6 / 7
チートないっぽいんだけどどうしたらいい? ヘルプ求む。
しおりを挟む
「ふわぁー」
やわらかな毛皮の上で背伸びをする。きれいな模様だなぁ、何の毛皮なんだろう? モンスターとか?
「いいですか。ご領主様がお認めになるまではあなたはお嬢様のお客に過ぎません。いらぬことをして寿命を縮めないようにしてくださいね」
「は、はい!」
こええ!
この、ええっと、そうそう確かエッデさんとかいう女性は、あれだ、異世界あるあるの暗殺メイドだな。
年齢は三十代ぐらい? 若くても二十代後半だろう。
年上趣味ではない俺の食指は動かない。
まぁ結構な美人だとは思うけどな。
リオンを見た後じゃあどんな美人も霞むよな。
俺、最初なんでリオンを男と思ったんだろう?
ああそうそう、コウモリ羽の飛び回る首をいとも簡単にやっつけたし、そもそも話し言葉が男っぽいよな。
って、この世界じゃ言葉は意思と直結しているんだっけ? そうなるとものの考え方が男っぽいということか。
やべーなリオン、昔一世を風靡したという男装の近衛隊長真っ青の男装女子っぷりだ。
しかし、出るとこは出てたよなぁ全体的に引き締まってたけど……はっ、いかんいかん、思い出すのは夜一人きりになったときだぞ! あ、この世界にティッシュとかあるのかな? どうすんだ? 周りに女しかいねーから誰かに聞きたくても聞けないぞ。
そう言えば俺って異世界転生? 転移? 特典のチートとかねーのかな。
こっちに来たのも唐突だったし、神様経由じゃないから駄目なのか? チェッ、せっかく異世界無双出来るとワクテカだったのになぁ。
あっちはどうなっているんだろう、俺、行方不明扱いかな。
誘拐とか……ないな。
う~ん、事故に巻き込まれた。とかの線で探されるのかな。
父さんと母さん、心配してるかな? でも、優秀な兄貴がいるんだから別にそう長くは気にしないだろうけど。
あっ、きっと兄貴の野郎、俺がいなくなったのをいいことに俺の部屋からマイコレクションを回収するに違いないぞ。くっそ、帰ったら覚えてやがれ! まぁ帰れたら、の話だけどな。
やばい落ち込んで来た。
そもそも理由がわかんねぇ。
俺、どう考えても勇者って柄じゃねぇし、専門知識とかもねーし、呼ばれる理由が思い浮かばないんだよなぁ。
これってあれか、事故パターンか? なんかの異次元的現象が作用してこっちに落っこちたとか?
もしそうならやばくないか? どうやってこのさきいきのこるんだよ。
もうリオン様だけが頼りってか?
でも情けないよなぁ。
いや、これはリオンの望んだこと、そう、俺はリオンの望みを叶えているだけなんだぜ!
とか、いきがってみてもなぁ。
「はぁー」
暗殺メイドがすごい目で睨んで来る。
なんだよ、ため息ぐらい吐かせろよ。
ええっと、そうだ、ここに来たときに何やってたか落ち着いて思い出そう。
そうすればなんかヒントがあるかもしれねーし。
と言っても別段普段と違うことなんてやってないんだよなぁ。
夜降ってた雨が上がってびっくりするぐらいの快晴になって、休みの日はやっぱ晴れてないとなぁとか思いながらコンビニに千円分のチャージを買いに行ったんだ。
天気がいいのにゲームかよっていう自分ツッコミをしながら道路を歩いていたら、アスファルトのあちこちに水たまりがあって、そこに青空が映り込んできれいだなぁって思ってたんだっけ。
それで……そうだ、信号を渡るときにその水たまりがあって、スニーカーを汚したくはなかったけど、大きな水たまりだから回り込むのも面倒で、仕方なく、踏み込んだんだっけ。
バシャッと水が跳ねるのを予感してたら、全然、そんな感触がなくって、こう、夢のなかで足を踏み外したような感じで、スカッと空振って、ガクンと体がかしいで。
それで、気づいたら草っぱらにいて、「へっ?」と思ってうろうろ歩き回っていたら、あの化物に襲われたんだよなぁ。
あの時はほんと、ビビったぜ。
あんときリオンが来なかったら、もしかして俺、死んでたのかな?
知り合いも誰もいない、異世界の森のなかで化物に食われて……。
「戻ったぞ」
ガチャリとドアの開く音がして、鮮やかな青い髪と金の瞳の美女が現れる。
その途端、少し落ち込んでた俺の気持ちが軽やかに浮上するのを感じた。
ああ、リオン、お前本当に美人だよなぁ。
「なんだ、どうしたシン。情けないツラをしているぞ。私がいなくて寂しかったのか?」
「いや、それ、俺が女の子に言う予定のセリフだから」
あかん。落ち込んでたらたちまちヒーローの立場が入れ替わってしまうぞ。
いくらチートがなくても異世界転移主人公は俺だからな。
現地ヒロインに主人公を取られるとかあり得ないだろ。
くっ、見てろよ、リオン、俺、ぜってえお前を攻略してやるぜ! それで「シンさまだいてー」とか言わせてやるからな!
「お前、ほんと、面白いな。さっきまで絶望的な顔をしてたかと思えば、いきなりニヤニヤし始めて。相手が私でなければ頭のおかしい奴だと思われてしまうところだ」
「お嬢様、コレは間違いなく頭がおかしいのだと思いますよ。今からでも遅くありません。どこかに捨てて来ましょう」
この暗殺メイド何言いやがる、捨てられたら俺が終わるだろうが!
「いや、それはもう遅いな」
リオンがにっこりと微笑んだ。
うぉおおお、まるで天女の微笑みもかくやという眩しさだ。
「っ、まさか!」
「ああ、お館様に正式に許可をいただいた」
「ご領主様はお嬢様に甘すぎます!」
「それは私も危惧するところだが、今回は助かったな」
うん? どうやら俺、ここにいていいのかな?
はー、リオンさんマジ天使。
一生ついて行きます!
やわらかな毛皮の上で背伸びをする。きれいな模様だなぁ、何の毛皮なんだろう? モンスターとか?
「いいですか。ご領主様がお認めになるまではあなたはお嬢様のお客に過ぎません。いらぬことをして寿命を縮めないようにしてくださいね」
「は、はい!」
こええ!
この、ええっと、そうそう確かエッデさんとかいう女性は、あれだ、異世界あるあるの暗殺メイドだな。
年齢は三十代ぐらい? 若くても二十代後半だろう。
年上趣味ではない俺の食指は動かない。
まぁ結構な美人だとは思うけどな。
リオンを見た後じゃあどんな美人も霞むよな。
俺、最初なんでリオンを男と思ったんだろう?
ああそうそう、コウモリ羽の飛び回る首をいとも簡単にやっつけたし、そもそも話し言葉が男っぽいよな。
って、この世界じゃ言葉は意思と直結しているんだっけ? そうなるとものの考え方が男っぽいということか。
やべーなリオン、昔一世を風靡したという男装の近衛隊長真っ青の男装女子っぷりだ。
しかし、出るとこは出てたよなぁ全体的に引き締まってたけど……はっ、いかんいかん、思い出すのは夜一人きりになったときだぞ! あ、この世界にティッシュとかあるのかな? どうすんだ? 周りに女しかいねーから誰かに聞きたくても聞けないぞ。
そう言えば俺って異世界転生? 転移? 特典のチートとかねーのかな。
こっちに来たのも唐突だったし、神様経由じゃないから駄目なのか? チェッ、せっかく異世界無双出来るとワクテカだったのになぁ。
あっちはどうなっているんだろう、俺、行方不明扱いかな。
誘拐とか……ないな。
う~ん、事故に巻き込まれた。とかの線で探されるのかな。
父さんと母さん、心配してるかな? でも、優秀な兄貴がいるんだから別にそう長くは気にしないだろうけど。
あっ、きっと兄貴の野郎、俺がいなくなったのをいいことに俺の部屋からマイコレクションを回収するに違いないぞ。くっそ、帰ったら覚えてやがれ! まぁ帰れたら、の話だけどな。
やばい落ち込んで来た。
そもそも理由がわかんねぇ。
俺、どう考えても勇者って柄じゃねぇし、専門知識とかもねーし、呼ばれる理由が思い浮かばないんだよなぁ。
これってあれか、事故パターンか? なんかの異次元的現象が作用してこっちに落っこちたとか?
もしそうならやばくないか? どうやってこのさきいきのこるんだよ。
もうリオン様だけが頼りってか?
でも情けないよなぁ。
いや、これはリオンの望んだこと、そう、俺はリオンの望みを叶えているだけなんだぜ!
とか、いきがってみてもなぁ。
「はぁー」
暗殺メイドがすごい目で睨んで来る。
なんだよ、ため息ぐらい吐かせろよ。
ええっと、そうだ、ここに来たときに何やってたか落ち着いて思い出そう。
そうすればなんかヒントがあるかもしれねーし。
と言っても別段普段と違うことなんてやってないんだよなぁ。
夜降ってた雨が上がってびっくりするぐらいの快晴になって、休みの日はやっぱ晴れてないとなぁとか思いながらコンビニに千円分のチャージを買いに行ったんだ。
天気がいいのにゲームかよっていう自分ツッコミをしながら道路を歩いていたら、アスファルトのあちこちに水たまりがあって、そこに青空が映り込んできれいだなぁって思ってたんだっけ。
それで……そうだ、信号を渡るときにその水たまりがあって、スニーカーを汚したくはなかったけど、大きな水たまりだから回り込むのも面倒で、仕方なく、踏み込んだんだっけ。
バシャッと水が跳ねるのを予感してたら、全然、そんな感触がなくって、こう、夢のなかで足を踏み外したような感じで、スカッと空振って、ガクンと体がかしいで。
それで、気づいたら草っぱらにいて、「へっ?」と思ってうろうろ歩き回っていたら、あの化物に襲われたんだよなぁ。
あの時はほんと、ビビったぜ。
あんときリオンが来なかったら、もしかして俺、死んでたのかな?
知り合いも誰もいない、異世界の森のなかで化物に食われて……。
「戻ったぞ」
ガチャリとドアの開く音がして、鮮やかな青い髪と金の瞳の美女が現れる。
その途端、少し落ち込んでた俺の気持ちが軽やかに浮上するのを感じた。
ああ、リオン、お前本当に美人だよなぁ。
「なんだ、どうしたシン。情けないツラをしているぞ。私がいなくて寂しかったのか?」
「いや、それ、俺が女の子に言う予定のセリフだから」
あかん。落ち込んでたらたちまちヒーローの立場が入れ替わってしまうぞ。
いくらチートがなくても異世界転移主人公は俺だからな。
現地ヒロインに主人公を取られるとかあり得ないだろ。
くっ、見てろよ、リオン、俺、ぜってえお前を攻略してやるぜ! それで「シンさまだいてー」とか言わせてやるからな!
「お前、ほんと、面白いな。さっきまで絶望的な顔をしてたかと思えば、いきなりニヤニヤし始めて。相手が私でなければ頭のおかしい奴だと思われてしまうところだ」
「お嬢様、コレは間違いなく頭がおかしいのだと思いますよ。今からでも遅くありません。どこかに捨てて来ましょう」
この暗殺メイド何言いやがる、捨てられたら俺が終わるだろうが!
「いや、それはもう遅いな」
リオンがにっこりと微笑んだ。
うぉおおお、まるで天女の微笑みもかくやという眩しさだ。
「っ、まさか!」
「ああ、お館様に正式に許可をいただいた」
「ご領主様はお嬢様に甘すぎます!」
「それは私も危惧するところだが、今回は助かったな」
うん? どうやら俺、ここにいていいのかな?
はー、リオンさんマジ天使。
一生ついて行きます!
0
あなたにおすすめの小説
「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした
しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」
十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。
会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。
魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。
※小説家になろう様にも投稿しています※
悪役令嬢と呼ばれて追放されましたが、先祖返りの精霊種だったので、神殿で崇められる立場になりました。母国は加護を失いましたが仕方ないですね。
蒼衣翼
恋愛
古くから続く名家の娘、アレリは、古い盟約に従って、王太子の妻となるさだめだった。
しかし、古臭い伝統に反発した王太子によって、ありもしない罪をでっち上げられた挙げ句、国外追放となってしまう。
自分の意思とは関係ないところで、運命を翻弄されたアレリは、憧れだった精霊信仰がさかんな国を目指すことに。
そこで、自然のエネルギーそのものである精霊と語り合うことの出来るアレリは、神殿で聖女と崇められ、優しい青年と巡り合った。
一方、古い盟約を破った故国は、精霊の加護を失い、衰退していくのだった。
※カクヨムさまにも掲載しています。
好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が
和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」
エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。
けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。
「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」
「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」
──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。
婚約破棄されたので、辺境で「魔力回復カフェ」はじめます〜冷徹な辺境伯様ともふもふ聖獣が、私の絶品ご飯に夢中なようです〜
咲月ねむと
恋愛
「君との婚約を破棄する!」
料理好きの日本人だった前世の記憶を持つ公爵令嬢レティシアは、ある日、王太子から婚約破棄を言い渡される。
身に覚えのない罪を着せられ、辺境のボロ別荘へ追放……と思いきや、レティシアは内心ガッツポーズ!
「これで堅苦しい妃教育から解放される! 今日から料理三昧よ!」
彼女は念願だったカフェ『陽だまり亭』をオープン。
前世のレシピと、本人無自覚の『魔力回復スパイス』たっぷりの手料理は、疲れた冒険者や町の人々を瞬く間に虜にしていく。
そんな店に現れたのは、この地を治める「氷の騎士」こと辺境伯ジークフリート。
冷徹で恐ろしいと噂される彼だったが、レティシアの作った唐揚げやプリンを食べた瞬間、その氷の表情が溶け出して――?
「……美味い。この味を、一生求めていた気がする」
(ただの定食なんですけど、大げさすぎません?)
強面だけど実は甘党な辺境伯様に胃袋を掴んで求婚され、拾った白い子犬には懐かれ、レティシアの辺境ライフは毎日がお祭り騒ぎ!
一方、彼女を捨てた王太子と自称聖女は、レティシアの加護が消えたことでご飯が不味くなり、不幸のどん底へ。
「戻ってきてくれ」と泣きつかれても、もう知りません。
私は最強の旦那様と、温かいご飯を食べて幸せになりますので。
※本作は小説家になろう様でも掲載しています。ちなみに以前投稿していた作品のリメイクにもなります。
婚約者が聖女を選ぶことくらい分かっていたので、先に婚約破棄します。
黒蜜きな粉
恋愛
魔王討伐を終え、王都に凱旋した英雄たち。
その中心には、異世界から来た聖女と、彼女に寄り添う王太子の姿があった。
王太子の婚約者として壇上に立ちながらも、私は自分が選ばれない側だと理解していた。
だから、泣かない。縋らない。
私は自分から婚約破棄を願い出る。
選ばれなかった人生を終わらせるために。
そして、私自身の人生を始めるために。
短いお話です。
※第19回恋愛小説大賞にエントリーしております。
【完結】無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない
ベル
恋愛
旦那様とは政略結婚。
公爵家の次期当主であった旦那様と、領地の経営が悪化し、没落寸前の伯爵令嬢だった私。
旦那様と結婚したおかげで私の家は安定し、今では昔よりも裕福な暮らしができるようになりました。
そんな私は旦那様に感謝しています。
無口で何を考えているか分かりにくい方ですが、とてもお優しい方なのです。
そんな二人の日常を書いてみました。
お読みいただき本当にありがとうございますm(_ _)m
無事完結しました!
虐げられた私、ずっと一緒にいた精霊たちの王に愛される〜私が愛し子だなんて知りませんでした〜
ボタニカルseven
恋愛
「今までお世話になりました」
あぁ、これでやっとこの人たちから解放されるんだ。
「セレス様、行きましょう」
「ありがとう、リリ」
私はセレス・バートレイ。四歳の頃に母親がなくなり父がしばらく家を留守にしたかと思えば愛人とその子供を連れてきた。私はそれから今までその愛人と子供に虐げられてきた。心が折れそうになった時だってあったが、いつも隣で見守ってきてくれた精霊たちが支えてくれた。
ある日精霊たちはいった。
「あの方が迎えに来る」
カクヨム/なろう様でも連載させていただいております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる