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第11章 陰謀編
盗み聞き 1
しおりを挟む俺の隠れている位置から数メートル前方、室内中央の長椅子に向かい合って座った男女2人。オルセーと話をするためにやって来たのか?
「……」
「……」
少しばかり言葉を交わした後、2人とも沈黙してしまった。
こうなると、こちらも僅かな音すら立てられない。
ん?
若い女性の意識が、またこちらに向き始めている。
「……」
今は奥に隠れているので姿は見えないはず。
気配も消している。
なのに、こちらに意識を向けてくるということは……。
やはり、さっきの一瞬で気づかれたのかもしれない。
「ところで、本日は例の件についてでしょうか?」
「……まあ、そうですね」
「わざわざお越しくださらなくとも、オルセーが伺いましたのに」
「……」
こちらに向いていた女性の意識が対面男性へと移っていく。
「それとも、殊更興味を抱くことでもおありですか?」
「……そうですね、オルセー殿には少々尋ねたいこともありますが」
もう、こちらを窺う素振りはない。
あやしげな気配も感じられない。
とりあえず、大丈夫か?
「まずは件の話を聞かせてもらいたいですね」
「なるほど」
「とはいえ、今はオルセー殿もいませんし」
「……申し訳ありません」
「謝罪は不要ですよ。それより、バシモス殿からは話を聞けませんか?」
バシモス?
この名前、記憶の中にあるような、ないような。
「それとも、ご存じでない?」
「いえ、オルセーから簡単に話は聞いております。ただ、詳細までは……」
「聞いておりませぬか?」
「はい、今回の件は担当者が王家に直接報告する案件でして」
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「……」
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「……」
こちらの世界で過ごし始めて数か月。当初とは比べ物にならないくらい知人も増えた。それでも、キュベリッツ王家やそれに近い女性に知り合いなんていないぞ。
どうして彼女の気配に覚えがあるんだ?
「レンヌ家の事情はそれなりに理解はしています。ですが、こうして時間を無為に過ごすのもどうかと思いますので、簡単な話だけでも教えていただけませんでしょうか?」
「……」
「バシモス殿、わたしには話せませんか?」
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