30年待たされた異世界転移

明之 想

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第8章 南部動乱編

宴 3

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「俺はコーキを応援してっからよぉ」

「ヴァーン……」

 本陣からの帰り道で何度も違うと言ったのに、聞いちゃいないんだな。

「ワディンの皆が反対しても、俺だけはコーキの味方だぜ」

「おまえ、勘違いしているようだが……」

 ヴァーンに反論しようとした俺の視界に入ってきたのは、笑顔で歩いてくる幸奈の姿。その後ろにはシア、アルまでいる。

「何の話をしてたんですか?」

 聞かないでくれ、幸奈。

「コーキさん?」

「……」

「はは、照れてんのかよ」

 この野郎!

「えっ? それって?」

 ほら、幸奈も困ってるぞ。

「俺はセレスさんとコーキの味方だって話ですよ」

「味方、ですか……ヴァーンさん、いつもありがとうございます」

「ああ、そっちの話じゃなくて」

 幸奈、気づいてないんだよな?
 それとも、気づいてない振り?

「セレスさんとコーキの……いてぇ! 何すんだ、シア?」

「何でもいいから黙って」

「はあ? シアも2人の味方だろ?」

「それは……とにかく、その話はまた今度よ」

「今でもいいじゃねえか」

「もう! アル、ヴァーンを連れて行って。早く!」

「……分かった」

 シアとアルに両脇を抱えられ、連れ去られていくヴァーン。

「おい、放せ!」

「放すわけないでしょ」

「アル?」

「おれは姉さんに従うよ」

「……」

 ヴァーン、いい眺めじゃないか。
 記念に写真を撮りたいくらいだぞ。

 ということで、うるさい奴は去った。
 今傍らにいるのは幸奈だけ。
 俺たち2人だけ。

 ただし、とても落ち着ける状況ではない。
 なぜなら、視線が集まっているからだ。
 しかも、付近にいるほぼ全員の視線が。

「……」

「……」

「コーキ、さん?」

 2人で話せる状況じゃないよな。

「また、後で話しましょうか?」

「……はい」


 そんな恥ずかしい一幕はあったものの、宴は盛り上がったまま続き。
 あっという間に終盤へとさしかかってきた。

 今の幸奈は俺から離れ、シア、アル、ヴァーンと楽しそうに話している。
 ゼミアさんやルボルグ隊長はメルビンたち冒険者と、フォルディさんもエンノアの皆と笑顔で酒を酌み交わしているようだ。

 少し離れた席にいるディアナとユーフィリアは……2人で静かに飲んでいるのか。
 意外だな。

「……」

 開始からここまで皆が思い思いに酒と食事、会話を楽しんでいる。
 やはり、今夜宴を開催して良かった。
 今は心からそう思えるよ。

 さてと。
 俺はというと。
 ちょっと整理して、これからのことを考えないといけない。
 問題が山積みだからなぁ。

 まずは、そう。
 何より優先すべきは幸奈とセレス様の入れ替わり。
 ふたりの魂を元に戻さないと、色々と先に進めないだろう。

 その入れ替わりも、今の幸奈なら発動可能なはず。
 あとは入れ替わりのタイミングを考えるだけだ。

 タイミングを計るためにも、幸奈とセレス様の2人と話をする必要があるんだが……。

 宴の時間を心から楽しんでいる幸奈を広場から連れ出したくはない。
 こんなに楽しそうな幸奈を見るのは、この世界では初めてのことなんだから。

 ただ、このままだと、今夜話をするのは難しいか?
 となると、先に日本に戻ってセレス様と話すべき?

 セレス様の様子も気になるし、伝えることも少なくはない。
 なら、よし。
 今日の深夜にでも日本に戻るとしよう。

 それまでの時間は、諸々の確認だな。
 最初は俺のステータスを……。

 ん?
 これは!?

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