てしまった。
ここの床がふかふか過ぎるのが原因だな。
それと、船でかがされた香の影響もまだ残っているのかもしれない。
毒ではなく、本来は癒やしのためのものなので、聖女の力で排除することが出来ないのだ。
聖女は、拘束具に盛大に魔力を吸われた後に、結界やらなんやらで無理もさせたし、もともと、疲れていたということもあったんだろう。
香の力が深くまで染み渡って、体が休息を求めているようだった。
同じことは勇者にも言える。
ずっと機嫌が悪いのは、そのせいもあるんだろうな。
「アルフも、しばらく休んだらどうだ?」
「いや、子ども達だけで遊ばせておいて何かあったらどうする。俺が見ているから師匠が休んでくれ」
へえ、さっきから気づかわしげに庭のほうを見ていると思ったら、そういうことだったのか。
前から思っていたが、勇者は子ども好きだよな。
隠しているつもりかもしれないが、意外と子どもに対する面倒見がいい。
「じゃあ、ルフやパーニャ姫のことは頼む。俺は少しこの部屋を見回って来る」
「わかった。任せろ」
なにやら張り切っている。
まぁフォルテがついているから、何かあったら俺も対処可能なので心配はしてないけどな。
「お前も少し休んだらどうだ?」
鎧も脱がずに扉近くに佇んでいる聖騎士の肩を軽く叩く。
こいつ、微動だにしないな。
聖騎士は聖騎士で、自分がついていながら、誘拐などを許したことに対してまだ気持ちの整理が出来ていないんだろう。
まぁ悩めや若者。
全員がいる広間だが、テーブルは一つだけで、あとはいくつかのソファーとクッションの置かれた、大公国らしい造りとなっている。
普通の宿の大きな部屋が五つぐらい続き部屋になっていて、その間に壁がほとんどないという感じなので、なんとも言えない、開放感がある。
柱も全て装飾がされていて、全体のデザインというか、スタイルに統一感があるように感じた。
広間を見渡しても、別の部屋があるようには見えないのだが、柱と重なって一つの装飾のように見える場所が別の部屋の入り口だったり、きれいな壁掛けだと思っていたら、そこが別の部屋へ通じる廊下になっていたりと、全体的に凝った造りだ。
八つの部屋は寝室だろうと思っていたら、それぞれ普通に部屋だった。
その部屋ごとに寝室も広間も、テーブルセットのある仕事部屋のようなところまである。
それぞれの部屋には本棚もあり、貴重な書物も置いてあるようだ。
だが、圧倒的に神話のたぐいが多い。
そしてどの部屋にも独特の壁飾りのある壁があるのだが、横に大聖堂までの距離が書かれていて、おそらくは大聖堂のある方向を示しているのだろうと思われた。
気づいたんだが、その方向とは、庭のあるテラスの方なのだ。
確か命の華は美しく常に大聖堂を示すとかいう聖句があったはずだが、それに合わせたのかな?
信仰篤い海洋公の城らしいな。
広間の一角に、別方向にある、バルコニーも発見した。
そして、ここにバルコニー伝いでつながる別室があった。
この通路には屋根と壁代わりの格子があり、別室には、立派な厨房の設備がある。
奥のほうには毛布や敷布、ラグの替えなどもあったので、使用人用の控え室になるのだろう。
厨房には、小さいが充実した酒蔵、魔道具を使って食材を冷やして保管する保管庫などの設備も整っている。
「おー凄いな」
さっき頂いたお茶は、美味しかったが、茶請けも合わせると全体的に甘味が強く、子ども達には好評だったが、俺には少々甘すぎた。
少しすっきりとした飲み口のものが欲しい。
「さて、この竈は焚口がないな。魔道具か?」
だが、茶を淹れるにも、魔道具ばかりで使い方がわからないものが多く困ってしまった。
うろうろしていると、厨房の隅に、木板に何やら文字が書かれたものを発見する。
「お、やった。魔道具の使い方が書かれてるな。他所の国から来る客もいるんだろうから、どっかにはあると思ってたぜ」
説明の一番上に、石造りのごっつい箱の開け方が載っていたので、それを開けてみると、魔宝石がごろごろ出て来たので仰天した。
どうやらここの魔道具は、一回一回この魔宝石をセットして使うらしい。
なんとも言えない贅沢さだ。
「どれほど贅沢だと思っても、すぐにその上が出て来る。贅沢には限りがないのか?」
軽く戦慄する。
目の前にある魔宝石だけで、平民の普通の家族なら、三代ぐらいが楽に生活出来るだろう。
そんなものが封印もされずに簡単な造りの箱のなかに転がされているのだ。
「ふう……茶を淹れよう」
俺は気を取り直して、赤い魔宝石を一個拾い上げ、箱の蓋を閉めると、焚口のない竈にその魔宝石をセットした。
茶を淹れる場合は、湯は、鍋ではなく、茶を淹れる専用のポットという容器で沸かせと書いてある。
上に蓋がついていて、注ぎ口がある。
容器のなかに、目の細かい金属の網があり、ポットの深いところまで浸かるようになっていた。
どうもそこに茶葉を入れるらしい。
このポットという容器は見た目も美しいので、テーブルに薄い石を敷いて、そこに置いて好きな量だけ茶を注ぐということも出来るようだ。
これに似たものを先日の式典で見たような気がする。
いや、東方でもだいぶ大きさが違うが、似たものを見たな。
ってことはこれも東方から来たものか。
俺はいつのまにか、楽しみながら厨房の魔道具をいじりまわしていた。
海賊船でずっと緊張しっぱなしだった気持ちが、これでずいぶんほぐれた気がする。
ただし、魔道具を使って淹れた、少し苦味がありながら、すっきりとした味わいの茶は、聖騎士には好評で、勇者はあまり喜ばず、子ども達は匂いを嗅いだだけで飲まなかった。
全体的には不評と言えるだろう。
ちょっと残念だ。
ここの床がふかふか過ぎるのが原因だな。
それと、船でかがされた香の影響もまだ残っているのかもしれない。
毒ではなく、本来は癒やしのためのものなので、聖女の力で排除することが出来ないのだ。
聖女は、拘束具に盛大に魔力を吸われた後に、結界やらなんやらで無理もさせたし、もともと、疲れていたということもあったんだろう。
香の力が深くまで染み渡って、体が休息を求めているようだった。
同じことは勇者にも言える。
ずっと機嫌が悪いのは、そのせいもあるんだろうな。
「アルフも、しばらく休んだらどうだ?」
「いや、子ども達だけで遊ばせておいて何かあったらどうする。俺が見ているから師匠が休んでくれ」
へえ、さっきから気づかわしげに庭のほうを見ていると思ったら、そういうことだったのか。
前から思っていたが、勇者は子ども好きだよな。
隠しているつもりかもしれないが、意外と子どもに対する面倒見がいい。
「じゃあ、ルフやパーニャ姫のことは頼む。俺は少しこの部屋を見回って来る」
「わかった。任せろ」
なにやら張り切っている。
まぁフォルテがついているから、何かあったら俺も対処可能なので心配はしてないけどな。
「お前も少し休んだらどうだ?」
鎧も脱がずに扉近くに佇んでいる聖騎士の肩を軽く叩く。
こいつ、微動だにしないな。
聖騎士は聖騎士で、自分がついていながら、誘拐などを許したことに対してまだ気持ちの整理が出来ていないんだろう。
まぁ悩めや若者。
全員がいる広間だが、テーブルは一つだけで、あとはいくつかのソファーとクッションの置かれた、大公国らしい造りとなっている。
普通の宿の大きな部屋が五つぐらい続き部屋になっていて、その間に壁がほとんどないという感じなので、なんとも言えない、開放感がある。
柱も全て装飾がされていて、全体のデザインというか、スタイルに統一感があるように感じた。
広間を見渡しても、別の部屋があるようには見えないのだが、柱と重なって一つの装飾のように見える場所が別の部屋の入り口だったり、きれいな壁掛けだと思っていたら、そこが別の部屋へ通じる廊下になっていたりと、全体的に凝った造りだ。
八つの部屋は寝室だろうと思っていたら、それぞれ普通に部屋だった。
その部屋ごとに寝室も広間も、テーブルセットのある仕事部屋のようなところまである。
それぞれの部屋には本棚もあり、貴重な書物も置いてあるようだ。
だが、圧倒的に神話のたぐいが多い。
そしてどの部屋にも独特の壁飾りのある壁があるのだが、横に大聖堂までの距離が書かれていて、おそらくは大聖堂のある方向を示しているのだろうと思われた。
気づいたんだが、その方向とは、庭のあるテラスの方なのだ。
確か命の華は美しく常に大聖堂を示すとかいう聖句があったはずだが、それに合わせたのかな?
信仰篤い海洋公の城らしいな。
広間の一角に、別方向にある、バルコニーも発見した。
そして、ここにバルコニー伝いでつながる別室があった。
この通路には屋根と壁代わりの格子があり、別室には、立派な厨房の設備がある。
奥のほうには毛布や敷布、ラグの替えなどもあったので、使用人用の控え室になるのだろう。
厨房には、小さいが充実した酒蔵、魔道具を使って食材を冷やして保管する保管庫などの設備も整っている。
「おー凄いな」
さっき頂いたお茶は、美味しかったが、茶請けも合わせると全体的に甘味が強く、子ども達には好評だったが、俺には少々甘すぎた。
少しすっきりとした飲み口のものが欲しい。
「さて、この竈は焚口がないな。魔道具か?」
だが、茶を淹れるにも、魔道具ばかりで使い方がわからないものが多く困ってしまった。
うろうろしていると、厨房の隅に、木板に何やら文字が書かれたものを発見する。
「お、やった。魔道具の使い方が書かれてるな。他所の国から来る客もいるんだろうから、どっかにはあると思ってたぜ」
説明の一番上に、石造りのごっつい箱の開け方が載っていたので、それを開けてみると、魔宝石がごろごろ出て来たので仰天した。
どうやらここの魔道具は、一回一回この魔宝石をセットして使うらしい。
なんとも言えない贅沢さだ。
「どれほど贅沢だと思っても、すぐにその上が出て来る。贅沢には限りがないのか?」
軽く戦慄する。
目の前にある魔宝石だけで、平民の普通の家族なら、三代ぐらいが楽に生活出来るだろう。
そんなものが封印もされずに簡単な造りの箱のなかに転がされているのだ。
「ふう……茶を淹れよう」
俺は気を取り直して、赤い魔宝石を一個拾い上げ、箱の蓋を閉めると、焚口のない竈にその魔宝石をセットした。
茶を淹れる場合は、湯は、鍋ではなく、茶を淹れる専用のポットという容器で沸かせと書いてある。
上に蓋がついていて、注ぎ口がある。
容器のなかに、目の細かい金属の網があり、ポットの深いところまで浸かるようになっていた。
どうもそこに茶葉を入れるらしい。
このポットという容器は見た目も美しいので、テーブルに薄い石を敷いて、そこに置いて好きな量だけ茶を注ぐということも出来るようだ。
これに似たものを先日の式典で見たような気がする。
いや、東方でもだいぶ大きさが違うが、似たものを見たな。
ってことはこれも東方から来たものか。
俺はいつのまにか、楽しみながら厨房の魔道具をいじりまわしていた。
海賊船でずっと緊張しっぱなしだった気持ちが、これでずいぶんほぐれた気がする。
ただし、魔道具を使って淹れた、少し苦味がありながら、すっきりとした味わいの茶は、聖騎士には好評で、勇者はあまり喜ばず、子ども達は匂いを嗅いだだけで飲まなかった。
全体的には不評と言えるだろう。
ちょっと残念だ。
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