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第11章 陰謀編
人為的?
<ヴァーンベック視点>
壁面の痕跡は蒼珠の欠片によってできたもの。
ヴァルターの指摘を聞けば、それが真実だとしか思えない。
とはいえ、蒼珠が消えた現実に変わりはないんだぞ。
「んで、直後に消えたってか?」
「そう考えるのが妥当だな」
「ってこたぁ?」
「蒼珠が物体として存在していたのは間違いない」
なるほど。
「蒼珠は霊的や魔力的なものではなく、物質として存在していたということですね?」
ヴァルターが言いたかったのはこれか。
「うむ」
「なら、魔道具や宝具である可能性も。自然発生ではなく、誰かが持ち込んだ可能性も?」
「……そうだな」
ヴァルターが存在を知らない宝具。
そんなものが、一般の通路に設置されていた。
常識的には考えられないことだ。
が、この現実の前では常識なんて消し飛んじまう。
「問題は誰が、なぜ、どういった意図でこの通路に設置したかだが……?」
答えなんて俺たちに分かるわけもない。
それでも、考えずにはいられないだろ。
「……」
「……」
「……」
通路に沈黙だけが流れていく。
ただ、その時間はほんの僅かなものにすぎなかった。
なぜなら、アレが再び漂ってきたからだ。
「おい、おい」
最初はさっきの残滓かと感じる程度だった。
が、僅かな間に。
「またかよ」
ギリオンにも感知できるほどに濃密さが増したなれば、もう間違いない。
「終わりじゃなかったみたいだな」
「ちっ……左か、ヴァーン?」
「ああ、角の左だ」
前回と同じ。
前方の角を曲がった先から漂ってくる。
「こうなりゃ、何度でも叩き壊してやるぜ」
宣言するやいなや、ギリオンが軽い足取りで飛び出していく。
俺とヴァルターも数歩遅れて駆け出す。
あっという間に角に到着、そこを曲がると。
予想通り、黒い澱みが通路を覆っていた。
「じゃ、行ってくっからよ。おめえらは待ってろよ」
「いや、今回は一緒に行こう。蒼珠を破壊する前に調べたいからな」
ヴァルターの言う通り。
可能なら色々と調べたい。
「俺も入るぞ」
「……勝手にしろ」
ということで、3人そろって黒い澱みの中に足を踏み入れようとした、その時。
「オオォォ……」
澱みから鈍い音が響いてきた。
「何の音だ?」
「ォォォ……」
1度目は聞こえなかった不気味な音。
ただし、中に入ったギリオンなら聞いた可能性もある。
「さっきの澱みの中では聞こえたか、ギリオン?」
「いんや、聞いてねえ」
ギリオンも聞いてない。
今回が初。
「だったら、前回とは状況が異なる。慎重にいくぞ」
「りょうか……ん??」
「グゥルゥオ&$#@!!」
澱みから響く音量が増した。
これは、魔物や獣に近い咆哮だ。
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