733 / 1,640
第8章 南部動乱編
テポレン山の戦い 5
遂にこの時が来た。
ザッ、ザッ、ザッ。
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。
今のところ王軍に妙な動きは見られない。
こちらの迎撃態勢をある程度理解していても、真正面からの進軍を選んだようだ。
数で押し切る作戦、それに尽きるということか。
なら、こっちはそれを受け止めるだけ。
ザッ、ザッ、ザッ。
あと20歩。
敵の先陣がA地点に入ろうとしている。
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。
あと10歩。
もう少しだ。
5、4、3、2……。
「ゼミアさん!」
「撃てぇ!!」
ゼミアさんの掛け声と同時に、エンノアの魔道具隊からクロスボウの矢が放たれた。
黒線が蒼天を埋め尽くすように空を駆け、敵先陣へ。
「来たぞ、構えろぉ!!」
「「「「「「「「「おう!!」」」」」」」
「「「「「「「「「おう!!」」」」」」」
「「「「「「「「「おう!!」」」」」」」
初撃に備える王軍先陣。
両手に盾を1つずつ持った歩兵5人が1組になって前後左右、上方に10の盾を構え、その場に膝をつき待機している。
「「「「「ドーン!!」」」」」
「「「「「バーン!!」」」」」
「「「「「ドガーン!!」」」」」
炸裂した魔法矢が王軍に襲いかかる!
が……。
「「「「「おお!」」」」」
「耐えたぞ!」
「いける」
魔法矢の効果は……。
前回の半分もないか。
***********************
<和見幸奈視点(姿はセレス)>
結局、コーキさんとは深い話をすることもできず、この日を迎えてしまった。
戦いが始まってしまった。
「コーキさん……」
山道の奥、小高い場所に設置された本陣。
その中にいる今も、絶えず感じてしまう違和感。
喉元まで出かかっている、この……。
「セレスティーヌ様、不安だとは思いますが、ここは私たちにお任せください」
ディアナさん……。
「はい、皆さんにお任せしますし、信じております」
レザンジュの大軍との戦いがどうなるのか?
その心配や不安はとても大きい。
何よりも大きい。
そんなの当然だ。
ただ、こうしてコーキさんの姿を見ていると……。
どうしても考えてしまう。
「コーキ殿が心配ですか?」
「えっ!」
急にそんなこと。
「コーキ殿のことが気になるのですよね?」
「……」
ディアナさんの言う通りだ。
それが偽りのない本当のわたしの気持ち。
でも今は……。
今は戦闘が行われている最中。
無理を言って本陣にまで出てきたのに、戦闘以外のことを考えるなんて。
「セレスティーヌ様……」
「……」
ディアナさんに対して答えられない。
上手く言葉が出てこない。
だから、咄嗟に口から出てしまったのが。
「その、コーキさんの作戦が心配で」
こんな言葉。
でも、嘘じゃないから。
ザッ、ザッ、ザッ。
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。
今のところ王軍に妙な動きは見られない。
こちらの迎撃態勢をある程度理解していても、真正面からの進軍を選んだようだ。
数で押し切る作戦、それに尽きるということか。
なら、こっちはそれを受け止めるだけ。
ザッ、ザッ、ザッ。
あと20歩。
敵の先陣がA地点に入ろうとしている。
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。
あと10歩。
もう少しだ。
5、4、3、2……。
「ゼミアさん!」
「撃てぇ!!」
ゼミアさんの掛け声と同時に、エンノアの魔道具隊からクロスボウの矢が放たれた。
黒線が蒼天を埋め尽くすように空を駆け、敵先陣へ。
「来たぞ、構えろぉ!!」
「「「「「「「「「おう!!」」」」」」」
「「「「「「「「「おう!!」」」」」」」
「「「「「「「「「おう!!」」」」」」」
初撃に備える王軍先陣。
両手に盾を1つずつ持った歩兵5人が1組になって前後左右、上方に10の盾を構え、その場に膝をつき待機している。
「「「「「ドーン!!」」」」」
「「「「「バーン!!」」」」」
「「「「「ドガーン!!」」」」」
炸裂した魔法矢が王軍に襲いかかる!
が……。
「「「「「おお!」」」」」
「耐えたぞ!」
「いける」
魔法矢の効果は……。
前回の半分もないか。
***********************
<和見幸奈視点(姿はセレス)>
結局、コーキさんとは深い話をすることもできず、この日を迎えてしまった。
戦いが始まってしまった。
「コーキさん……」
山道の奥、小高い場所に設置された本陣。
その中にいる今も、絶えず感じてしまう違和感。
喉元まで出かかっている、この……。
「セレスティーヌ様、不安だとは思いますが、ここは私たちにお任せください」
ディアナさん……。
「はい、皆さんにお任せしますし、信じております」
レザンジュの大軍との戦いがどうなるのか?
その心配や不安はとても大きい。
何よりも大きい。
そんなの当然だ。
ただ、こうしてコーキさんの姿を見ていると……。
どうしても考えてしまう。
「コーキ殿が心配ですか?」
「えっ!」
急にそんなこと。
「コーキ殿のことが気になるのですよね?」
「……」
ディアナさんの言う通りだ。
それが偽りのない本当のわたしの気持ち。
でも今は……。
今は戦闘が行われている最中。
無理を言って本陣にまで出てきたのに、戦闘以外のことを考えるなんて。
「セレスティーヌ様……」
「……」
ディアナさんに対して答えられない。
上手く言葉が出てこない。
だから、咄嗟に口から出てしまったのが。
「その、コーキさんの作戦が心配で」
こんな言葉。
でも、嘘じゃないから。
あなたにおすすめの小説
ひだまりのFランク冒険者
みなと劉
ファンタジー
ここは異世界。
そこの冒険者ギルドでは毎日仕事がてんこ盛り。
そんな中
冒険者ギルドには万年Fランクの冒険者が一人いる。
その名は、リルド。
彼は、特に何もない感じに毎日
「薬草採取」「石集め」Fランク向け「討伐」場合によっては「ポーション生成」をする。
この話はこの万年Fランク冒険者リルドの物語である。
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
WIN5で六億円馬券当てちゃった俺がいろいろ巻き込まれた結果現代社会で無双する!
TB
ファンタジー
小栗東〈おぐりあずま〉 二十九歳 趣味競馬 派遣社員。
その日、負け組な感じの人生を歩んできた俺に神が舞い降りた。
競馬のWIN5を的中させその配当は的中者一名だけの六億円だったのだ。
俺は仕事を辞め、豪華客船での世界一周旅行に旅立った。
その航海中に太平洋上で嵐に巻き込まれ豪華客船は沈没してしまう。
意識を失った俺がつぎに気付いたのは穏やかな海上。
相変わらずの豪華客船の中だった。
しかし、そこは地球では無かった。
魔法の存在する世界、そしてギャンブルが支配をする世界だった。
船の乗客二千名、クルー二百名とともにこの異世界の大陸国家カージノで様々な出来事はあったが、無事に地球に戻る事が出来た。
ただし……人口一億人を超えるカージノ大陸と地球には生存しない魔獣たちも一緒に太平洋のど真ん中へ……
果たして、地球と東の運命はどうなるの?
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
病弱設定されているようです
との
恋愛
『あのようにご立派な家門にお産まれになられたのに⋯⋯お可哀想なご令嬢だそうですのよ』
なんて噂が流れているけれど、誰も会ったことがないミリー・ミッドランド侯爵令嬢。
ネグレクトなんて言葉はない時代に生まれ落ちて、前世の記憶を取り戻したら⋯⋯。
前世の記憶と共に無双します!
再開しました。完結まで続投です。
ーーーーーー
恋愛小説大賞27位、ありがとうございました(感謝)
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定。
完結確定、R15は念の為・・