30年待たされた異世界転移

明之 想

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第11章 陰謀編

白亜宮 1

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「さあ、着いたぞ」

「ここ、ですか?」

「うむ」

「……」

 剣姫が公爵令嬢サヴィアリーナの姿で案内してくれたのは白都北方に位置する貴族区。真珠色に輝く白大理石を思わせる石畳を進んだ先。

「何か問題でも?」

「問題というか……」

 貴族区に足を踏み入れるということ自体は理解できる。
 剣姫は冒険士という位を持つ貴族であり、さらに高位の公爵令嬢でもあるのだから。

 ただ、今回は剣姫の自宅訪問じゃないんだぞ。
 人探しなんだ。
 貴族区に2人がいるかもしれないという事実だけでも戸惑っているのに、この先なんて。ほんと、あり得ないだろ。

「今さら遠慮することはない。聞きたいことがあれば口にしてくれ」

 口ごもる俺に剣姫が返答を促してくる。

「……ここにいるのですか? リーナとオズが?」

「うむ」

「……」

 剣姫はつまらない噓をつくような女性じゃない。
 こんなことで冗談も言わないだろう。

 となると、本当にここに2人が。
 いや、しかし……。

 俺の目に映るのは、陽光に輝く白壁。
 その先に屹立する絶白無垢の巨大建築。
 白き乙女とも称される宮城、白亜宮。

「どうした、アリマ?」

 どうしたもこうしたもない。
 言うまでもないことだが、白亜宮は多くの貴族が勤務し王族が暮らす宮城だ。
 そこにリーナとオズがいると聞いて、平静でいられるわけないだろ。

 そもそも、俺は権門とは距離を置いている。
 剣姫やセレス様といった貴人と付き合いのある今でこそ拒否感は若干和らいできたものの、忌避の感覚を完全に払拭できたわけじゃない。

 そんな俺が宮城に足を踏み入れるなんて。
 考えたこともなかった。

 この一事だけでも厄介極まりないのに、リーナとオズが……。

 いや、まだそうと決まったわけじゃない。
 貴族区にも宮城にも平民は存在するのだから。

「2人が宮にいると都合が悪いのか?」

「いえ……サヴィアリーナ様、リーナとオズは白亜宮に出仕しているのでしょうか?」

「出仕……ふふ」

 剣姫からは、意味ありげな微笑。

「そうともいえるかな」

「……」

「まっ、会えば分かることだ」

 2人については何度質問してもはぐらかすだけ。
 この状況になっても答えてはくれない。

「さあ、いつまでも立ち止まってないで中に入るぞ」

 軽い足取りで颯爽と歩き出す剣姫。
 向かう先は当然、白亜宮の中。

 はぁ。

 本音を言うと、貴族が溢れる宮城の中になど入りたくはない。今すぐ引き返したいくらいだ。けど、これはもう……腹をくくるしかないか。


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