30年待たされた異世界転移

明之 想

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第11章 陰謀編

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<ヴァーンベック視点>



「あそこを見てみろ」

 ここまでほとんど喋ることもなく歩き続けていたヴァルター。
 そんな彼が立ち止まって指さした先は……。

 迷路のような通路の前方にある天井。
 同じような通路が永遠と続く先にある、その天井には……?

「おい! 穴が開いてんぞ!」

 そう。
 天井に穴が開いている。
 人が通れるほどの穴が。

「外に出れんじゃねえか?」

 やっと脱出できる。
 その希望で興奮を隠せないギリオンと俺。
 ヴァルターの顔にも喜色が浮かんでいる。

「ヴァルターさん?」

「ああ、試してみよう」

 天井からの脱出を試みても問題ないんだな。
 よーし!

「ヴァーン、ついて来い!」

「ちょっと待て」

 駆け出すギリオンに続いて、穴の真下に到着すると。

「こいつぁ、低かねえぞ」

 確かに。
 天井に穴が開いているとはいえ、簡単に脱出できる高さじゃない。

「ヴァーン、おめえ、飛び上がれっか?」

「無理だな」

 さすがに高すぎる。

「なら、どうするよ?」

 身ひとつで不可能なら。

「何か道具でも持ってないか?」

「ああ? 今の今まで監禁されてたのに、持ってるわけねえだろ」

「それも、そうだな」

「おめえの魔法はどうだ?」

 そんな便利な魔法があればいいが。

「……難しい」

「ちっ!」

 跳躍だけでは無理。
 道具も魔法も使えない。
 だったら……。
 残るは原始的手段のみ。

「ギリオン、おまえ四つ這いになれ」

 ギリオンが四つ這いで土台を作り、その上にヴァルターを肩車した俺が乗る。これでギリギリ天井穴まで届くのでは?

「はあ?」

「体重の重いおまえが土台になるのは当然だろ」

「……」

「早くしろよ」

「こんの野郎」

 悪態をつきながらも四つ這いになるギリオン。
 
「崩すんじゃねえぞ」

「分かってらぁ」

 悪いが、ちっと我慢してくれよ。

「ヴァルターさん、俺の肩に乗ってください」

「そういうことなら、オレが下になろう」

「いいんですか?」

 体重はヴァルターの方が重いが、冒険者の大先輩である彼の上に乗っても?

「ああ、問題ない」

「分かりました。では」

 ギリオンの上にヴァルター、さらにその上に俺が乗る。
 と……少し足りない。

「どうした、ヴァーン?」

「駄目だ。届かねえ」


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