30年待たされた異世界転移

明之 想

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第4章 異能編

手料理 2

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「さあ、できたよ。今日は時間がなかったから、煮込み不足なのは我慢してね」

「作ってもらって我慢も何もないぞ。で、幸奈は食べないのか?」

「うん、今夜は家で食べなきゃいけないの」

「そうか……。忙しいのに悪いな」

「もう、それはいいから、早く食べて」

「分かった」

 幸奈に見つめられながら、スプーンを口に運ぶ。

「……美味いな」

「ホント? 良かったぁ!」

「うん、本当に美味しいぞ」

 一口、二口と食べ進めるにつれて、旨味が口の中に広がるようだ。
 カレーの辛さと、野菜の甘さ、肉のコクが絶妙だな。

「これ、カボチャか。ジャガイモじゃないんだな。それに、キノコも入っているな」

「うん。煮込み時間が短かったからね。早く味が出るかなと思ってカボチャとキノコ入れたんだ。成功かな?」

「ああ、大成功だ」

 お世辞抜きで、絶品と言える。

「ふふ、功己に喜んでもらえて、わたしも嬉しいよ」

「ホント、美味いぞ。幸奈も味見したらどうだ」

「そう? じゃあ少し食べようかなぁ」

「それがいい。ほら」

 目の前の皿を幸奈の前に押し出す。

「えっ、それ食べるの? わたしが?」

「ん? ああ、悪い。他の皿に盛ればいいんだよな」

 少しならと思い、つい俺の皿を渡してしまった。
 子供の頃は、よくこうして一緒に食べたから、そのころの癖が出てしまったか。

「ううん、いいよ。それ食べるから」

 なんてことを言いながら、戸惑い気味にスプーンを手にしている。

「無理しなくていいぞ」

「……大丈夫。いただきます」

 勢いよくスプーンを口に。

「んん……これ、なかなか美味しいね」

「だろ」

「うん、我ながら成功と言えるかも」

「だから、大成功って言っただろ」

「そうだね。ありがと」

「感謝するのはこっちだ。ありがとうな、幸奈」

「う、うん、どういたしまして」

 はにかむ様に俯いてしまった。

「幸奈はもう食べないのか?」

「わたしは、これくらいにしとくよ」

「そうか。なら、俺が食べてもいいか?」

「あっ、ごめん」

 そう言って皿を俺の前に戻し、スプーンをティッシュペーパーでふき取ろうとする幸奈。

「そんなことしなくていいぞ」

「えっ! で、でも、一応ね」

 俺はスプーンをそのまま渡したのに……。
 幸奈はしっかりしているよな。

「はい、どうぞ」

「おう、ありがと」

 そして、また口に運ぶ。

 やっぱり、美味い。
 これは食が進むわ。

 1杯目に続き2杯目もあっという間に食べ終えてしまった。
 カレーは飲み物だとは、言い得て妙というものだな。

「ごちそうさん。大満足だ」

「いえいえ、お粗末様でした」

「いやぁ、本当に美味かった。幸奈は料理も上手いんだな」

 幸奈がこんなに料理上手だったなんて。
 何も知らなかったんだな、俺は。

「そこまでじゃないよ。でも、功己が喜んでくれたのなら嬉しいかなぁ~」

「喜ぶどころじゃないぞ。嬉しいし、感謝している。とにかく、ありがとな」

「もう、大げさだって」

 そんなことを話しながら、食後の時間は過ぎ。

「あっ、こんな時間。そろそろ帰らなきゃ」

「そうか。なら、送って行くよ」

「大丈夫。まだ明るしい」

「そういうわけにはいかないだろ。ほら、行こうか」

「……うん」

 そのまま玄関に向かっていると。

「功己、あの紫の石綺麗だね。何ていう石なの?」

 玄関に置きっぱなしにしてあった紫の玉石。
 あっちの世界から持って帰って来たものだ。

「石の名前は分からないな。気に入ったのか?」

「うん、綺麗だと思って」

「これは無理だけど、また今度よく似た石を買ってやるよ」

「ホント?」

「ああ。今日のお礼だな」

「お礼なんていらないけど……。でも、嬉しい」

「おう、待っててくれ」

「ありがとうね、功己」

「こちらこそだ」

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