30年待たされた異世界転移

明之 想

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第8章 南部動乱編

爆発

<トゥオヴィ視点>




 ドッゴォォォーーーン!!!

 鼓膜が破れるほどの轟音!
 と共に体の自由が奪われ、浮遊感が?
 空を飛んでいるのか?

 ドカン!

 直後、背中に感じる鈍痛。
 地面に落下した?

「うぅ!」

 背中が!
 息が止まるほどの衝撃だ!

 が、それが落ち着くと……。
 ひりつくような痛みが全身に?

「っ!」

 なぜ?
 どうして?

「!?」

 衝撃と痛みで頭が真っ白になる。
 混乱に陥ってしまう。
 けれど。

 リヒャルド様は?
 イゾリンデ将軍閣下は無事なのか?

「「「「「……」」」」」

 もうもうと立ち込める砂煙の中。
 倒れ伏す騎士たちの中。

「うぅ……」

 数歩先に見えるあの軍服は?
 地面にうつ伏せに倒れている姿は?

「リヒャルド様!」

「ぅぅぅ……」

 真横に駆け寄り、確認してみると。

 脈も呼吸も問題ない。目立つ外傷もない。
 もちろん見えない箇所が傷ついている可能性はあるが、大きな問題はないはず。
 そう思いたい。

「リヒャルド様、私が分かりますか?」

「ぅぅ……トゥオヴィ?」

「はい、トゥオヴィです」

「な、何が?」

「それは……」

 私にもはっきりとは分からない。
 ただ、この状況から考えると。

「爆発かと?」

 敵の魔道具にやられたとしか思えない。

「……本陣にまで?」

「……」

 リヒャルド様同様、私にも信じられないものがある。
 それでも、この状況こそが事実だから。

「くっ! 倒れている場合ではない」

 朦朧としながらも立ち上がるリヒャルド様。
 その姿に、エリシティア様の雄姿が重なってしまう。

「……こちらを」

「ああ」

 近くに落ちていた将軍の証である愛剣を手渡し、私もリヒャルド様の傍らの地面を踏みしめる。

 砂煙が晴れた後。
 あらためて周りを眺めてみると。

 この惨状……想像を超えている。

「……」

 いや、そもそも本陣が爆撃されること自体想定外。
 イリアルも予見できなかったことだ。

 っ!
 イリアルは無事なのか?
 我が小隊は?

 先刻までイリアルと私がいたのは本陣のさらに後ろ。
 爆発地点よりずっと後方だった。
 なら、平気だと思うが……。


「とんでもないな」

 惨状の現場に立ち尽くす私の横で、囁くような声を出すリヒャルド様。

「恐ろしい兵器だ」

「……はい」

 遠目で見ていた時とは実感が全く違う。
 本当に恐ろしい。

 寡兵とはいえ、我らはこんな敵と戦っていたのか?

「……」

 やはりもう、戦うべきじゃない。
 今は撤退すべきだ。

「リヒャルド様、ここは退きま……」

 心の奥底から湧き出できた私の声。
 それなのに、止まってしまう。

「雷波!」
「雷波!」

「雷撃!」
「雷撃!」

 坂の上から聞こえてくる声を聞いて。
 体も思考も、固まってしまう。

「どうした、トゥオヴィ?」

「雷撃!」
「雷撃!」

 この呪言のような発声。
 間違いない。
 イリアルから何度も聞かされた凄腕冒険者の魔法だ。

 やつが近づいてくる。
 決して対峙してはいけないバケモノが本陣にやって来る!

「っ! リヒャルド様、ここは危険です!」

「……」

「ひとまず後ろに!」

「……そう、だな」

 後陣に下がろうと足を踏み出した先。
 視界に入ってきたのは。

 シュン、シュン!

「っ!」

 そんな!
 バケモノとの遭遇を避けたのに!

 シュッ、シュン、ザシュッ!

 私たちの前に立ち塞がるのは、鬼神のごとき影。
 仮面の剣士が剣を振るっている!

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