177 / 1,578
第3章 救出編
緊急事態 6
しおりを挟むまあ……。
平民の冒険者に対する対抗心やプライドみたいなものの影響があったのも確かだけど。
今はコーキさんの実力を素直に認めている。
剣もすごいけど、魔法は半端ないと思う。
魔法の威力を調節できる上に全て無詠唱で放てるなんて、開いた口が塞がらないとはこのことだ。
当然、姉さんも俺と同じ感想だった。
本人は冒険者になりたてで大したものじゃないというが、とんでもない。その腕前は、おれが知る限り最上級のもの。まだまだ手の内を隠しているようだし、これで5級冒険者なんてな。あり得ないだろ。
だから、その、剣と魔法の腕に関しては尊敬していると言ってもいいかもしれない。
あくまで、その2点のみだけど。
それと、まあ、数年後にはおれの方が強くなっている予定だけど。
……。
まあ事実として、コーキさんに命を助けてもらったことに違いはない。
あの時、コーキさんが駆けつけてくれなければ、姉さんも俺もここにいることはできなかっただろうから。
そして、この使命を果たすこともできなかった。
だから、その恩は返す。
必ずだ!
そのためにも、今日の任務をやり遂げないといけない!
「ここが浅域だからといって、常夜の森には変わりない。警戒は怠らないようにしないとな」
「そうね。アル、頼むわよ」
「了解」
**********************
<ヴァーン視点>
「おい、そんな気配なんざ何も感じねえぞ」
「ギリオンが気配を感じるなんてできるわけねえだろ。まあ、俺を信じろって」
ギリオンを連れて常夜の森に来たのはいいのだが。
「はん、お前の言うこたぁ、当てになんねぇからなぁ」
まだ浅域に入ったばかりだというのに、とにかくうるさい。
「黙って、ついて来い」
昨日、常夜の森からの帰り道。
ちょっと今までに経験したことがないような空気が、森から漂い始めるのを感じたんだよな。
夕闇が迫っていたため、昨日はそのままオルドウに戻って来たが、どうにも気になってしまい酒の席でギリオンに話したところ、翌日である今日探索に行こうという話になったと、そういうわけだ。
「なんもなかったら、帰るかんな」
口はうるさいし品もない男だが、その剣の腕だけは確かだ。
こういった不穏な探索のパートナーとしては頼りになる。
そう思って同行しているのだが、既に若干の後悔を感じ始めている。
ギリオンに興味深い探索の話をするということは、馬面に人参をぶら下げるようなもの。
普段の探索ではここまで先を急ぐこともないのに、今は未知なるものへの興味しか頭には無いようだからな。
ホント、剣と冒険には目がない奴だ。
「……ん?」
ギリオンに返事を返そうと思ったその時、異質な空気が少しずつ漂い始めてきた。
「おっ! どうした?」
空気の変質には違和感を覚えないのに、俺の雰囲気の変化には気付くのか。
「そろそろ臭ってきたぞ」
「あぁ? 本当かよ?」
「この場で、俺が嘘を言うと思うか?」
「まあ……だな」
これが嘘なわけない。
中域の方から、尋常じゃない空気が漂ってくるんだ。
「んで、ヤバそうなのかよ?」
「……並ではないな」
「そいつぁ、楽しみだぜ」
いかにも嬉しそうに口の端を上げニヤッと笑うギリオン。
「……」
そんな姿に頼もしさと不安を同時に感じてしまう。
「もう少し進むぞ」
「ったりめえだ」
50
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-
すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン]
何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?…
たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。
※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける
縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は……
ゆっくりしていってね!!!
※ 現在書き直し慣行中!!!
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜
鮒捌ケコラ
ファンタジー
入学式から3週間目にして『退学」を言い渡された。
(早くない?RTAじゃないんだからさ。)
自分で言うのもアレだけど、入学してからは結構真面目に通ってた。
けど、どうやら教員の不況を買ってしまったらしい。
幸か不幸か、退学まで1週間の執行猶予が与えられた。
けど、今更どう足掻いても挽回する事は不可能だろうし、
そもそも挽回する気も起こらない。
ここまでの学園生活を振り返っても
『この学園に執着出来る程の魅力』
というものが思い当たらないからだ。
寧ろ散々な事ばかりだったな、今日まで。
それに、これ以上無理に通い続けて
貴族とのしがらみシミッシミの薬師になるより
故郷に帰って自由気ままな森番に復職した方が
ずっと実りある人生になるだろう。
私を送り出した公爵様も領主様も、
アイツだってきっとわかってくれる筈だ。
よし。決まりだな。
それじゃあ、退学するまでは休まず毎日通い続けるとして……
大人しくする理由も無くなったし、
これからは自由気ままに、我儘に、好き勝手に過ごす事にしよう。
せっかくだし、教員達からのヘイトをカンストさせるのも面白そうだ。
てな訳で………
薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。
…そう息巻いて迎えた執行猶予満了日、
掲示板に張り出された正式な退学勧告文を
確認しに行ったんだけど……
どういう事なの?これ。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
Gランク冒険者のレベル無双〜好き勝手に生きていたら各方面から敵認定されました〜
2nd kanta
ファンタジー
愛する可愛い奥様達の為、俺は理不尽と戦います。
人違いで刺された俺は死ぬ間際に、得体の知れない何者かに異世界に飛ばされた。
そこは、テンプレの勇者召喚の場だった。
しかし召喚された俺の腹にはドスが刺さったままだった。
『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!
IXA
ファンタジー
30年ほど前、地球に突如として現れたダンジョン。
無限に湧く資源、そしてレベルアップの圧倒的な恩恵に目をつけた人類は、日々ダンジョンの研究へ傾倒していた。
一方特にそれは関係なく、生きる金に困った私、結城フォリアはバイトをするため、最低限の体力を手に入れようとダンジョンへ乗り込んだ。
甘い考えで潜ったダンジョン、しかし笑顔で寄ってきた者達による裏切り、体のいい使い捨てが私を待っていた。
しかし深い絶望の果てに、私は最強のユニークスキルである《スキル累乗》を獲得する--
これは金も境遇も、何もかもが最底辺だった少女が泥臭く苦しみながらダンジョンを探索し、知恵とスキルを駆使し、地べたを這いずり回って頂点へと登り、世界の真実を紐解く話
複数箇所での保存のため、カクヨム様とハーメルン様でも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる