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第7章 南部編
四半刻 4
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「グゥオオロオォォォォォ!!!」
エビルズマリスの強烈な咆哮。
「ぐっ!?」
「っ!?」
音なのに熱く重い!
熱した鉛を耳に突き入れられるように。
咆哮が熱い塊となって耳朶を通過、脳に直接響いてくる。
とんでもない!
ホーンベアーの咆哮どころじゃない!
あいつ、また新しいスキルを!
「くっ!」
焼けるような痛み、脳を強く揺らされるような感覚。
目眩がする、吐き気がする。
駄目だ。
足下がぐらつく。
ザン!
剣を鉄錆の地面に突き立て、杖代わりに。
これで、何とか膝をつかずに済む。
が……。
ここが攻め時だというのに。
まともに剣が振るえない。
魔法も無理。
「……」
剣姫は?
俺でさえ、この状態なんだぞ。
怪物の目の前にいた剣姫はどうなった?
「うぅぅ」
体が左右に揺れている。
足もともおぼつかない。
今にも倒れそうじゃないか。
「イリサヴィア様、下がって!」
吐き気をこらえ、剣姫に言葉を。
「ドゥエリンガーを……」
揺れる体で立ち止まり、怪物の首元に突き立った愛剣に手を伸ばそうとする剣姫。
「イリサヴィア様!」
気持ちは分かるが、剣ならいつでも取り返せるんだ。
今は距離を取った方がいい。
「剣はあとで。取り戻せますから」
「……」
「危険です。下がって」
幸い、エビルズマリスは動きを止めたまま。
とはいえ、いつ攻撃してくるか分からない。
あいつの腕が届く距離にいる剣姫は危険すぎる。
「早く!」
「っ……」
剣姫が諦めたように手を戻し。
上体を揺らしながら後退を。
「……」
何とか俺の後ろまで下がってくれた。
よし。
それでいい。
あとは俺が。
俺があいつの相手をしてやる。
「……」
目眩も吐き気も治まってはいないが、少しずつましになってるこの身体。
もうすぐ魔法を使えるはず。
剣もしっかり振るえるはず。
「グルゥゥ」
回復を待つ俺の前にいるエビルズマリスは咆哮を上げたきり、攻撃を仕掛ける素振りもない。
おそらく、雷撃の影響が残っているんだろう。
動きも鈍い。
「……」
悪くないな。
予期せぬ咆哮を受けてしまったが、最悪の事態は免れたようだ。
ならば、ここから反撃を。
決着を!
「くっ!」
背後から剣姫の声。
何だ?
「!?」
剣姫が倒れている!
地に両手両足をつけて!
やはり、至近距離で咆哮を受けたダメージは大きかったか。
「……」
俺はもう、戦える程度まで回復している。
が……。
仕方ない。
ここはいったん退くべきだな。
剣姫のもとに歩み寄り、その身体を抱え上げる。
「なっ、何を!?」
「一度退きますよ」
「いや、待て、下ろせ」
「そんなこと言ってる場合じゃありません」
あいつが、いつ攻撃してくるか分からない。
また咆哮を使うかもしれない。
少しでも距離を取るべきだ。
「退きますよ!」
「……」
剣姫を胸に、数歩後退。
様子を確認しながら、あと数歩……と!?
怪物の口に眩い光??
ブレス?
ここで、ブレスなのか!?
「っ!」
「アリマ!?」
早い!
開かれた口から溢れ出る光の奔流。
前回より早く大きい!
初めて見る規模の光束。
いや、もう束じゃない。
壁のような光の塊だ。
そんな光が、上下左右に大きく広がった光の壁が、向かってくる!
俺たちを飲み込もうとしている!
避けられない!
このままじゃ飲まれてしまう。
「伏せろ、アリマ!」
違う。
ここは。
「ストーンウォール!!」
エビルズマリスの強烈な咆哮。
「ぐっ!?」
「っ!?」
音なのに熱く重い!
熱した鉛を耳に突き入れられるように。
咆哮が熱い塊となって耳朶を通過、脳に直接響いてくる。
とんでもない!
ホーンベアーの咆哮どころじゃない!
あいつ、また新しいスキルを!
「くっ!」
焼けるような痛み、脳を強く揺らされるような感覚。
目眩がする、吐き気がする。
駄目だ。
足下がぐらつく。
ザン!
剣を鉄錆の地面に突き立て、杖代わりに。
これで、何とか膝をつかずに済む。
が……。
ここが攻め時だというのに。
まともに剣が振るえない。
魔法も無理。
「……」
剣姫は?
俺でさえ、この状態なんだぞ。
怪物の目の前にいた剣姫はどうなった?
「うぅぅ」
体が左右に揺れている。
足もともおぼつかない。
今にも倒れそうじゃないか。
「イリサヴィア様、下がって!」
吐き気をこらえ、剣姫に言葉を。
「ドゥエリンガーを……」
揺れる体で立ち止まり、怪物の首元に突き立った愛剣に手を伸ばそうとする剣姫。
「イリサヴィア様!」
気持ちは分かるが、剣ならいつでも取り返せるんだ。
今は距離を取った方がいい。
「剣はあとで。取り戻せますから」
「……」
「危険です。下がって」
幸い、エビルズマリスは動きを止めたまま。
とはいえ、いつ攻撃してくるか分からない。
あいつの腕が届く距離にいる剣姫は危険すぎる。
「早く!」
「っ……」
剣姫が諦めたように手を戻し。
上体を揺らしながら後退を。
「……」
何とか俺の後ろまで下がってくれた。
よし。
それでいい。
あとは俺が。
俺があいつの相手をしてやる。
「……」
目眩も吐き気も治まってはいないが、少しずつましになってるこの身体。
もうすぐ魔法を使えるはず。
剣もしっかり振るえるはず。
「グルゥゥ」
回復を待つ俺の前にいるエビルズマリスは咆哮を上げたきり、攻撃を仕掛ける素振りもない。
おそらく、雷撃の影響が残っているんだろう。
動きも鈍い。
「……」
悪くないな。
予期せぬ咆哮を受けてしまったが、最悪の事態は免れたようだ。
ならば、ここから反撃を。
決着を!
「くっ!」
背後から剣姫の声。
何だ?
「!?」
剣姫が倒れている!
地に両手両足をつけて!
やはり、至近距離で咆哮を受けたダメージは大きかったか。
「……」
俺はもう、戦える程度まで回復している。
が……。
仕方ない。
ここはいったん退くべきだな。
剣姫のもとに歩み寄り、その身体を抱え上げる。
「なっ、何を!?」
「一度退きますよ」
「いや、待て、下ろせ」
「そんなこと言ってる場合じゃありません」
あいつが、いつ攻撃してくるか分からない。
また咆哮を使うかもしれない。
少しでも距離を取るべきだ。
「退きますよ!」
「……」
剣姫を胸に、数歩後退。
様子を確認しながら、あと数歩……と!?
怪物の口に眩い光??
ブレス?
ここで、ブレスなのか!?
「っ!」
「アリマ!?」
早い!
開かれた口から溢れ出る光の奔流。
前回より早く大きい!
初めて見る規模の光束。
いや、もう束じゃない。
壁のような光の塊だ。
そんな光が、上下左右に大きく広がった光の壁が、向かってくる!
俺たちを飲み込もうとしている!
避けられない!
このままじゃ飲まれてしまう。
「伏せろ、アリマ!」
違う。
ここは。
「ストーンウォール!!」
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