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チートないっぽいんだけどどうしたらいい? ヘルプ求む。
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「ふわぁー」
やわらかな毛皮の上で背伸びをする。きれいな模様だなぁ、何の毛皮なんだろう? モンスターとか?
「いいですか。ご領主様がお認めになるまではあなたはお嬢様のお客に過ぎません。いらぬことをして寿命を縮めないようにしてくださいね」
「は、はい!」
こええ!
この、ええっと、そうそう確かエッデさんとかいう女性は、あれだ、異世界あるあるの暗殺メイドだな。
年齢は三十代ぐらい? 若くても二十代後半だろう。
年上趣味ではない俺の食指は動かない。
まぁ結構な美人だとは思うけどな。
リオンを見た後じゃあどんな美人も霞むよな。
俺、最初なんでリオンを男と思ったんだろう?
ああそうそう、コウモリ羽の飛び回る首をいとも簡単にやっつけたし、そもそも話し言葉が男っぽいよな。
って、この世界じゃ言葉は意思と直結しているんだっけ? そうなるとものの考え方が男っぽいということか。
やべーなリオン、昔一世を風靡したという男装の近衛隊長真っ青の男装女子っぷりだ。
しかし、出るとこは出てたよなぁ全体的に引き締まってたけど……はっ、いかんいかん、思い出すのは夜一人きりになったときだぞ! あ、この世界にティッシュとかあるのかな? どうすんだ? 周りに女しかいねーから誰かに聞きたくても聞けないぞ。
そう言えば俺って異世界転生? 転移? 特典のチートとかねーのかな。
こっちに来たのも唐突だったし、神様経由じゃないから駄目なのか? チェッ、せっかく異世界無双出来るとワクテカだったのになぁ。
あっちはどうなっているんだろう、俺、行方不明扱いかな。
誘拐とか……ないな。
う~ん、事故に巻き込まれた。とかの線で探されるのかな。
父さんと母さん、心配してるかな? でも、優秀な兄貴がいるんだから別にそう長くは気にしないだろうけど。
あっ、きっと兄貴の野郎、俺がいなくなったのをいいことに俺の部屋からマイコレクションを回収するに違いないぞ。くっそ、帰ったら覚えてやがれ! まぁ帰れたら、の話だけどな。
やばい落ち込んで来た。
そもそも理由がわかんねぇ。
俺、どう考えても勇者って柄じゃねぇし、専門知識とかもねーし、呼ばれる理由が思い浮かばないんだよなぁ。
これってあれか、事故パターンか? なんかの異次元的現象が作用してこっちに落っこちたとか?
もしそうならやばくないか? どうやってこのさきいきのこるんだよ。
もうリオン様だけが頼りってか?
でも情けないよなぁ。
いや、これはリオンの望んだこと、そう、俺はリオンの望みを叶えているだけなんだぜ!
とか、いきがってみてもなぁ。
「はぁー」
暗殺メイドがすごい目で睨んで来る。
なんだよ、ため息ぐらい吐かせろよ。
ええっと、そうだ、ここに来たときに何やってたか落ち着いて思い出そう。
そうすればなんかヒントがあるかもしれねーし。
と言っても別段普段と違うことなんてやってないんだよなぁ。
夜降ってた雨が上がってびっくりするぐらいの快晴になって、休みの日はやっぱ晴れてないとなぁとか思いながらコンビニに千円分のチャージを買いに行ったんだ。
天気がいいのにゲームかよっていう自分ツッコミをしながら道路を歩いていたら、アスファルトのあちこちに水たまりがあって、そこに青空が映り込んできれいだなぁって思ってたんだっけ。
それで……そうだ、信号を渡るときにその水たまりがあって、スニーカーを汚したくはなかったけど、大きな水たまりだから回り込むのも面倒で、仕方なく、踏み込んだんだっけ。
バシャッと水が跳ねるのを予感してたら、全然、そんな感触がなくって、こう、夢のなかで足を踏み外したような感じで、スカッと空振って、ガクンと体がかしいで。
それで、気づいたら草っぱらにいて、「へっ?」と思ってうろうろ歩き回っていたら、あの化物に襲われたんだよなぁ。
あの時はほんと、ビビったぜ。
あんときリオンが来なかったら、もしかして俺、死んでたのかな?
知り合いも誰もいない、異世界の森のなかで化物に食われて……。
「戻ったぞ」
ガチャリとドアの開く音がして、鮮やかな青い髪と金の瞳の美女が現れる。
その途端、少し落ち込んでた俺の気持ちが軽やかに浮上するのを感じた。
ああ、リオン、お前本当に美人だよなぁ。
「なんだ、どうしたシン。情けないツラをしているぞ。私がいなくて寂しかったのか?」
「いや、それ、俺が女の子に言う予定のセリフだから」
あかん。落ち込んでたらたちまちヒーローの立場が入れ替わってしまうぞ。
いくらチートがなくても異世界転移主人公は俺だからな。
現地ヒロインに主人公を取られるとかあり得ないだろ。
くっ、見てろよ、リオン、俺、ぜってえお前を攻略してやるぜ! それで「シンさまだいてー」とか言わせてやるからな!
「お前、ほんと、面白いな。さっきまで絶望的な顔をしてたかと思えば、いきなりニヤニヤし始めて。相手が私でなければ頭のおかしい奴だと思われてしまうところだ」
「お嬢様、コレは間違いなく頭がおかしいのだと思いますよ。今からでも遅くありません。どこかに捨てて来ましょう」
この暗殺メイド何言いやがる、捨てられたら俺が終わるだろうが!
「いや、それはもう遅いな」
リオンがにっこりと微笑んだ。
うぉおおお、まるで天女の微笑みもかくやという眩しさだ。
「っ、まさか!」
「ああ、お館様に正式に許可をいただいた」
「ご領主様はお嬢様に甘すぎます!」
「それは私も危惧するところだが、今回は助かったな」
うん? どうやら俺、ここにいていいのかな?
はー、リオンさんマジ天使。
一生ついて行きます!
やわらかな毛皮の上で背伸びをする。きれいな模様だなぁ、何の毛皮なんだろう? モンスターとか?
「いいですか。ご領主様がお認めになるまではあなたはお嬢様のお客に過ぎません。いらぬことをして寿命を縮めないようにしてくださいね」
「は、はい!」
こええ!
この、ええっと、そうそう確かエッデさんとかいう女性は、あれだ、異世界あるあるの暗殺メイドだな。
年齢は三十代ぐらい? 若くても二十代後半だろう。
年上趣味ではない俺の食指は動かない。
まぁ結構な美人だとは思うけどな。
リオンを見た後じゃあどんな美人も霞むよな。
俺、最初なんでリオンを男と思ったんだろう?
ああそうそう、コウモリ羽の飛び回る首をいとも簡単にやっつけたし、そもそも話し言葉が男っぽいよな。
って、この世界じゃ言葉は意思と直結しているんだっけ? そうなるとものの考え方が男っぽいということか。
やべーなリオン、昔一世を風靡したという男装の近衛隊長真っ青の男装女子っぷりだ。
しかし、出るとこは出てたよなぁ全体的に引き締まってたけど……はっ、いかんいかん、思い出すのは夜一人きりになったときだぞ! あ、この世界にティッシュとかあるのかな? どうすんだ? 周りに女しかいねーから誰かに聞きたくても聞けないぞ。
そう言えば俺って異世界転生? 転移? 特典のチートとかねーのかな。
こっちに来たのも唐突だったし、神様経由じゃないから駄目なのか? チェッ、せっかく異世界無双出来るとワクテカだったのになぁ。
あっちはどうなっているんだろう、俺、行方不明扱いかな。
誘拐とか……ないな。
う~ん、事故に巻き込まれた。とかの線で探されるのかな。
父さんと母さん、心配してるかな? でも、優秀な兄貴がいるんだから別にそう長くは気にしないだろうけど。
あっ、きっと兄貴の野郎、俺がいなくなったのをいいことに俺の部屋からマイコレクションを回収するに違いないぞ。くっそ、帰ったら覚えてやがれ! まぁ帰れたら、の話だけどな。
やばい落ち込んで来た。
そもそも理由がわかんねぇ。
俺、どう考えても勇者って柄じゃねぇし、専門知識とかもねーし、呼ばれる理由が思い浮かばないんだよなぁ。
これってあれか、事故パターンか? なんかの異次元的現象が作用してこっちに落っこちたとか?
もしそうならやばくないか? どうやってこのさきいきのこるんだよ。
もうリオン様だけが頼りってか?
でも情けないよなぁ。
いや、これはリオンの望んだこと、そう、俺はリオンの望みを叶えているだけなんだぜ!
とか、いきがってみてもなぁ。
「はぁー」
暗殺メイドがすごい目で睨んで来る。
なんだよ、ため息ぐらい吐かせろよ。
ええっと、そうだ、ここに来たときに何やってたか落ち着いて思い出そう。
そうすればなんかヒントがあるかもしれねーし。
と言っても別段普段と違うことなんてやってないんだよなぁ。
夜降ってた雨が上がってびっくりするぐらいの快晴になって、休みの日はやっぱ晴れてないとなぁとか思いながらコンビニに千円分のチャージを買いに行ったんだ。
天気がいいのにゲームかよっていう自分ツッコミをしながら道路を歩いていたら、アスファルトのあちこちに水たまりがあって、そこに青空が映り込んできれいだなぁって思ってたんだっけ。
それで……そうだ、信号を渡るときにその水たまりがあって、スニーカーを汚したくはなかったけど、大きな水たまりだから回り込むのも面倒で、仕方なく、踏み込んだんだっけ。
バシャッと水が跳ねるのを予感してたら、全然、そんな感触がなくって、こう、夢のなかで足を踏み外したような感じで、スカッと空振って、ガクンと体がかしいで。
それで、気づいたら草っぱらにいて、「へっ?」と思ってうろうろ歩き回っていたら、あの化物に襲われたんだよなぁ。
あの時はほんと、ビビったぜ。
あんときリオンが来なかったら、もしかして俺、死んでたのかな?
知り合いも誰もいない、異世界の森のなかで化物に食われて……。
「戻ったぞ」
ガチャリとドアの開く音がして、鮮やかな青い髪と金の瞳の美女が現れる。
その途端、少し落ち込んでた俺の気持ちが軽やかに浮上するのを感じた。
ああ、リオン、お前本当に美人だよなぁ。
「なんだ、どうしたシン。情けないツラをしているぞ。私がいなくて寂しかったのか?」
「いや、それ、俺が女の子に言う予定のセリフだから」
あかん。落ち込んでたらたちまちヒーローの立場が入れ替わってしまうぞ。
いくらチートがなくても異世界転移主人公は俺だからな。
現地ヒロインに主人公を取られるとかあり得ないだろ。
くっ、見てろよ、リオン、俺、ぜってえお前を攻略してやるぜ! それで「シンさまだいてー」とか言わせてやるからな!
「お前、ほんと、面白いな。さっきまで絶望的な顔をしてたかと思えば、いきなりニヤニヤし始めて。相手が私でなければ頭のおかしい奴だと思われてしまうところだ」
「お嬢様、コレは間違いなく頭がおかしいのだと思いますよ。今からでも遅くありません。どこかに捨てて来ましょう」
この暗殺メイド何言いやがる、捨てられたら俺が終わるだろうが!
「いや、それはもう遅いな」
リオンがにっこりと微笑んだ。
うぉおおお、まるで天女の微笑みもかくやという眩しさだ。
「っ、まさか!」
「ああ、お館様に正式に許可をいただいた」
「ご領主様はお嬢様に甘すぎます!」
「それは私も危惧するところだが、今回は助かったな」
うん? どうやら俺、ここにいていいのかな?
はー、リオンさんマジ天使。
一生ついて行きます!
応援ありがとうございます!
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