30年待たされた異世界転移

明之 想

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第1章 オルドウ編

検証 6

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 ジルクール流の道場で偶然出会ったギリオンさんという男性と共に向かったのは、近くにある喫茶店というか食堂というか、とにかく休憩できる場所。

 そこに場所を移して話を聞くことになった。

「王都でジルクール流の達人として有名なレイリュークさんがこちらに滞在されているのなら、挑戦しようという気持ちは分かります」

「んだろ。それで昨日今日と挑戦したんだがなぁ、このざまよ」

 正面には赤色の髪を短髪に切りそろえた筋肉隆々の男性。リーナの朱色の髪とは違い、かなり濃い黒っぽい赤髪だ。その男が赤みがかった茶色の眼を不機嫌そうにすがめている。

 こうやって向かい合ってみると何とも威圧感があるな。
 背は170センチもないくらいだが、骨太で筋肉も盛り上がっており、その身体つきは迫力満点。 その上、サイズが小さめの薄手の上着を肩までまくっている。これでもかと筋肉を見せつけているようだ。

 そんな恰好をしてはいるけど、その所作には見るべきものがある。
 この人もかなりの使い手だな。

「レイリュークさんはお強いんですね」

 レイリュークという剣士はそれ以上ということか。

「ああ、剣に関しちゃ、やつはキュベリッツで10指には入るな」

「そうなのですか」

 国で10本の指に入る剣士が道場にいる。
 俄然、やる気が出てきた。
 彼がいる間に道場に行かないとな。

「ちなみに、キュベリッツで他に高名な剣士はいるのですか?」

「ん、そりゃ、赤鬼と剣姫と幻影ファントムだろうが、それくらいは知ってんだろ」

 おお、心くすぐられるファンタジー感溢れる呼び名だ。
 これは、いつかお手合わせ願いたい。

「いえ……」

「アンタ、赤鬼ドゥベリンガーも剣姫イリサヴィアも幻影ヴァルターも知らねぇのか。どこの田舎から出てきたんだ」

「ははは……で、その3人はやはり王都にいるのですか?」

「赤鬼と幻影は王都だな。剣姫は王都が拠点だが、年中旅しているらしいぞ」

「そうなのですね」

 この3人の剣士にも非常に興味があるが、近くにいるわけじゃない。
 まずは、レイリュークさんだな。

「ところで、そのレイリュークさんですが、誰でも相手してもらえるのでしょうか?」

「誰でもは無理に決まってんだろ。ある程度名が売れてねえとな」

「ギリオンさんでも?」

「バカにしてんのか? オレ様は一流だわ!」

 自分で言うのはどうかと思うが、レイリュークという剣士が2日連続で相手をするということは、剣士としてそれなりに有名なんだろうな。

 まあ、手練れであることは間違いない。

「でも、3度目はないと言われてましたよね」

「……」

「……」

「とにかくだ、庶民に開かれたジルクール流とはいえ、レイリュークは無名の剣士は相手にしねぇ」

 流された。
 まあ、いいけど。

「では、私の場合、誰が相手してくれるんですかね?」

「アンタ、ここいらじゃ見かけねえ顔だが、全くの無名か?」

「まあ、そうですね」

「こうして見てみると、なかなかやりそうなのにな。そうか、無名か……」

 残念そうな顔で考えている。

「……」

 言動はなんとも怪しいものがあるが、剣の腕があり見る眼もありそうだな。
 この人と剣を交えるのもいいかもしれない。

「なら、3番手か4番手あたりだなぁ」

 普通は一見の怪しい剣士を上の者が相手などしてくれない。当然だ。
 それでも、そのレベルの剣士がしっかり相手してくれるのはありがたい。
 さすが、庶民派ジルクール流だな。
 で、3、4番手の力のほどは?

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