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第10章 位相編
決まる!
しおりを挟む<古野白楓季視点>
「Known to every……」
「有馬は……有馬なら大丈夫だ。時間がねえ、行くぞ!」
「……」
「古野白ぉ!」
もう時間がない。
迷っている余裕もない。
「……了解」
「I am the flesh of senses……」
「詠唱が完成するぞ!」
幸奈さんと武志君は既に安全圏に退避済み。
武上君と私は、あともう少し。
「……loss of five senses!!」
と、ここで詠唱が終了。
五感喪失の異能が発動してしまった。
私は……?
「見える」
さっきと同じように微妙なものを身体に感じるけれど、普通に目は見えるし耳も聞こえる。動くことができる。
「オレも問題ねえな」
「わたしも平気です」
「僕も」
3人全員が問題なし。
よかった。
今回も切り抜けることができた。
「でも、功己は? 功己は平気なんですか?」
「……」
有馬君は後方。
さっきと変わらず、吾妻に対峙している。
「あいつ、立ったまんまだな」
武上君の言う通り。
有馬君は詠唱完了前と変わりのない体勢で吾妻と向かい合っている状態。
「倒れずにいられるということは?」
「ああ、大丈夫かもしれねえ」
私もそう思う。
思いたい。
けど。
「戻るわよ」
「おう」
「わたしたちも近くまで戻ります。武志は、そこで結界の準備をお願い」
「分かってるよ、姉さん」
「よーし、こっから2回戦だぜ」
飛び出した武上君を先頭にして駆ける。
そうして、さっきの位置まで戻ると……。
吾妻が有馬君に攻撃を仕掛けていた。
最前の連続攻撃同様の鋭く素早い連撃だ。
それでも、やっぱり当たらない。
吾妻の攻撃が、かすりもしない。
「どうしてだ? いったい、どうなってる?」
ずっと無表情だった吾妻が、焦りで顔色を変えている。
「っ!」
声色も違う。
「……」
一方、対峙する有馬君は沈黙のまま。
平然飄々としたもの。
「くっ!」
そんな相手に仕掛ける吾妻の攻撃が。
「くたばれぇ!」
徐々に雑になっていく。
「くそっ! くそぉ!!」
以前の吾妻の姿はもう、見る影もない。
ただ捨て鉢のような攻撃を続けているだけ。
「こいつぁ、勝負あったな」
「……そうね」
有馬君が反撃すれば、即終了。
既に、そんな雰囲気が漂っている。
「しっかし、有馬は攻撃しねえのな」
「五感を失っているのだから、何かが違うんでしょうね。でも、もうすぐだと思うわよ」
「だな。じゃ、オレらは」
「ええ。今度こそ、空間異能者に邪魔はさせない」
「こっちはもう有馬の援護を考える必要ねえんだ。さっさとあいつを倒すぞ!」
そう言って空間異能者のもとへ足を進めようとする武上君。
「ちょっと待って! 決まるわ!」
「ん!?」
ほんの僅かな時間、戦闘から目を離したすきに有馬君が一撃を決めてしまった。
吾妻は。
「うぐっ!」
一息もらして、そのまま片膝をついた状態。
あと一撃で決着がつく。
でも、空間異能者は?
「!?」
やっぱり!!
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